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珈琲屋の人々

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

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【あらすじ】 殺人の前科を持つ宗田行介(そうだ こうすけ=高橋克典)は、出所してから父が営んでいた珈琲屋を継いだ。彼が淹れる一杯のコーヒーを楽しみに、商店街の人々は珈琲屋を訪れる。一方、看護師として働く柏木冬子(木村多江)は、夫を殺した男がいったいどういう人間なのか?知りたい気持ちにかられ、素性を隠し一人の客として珈琲屋に訪れた。


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下町商店街を舞台にした、笑いあり人情ありのしっとりしたドラマだった。華やかさはないが落ち着いた雰囲気があり、見終わったあとの余韻がたまらなくいい。主役を演じる高橋克典と木村多江の間に流れる、微妙な空気の動きが心地良いんですね。脇役にも個性的な役者が揃って、このドラマ自体が珈琲屋そのもの、くつろげるのです。おでん屋「伊呂波」も、もう1つの大人の憩いの場だけど、珈琲屋よりざっくりしていて家庭的だ。


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5つのエピソードの中でもインパクトがあったのは、クリーニング屋のおばちゃんを演じた渡辺えり。浮気した夫の乗るワゴン車を、血相変えてなりふりかまわず追いかけた彼女のど迫力は、漫画チックですごかった。JKの売春や老々介護、なかなか更生できない前科者の弱みにつけ込む暴力団やDVなどの社会問題もさりげなく織り込みながら、行介と冬子のストーリーは淡々と進んでいく。
 

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夫を殺した憎い相手の淹れたコーヒーがおいしいなんて、冬子にとってこの珈琲屋が心の安らぐ場所になりつつあるなんて、被害者と加害者の間に淡いロマンスが芽生えるなんて、ほとんどあり得ないのに、この物語は人生の機微にうまく触れ共感できる部分が多かった。

たった一杯のコーヒーが人生を変えることもある、それはコーヒーを通して、相手の気持ちに融合できるかどうか。何も感じなければ、一杯のコーヒーに過ぎない。何気ない一言や笑顔や電話やメールやちょっとしたプレゼントが、受け取る側の気持ちや状況によっては、人生の転機になることだってあるのだ。「人は出会う相手や触れ合う相手によって、顔が異なる。ある人には悪人でも、別の人にはこの上なく優しい人物かもしれない」という熊谷章枝(吉行和子)の言葉も、味わい深い。人も人生も世の中も、多重人格で多面的で複雑なのだ。

製作国:Japan(NHK BSプレミアム)
放映日:2014 年4 月6日~5 月4日
演出:井坂聡, 山内宗信, 金澤友也
原作:池永陽
キャスト:高橋克典, 木村多江, 倉科カナ, 八嶋智人, 壇蜜, 美山加恋, 藤吉久美子, 岩松了, 渡辺えり, 吉行和子, 小林稔侍, 中原ひとみ ...


by amore_spacey | 2014-05-31 00:27 | - Japanese film | Comments(2)
Commented by 海のさかな at 2014-12-19 18:29 x
こんにちわ。

いつも、参考にさせていただいています。

珈琲屋の人々、とても良かったです。
主役の二人はじめ、みなさんすばらしかったです。
外国生活30年、こんな作品みることができて
時代の進歩に感謝です。
アモーレさんが紹介してくださったおかげです。
北ドイツから、ありがとうございます。
Commented by amore_spacey at 2014-12-20 02:59
☆ 海のさかなさんへ。
初めまして~♪&初コメありがとうございます。このドラマは加害者と被害者の関係がどうなっていくのだろう?という好奇心をくすぐられ、2人を取り巻く人々の面白さも相まって、ほろりとさせられますよね。とコメントしていたら、また観たくなってきました。海外生活30年ですかー。大先輩ですね。こんな拙いブログですが、気軽にお立ち寄り下さいね。それからドイツのお勧め映画やドラマがあったら、ぜひ紹介してください。
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