雪に願うこと

私のお気に入り度 ★★★☆☆(82点)

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【あらすじ】 帯広のばんえい競馬場でなけなしの金をすってしまった男・矢崎学(伊勢谷友介)が、調教師の兄・威夫(佐藤浩市)を厩舎に訪ねる。東京で成功を収めていたはずの弟の13年ぶりの帰郷。実は起業した会社が倒産に追い込まれ逃げ出してきたのだった。母(草笛光子)に溺愛されながらその母を無視し続けてきた学の身勝手さに腹を立てつつも、威夫は行き場を失った弟に厩務員見習いの仕事を与える。やがて学はお払い箱寸前の輓馬ウンリュウに自分自身を重ねるようになるのだった。佐藤浩市は本作品で、第61回毎日映画コンクールの主演男優賞・第18回東京国際映画祭の最優秀主演男優賞を受賞。


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兄弟の確執と言えば、『ゆれる』が頭に浮かぶ。血が繋がっているが故に、割り切れない苦い思いを抱えて生きている。本作品では都会に出たナイーブな弟と、地元に残って廃(すた)れつつあるばんえい競馬の馬の調教をする兄が登場する。『スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ』で観た伊勢谷が強烈なキャラだっただに、今回のやや未熟な?演技にはがっかり。いや、円熟した役者たちに囲まれて、彼がかすんだのだろう。これからの成長に期待したい。

 
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佐藤浩市が断然良かったなぁ。伝統と慣習に従いそれらを頑なに守ろうとする人間の、有無を言わせない圧倒的な存在感があった。粗野で無骨な田舎者ではあるけれど、家族への思いは人一倍。施設にいる母に弟を会わせたあとの、彼の弟への不器用な優しさに胸が熱くなった。晴子(小泉今日子)の手料理が並んだ卓袱台を囲む厩務員たち、そしてそれを見守る晴子。威夫も晴子も言葉にはしないが、2人の間を行き来する淡い思い。私たちの日常生活の中に流れる様々な感情を、監督はミルフィーユのように丁寧に重ねあげて映像にしてくれた。脇役の小泉今日子・吹石一恵やベテラン役者たちもちろん良かったが、天真爛漫な加藤テツヲを演じた山本浩司に注目☆ 生き方は人それぞれだけど、人はみな迷いながら生きている。

製作国:Japan
初公開年:2006年
監督:根岸吉太郎
原作:鳴海章
キャスト: 伊勢谷友介, 佐藤浩市, 小泉今日子, 吹石一恵, 山本浩司, 香川照之, 小澤征悦, 椎名桔平, 津川雅彦, 草笛光子, 山崎努 ...


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by amore_spacey | 2012-01-23 02:34 | - Japanese film | Comments(2)
Commented by turezure-italia at 2012-01-24 06:56
いい映画なんですね、これ。amoreさんの文章から、それがよく伝わってきました。特に、

>私たちの日常生活の中に流れる様々な感情を、監督はミルフィーユのように丁寧に重ねあげて映像にしてくれた

っていうくだりに共感しました。これが映画を見る醍醐味の一つでもありますよね。

この映画の佐藤浩市、すごく良さそう。amoreさんは邦画もよくご覧になっていますが、どこで入手されているのですか?

>生き方は人それぞれだけど、人はみな迷いながら生きている。
…そうなのかなあ、きっとそうなんだろうけれど、そう見えないなあ、amoreさんも迷われることがあるんですか?私なんか迷いすぎて、方位磁石も回りっぱなしな感じ。・・・迷っているのはみんな、でも血迷っているのは私だけか、、アハハ…なんてね。
Commented by amore_spacey at 2012-01-25 00:21
☆ turezureさんへ。
これ、お勧めです!人と感情を分かち合う、というのは簡単なようで意外に難しい。さらにそれを映像の中で表現しようとすると、監督や役者の力量が優れていないことには、実現できないと思うのですよね。他人の芝生は青く見えると同じで、他人はすんなり人生を歩んでいるように見えても、それなりに迷いながら生きているんですね。私も迷いすぎて、方位磁石の磁針がなくなっちゃってまーす。邦画や洋画やTVドラマシリーズなど、映画ファンの友だちと手分けしてDLして、それを観ています。最近はロードショー前にもうDLできちゃいますから。でも本当に観たい作品は、映画館に行きますョ。
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