デート~恋とはどんなものかしら~ 全10話

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 内閣府の研究所に勤める藪下依子(杏)は、父親(松重豊)から見合いを勧められた。しかし恋愛経験が無く、結婚は相手との「契約」と捉える依子は、ことごとく見合いに失敗し、結婚相談所に登録。一方、自身を高等遊民と称する谷口巧(長谷川博己)は、女性と新しく出会うことで働く意欲を持って欲しいと願う、幼馴染の島田宗太郎(松尾諭)によって、勝手に結婚相談所に登録させられた。
 依子は巧のプロフィールに記載された身長や生年月日などの数字が、全て素数で構成されていることに興味を持ち、デートをする。依子に想いを寄せる鷲尾豊(中島裕翔)や、宗太郎の妹・島田佳織(国仲涼子)が割り込み、四角関係となってしまうが、依子と巧は不器用ながら互いに気になる間柄となっていく。(作品の詳細はこちら


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ハセヒロ1人祭り。主役の2人が恋愛不適合者という、およそ恋愛から最も遠いキャラを設定しながら、こんなに面白おかしく、ちょっぴり切ない物語になるなんて、これは素敵なサプライズだった。恋模様のオチはほぼ予想通りなんだけど、そこに辿り着くまでの紆余曲折に、毎回ドキドキ&ハラハラ。時間が経つのがあっという間で、エンディングが流れ始めると、えーっ、もう終わり?とガッカリ感が半端なかった。

ハセヒロは、期待に違わぬ面白さでグッジョブ!あんなかっこいいオタクのニート高等遊民は、滅多にいないとは思うが、息が詰まるような彼の部屋や、膝を「く」の字に曲げへっぴり腰になって歩く姿は、どこから見ても普通じゃない。そんな彼のさりげない文学ネタ(引用文 by 川端、とか)が結構ツボにはまったし、依子の本当の恋のために土下座してなりふり構わず号泣する巧を、ぎゅっとハグしてあげたくなったし、切れっ切れのマシンガントークに圧倒された。帽子やメガネや無精ヒゲやマフラーや時代遅れのジャケットなど、ハセヒロのためにこれらの小物が、これまたいい仕事をしていました。


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依子を演じた杏も、あっぱれ。あそこまでイタい女を熱演した女優魂に、敬服いたしました。長くて小難しい台詞も、よく覚えたもんです。初めはロボット人間・依子が圧倒的に優勢で、巧がヘコヘコ彼女の後をついていく構図だったが、ラストに近づくに従って、巧も杏に物申すようになる。ロボット依子が巧に耳をかすようにすらなるんだから、恋の力は偉大だ。2人の恋がまわりにも祝福され、みんなが幸せな気持ちになれるって、何かいい。


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『孤独のグルメ』のゴロー@松重豊や風吹ジュンや子どもの頃の依子を演じた内田愛など、脇を固める役者陣も秀逸でした。とりわけ平田満は、終りのほうでやっと登場するが、インパクトの強さは絶大。地味な顔立ちながら、彼の存在感はゆるぎないものがある。鷲尾君を演じた中島裕翔、爽やかな青年で、娘が一目惚れしました。恋愛物に必須のキャラクターですね。茹でられて包帯ぐるぐる巻きになったヘビちゃんには、大爆笑しました。


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# by amore_spacey | 2017-06-25 17:15 | - Japanese film | Comments(0)

いつもの見知らぬ男たち (I Soliti Ignoti)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 Peppe(Vittorio Gassman)、Mario(Renato Salvatori)、Cosimo(Memmo Carotenuto)、Campanelle(Carlo Pisacane)、Ferribotte(Tiberio Murgia)、Tiberio(Marcello Mastroianni)の与太者たちは、簡単に金を稼ぐ方法を考えながら暮らしている。ある時、刑務所から出てきたばかりのPeppeは、質屋の金庫を奪う計画を思いついた。老獪な盗人のプロDante Cruciani(Totò)に指南を仰ぎ、何とか質屋の隣のアパートに侵入はできたのだが…。(作品の詳細はこちら


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まるで漫才を映画化したような作品で、笑いどころ満載。ワザや捻りがない、子どもレベルの笑いなので、笑いどころやオチはすぐに分かってしまうのに、釣られて笑ってしまう。それまでのイタリア映画は、敗戦後の社会問題を真正面から見つめたネオリアリズモ真っ只中の、暗くて絶望的なものばかりだったから、Mario Monicelli監督のこの作品は、当時の庶民には新鮮に映ったに違いない。しかし知識人たちは、「現実から目をそらして、こんな子供騙しのギャグで笑うとは、けしからん!」と批判。Monicelliに続き、Luigi ComenciniやAntonio Pietrangeli、Dino Risi、Nanni Loy、Pietro Germi、Ettore Scolaらが起こした、イタリア式コメディ(Commedia all'italiana)のムーブメントが、過小評価され、軽蔑的な意図で使われていたなんて、ね。この種の笑いは、イタリア人のDNAに組み込まれたものだと思う。

