August: Osage County (8月の家族たち)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆(85点)

e0059574_0545821.jpg
【あらすじ】 アル中の父親(Sam Shepard)が突然失踪したことをきっかけに、オクラホマの片田舎で暮らす母親Violet(Meryl Streep)の家に、3人の娘たちが久しぶりに集まった。毒舌家で一癖も二癖もあるVioletは、病気のため薬漬けの日々を送っている。勝気な長女Barbara(Julia Roberts)は、夫Bill(Ewan McGregor)の浮気や反抗期の娘Jean(Abigail Breslin)に悩んでいた。地味で内気な次女Ivy(Julianne Nicholson)はひそかな恋に胸を躍らせており、ちょっぴりKYな三女Karen(Juliette Lewis)は婚約者Steve(Dermot Mulroney)を連れて帰宅した。自分勝手な母親とそれぞれの人生を歩む娘たち、そして彼女らを取り巻く男たちの本音が次第に明らかになり、家族の秘密が暴かれていく。2008年にPulitzer賞ドラマ部門を受賞したTracy Lettsの同名の戯曲を映画化。


e0059574_05591.jpg
ほとんどのシーンがVioletの家の中。その居間で、ご馳走の並んだバカでかい食卓を大勢の身内が囲んでいる。ここだけ切り取れば、ありふれた一家団欒のシーン、空腹を満たし家族の絆を深める幸せな一日のひとコマかなと思う。ところがアル中の父親の告別式のあとに、食卓を囲んで癒しを分かち合うはずが、緊迫した空気の中で売り言葉に買い言葉がヒート。できればこの場に居合わせたくないと誰もが思っている。ただでさえ息苦しくて居心地が悪いのに、容赦ない毒舌合戦が果てしなく続き、気持ちはどす黒くなっていく。とうとうみんなの心にカチッとスイッチが入る。もう、たくさん!仲良しごっこは、おしまい。親子も世間体も糞くらえ!それまで被っていた仮面を取っ払ってしまう。家族の本音や骨肉の争いが、ここまで赤裸々に描かれると、却って気持ちがすっきり。家族の存在は時にありがたく、時にうとましく、時に面倒くさい厄介なものだ。

衝撃的な秘密が暴かれるたびに、観ている私たちもあっけにとられる。浮気とか万引きとか、もうそんなレベルではないのだ。とてもインモラルな秘密の中に、人間の生と性の臭いを感じないわけにはいかない。アタシたち人間ってどうしようもない生き物ね。


e0059574_0553643.jpg
壮絶な子ども時代を生き抜き、苦労して3人の子どもを育て上げたあとに待っていたのが、空っぽになった家と病気で薬漬けの自分とアル中の夫。やればやっただけ報われる、コツコツと真面目に働いてきた人はそれなりの社会的な報酬に恵まれる、そんな時代は終わった。Violetだってそれなりに穏やかな晩年を望んだ一人だったはずなのに、気がついたら娘たちからも見放されて一人ぽっち。彼女の傍にいるのは、血の繫がりも縁もないメイドだけ。自業自得とは言え、「アタシの人生って、なんだったの?」


e0059574_0555043.jpg
Violetや彼女の3人の娘を取り巻く男たちは、存在感が薄いように見えるが、いやいや、要所要所で女たちが触れて欲しくない痛いところを突いてくる。それが真実だけに、彼女たちはぐうの音も出ない。男は女に比べて客観的な生き物なんだろうな。とりとめもなく書いたけれど、Meryl StreepとJulia Robertsが髪を振り乱して取っ組み合ったり、本音剥き出しの容赦ない言葉を浴びせるシーンは圧巻です。秘密を隠し持つ家族を熱演する名優たちの演技合戦にも息をのむ。Sherlockとは全く違うキャラを演じるBenedict Cumberbatchに若干イライラしながらも、そっと寄り添いたくなる。彼って母性本能を刺激するのね。

製作国:U.S.A.
初公開年:2013年
監督:John Wells
原作:Tracy Letts
キャスト:Meryl Streep, Julia Roberts, Chris Cooper, Ewan McGregor, Margo Martindale, Sam Shepard, Dermot Mulroney, Juliette Lewis, Julianne Nicholson, Benedict Cumberbatch, Abigail Breslin, Misty Upham ...


[PR]
by amore_spacey | 2014-02-05 00:56 | - Other film | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< 福家警部補の挨拶 Servo per due (... >>