マダム・フローレンス!夢見るふたり (Florence Foster Jenkins) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 Florence Foster Jenkins(Meryl Streep)はニューヨーク社交界のトップとして華やかな毎日を送る一方、ソプラノ歌手を目指して活動しているが、その歌唱力は音痴というしかない絶望的なレベルだった。夫St Clair Bayfield(Hugh Grant)は、マスコミを買収したり、理解者だけを集めた小規模なリサイタルを開いたりと、病を抱えながらも夢を追う彼女を支えていた。そんな中Florenceが、カーネギーホールで歌いたいと言い始める。実話をもとに映画化。(作品の詳細はこちら


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予告編を観た時には、「音痴を自覚していない金持ちマダムの道楽?」で、スルーするつもりだったのに、Hugh Grantが気になって観てしまった。いやぁ、観てよかった。正解でした。冒頭からFlorenceが超音痴な声で歌うシーンに、なぁんだ、やっぱりドタバタコメディだったのかと脱力するやら、夫のSt ClairがFlorenceの邸宅から出て、タクシーで別の家に行くとKathleen(Rebecca Ferguson)という若い愛人がいるという展開に、「ぇえーーーっ、二股かけてる?(◎∇◎)」 状況が良く飲み込めず、これってHughお得意のパターン?彼って未だに90年代のラブコメ路線を引きずっているのかしらと、目眩がするやら…。

それは私の早合点で、事実婚の関係にあった2人は、音楽を通した人間愛によって固く結ばれていたのでした。最初の結婚で夫から移された梅毒は、当時不治の病とされ、Florenceは死に怯えなら生きてきた。治療の副作用で体力を失い、左手も不自由になってピアニストの夢を断念せざるを得なかった。そんな彼女を支えていたのは、幼い頃から愛してやまなかった音楽だった。音楽は彼女に生きる力を与えてくれたのだ。

さて夫のSt Clairはというと、妻が梅毒に罹っているため肉体関係が持てない。だから?妻に内緒で外に愛人をもつのだが、そういった事情であれば仕方がないのかも。ただどうして妻にあそこまで献身的だったのか、初めは不思議で仕方がなかった。遺産目当て?なんて邪推してしまうが、もう見た通りSt Clairは妻のことを心の底から愛していたのだ。

歌っている時の幸せに満ちた彼女の表情を見るのが大好きで、それがそのまま自分の幸せになった。世間知らずなところもあるが、無邪気で純真無垢な妻が、可愛くて愛しくて仕方がなかった。カーネギーホールで歌いたいという妻の夢も叶えてやりたい。Florenceには人をひきつける不思議な魅力があり、守ってやらねばという気持ちになる。だから彼女の歌声をバカにする奴らを見たとき、思わず頭に血が上り、詰め寄って食ってかかる。あのシーンはグッときました。夫を演じたHugh様ですが、56歳という年齢相応にしわが増え、笑うと顔中しわくちゃになっちゃうんだけど、いい感じに歳を取ったなぁと思います。相変わらず軽薄な雰囲気も残っていて、若い頃より断然好感度が高い。


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脇役たちも、芸達者が揃っていた。特にピアノ伴奏者Cosméを演じたSimon Helbergったら、もうお茶目で愛嬌たっぷりで、いちいち目が離せなかった。彼のボケや突っ込みが、そのまま私たち観客の目線で、「へっ?」とか「それ、マジっすか?」な表情や、その場の空気が読めず目が泳いでしまったりする、世間擦れしていないぎこちなさが、もうバカ受けでした。


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初めてFlorenceの声を聴き、あまりの酷さに堪(こら)え切れず爆笑するNina(Agnes Stark)。外に連れ出されたあとも床で笑い転げていたが(そこまで笑う?)、カーネギーホールでは嘲笑する兵士たちを叱責してFlorenceを励ますという、心温まるエピソードを残している。誰もが認める音痴だが、人の心をつかむ魅力的なFlorenceの歌声が、戦時下の人々にひとときの夢をもたらしてくれたに違いない。


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by amore_spacey | 2017-02-03 00:36 | - Other film | Comments(4)
Commented by canned_cat at 2017-02-20 02:15
お久しぶりです。
これ、観たいんですよね。メリル・ストリープがどれくらい音痴に歌ってくれるのか気になって(笑)。今日本でも公開中なんですが、私の場合劇場で鑑賞するのはちょっと苦手なので、DVD待ちかな。
サイモン・ヘルバーグにはお気に入りの米ドラマ『ビッグバンセオリー』でいつもお世話になってます。芸達者な役者さんですよね~。大好きです。
レヴューを拝見したところ粗筋から想像するよりも面白い作品のようですし、楽しみに待っていようと思います。
Commented by amore_spacey at 2017-02-22 02:45
☆ canned_catさんへ。
お久しぶりです。お元気ですか?すっかり出無精になり、好きな映画ブログの巡回も怠けて、ずいぶんご無沙汰しております。

この作品、超お勧めです。もちろんメリル・ストリープ(でもこれでオスカー主演女優賞ノミネートはないかも)やヒュー様の演技も堪能して頂きたいのですが、私の一押しは何と言っても、ピアノ伴奏者Cosméを演じたSimon Helberg君です。もうね、Joel David Mooreの兄弟?と思ってしまうくらい、色んな仕草や表情が似ていて、母性本能をポチポチ刺激されてしまいます。わたし的には背の低いSimon君が、よりお茶目で可愛らしマスコットで、ミニチュアにしてバッグにつけていつも一緒に居たい、そんな存在でした(頭、融けてます)
Commented by canned_cat at 2017-02-22 07:58
こんにちは。
あっ、わたしもずっと「サイモンってジョエルに似てるな~」って思ってたんです。元々、目つきがなんか似てるんですよね。鼻もちょっと似てるかも。
あれから色々調べてみましたが、何処へ行ってもサイモンの演技が絶賛されているので、益々楽しみになりました。
因みに、こちら
http://www.superdramatv.com/alacarte/column/news/2016.html
に、本作での彼のオーディションの様子が語られています(ページ中程)。結構ヒドイです(笑)。
Commented by amore_spacey at 2017-02-25 00:39
☆ canned_catさんへ。
でしょ?目が泳いじゃった時なんて、最高にそっくりで笑えました。ところでオーディションのエピソード、こんなにあっさり決まっちゃうもんなんでしょうか?エキストラのオーディション(ええ、レベルが全く違うので話にならないのは承知してますが)も、かなり適当でビックリしました。ラン・ランが警戒しなきゃいけないほどにねって嘘ついたサイモン、可愛いなぁ。な~んて謙遜していますが、実はピアノ競演(共演)できる腕前かもしれませんね。
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