父親たちの星条旗 (Flag of Our Fathers)

私のお気に入り度 ★★★★☆(93点)

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米軍の硫黄島上陸をアメリカ側の視点から描く。
アメリカという一国の単位ではなく
あの戦闘に加わった若者たちの実録をもとに
努めて冷静で客観的で乾いた描写。
無駄をそぎ落とし台詞を最小限に留めたことで
問いかけるものが心に迫る作品だった。

戦争に英雄なんてものは存在しない。
あれは国民の、兵士たちの勝利への士気を
煽り高めるだめだけの虚像にすぎない。


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星条旗を立てる兵隊たちの写真。
これをどこかで何度も見ていたけれど
硫黄島で撮影されたものだったのかー。


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7年前、94歳で旅立った父方の祖父。
サイパン島で↑彼と同じく医療班に配属。
彼の行く前後左右に爆弾の雨が降る中
負傷兵をかき集め、治療にあたる。
「治療しても意味のない兵士たちがたくさんいた。
両手・両足のない者、顔が潰された者、
内臓が露出している者…
かすり傷一つ負わずに本土に帰って来ることができたのは
まったく奇跡としか言いようがない。」
と語ってくれたことがある。

母方の祖父は
炸裂した弾丸の破片が右目に入り
失明して帰ってきた。
この祖父も3年前に逝去。


もっと色々な話を祖父たちから聞きたかった。
私たちの手元に残ったのは
戦地から家族宛に出した祖父の膨大な葉書きと
皇室の御紋入りの金杯と
(昭和)天皇陛下の写真。

戦友たちの無残な姿を見ながら
そこで頭(こうべ)を垂れ、彼らの死を悼む時間すらなく
自分の身を守ることで精一杯。
無事生還したあと敗戦を知り
世の中が平和になってからの金杯授与。
 

この一連の事実は
その後の祖父の人生観を変えたであろう。
どう変えたのだろうか?
今は知る術(すべ)もなし。
 

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ドキュメンタリー仕立てのエンドロールは
最後まで目が話せなかった。

それなのに…
イタリア人って何だって
あんなに急いで出て行くわけ?
エンドロールまで
着席してちゃんと観ろよっ!(怒)

『硫黄島からの手紙』の
イタリア公開が2007年3月って、
どーしてこんなに待たせるんだーーー?
早くみせてくれよぉ。


製作国:USA
製作年:2006年
監督:Clint Eastwood
キャスト:Ryan Phillippe, Jesse Bradford, Adam Beach, Robert Patrick, John Benjamin Hickey...
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by amore_spacey | 2006-11-20 02:14 | - Other film | Comments(8)
Commented by けろにあ at 2006-11-20 08:44 x
あもーれさん、こんにちは。
映画もでしたが、あもーれさんのおじいさまのお話も心にしみるものがあります・・・。
拙ブログにお越しいただく方にも是非お読みいただきたいなぁと思いますので、もしお差支えなければTBいただけると嬉しいです。

私が行った映画館のその回の観客は、全員エンドロールが終わるまで見て、映画館を出るときも皆無言で粛々と退場しました。こんなことは初めて経験しました。
イタリアも当時同盟国でしたのに、ねぇ・・・。
Commented by nouilles-sautees at 2006-11-21 22:21
私も先日この映画を見てきました。
ただの撃ち合いのスケールばかり大きい戦争映画と違い、どちらかというと「静」の印象を受けたのが印象的です。

けれどあもーれさんのおじいさまのお話の方がインパクトがあります。
映画もどんなにうまく作ろうと、実体験にはかないませんね。
Commented by amore_spacey at 2006-11-22 04:35
♡ けろにあさんへ。
今さらですが(もう遅すぎっ!)
もっと祖父から当時の話を聞きたかった。
淡々とした描写だったからこそ
一人一人に考えさせるものがあったのでしょう。

全くイタリア人って!!!!!!!
いつもそうなんです。エンドロールが始まると
さっさと立って出て行く。
でも私を含めた5人は最後まで席を立たず
あの映像をみておりました。出るときには皆ため息とも
つかぬ深い息をしながら…。
Commented by amore_spacey at 2006-11-22 04:40
♡ nouilles-sauteesさんへ。
ご覧になったのですね。
ホント、「静」の中に凝縮されたものが
あまりにも多くて重くて混沌として、心にずっしりきました。

ああ、祖父の話は本当だったのだなぁ。
子ども(=私や妹)が相手だから…と
誇張して話したのではなかったのだなぁ、としみじみ。

敗戦色濃くなると極度な食糧難に見舞われ、
雑草はもちろん、ヘビや貝やカタツムリに至るまで。
兵士同士が…という光景もあったそうです。
Commented by マダムS at 2006-11-22 07:58 x
映画の中で「本当に戦争を知るものは語らない」という台詞がありましたが、アモーレさんの祖父様はきっとご自分の辛い気持ちを抑えて、可愛いお孫さん・・ひいてはこれからの世界を担う若い人に知ってもらいたかったのでしょうね~戦争のむごたらしさを。 
直に語れる方が徐々に少なくなっている現代ですから、こうした映画で”伝えて”いくことも大事だなとつくづく思います。
イタリアの方にとっては”硫黄島”と言われても、やっぱりちょっと他人事なのかもしれませんね(^^;)
Commented by amore_spacey at 2006-11-23 23:43
♡ マダムSさんへ。
映画で伝えていく場合には、製作者の思い入れが邪魔して
時として観る者に反感を抱かせてしまったり、戦争を美化したり、
の勘違いが起きたりする危険が潜んでいますが
この作品にはアメリカ人であるC・イーストウッド監督が
努めて客観的に描こうとした姿勢が垣間見えました。
いや、イタリア人の中にも世界大戦に関心のある人は
硫黄島や沖縄の激戦についてよーーくご存知で
細部に至るまで調べていますね。
Commented by 小夏 at 2006-11-24 09:39 x
情熱のイタリア人!って印象だけど、この手の感動には意外と淡白なのかしら。
ちなみに、私が観たときは途中退席者ゼロ。っていうか、誰も退席しないからここで立ち上がったらヒンシュクものって感じで立ち上がれなかった人が多いのかも。(^^;
こういうところのお国柄って面白いですよね。

お祖父さまのエピソードに心を打たれました。
私の祖父も戦争体験者ですが、口数が多い人じゃなかったので、ほとんど当時の話を聞けずじまい。もっと話を聞いておくべきだったと今になって思います。
ホント悔やまれます。
Commented by amore_spacey at 2006-11-25 04:57
♡ 小夏さんへ。
映画の見方が日本人とどーも違うのですよね。
まず上映からして…。
前半と後半に分けて、途中で休憩が入るから
そこで気が抜けてしまう私。
そしてエンドロールと同時に立ち上がるイタリア人!(怒)
ヒンシュク…とか、その場の空気に合わせるとか
ってことが全くないイタリア人!(怒)

このエピソードを聞いたのは確か小学校の宿題で
戦争体験した人のお話を聞いてくるように、という課題だったかな?
「戦争」がどういうものなのか分からないなりに
祖父の話を聞いて、「よく生きて帰ってきたなぁ」と思いました。
でも戦地でバナナの大きな房やヤシの実を持って
にこやかに笑っている祖父の写真も何枚か残ってますから
休戦中(と言うのかしら?)は、和やかな時間もあったようですね。
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