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悪の天使ヴァッランツァスカ (Vallanzasca - Gli angeli del male)

私のお気に入り度 ★★★★☆(88点)

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【あらすじ】 Renato Vallanzasca Costantini、通称Il bel René。1950年5月4日ミラノ生まれ。最初の犯罪は9歳の時、友だちと一緒にサーカスの虎を勝手に檻から出した。幼馴染みのEnzo(Filippo Timi)やSergio(Moritz Bleibtreu)とともに窃盗や強盗を繰り返し、ギャングのリーダーとして頭角を現わす。Francis Turatello(Francesco Scianna)率いるミラノのもう1つのギャング団とともに、当時のミラノ市民を震え上がらせた。その後も刑務所を何度も出入りしながら、強盗・拉致・殺人・脱獄などの罪を犯し、4つの終身刑と懲役260年の刑を宣告されて現在も服役中。特別恩赦により2010年3月8日から、刑務所外(シャバ)で7時半~19時まで労働奉仕に携わる。彼の自伝『ヴァッランツァスカ:悪の天使たち』をもとに映画化。


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Kim Rossi Stuartのうまさに唸った!生粋のローマっ子Kimが、ローマ訛りを微塵も感じさせないミラノ発音の伊語をn話している!とても聞き取りやすい。アクセント矯正訓練を重ねた賜物です。一方Vallanzasca家からは、「彼はこんなに非情な人間ではない」とクレームがついたと言うが、カリスマ性を持ちウィットに富んだ巧みな話術に、マスメディアを上手く利用する頭脳明晰なVallanzascaという人間を、Kimはほぼ等身大に演じていたと思う。そんな彼のアキレス腱は、母親と子どもだった。彼らに指を触れようものなら、誰であろうと容赦しなかった。


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本人はもとより身内(母親や元妻や現妻や子どもたち)が存命にも関わらず、幾多の難問を乗り越えて映画化に漕ぎ付けたMichele Placido監督に脱帽である。当時のドキュメンタリーやインタビューをもとに、監督がとらえたVallanzascaをほぼ忠実に再現。2ヶ月の間監督とKimは、演出や演技上の助言を得るため、服役中の彼を訪ねたという。

その一方でVallanzascaの犠牲になった警官家族や一般市民で結成された遺族援護団は、「冷酷非情な男がヒーローとして美談化されている」と上映ボイコット運動を支持する。議会ではこの映画の収益を巡って、「その一部は国(=遺族援護団)に還元されるべきである」などという答弁もなされている。1970年代フランスで彼の半生を映画化する話が持ち上がり、VallanzascaにはAlain Delonの名が挙がっていたが、諸々の事情により中止。…と外野は騒がしいが、「世の中に何かを問うためではなく、純粋に娯楽映画としてこの作品を作った」「国会には彼よりもひどい罪を犯した人たちがいる」と監督はインタビューに答えている。

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Vallanzasca率いるギャング団がミラノに誕生した頃、ローマにも『野良犬たちの掟』のギャング団が生まれたが、両者には決定的な違いがあった。Vallanzasca軍団は金目当てによる強盗のみに的を絞ったのに対して、ローマの野良犬軍団は強盗以外に売春斡旋やドラッグの密売など、マフィア絡みの仕事もしていた。Vallanzasca軍団はマフィアとは一切関係なし。エンディングはnegramaroのコレ (←音が出ます) 70年代のサウンドを思い出すな。

- 追記 -
2011年2月7日夜、Vallanzascaの母Mariaがミラノの療養所で亡くなった。94歳。詳細はこちら

製作国:Italy
初公開年:2011年
監督:Michele Placido
キャスト:Kim Rossi Stuart, Valeria Solarino, Francesco Scianna, Filippo Timi, Paz Vega, Moritz Bleibtreu, Lino Guanciale ...


by amore_spacey | 2011-01-24 00:50 | - Italian film | Comments(2)
Commented by takbout at 2011-01-27 20:49 x
はじめまして。
Moritz Bleibtreuの出演作品を検索してこちらにお邪魔しております。どんな映画なのか、イタリア語が分からず困っていましたが、こちらを発見できて大変嬉しく思っております。そして、読ませて頂きましてすっごく作品を見たくなりました。日本で公開される事を祈っております。
突然の妙なコメントで大変失礼いたしました。
自分のブログにこちらを紹介させて頂きますので、どうか宜しくお願いいたします。
Commented by amore_spacey at 2011-01-28 00:10
☆ takboutさんへ。
いらっしゃいませ~♪&初コメありがとうございます。Moritz Bleibtreuのファンなんですね。この作品では主人公の左腕となって、ギャング団を引っぱっていく役柄なんです。ひょっとしたら来年春の東京イタリア映画祭で上映されるかもしれませんね。因みに主役のKim様もとっても素敵な役者なので、堪能下さいませ(^^)
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