フェリーニのローマ (Fellini Roma)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 リミニで生まれ育ったFederico Fellini(Peter Gonzales Falcon)は、第二次世界大戦中ローマに初めて出て、アパート暮らしを始める。監督の第二の故郷となった、愛するローマへの映像オマージュを編んだ作品。(作品の詳細はこちら


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ストーリーはほとんどないが、それ自体にあまり意味はない。監督の少年時代・青年期・現在を通して、彼の心に映るローマの風景が、断片的に映し出される。性に享楽する若者、社会問題、雑然としたアパートやその界隈、淫乱な女たち、下町の劇場や娼館、ヴァチカンでの俗悪なファッションショー、夜のローマを疾走する暴走族…。映像や音や人々の喧騒に身を委ねて観るくらいが、ちょうどいいかもしれない。監督自身も作品の中で、「映画は理論ではない」と明言している。


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庶民の暮らしぶりが生き生きとリアルに描かれ、これはやはり人間が好きな監督ならではの手腕だ。女たちが実に貪欲で逞しい。人々が集い、よく喋り飲んで食べて、踊って歌う。同じテーブルにつけば、もうあなたは家族も同然。

路面電車の線路を挟んで並べられたテーブル。あのシーンはロケではなく、当時のAppio Tuscolano界隈を、スタジオで忠実に再現したという。ちょうど6月下旬のSan Giovanniの日で、店の主(あるじ)がカタツムリの料理を皿に盛ったり、女の客がFellini青年に食べ方を教えるシーンが出てくる。この日はカタツムリを食べて(カタツムリの角から悪魔を連想し、その悪魔を追い払う意味で食べるらしい)お祝いするのだ。猥雑な下町で繰り広げられる人間の営みに、監督は愛情と郷愁の眼差しを注ぐ。このシーンは、何度みても飽きない。彼の人間愛の根本は、マンマへの愛に尽きるだろう。


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さてヴァチカンでのファッションショーは、絶対にあり得ないシチュエーションと、そこに登場する斬新なデザインの法衣が、意表を突いている。カトリックの総本山を抱えるイタリアならではの、唸るような面白おかしいエピソードだ。教会を冒涜する意図はなく、天上の存在と崇め奉るのでもない。敬意を表しつつも、聖職者の世俗的な部分に光を当てただけ。天皇の人間宣言のように、聖職者もまた人間なのです。

ローマを丸ごとひっくるめて愛するFellini。Nino Rotaの音楽がこれまた素晴らしい。Anna Magnani、Gore Vidal、Marcello Mastroianni、Alberto Sordi、Alvaro Amiciらのカメオ出演も、嬉しいサプライズだった。


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by amore_spacey | 2017-07-08 00:00 | - Italian film | Comments(0)
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