マッチ・ポイント(Match Point)

私のお気に入り度 ★★★★☆(90点)

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家柄も学歴もコネもない「ないないづくし」、持っているものはテニスのタイトルだけのアイルランド出身の青年が、幸運の女神に後押しされてイギリス社会の中で成功への階段を着実に歩み始める。タイプは全く違うものの、この映画を観ながらアラン・ドロンの『太陽がいっぱい』がダブった。クリス(ジョナサン)の顔にふっと表れる自嘲気味の笑いや、鬱々とさせる野卑な翳が、フィリップ(モーリス・ロネ)に媚びるトム(アラン)の下卑た表情や仕草を思い出させるのですね。以下ネタバレあり(今日の記事は長いぞ~)。

マッチ・ポイントを迎えた試合。
打ったボールがネットタッチで一度上に浮き上がる。そのボールが相手のコートに落下すれば勝利!自分のコートに落ちたら敗退。その最も象徴的なシーン、クリスの毒牙にかかった被害者の結婚指輪。証拠隠滅のためにテムズ川へ投げ込んだはずなのに、指輪は大きくカーブを描きながらフェンスに当たる。そして指輪はこちら側にカランと空しい音をたてて落下。あのシーンを観た時、「ああ、太陽がいっぱいと同じ結末になるんだぁ。クリスも警察の目は欺けない運命にある不幸な男なんだ」と思った私。大間違ーい!!


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何気ない出会いや交友関係。これが階級社会や実業界の成功への鍵。



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ふっとした男女の出会い。運命の悪戯?



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湧き上がる思いを抑えることが出来ないクリス。それを拒むノア。



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階級社会・実業界へ一歩踏み出したクリス。



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挑戦的なノラのまなざし。どっちに転がるか?心中複雑なクリス。



クリスを演じたジョナサン・リース‐マイヤーズ。
レイ・リオッタと若い頃のエリック・ロバーツを足して2で割った表情に、元テイク・ザットのロビー・ウィリアムのまなざしをほんの少し加えた、複雑な顔を持つ役者でした。陽⇔陰、善⇔悪、白⇔黒の間を常に行き来する。が、最後には、表向きは陽でありながら、陰を引きずる道を選ぶことになる。『ベッカムに恋して』では、若いサッカー監督を演じていました。あの時はサッカーをこよなく愛する陽性な青年でした。いやぁぁぁ、味のある役者になりましたね。

21歳のスカーレット・ヨハンソン。
官能的な唇に瑞々しい肉体、そして男性の視線を釘付けにする、はちきれるような弾力のある胸(あ、触ったことありませんけど、そんな感じに見えますぅ)。女優や女優を目指す卵たちにありがちな、自由奔放さとわがままと退廃的な雰囲気。トムとの婚約が破棄されたあたりから、彼女の仕草やまなざしや声にトゲが加わる。謎めいた微笑を浮かべる官能的な女性が、敵陣に乗り込んでわめき散らすタダのヒステリックな女に。『ゴーストワールド』や『ロスト・イン・トランスレーション』の頃から、古典的な美人ではないけれど、心に残る役者さんだと観ていました。今後大輪の花を咲かせて欲しい若手女優の1人です。

畳みかけるようなサスペンスでありながら、しっとり落ち着いた、そしてゆるぎないイギリス社会というものを感じさせたのは、冒頭のセピア色の映像であり、随所に使われたオペラの曲が蓄音機から流れる、適度に古びた音色であり、さらりと見せた上流階級の日常生活でありました。

そんな中クスッと笑わせるシーンが。
お子様のいらっしゃるご夫婦には大なり小なりこんな風景が、過去の日常生活にあったことでしょう。どうしても若いうちに子どもが欲しいと頑張るクリスの妻が基礎体温を測って、「今日は100パーセント当たり日だから」と迫るシーン。事件の謎解きに奔走する刑事が真夜中に、「分かった~!!!彼が殺(や)ったんだ!」飛び起きるシーン。あの刑事の明快な答えを裏づける強力な証拠がなく、真実は空しくもみ消されました。公式サイト

製作年:2004年
製作国:アメリカ
監督:Woody Allen
キャスト:Jonathan Rhys-Meyers, Scarlett Johansson, Emily Mortimer, Matthew Goode, Penelope Wilton...


