私のお気に入り度
★★★☆☆(78点)
【あらすじ】 幼い姉妹の殺害事件で未成年の容疑者が逮捕される。その瞬間から容疑者の家族は、マスコミや世間の目を避けるため警察の保護下に置かれ、中学生の妹・船村沙織(志田未来)は刑事の勝浦(佐藤浩市)に任される。ホテルや自宅アパートや友人のマンションを転々とするが、マスコミの執拗な追跡に行き場を無くした勝浦は、かつて担当した事件の被害者家族(柳葉敏郎&石田ゆり子)が営む伊豆のペンションに身を寄せる。そこへ沙織のボーイフレンド・園部達郎(冨浦智嗣)が駆けつける。第32回モントリオール世界映画祭で最優秀脚本賞を受賞。
タイトルの「誰も守ってくれない」は、容疑者の妹・沙織が一生背負っていくであろう辛い現実を凝縮した台詞なのかもしれないが、実は沙織を保護していた刑事の勝浦が大声で叫びたかった一言ではないか?3年前のおとり捜査の失敗が明るみに出て、家族どころか仕事までも失いかねない、崖っぷちに立つ勝浦。何かあるたびに警察(特に下っ端の刑事)は怒りの標的となり、嫌われ役になる、不条理な職なのだ。しかも今回は事件の加害者の家族を保護するという、これまた普通ならありえない状況の下、どこにも発散できない勝浦の苦悶が伝わってくる。
そして一歩間違えば、情報社会の怖い落とし穴になるネット。匿名という隠れ蓑によって過激な個人攻撃がなされ、個人情報が瞬時に流出する。情報による暴力行為。そこには犯罪行為と意識しないまま、誰も加害者になる怖さがある。現実をあるがままに受け入れるしかない、そんなエンディングだったが、誰か1人でも信頼できる人間がそばにいれば、過酷な現実を徐々に受け入れることができるかもしれない。
製作国:Japan
初公開年:2009年
監督:君塚良一
キャスト:佐藤浩市, 志田未来, 松田龍平, 柳葉敏郎, 石田ゆり子, 佐々木蔵之介, 佐野史郎, 木村佳乃 ...