Io sono Li (ある海辺の詩人 ~ 小さなヴェニスで ~)

私のお気に入り度 ★★★★☆(85点)

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【あらすじ】 間もなく8歳になる一人息子を中国に残して、ローマ郊外の縫製工場で働くShun Li(Tao Zhao)は、上から命じられて、ヴェネツィア近郊の小さな町キオッジャにやって来た。そして中国人に買われたオステリアParadiso(天国)で働き始める。 男ばかりの職場と拙い語学力で孤独だったが、オステリアの常連のスラブ系移民で「詩人」と呼ばれる年配のBepi(Rade Serbedzija)に出会い、次第に打ち解けていった。彼は成長した息子と離れ、一人でこの街に暮らしている。年齢や文化を越えて友情を育むShun LiとBepiの交流は、思い掛けず周囲の人々に波紋を広げることになった。


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クリスマス休暇が終わった直後に観たのが、どうもいけなかった。何と表現したらいいのか・・・今の私の一番危ういところを見透かされたような作品だったのだ。イタリアのクリスマス休暇は美味しく楽しいが、日本の大晦日やお正月とは雰囲気が全く違う。休暇中はもやもやした心が彷徨(さまよ)い続け、休暇が終われば終わったでホッとする反面、寂しさがじわじわ募ってくる。普段は殆ど意識しない自分の中の日本人が、年末年始にぎゅっと濃縮されて顔を出すらしい。「イタリアに暮らしているけれど、本当は(という言い方も変だけど)日本人なんだよ~!」と心の中で大暴れしているDNAをなだめるために、お正月には和の小物を出したり和風のお惣菜をいつもより高頻度で作ったりする。だったら年末年始は日本に帰ればいいんだけど、冬の日本の家屋はすごく寒いから嫌。って、どんだけわがままなんだ、私。海外で暮らしているみなさんは、そこんとこ、どーなのかしら?

ということはさておいて、今イタリアで増え続けている移民、移民と地元民の間に生じる不協和音、それぞれのアイデンティティ、親子の関係、老いるということ。私たちのまわりや私たちの心の中で起きている様々なことが、キオッジャの日常風景の中に織り込まれた心に沁みる作品だ。監督はこの現状を肯定も否定もしない。それは観る側に委ねられている。どの登場人物も多くは語らないけれど、Luca Bigazziの静かな映像を通して、心の中に秘めている彼らの思いが伝わってくる。内に抱える問題をそれぞれのやりかたで乗り越えようとしている。みんな葛藤しているのだ。乗り越えたら、新しい自分に出会えるのかもしれない。新しい人生の展開が待っているかもしれない。ないかもしれない。

ところでGiuseppe Battistonが演じたDevisって、とんでもなくひどいヤツだよなぁ。Giuseppe Battistonのキャラが大好きなんだけど、今回は演技と知りつつ本気で憎んでしまいました。

製作国:Italy
初公開年:2011年
監督:Andrea Segre
キャスト:Tao Zhao, Rade Serbedzija, Marco Paolini, Roberto Citran, Giuseppe Battiston, Giordano Bacci, Spartaco Mainardi, Zhong Cheng ...


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by amore_spacey | 2013-01-10 00:38 | - Italian film | Comments(0)
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