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地獄に落ちた勇者ども (La caduta degli dei)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★☆☆(70点)

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【あらすじ】 1933年初め。ドイツでも有数の名家であり鉄鋼会社を率いるEssenbeck家の当主Joachim男爵(Albrecht Schoenhals)のバースデーパーティが、一族を集めて厳かに行なわれていた。その晩餐の席上でドイツを揺るがすニュースが伝えられた。国会議事堂が放火されたのである。ナチス・ドイツによる独裁政治の開始が告げられたのだ。そしてEssenbeck一族も政治的混迷の中で内部分裂の様相を見せ、Joachimの孫Martin(Helmut Berger)によって一族は崩壊していく。



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Visconti監督の作品には上流社会の日常生活や豪奢なシーンが必ず登場するので、毎回楽しみである。この作品もその期待を裏切らず、磨き込まれた調度品が埋め尽くす豪華絢爛たる屋敷の晩餐風景がオープニングに登場する。しかしその屋敷の住人といえば、自己保身と金銭欲や名誉欲に溺れる堕落した人々。

こんなEssenbeck家における世襲制の終焉を暗示するのが、Joachim男爵のバースデーパーティで、Marlene Dietrichを真似て女装したHelmut Berger扮するMartinと、そんな彼を舞台袖からうっとりしたまなざしで見つめる母Sophie(Ingrid Thulin)のインモラルな関係なのである。いきなり女装で登場したHelmut Bergerにはたまげました。すね毛も腋毛も未処理で、こりゃ生々しい。



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それに引き換えCharlotte Ramplingのまぁなんと可憐なこと!ほっそり華奢な身体にまとったドレス姿の彼女は、この一族の中の誰よりも清楚で優雅でした。重油にまみれた海の中に咲く、一輪の百合といった風情。



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時代は否応なく刻々と移り変わり、腐敗し堕落しきった貴族(=Essenbeck家)に代わり、暴力によって徹底支配するナチス(=Martin)が全く新しい世の中を作ろうとする。その中で名誉や支配や暴力などという言葉がおよそ似合わず一番弱々しく見えたMartinが、貴族の世界を捨て暴力の世界に入っていったのは、誠に意外な展開でした。

製作国:Italy, West Germany
初公開年:1969年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Dirk Bogarde, Ingrid Thulin, Helmut Griem, Helmut Berger, Umberto Orsini, Nora Ricci, Charlotte Rampling ...


by amore_spacey | 2010-10-29 00:07 | ┗ L. Visconti | Comments(2)
Commented by stefanlily at 2024-01-30 02:37
こんばんは、
豪華キャストですよね。
ヘルムート・グリームの冷徹さも良かったです。
ヘルムート・バーガーの某ヤバい場面は、ドストエフスキー「悪霊」ある場面が元ネタだとか。
この映画でも、「悪霊」でも「何があったのか」ははっきり書かれてはいませんが。
イングリット・チューリンも凄いですよね。
Commented by amore_spacey at 2024-01-30 23:01
☆ stefanlilyさんへ
ホント、主役級の役者が揃っていますよね。細部を忘れてしまってしまっているので、仰っているシーンを思い出せないのですが、ドストエフスキーの『悪霊』がベースになっているんですね。と言っても『悪霊』を知らないので…涙 タイトルからして、何やら不気味ですね。
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