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ファイティング・ダディ 怒りの除雪車 (Kraftidioten)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 ノルウェー中部の小さな町に暮らす除雪車の運転手Nils(Stellan Skarsgård)は、妻と大学生になったばかりの息子の3人家族で、ささやかに暮らしていた。しかしある日息子が急性薬物中毒で死んだと知らされる。麻薬常習者ではない息子の死因に疑問を抱いたNilsは、調査を進めていくうちに、地元の麻薬組織絡みの犯罪であることを突き止めた。そして息子を殺した麻薬組織に復讐すべくたった1人で奔走するが、それが地元のギャングのボスCount(Pål Sverre Hagen)とセルビア系マフィアのボスPapa(Bruno Ganz)の間に火をつけ、Nilsは麻薬抗争に巻き込まれていく。(作品の詳細はこちら


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ノルウェーの上質なB級ブラック・コメディ。適度に緊張感があり、その端々に独特のブラック・ユーモアを挟む。ここで笑わせてやろうという魂胆はまるでなく、本人たちは大真面目だから、ギャップが却って可笑しい。それから韓国や日本の裏社会の抗争は、血や汗にまみれて汚い感じがするのに、真っ白な雪に覆われた舞台で繰り広げられる北欧の抗争は、語弊を招く言い方ですが、クールできれいな印象さえ受ける。あくまでも、印象、です。実際は血まみれ汗まみれなんですけどね。苦笑


人が死ぬたびに画面が暗転して、十字架・あだな・本名のフルネームが掲げられる。これがとても斬新。一瞬しか出てこないような、「お前、誰だっけ?」な人まで弔うかと思えば、大量死を十把ひとからげで弔ってやるこの大雑把さ。滝から落とされる瞬間、死体が「アーーー」と叫んでいるように見えるのも、ブラック・コメディの流れだからだ。


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一癖も二癖もある登場人物ばかりだが、中でもギャングのボスCountは強烈だ。ギャングと言ったら肉食系だろ?なのに彼ときたら、超真面目な菜食主義者。だが頭に血が上りやすく、ピストルぶっ放して部下を殺してしまう。妻との離婚訴訟もなかなか進まず、常にピリピリ&イライラ。チンピラ上がりで、肝っ玉が小さく薄っぺらい男だ。


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駄々っ子のようなCountとは対照的に、Papa(Bruno Ganz)にはマフィアのボスらしい風格がある。が、妙に臆病だったりするから、そのアンバランス加減が笑える。成り行き上Nilsの除雪車に乗り込んでしまってから、Nilsが自分の敵なのか味方なのか分からず、挙動不審になるPapa。ボスだったらもっと毅然としてくれよ。『ヴェニスに 恋して』から年月が経って随分老けたが、飄々としたBruno Ganzの持ち味は今なお健在で嬉しい。



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by amore_spacey | 2018-11-13 01:08 | - Other film | Comments(0)
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