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Speed-the-Plow 4

【舞台と作者】

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ええ、今回は共演者に目が行ってしまったんですよ。Jeff Goldblum!実に存在感のある役者さんでした。『ザ・フライ』『ジュラシックパーク』で学者を演じたあの方は、すらりと長身細身でシックなスーツがよく似合う。しかも足がとても長い。中肉中背のKevi様がまるで子どものように(殴っ) Jeffが立ち上がったとたん、会場からはどよめきが起きたからね。声がこれまたいい。1度見たら忘れないあの爬虫類系の顔も、弱気になると守ってあげたくなるような無垢な表情になる。長身だからちょっとした仕草や動きが目立つ、これがまたとてもエレガント。否が応でも観客を惹きつけますね。



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今回の役柄は両者共にハリウッドのプロデューサー。プロデューサーと言えば辣腕プロデューサーで新入りを苛め抜いた『ザ・プロデューサー』や言葉巧みにNYの不動産セールスマンたちの凌ぎあいが展開する『摩天楼を夢みて』が思い浮かぶ。どちらも怒涛のような言葉の応酬で、あの頃のKevi様は髪もあったし(もう一発殴っっ!)、貪欲な目をしていた。鋭い切れ味がありました。今は年輪が増えた分、深みが滲み出てきて、これまたいい男。舞台の彼を見てほっこり幸せな気持ちになるのは、舞台に立つ彼が生き生きとしているから。舞台のために生まれてきたような人だ。観客の視線が自分に集まる。場内の空気がリアルに伝わる、こればかりは映画では味わえない。観客もまた役者の生の息遣いを感じ取ることが出来る最高の場所なのだ。だから舞台通いは止められません。



Speed-the-Plow 4_e0059574_1125843.jpgさて3人目の共演者Laura Michelle Kelly、新しいところでは『スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師』でJohnny Deppと共演している。若手役者でありながら舞台の場数を踏んでいるだけあって、特に視線や目の動きや流し方が遠目にもよく分かる。男の世界で女がステップ・アップしていく手段と言えば、あれしかない。女の武器をちらつかせながら罠にかかろうとする男を、うまく手玉にとってのし上がっていこうと目論む。ブロードウェイではこの役をMadonnaが演じたという。ご覧になった方はいますか?彼女の肉感的な誘惑とLauraの知的で都会的なセンスを合わせると、この女性像はほぼ完璧な姿になるだろう。Madonnaを観ていないから分からないが、少なくともLauraは脚本を書いたDavid Mametが描く女性像により近かったのではないかと思う。


Davidの代表的な作品と言えば、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『アンタッチャブル』『ハンニバル』。シカゴ駅の階段をゆっくり落ちていくベビーカーを、Andy Garciaが発砲しながらスライディング・キャッチしたあのシーンは、映画史上に残るシーンの1つであろう。人々の娯楽が芝居から映画やTVへ移行する時期に、脚本家として活躍しているDavid。その本音を書き綴ったのが『Speed-the-Plow』。脚本家の権力が落ちていくことへの憤りと悲しみと淋しさ、商業主義に走る映画配給会社への皮肉が暗に込められているのである。


Speed-the-Plow 4_e0059574_1131857.jpg過去に観たケヴィ様の3つの舞台のうち、一番分かりやすかったのが『Speed-the-Plow』だった。時代背景が現代に近いことと、訛りのない普通の英語だったことが幸いしたのかもしれない。それにしても今更ながら、自分史上最悪のアクシデントのせいで(もともとは3時間半のフライトの遅れが悪いんだけど)、Kevi様のマシンガン・トークが炸裂する、肝心要の第三幕を見逃し(聞き逃し)てしまったのは、残念無念でなりません。
写真はこちらから転写。


《 次回はパンフレットの紹介 》
by amore_spacey | 2008-03-26 01:24 | Theatre | Comments(4)
Commented by かっこ at 2008-03-29 08:08 x
かっこだったかkakkoだったか、どちらを使っていたわかんなくなっちゃったわ。(笑)どちらもケヴィンファンということで。
それにしても、素晴らしい解説ありがとうございます。
ケヴィンファンがいてくれるっていう、そのことに私はなぜか心地いい安心を。
体調くずしてしまっても、こうやって書けるっていうところが、すごいなあ。この作品、クオリティーやっぱり高かったんだな。行きたかったよ、って今頃ね。(笑)ケヴィンが頑張っててくれているっていうことが、私の支え。弾丸トーク炸裂を脳内で妄想だわ。でも多分実際は妄想を軽く越えたところで、舞台すごいんだろうな。
Commented by amore_spacey at 2008-04-02 02:21
♡ かっこさんへ。
本当なら第3幕まで全部観てから書けよ、な感じですが
中途半端でもやっぱりレビューを残しておきたくて書きました。
ケヴィ様は相変わらずというのか、安定した舞台で嬉しかったですね。
今回はJeff氏にちょっぴり浮気だけど~(*^^*)
いよいよ今月中旬に『21』ロードショーです。こっちも楽しみですわ。
Commented by とおりすがりました at 2009-02-17 02:43 x
マドンナ版観ましたよ。(自慢)
といってもアメリカに住み始めたばかりのときで
台詞はほとんどなにも分からなかったですが、、、
ただ、気のせいだったのかもしれませんが、マドンナがなぜか
震えていたのが衝撃で二回観てしまいました(ストーリーは何となく分かったのですが、台詞は全然。。。)

おかげで今では演劇を作る方になってしまいました。
日本でいつかやりたいと思っていたら、ロンドンでブロードウェイでリバイバル。誰かにやられる前に!と思いながらも
台本読んでも未だに分からない台詞がいくつかあって、
もし、覚えてらしたらアドバイスいただけるとうれしいのですが、、、
あ、でも連絡のとりようがないですね。

自慢ついでに同時期ジェフ氏にサインをもらったことがあります。
横棒一本みたいな手抜きでした。当時の彼女、ジーナデイビスがちゃんと
読める字だったのでちょっと「ち!」と思いましたが、かっこ良かったです

一年も前のブログに失礼しました。

Commented by amore_spacey at 2009-02-18 22:52
☆ とおりすがりました様、いらっしゃいませ~!!!!!!
うぅぅ、自慢されちゃったっっ。
あのマドンナが緊張のあまり?舞台で震えていたなんて、微笑ましい
エピソードですね。一応原作を読んでから観に行ったので、ストーリーは
ばっちり!台詞も8割かたOKでした。

そうですか、日本に戻ってから演劇プロデューサーになられたのですね。

>台本読んでも未だに分からない台詞がいくつかあって、
意味が分からないということでしょうか?具体的に書いて下されば
対応のしようもあります。
emilia2005☆excite.co.jp こちらにメールをどうぞ。
☆→@に変えて頂ければ大丈夫です。

ジェフ氏のサイン、いいですね。ケヴィ様のサインはきちんと書かれて
いますよ。思ったより優しいラインでさらさらっと書かれているんです。
1年も前の記事にコメントをありがとうございました。
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