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by amore_spacey | 2006-01-29 18:25 | - Other film | Comments(10)
Commented by あくび at 2006-01-30 02:52 x
amoreさん、こんにちはー。先日はコメント、ありがとうございました。amoreさんのURL、ベスト3からK.スペーシーへの愛情がうかがわれ、とっても共感しています。私もユージュアル・サスペクツは大好きな映画です。でも最近K.スペーシー、前よりも映画に出なくて寂しいですよね。
Commented by nouilles-sautees at 2006-01-30 18:42
そうそう、私も「太陽がいっぱい」を思い出しました。最後まで息がつけない見応えある映画でした。

私は何の前知識もなく観に行ったので、こういう映画に当たってうれしい驚きでした。
Commented by amore_spacey at 2006-01-30 22:03
■あくびさん、いらっしゃいませ~♪^^
はい、もうケヴィ、ケヴィ、ケヴィ~!!でございます。
今年は『スーパーマン・リターン』が公開予定なので
ケヴィ=レックス様にスクリーンで会うことができます(*^^*)
Commented by amore_spacey at 2006-01-30 22:06
■nouilles-sauteesさんへ。
先日細いスパゲティを使って、「なんちゃって焼きそば」を食べました。
ものすごく久しぶりだったせいか?美味しかった~!

私は予告編だけ観て、「ありきたりな3角関係か?」と思っていました。
久しぶりに見応えのある作品に出会って、私も嬉しゅうございました。
スカーレットもジョナサンも有望な役者さんですね。
Commented by kaneniwa at 2006-01-31 21:09
テニスのタイトルしか持っていない男、というご紹介で
私はひょんなことから日本で国会議員になってしまった男
である杉村太蔵くんを連想してしまいました。
スミマセン。
でも、このご紹介で心からこの映画を観てみたいと
強く思うようになりましたよ。       BYマーヒー
Commented by amore_spacey at 2006-02-02 15:04
■kaneniwaさんへ。
未見の方にはネタバレ記事ってお勧めではないのですが
この作品は実際に観ないと、あの緊迫感やスリルが伝わりませんので
ぜひぜひ機会があったらご覧下さいね。
Commented by kaneniwa at 2006-02-02 23:39
はい。これは是非とも観てみます。なんせ、1回目に読んだ時には最後のウッディ・アレンの名前を見落としていました。彼の監督作品だったのですね、これは! 最近は映画にご無沙汰だったので、鑑賞再開第1作はこれだ!
Commented by amore_spacey at 2006-02-04 21:53
■kaneniwaさんへ。
鑑賞再開に相応しい作品です。
こちらの映画評論家の中には、この作品に
10点満点をあげている人もいます。
ウッディのロンドン引越し後、初の作品がこれ。
いつものトーンと全然ちがいます。おすすめでございますョ(^^)
Commented by みみちゃん at 2006-02-06 13:25 x
ウディの出てないウディ作品、観たいな。。て、何のこっちゃ。雰囲気ゼンゼンちゃいますがな~。後、ヨハンセンも雰囲気がらりと変わりましたねぇ。大人になった? アイランドさえ出なければ。。ボソ
Commented by amore_spacey at 2006-02-07 00:08
■みみちゃんへ。
風の便りによると、
ウディはスカーレットに言い寄るうさんくさい老人役の設定で
撮影したんだけど、フィルム構成の段階で全てカットされちまったんだと。
何でかなー?撮影中、ウディはスカーレットの胸を覗き込んでばかりたんだって。
だろーなぁ、あのボリュームだもんねー、ヒヒッ(笑)
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