La Meglio Gioventu (輝ける青春)

私のお気に入り度 ★★★★☆(92点)

ネタばれあり。

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1960年から2003年までのイタリアが歩んできた歴史を織り交ぜながら、ローマに暮らす中流家庭Carati一家の年代記を描いたドラマ。

1年前からDVDが手元にありながら、6時間あまりの超大作に怖じ気ついて、なかなか観る決心がつかなかった。予備知識なくこの日曜日にふっと手にとって観始めたら… 映画の世界にぐいぐい引きずり込まれた。何でもっと早く観なかったんだ~!と自分に怒る☆ この作品は切っても切れないくらい仲の良い1歳違いのNicolaとMatteo兄弟、そして精神病院で不当な扱いを受けていたGiorgiaという少女のトリアングルに焦点を当てて描かれている。 登場人物が丁寧に綴られどの役者にも好感が持てたが、ここで取り上げたいのはNicolaとMatteoとその母Adrianaの3人である。


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人との出会いをとても大切にし、常に前向きな姿勢で人生をとらるNicolaは、時に躓きながらも色々な経験や知識が血となり肉となり、着実に自分の夢を実現していく。と書くと完璧主義者に見えるが、心の内は揺れ動き、自分の判断が本当に間違っていなかったのか、検証し悩み苦しむ姿がもう一方にある。とりわけMatteoのことになると冷静さを失うほどの弟思いで、Matteoの自死の呪縛から脱出することができないでいる。

Nicolaと反対にMatteoは、繊細すぎる感性をもつゆえに、色々な経験がさらに彼を追い詰めてしまう。白か黒か?彼には2つの世界しか存在しない。灰色の部分を認めることのできないMatteoは、自ら生き難い道を歩み、最後には自死を選ぶ。


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そして彼らの母親Adriana。小学校の教員をしながら4人の子をしっかり育て上げる良妻賢母。控えめで激しい言動をとらない彼女が唯一感情を爆発させるのは、自死した息子Matteoのアパートを訪れ、膨大な本の山を目の当たりにし、その何冊かを形見として持ち運ぶ途中、感極まってその本を投げつけながら泣き崩れるシーン。「こんなもの(=本)がいったい何の役に立つと言うの?」 Matteoを育てる中で、とても繊細なこの子がちゃんと世の中に出て、自立できるのだろうか?といった不安が、的中してしまったのだ。教師としてまた母親として至らなかった自分を責める。Adriana Astiの押さえた演技、ちょっとした目や唇の動きや手の仕草…には特筆すべきものがありました。彼女の持つ独特の雰囲気がいいですね。素晴らしいです。

Adrianaは気負いなく仕事も家庭も淡々とやりこなす。Anna MagnaniやSofia Lorenが演じたような従来のイタリア映画に見られる、立派な体格にエプロンをして、何かと言えば絶叫して泣き伏してしまうマンマとは対極にある。こんな女性はそうそういませんね。

Carati一家に関わりのある人々や友人など、脇を支える役者陣がこれまた素晴らしい。家族愛・兄弟愛・男女の複雑な愛情・友情…が、イタリアの近代史に重ねながら見事に描き出されています。ぜひぜひご覧下さい。表題はフリウリ州の詩人Pasiliniのエッセイのタイトルから、またイタリア山岳部隊Alpiniの古い歌のタイトルから得ている。

製作国:Italy
製作年:2003年
監督:Marco Tullio Giordana
脚本:Sandro Petraglia, Stefano Rulli
キャスト:Luigi Lo Cascio, Alessio Boni, Adriana Asti, Jasmine Trinca, Riccardo Scamarcio, Fabrizio Gifuni, Maya Sansa, Lidia Vitale, Valentina Carnelutti ...




【年表】

1966 10月北イタリア豪雨・フィレンツェ大洪水
1969 7月「熱い秋」と呼ばれる労働者・学生の大闘争
     12月ミラノのフォンターナ広場爆破事件
1974 石油危機によるイタリアの深刻な経済危機
1978 5月アルド・モーロ、赤い旅団に誘拐・殺害
1980 8月ボローニャ中央駅爆破事件
     11月南イタリア大地震
1981 5月ヨハネ・パウロ・2世、トルコ人テロリストに狙撃、重傷を負う
1992 5月ファルコーネ判事らの爆殺事件(マフィアのテロ)
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by amore_spacey | 2007-02-13 02:18 | - Italian film | Comments(12)
Commented by 豆酢 at 2007-02-14 16:09 x
うん。6時間ですよね…(^_^;)。
私もそれで怖気づいてしまったクチです。でもやっぱりちゃんと観てみよう!イタリア近代史を勉強してからの方がいいかとも思ってたんですが、そうでもないのでしょうか。家族を描いたドラマですものね、私にとっては感慨もひとしおです…。
Commented by マヤ at 2007-02-14 22:54 x
ニコラ&マッテオにみんな目がいくところを、アスティさんの演技に注目されるとはさすがですね。
確かに、イタリア女優ってグラマーなイメージが強いけど、アスティさんがそのなか現在に至るまでずっと生き残っているのはその演技力ゆえなんでしょうねー。
Commented by amore_spacey at 2007-02-14 23:50
♡ 豆酢さまへ。
イタリア近代史を知らなくても充分に楽しめる作品です。
ぐいぐい引き込まれて、気がついたら映画の世界にどっぷり。
夫にはリアルな体験があるので、私とはまた違った思いで
この作品を観ていたでしょうね。