周到に計画を立てるのだが、どうも詰めが甘く、大事なところが抜けたりして、どんどんおかしな方向に流れていく。金庫破り決行に向かって緊張は高まるが、クライマックスで大崩壊!そしてそれまでの緊張感が、プッツンと切れてしまう。こりゃ、もう、笑うしかないでしょう。しかし金庫破りに失敗したんだから、こりゃやばい。現場からとっとと逃げるかと思いきや、台所で見つけたパスタと豆を、泥棒仲間で食べはじめて、すっかりくつろいでいる。計画が大失敗に終わって、皆プッツンですな、あははっ。


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どうしようもない与太者たちの脇で、ひっそり楚々と咲く花。それは嫉妬深い兄を持つCarmelinaを演じたClaudia Cardinaleや、情報収集のためPeppeに誘惑されたNicolettaに扮したCarla Gravina。可憐で、綺麗でした。


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# by amore_spacey | 2017-06-23 23:04 | - Italian film | Comments(0)

カビリアの夜 (Le notti di Cabiria)

ネタばれあり

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 貧しい暮らしの娼婦のMaria 'Cabiria' Ceccarelli(Giulietta Masina)は、いつか全うな人生を歩みたいと思っているが、その願いはなかなか叶わない。ある時は恋人に鞄を奪われたばかりか、川に突き落とされ、またある時は有名な映画俳優(Amedeo Nazzari)の気まぐれで、彼の屋敷に招かれるという千載一遇のチャンスに恵まれるが、愛人Jessy(Dorian Gray)の登場で冷たい扱いを受けてしまう。宗教にすがってみるが、これも役に立たず。そんなある日、ふらりと立ち寄った劇場で、Oscar D'Onofrio(François Périer)という男性に声を掛けられ、結婚を申し込まれる。(作品の詳細はこちら


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Cabiriaは、つくづく男運の悪い女だ。今度こそうまく行くかに見えるのに、最後に必ず裏切られる。冒頭のシーンからしてああだから、今までにも色んな目に遭ったんだろう。私だったら、川でのうのうと溺れてなんかいない。あの男をとっつかまえ、娼婦仲間たちの前で公開処刑です。映画俳優との一夜は、普通あり得ない話だから、残念な結果になったのは仕方がないでしょう。が、Oscarの仕打ちは断じて許せない。プロポーズのシーンで、「今度こそ大丈夫かな?幸せになってね」と思ったのに。ところでクズ男Oscarを演じたFrançois Périer、目元の涼しいイケメンですね。


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Cabiriaは打たれ強い女だ。どんな悲惨な状況にあっても立ち上がって、前を向いて進んでいく。生きているだけで、まるもうけってヤツです。彼女自身の強さもあるが、彼女だって1人で生きている訳ではない。頼りになるWanda(Franca Marzi)や娼婦仲間たち、毎日の暮らしの中で出会う人々のお陰で、苦しくったって、悲しくったって、生きていけるってもんです。


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Giulietta Masinaは決して目を見張るような美人ではなく、少年のような身体つきから中性的なイメージが強い。が、くっきりした眉毛やくるくるした瞳が愛らしく、揺るぎのない自分軸を持った表情に、はっとさせられる。映画俳優(Amedeo Nazzari)の屋敷に招かれたCabiriaの、好奇心に満ちた表情がとても印象的だ。またどの衣装も素敵で、セーラーカラーのワンピースは、よく似合っていた。Giulietta Masinaのように小柄で、気働きができる、そんな人を知っている。彼女も芯が強く、腹が据っている。


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# by amore_spacey | 2017-06-22 00:53 | - Italian film | Comments(0)

夏目漱石の妻 全4話

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 裕福な家庭で自由に育った鏡子(尾野真千子)が、19歳で金之助(漱石=長谷川博己)と見合いをし、一目惚れで結婚をしてから、金之助が英語研究のイギリス留学から帰国後、神経衰弱を患いながらも『吾輩は猫である』『坊っちゃん』などの小説を次々と発表、重度の胃潰瘍に苦しんだ晩年までの、鏡子と金之助の物語を描く。(作品の詳細はこちら


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ハセヒロ1人祭り。『セカンドバージン』で、初めて彼を観た時の第一印象は、品行方正で折り目正しい青年だけど、謎めいたストイックな色気がダダ漏れ。クールで人を寄せ付けないよそよそしさがあって、この人が切れたら相当コワいに違いない。でもそれが彼の持ち味で、きっと病みつきになる。これ、当たってます。彼の魅力にどんどんハマッているから。底なし沼かもしれない。

