夜 (La notte)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 1960年代のミラノ。ある日の午後、売れっ子作家Giovanni(Marcello Mastroianni)と妻Lidia(Jeanne Moreau)は、回復する見込みのない病を患う友人のTommaso(Bernhard Wicki )を見舞う。TommasoはLidiaのことを愛していたが、彼女はすでにGiovanniと結婚していた。彼女は作家夫人として何不自由のない毎日を送っているが、その生活に得体の知れぬ不安を抱いている。1961年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。(作品の詳細はこちら


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不毛の愛や虚無感と言ったら、Michelangelo Antonioni監督。全てが虚しくておぼつかない、そして救いのない孤独感。監督の手にかかると、この感覚に先の見えない不安が加わり、残酷で絶望の淵に立たされたような気持ちになる。Marcelloのコメディシリアスの演じ分けが素晴らしい。

この映画を思春期に観たら、もっと評価は高かっただろうし、少なくとも途中でうたた寝なんぞしなかった。愛の不条理・倦怠・退廃・堕落・形而上美…、あの頃は少し背伸びしてそういうものに憧れる時期だから。不毛の愛についてグチグチ捏ね繰りまわすフランス映画のような本作品は、繊細な心を持った青年期に観るには、ちょうどいいかもしれない。そういうことを考えてる自分ってステキ、みたいな。「人生の意味って何?」「永遠の愛?」「幸せって何だっけ?」なんて突き詰めて考えている時は、ちょっと不健康で、あまりよろしくない状況にあることが多いのではないかしらーん?


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愛って育んでいくもので、頭の中で考えたり、あーだこーだ議論を戦わせるものではないと思うんだけど、この作品の登場人物たちは知的レベルが高すぎるせいか、ついつい哲学的&観念的に追求したくなってしまうのね。そんなに難しく考えないで、例えばレジのおばさんが間違っておつりを多目にくれてラッキー!だったり、お年玉つき年賀はがきの3等賞くらいに当たったり、好きな人が手料理をおいしそうに食べてくれたり、ソファーでうたた寝している私に、彼がそっと毛布をかけてくれたりしたとき、嬉しくなっちゃう。そんなありきたりの些細なことがけっこう幸せで、じわっとぬくもりに満たされるものなんだけど。それだけじゃダメなのね、特にLidiaは。


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夫婦関係が崩壊し終焉を感じながら、それでも何とか夫の愛を取り戻そうとする。彼女は夫に組み伏されながら、「もうダメなの!あなたとは別れることに決めたの!すべてはもう手遅れなの」と、ラストシーンで叫ぶ。なのに不思議なことに、Lidiaの表情は生き生きと輝いているのだ。個々の気持ちや夫婦の関係なんてものは、他人からみたら謎だらけなもんです。


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by amore_spacey | 2017-11-19 20:55 | - Italian film | Comments(2)
Commented by 松たけ子 at 2017-11-20 01:30 x
amoreさん、こんばんは!
私のようなまだ愛を知らない乙女(笑)には、ちょっと難しそうな映画でしょうか。男と女の間にある深い淵を学ぶために、ぜひ観たいです。でも、最近はアベンジャーズとかハリウッドのド派手な映画ばかり観てる私なので、この映画は睡眠誘導の危険性ありですね。
ジャンヌ・モローもマルチェロ・マストロヤンニも、若い頃の作品ってあまり観たことがないんですよね~。観たいんだけど、レンタルDVDになくて…
年の瀬も迫り、何かと慌ただしくなる時節ですが、風邪など召されぬやう御身おいといください。
Commented by amore_spacey at 2017-11-22 01:25
☆ 松たけ子さんへ。
ちょうど胃腸性のインフルエンザから生還したばかりで、まだお腹の調子が今一つですが、この季節は気をつけないと簡単に体調を崩しますね。たけ子さんもご自愛下さいませ。

映画って娯楽の1つなんだから、好きなように観ればいいんではないでしょうか。人生とか愛とか、形のないものをテーマにした作品になると、小難しい理屈を並べ立てたレビューを見かけますが、ああいうのも若い頃なら、きっと「わぁ、カッコイイ(と感動する自分にうっとり)」と思ったでしょうが、今は突っ込み放題。心がよごれちまったせいです(T^T)

ジャンヌ・モローはこの時33歳ですが、髪をアップにすると年齢不詳というか、若くしてすでに老成した顔立ちで、さすが仏映画界の大御所だっただけある方ですよね。食わず嫌いだったマルチェッロは、昔の作品を観れば見るほど好きになっていく、不思議な魅力を持った役者だなと思ってます。この作品は3回挑戦して、3回ともラストあたりでうたた寝という体たらくでした。
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