好き嫌いが激しい私ですが
この作品に登場するどの人物(=役者)にも思い入れがあって
久し振りにいい作品に出会いました。嬉しいな~♪

一気に観たと書きましたが、実は…
夕食を挟んで前編・後編に分けました(^^) 途中トイレ休憩5分も!
Commented by amore_spacey at 2007-02-14 23:53
♡ マヤさんへ。
Adrianaの含蓄ある演技には感服いたしました。
最近舞台で活躍しているそうですが、舞台女優がTVドラマや
映画に出ると、どうかするとオーバーアクションが鼻につく中で
彼女の間の取りかたや視線…あらゆるものが素晴らしかったです。

大阪映画フェスティヴァルで彼女と直接お話するチャンスに
恵まれたマヤさんが、超羨ましいっすよ~~~。

このあとすぐ『若者のすべて』のクリーニング屋のシーンに
登場するという彼女をチェックをしてみたのですが、一体どの人?
若い店員が3人登場しますよね。黒髪を後で束ねた小柄な女性?
Commented by マダムS at 2007-02-17 10:42 x
長い映画を観てくださって有難う~♪ ってまるで私が作った映画のように言ったりして・・でもそれぐらいこの作品には入れ込みました。
おっしゃるように、どの登場人物も愛おしく、その行く末を思わずじっと見守ってしまいますよね。。
中でもやっぱり私はマンマのAdrianaの気持ちでずっと観てしまったかもです。
素晴しい女優さんですよねー で、私も「若者のすべて」を同じように目を皿のようにしてみたんですが、確認できずじまいなんですっ! そうか、クリーニング店ですか!そこまでわかればもう一度観ればわかるかしらん!!(笑)
Commented by 小夏 at 2007-02-17 21:46 x
そう、6時間なんですよ。
年末にWOWOWで放送したやつを録画したのですが、どーも「6時間」がネックになっていまだ見ていない罠。ルイジさん、見たいんですけどねぇ。
でも、あもーれさんのレビューを読んで、俄然鑑賞欲がぐぐーんと高まりました。
この気持ちを忘れないうちに観なくちゃ。(^~^;
Commented by amore_spacey at 2007-02-17 22:14
♡ マダムSさんへ。
イタリア現代映画の中にこんなに素晴らしい作品があったのですね。
心の奥底にあるものがぐっとつかまれた、そんな感じでした。
色んなテーマを扱いながら、最後に一縷の希望を残してくれている
そこが今までのイタリア映画とは色合いが少し違うかな?
マンマもよかったけれど、パパもよかったですよね~。この兄弟の
姉や妹たち、そして友人や恋人たちも…。みんなよかった。
あれから既に2回観ました。こんな作品がまたでないかなぁ。
Commented by amore_spacey at 2007-02-17 22:20
♡ 小夏さんへ。
大作を観たのは『ロード・オブ・ザ・リング』以来かな、久々です。
私も「6時間」にビビリまして…ずっとDVDがお蔵入りになってました。
これ、お勧めです。すぐに、今すぐに観て下さいませ~~(^^)

どの役者さんも素晴らしいのですが、Adriana Asti扮するマンマと
Alessio Boni演じる心の繊細な息子、この2人が心に残っています。
特典についていたLuigiとAlessioの対談も和気藹々としていて
とってもよかったなぁ。
Commented by dim at 2007-02-22 16:20 x
こういう家族ものって国は違っても、共感できる部分や思い当たることが沢山あったりして結構好きなんです。
でも6時間って長いですね~~~。
とかいいながら「24」や「冬のソナタ」なんて一気に見ちゃったクチなので、6時間なんてあっという間でしょうけれど。
ワタシも機会があったら是非見てみたいと思います~。

Commented by amore_spacey at 2007-02-23 00:15
♡ dimさんへ。
思い入れのあるシーンが盛りだくさん。
国が違い時代が変わっても、変わらないものがありますね。
例えば家族愛だとか人間関係…。
そんなところに共感や反発を感じ、作品と同化してしまいました(^^)
ぜひぜひご覧下さいね。お勧めです。
Commented by il miele at 2007-02-25 08:13 x
お久しぶりです。

この映画は、最初見たときは全然わからなかったのですけど、何気なく二回目を見ながら引き込まれていきました。特に、自分の居場所をあの国で見出せなかったかのようなMatteoが悲しすぎました。

タイトルは、引用だったんですね。今になって気づかされた次第です。(゜_゜;)
Commented by amore_spacey at 2007-02-26 05:11
♡ il mieleさんへ。
私もMatteoの行方が気がかりで、それでどんどん
この作品に引き込まれて行きました。自分の居場所がどこにも
なかったのですよね。灰色の部分が受け入れられたなら
彼もあんなに息苦しい生き方とは違った別の道が開けたかも
しれないのに。

一旦「6時間」の封印がとけると、何度も観てしまいます~(笑)
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