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アパッショナート (Senza pelle)

私のお気に入り度 ★★★★☆(86点)

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郵便局の窓口係員というごく平凡な人妻Gina(Anna Galiena)のもとに、謎の送り主から愛を綴った詩が届き始める。市内循環バスの運転手の夫Riccardo(Massimo Ghini)は激高して手紙の送り主を探し出す。それは精神障害のある上流階級の青年Saverio(Kim Rossi Stuart)だった。ストーカーと誤解されがちな彼の行動の中に垣間見える繊細な魂を信じ、危険な存在でないと分かったGinaは、彼に自宅の温室の世話を頼むが、それが彼の熱情をさらに高めてしまう。ある日Saverioは温室に来たGinaにキスを迫り、彼女はその願いを受け入れてしまう。だが、その日からGinaはSaverioを避けるようになった。SaverioはGinaをさらに熱く追い求めるが…。



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一時的な愛情や哀れみは、精神障害のある者を救うことができるのか?生半可な思いでは無理どころか、双方に危険さえもたらすであろう。一定の距離を置いてSaverioを見守っていたGinaだったが、深入りして初めて自分の軽率さに愕然とするのだ。Saverioを救済したいという彼女の母性愛が、結果的には仇になった。そして3人の幸福な生活が脅かされる危険を感じて、夜逃げ同然の引越しをしたのである。けれども全てが黒と出た訳ではない。彼の出現によって夫Riccardoは、2人の交流に心を痛めながらも、以前より寛容になり現実を掘り下げて見るようになる。Ginaも交錯する感情によって平凡な生活に潜む自分の孤独な心象に気づく。Senza pelle=皮膚のないむき出しの神経に外気が触れるたび、キリで刺すような痛みに苦悩し絶望するSaverioも、自分の力で一歩外に出て新しい出会いに胸をときめかせるのである。



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あうぅ、Kim様が枡書いてるぅ。いえ、あれはSaverioよ、Kim様じゃないのよと、心の中で何度叫んでみても、やっぱり画面の中のKim様は枡書いていた。あれは健全な青年の自然な行為なのよ、と心の中でつぶやいてみる。役柄とは言えKim様は激痩せしているし、髪の毛ぜんぜん洗ってない、目が泳いでる。全裸の乱闘シーンもある。あら、Montalbano警部ったら、副業でキオスクの販売員もやってたのね。

Piano soloでKim様が演じたLuca Floresは、幼い頃に母を亡くして以来、その事実を受け入れることが出来ず、徐々に精神にひずみをきたしていく青年だったが、本作品では父親を亡くしたSaverioが、精神を病んでいく。両親の離婚により親の愛や家庭の温もりに飢えた時期があったというKimだからこそ、心の襞にじわりと迫る肌理の細かい演技が出来たのだと思います。

製作国:Italy
初公開年:1994年
監督:Alessandro D'Alatri
キャスト:Anna Galiena, Massimo Ghini, Kim Rossi Stuart, Maria Grazia Grassini, Pier Giorgio Menichini, Luca Zingaretti ...


by amore_spacey | 2009-09-27 02:28 | - Italian film | Comments(0)
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