Spotlight (スポットライト 世紀のスクープ)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (85点)

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【あらすじ】 2002年ボストン。アメリカの新聞Boston Globeは、SPOTLIGHTという見出しの新聞連載コーナーに、神父による児童への性的虐待やカトリック教会がその事実を看過していたという記事を掲載した。これをきっかけにMarty Baron新編集長(Liev Schreiber)率いるSpotlightチームのRobby(Michael Keaton)やMike Rezendes(Mark Ruffalo)やSacha Pfeiffer(Rachel McAdams)ら5人は、記者生命をかけて真相を調査し、社会で大きな権力を握る人物たちを失脚へと追い込んでいく。最後の余談となるが、2003年 Spotlightチームは、Pulitzer賞(報道部門)を受賞。(作品の詳細はこちら


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超豪華キャスト。「米国の長塚京三」と私が密かに慕っているMichael Keatonをはじめ、社会派ドラマにふさわしい役者たちが揃った素晴らしい作品だった。主役も(誰が主役?)脇役もほぼ同じラインに立ち、出過ぎず引き過ぎずほどよいバランスと適度な緊張を保ちながら、ストーリーが展開していく。出来得る限り客観的に描写することで、性的虐待を受けた者の生の声をくっきり浮かび上がらせた。抑制の効いたフィナーレによって、観終わった後も静かに余韻に浸り、様々な思いを巡らせることができる。


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教会は神殿、司祭や宗教指導者たちは神の使い。彼らは人の心を救う神聖な存在、絶対的な善なのだ。教会にメスを入れる者は、神に刃向かう異端者、神への冒涜に等しい。刃向かえば、相応の処罰が下る。彼らはタブーを印籠のように突きつけ、水面下で弱者を利用し傷つけ死に追い込んできた。ヤクザやマフィアより陰湿かもしれない。

Benedetto XVI教皇が在位中、神父による性的虐待事件とカトリック教会による長年の隠蔽問題が表面化し、大々的に取り沙汰された。しかし教皇自らこのスキャンダルを見過すとも受け取られ兼ねない曖昧な発言をしたため、教会批判はいっそう激しくなった。後任のFrancesco教皇に、期待が寄せられる。


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「Pulitzer賞の報道部門・公益(Public Service)は、社説・写真・時事漫画・報道などジャーナリズムによって社会の公益に貢献した新聞を対象とするもの」とWikipediaは定義する。

Spotlightチームのメンバーは、生身の人間の苦悩を見過すことが出来なかった。見過してきたことへの後悔があった。宗教指導者たちの性の道具にされ人生を狂わされた人々の声、教会の隠蔽工作によって闇に葬られた彼らの声をすくいとって国民に届け、教会の因習やタブーを畏れず真相究明に奔走した。その結果、生き残った被害者や残された家族が、打ちひしがれたまま泣き寝入りするのではなく、今まさに自らの足で立ち上がって歩き出そうとしている。これこそジャーナリズムが社会の公益に貢献したといえるのではないかと思う。ジャーナリストとして、それ以前に1人の人間として、善良な心を持つ果敢な人々が存在する、という事実に勇気づけられた。


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by amore_spacey | 2016-01-19 01:00 | - Other film | Comments(0)
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