Brucio nel vento (風の痛み)

私のお気に入り度 ★★★☆☆(72点)

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【あらすじ】 東欧のとある国の小さな村に生まれ育ったTobias(Ivan Franek)は、15歳の時スイスに亡命した。昼は時計工場で働き、夜は作家を夢見てフランス語での執筆に励んでいる。しかし名前を変え過去を封印したはずのTobiasは、母と関係を持っていた小学校の教師で、実の父親であると知った男を殺したことが脳裏から離れない。スイスに来てからは毎朝5時に起きて工場に行き、同じ部品を作る単調な生活を送っていた。ある日Tobiasは、工場の食堂で見覚えのある女性を見かける。自分が殺した教師の娘Line(Barbora Lukesová)だった。彼は異母兄妹でもあるLineに、自分の素性を隠して近づく。彼女には夫と小さな娘がいたが、いつしか2人は愛し合うようになる。


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フランス語圏のスイスの暗い空、小さな山間の寂しげな集落。曲がりくねった道、雪に閉ざされた坂道。鬱々として悲劇的な色合いを帯びる。TobiasやLineにとってこの国はいつまでたっても外国人でしかなく、移民、特に亡命した者にとっては、孤独感が終始つきまとい、鬱屈した感情を溜め込んでしまう。留学や結婚や仕事という、前向きな目的があってこの国に来た訳ではない。だから何年経っても居心地が悪く、苦しくて仕方がない。機会があれば、どこか別の土地へ行きたい、と心の片隅で思っているのだ。

鉛のように重苦しく陰鬱で狂的なTobiasの瞳が突き刺さる。全身から放たれる「オレに近づくな」というオーラ。どこまでもLineを追う、Tobiasの不気味で偏執的な愛。どれもこれも痛々しいばかり。3つの殺人を犯しても、それに関しては不問のまま、淡々とストーリーが展開していく。この現実を直視しない捉え方ってどうなんだろう?逃避行の末、明るい陽射しの海辺に辿り着いたけれど、彼らにとってここが永遠の安らぎの土地になるとは、到底思えない。それにしてもTobiasを演じたIvan Franekの、深い孤独を湛えた強い眼差し。あんな瞳でじっと見つめられたら、ドキドキする。心に残る役者だ。

製作国:Italy, Switzerland
初公開年:2002年
監督:Silvio Soldini
原作:Agota Kristof
キャスト:Ivan Franek, Barbora Lukesová, Ctirad Götz, Caroline Baehr, Cécile Pallas ...


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by amore_spacey | 2011-09-19 00:10 | - Italian film | Comments(2)
Commented by Chaky at 2011-09-21 04:12 x
あらすじを読んでいて、『悪童日記』のアゴタ・クリストフの小説を思い出したら、原作が彼女だったのですね! 懐かしくなり、作家のことを調べたら、この夏にい死去していたと知りました。
Commented by amore_spacey at 2011-09-22 00:34
☆ Charkyさんへ。
原作を読まれたのですね。確かハンガリー生まれの作家でしたよね?たぶん彼女が死ぬまで抱いていたであろう、母国の誇りと亡命した者の宿命の狭間で揺れ動く心のありようが、痛いほど伝わってきました。イタリア語訳も出ているようなので、探して読んでみますね。
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