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題名のない子守唄 (La Sconosciuta)

私のお気に入り度 ★★★★☆(85点)

ネタばれあり。

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ウクライナから北イタリアの港街トリエステにやってきた女性Irena(Kseniya Rappoport)。彼女はある目的を果たすべく、裕福なAdacher夫婦(Pierfrancesco Favino & Claudia Gerini)と4歳になる娘・Teaに近づき、彼らが住む家のメイドとして働き始める。引っ込み思案なTeaと徐々に心を通わせるようになるが、そんな彼女の前にかつて彼女を苦しめた邪悪な男“Muffa”(Michele Placido)が再び現れる。主演のKseniya RappoportはDavid di Donatello賞を受賞したほか、作品賞を含む主要5部門を受賞。



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何かの拍子にふっとフラッシュバックする過去。仮面を被った全裸の女たち。恋人を惨殺される。拷問に近いSMプレイを強いられる自分。性的虐待…。忘れようとすればするほど執拗に追いかけてくる過去の悲惨なシーンが、Irenaを苦しめる。そんな彼女もまた自分の娘ではないか?と希望を託す4歳になる少女Teaを相手に、「自分で自分を守らなくちゃいけないよの。強くならなくちゃいけないの。」 自分に言い聞かせるかのように、暴力的で鬼気迫る行動をとってしまう。

Irenaを演じるKseniyaに、Giovanna MezzogiornoやCate Blanchettの容貌や仕草が重なる。前半では素性を隠したIrenaが果たそうとする目的が一体何なのか?そこに焦点を置いて観ていたが、話が進むにつれてロシアからの女性人身売買や、機械のように生ませた子どもたちを闇組織が売買する実態などが明らかになっていく。何年かののち出所したIrenaが、バス停でぼんやり待っていると、10代の少女がふらりと現れた。大きくなったTeaだった。血は繋がらなくとも人間の深遠な愛情によって、新しい人生を歩み出すことができるかもしれない。かすかな希望が託されたラストに、幾らか安堵しました。



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フラッシュバックに映るIrenaの過去は断片的で必ずしも時間軸に沿っていない。そのモザイクを1つ1つ拾い集めながら、自分なりにIrenaという人間像を作りあげていく作業は、謎の部分が多くてなかなか大変だった。観終わってから、「なるほど、そうだったのか。」という場面がたくさんある。それを確認するためにもう1度この作品を観直したいと思っています。

製作国:Italy, France
初公開年:2006年
監督:Giuseppe Tornatore
音楽:Ennio Morricone
キャスト:Kseniya Rappoport, Pierfrancesco Favino, Alessandro Haber, Claudia Gerini, Michele Placido, Margherita Buy ...


by amore_spacey | 2009-07-24 23:47 | - Italian film | Comments(2)
Commented by kchan0221 at 2009-07-27 04:54
こんにちは。
イタリア映画については、主にこちらでのレビュー情報くらいしか、知識はないのですが
これはすぐにぴんっと来ました!ニューシネマパラダイスの監督の作品だと。
なんだかとーっても怖くて(心理的に)、ニューシネマ・・・とは別の意味で
夢に出てきそうですが、見てみたいな・・・。
って、最近イタリア語サボりまくり&電子辞書故障したので、英語、または
日本語の字幕は必須なんですけどね。^^;
Commented by amore_spacey at 2009-07-29 00:41
☆ kchanさんへ。
これね、予備知識なく観たので、色々な意味で前半は驚きました。
あ、いえ、Pierfrancesco Favinoが出てるっていうので観たんです(*^^*)
サスペンス風に仕立ててありながら、現在も問題となっている人身売買や
子どもの闇売買など社会問題が根底に流れていて、ずずーーんときました。
Irenaを演じたKseniya、若い頃はきゃぴきゃぴ(死語だ~っ)女子大生ってな
感じだったらしいのだけれど、この作品の彼女はよかったです!
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