『地獄でなぜ悪い』の狂気に満ちたハセヒロや、このドラマの中で自分の夢を語る時の輝いた表情、心が平穏な時の静かな語り口や慇懃無礼な口調、偏屈で気難しく地雷がどこに潜んでいるのか(自分も他人も)分からない。こんな面倒くさいキャラの漱石を演じたハセヒロ、そのどれも甲乙つけ難く、好きだ。


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共演者にも恵まれたと思う。妻・鏡子を演じたオノマチの演技には、はっと胸をつかれ、震えるほどの感動を覚えた。今流行(はやり)の大袈裟な顔芸ではなく、微妙な表情の変化で心の機微を映し出す。腹をくくった女は潔くて強い。でも夫にあそこまで邪険にされたら、寂しくて切なくて悲しいものなんです。この夫婦が醸し出す雰囲気に、私たちもうまく巻き込まれ、一緒に笑ったり泣いたり怒ったり悲しんだり。これぞ、映画やTVドラマの醍醐味です。義父を演じた竹中直人は、文句のつけようのない演技で、登場時間はわずかなのに、強烈な印象を残した。余談だけど、山高帽にマントの洋装というハセヒロが、Cumberbatch演じるSherlockに見えて仕方がない。


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さて今回特筆すべきは、舘ひろし。岩城滉一と一緒に統括していた、「クールス」の頃から知っている。が、格好つけたゴリラ顔のおっさん、でしかなかった彼が、えーっ、ちょっと、コレ、誰?何気に素敵なんですけど…。うまく歳を重ねると、内面からにじみ出てくるものがあるんでしょうか。貴族院議員時代のダンディな洋装、娘を思いやる父親や着物の佇まい、そして後ろ盾になっていた政治家の失脚により落ちぶれ、卑しさすら見え隠れする姿…。どのシーンも胸に迫ってきた。

近代日本文学史に残る偉人・夏目漱石が、このドラマによって、近所のおじさんや自分の父親のような身近な存在になり、今までとは違った視点で彼の作品を再読できる楽しみができました。


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# by amore_spacey | 2017-06-19 02:58 | - Japanese film | Comments(0)

地獄でなぜ悪い

突き抜け度 ★★★★☆ (92点)

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【あらすじ】 ヤクザの武藤組組長・武藤大三(國村隼)は、服役中の妻・しずえ(右近)の夢を実現させるため、娘のミツコ(二階堂ふみ)を主演にして、娘に惚れた若者(星野源)を巻き込みながら、映画狂の平田(長谷川博己)とスタッフを迎えて、抗争中の池上組への殴り込みを舞台にした映画を撮ることに決めた。が、ミツコに恋心を抱く池上組の組長・池上純(堤真一)が絡んできたことで、事態は思わぬ方向に進んで行くのだった。(作品の詳細はこちら


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うひゃひゃーーっ!いやはや、凄かった。タイトルが全てを物語っている。ここまでやってくれると、実にあっぱれで爽快。バカバカしくて、恐ろしいばかりに狂っていて、ハイテンションでハチャメチャなのよ、これ。建前とか世間体とか無難な線とか空気読めよ的な、曖昧さが微塵もない。パッカーーンと突き抜けていて、潔いったらない。

劇中劇だってのは分かっているのに、途中から、えっ?ホントに殺しちゃってるんだけど、あれれっ?血の海の中、地獄絵図と化した画面に、「ああ、もう、細かいことなんて、どーでもいい。好き勝手にやっちゃって下さーい!」 今回初めて園子温監督の作品を観て、、、ハマッたみたい。BGMのヘンデルやベートーヴェンの使い方も、鳥肌モノで素晴らしかった。


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実は『小さな巨人』でハセヒロ熱が再燃して、ハセヒロ1人祭りを始めたのですが、このハイテンションな切れっぷりに、また萌えちまった。ラストの歓喜の雄たけび!シャウトしながら、夜の道を走る血まみれのハセヒロって、凄過ぎないか? 『MOZU』のチャオおじさんを観て、「ハセヒロ、切れてる。すごい」と思った自分が恥ずかしい。あんなの序の口(怒!)


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堤真一の変顔~ (⌒▽⌒)アハハ! 


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二階堂ふみの、エロさと落ち着きっぷりが、いい。



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成り行きとはいえ、星野源の巻き込まれ感が可笑しすぎる。こんな人、いるいる。ずっとクソ真面目に生きてきた平凡で大人しい青年が、たまたまその時間そこに居たせいで、人生180度変わる事件に巻き込まれる。それより ♪全力 歯ぎしり レッツゴー!♪ が、頭から離れないのよぉ。


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# by amore_spacey | 2017-06-17 00:13 | - Japanese film | Comments(2)