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鬼が来た!

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★☆(92点)

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第2次世界大戦末期、日本占領下の中国のとある小村を舞台に、ひょんなことから日本兵を匿うことになってしまった村人の困惑と、その後の日本兵との奇妙な交流をユーモラスにそして衝撃的に描く。戦時における人間性の闇を突きつけた問題作。2000年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。
 

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Wen監督は、生きるか死ぬか?殺すか殺されるか?という究極の状況(戦争)の中で生きる人間の、光と闇=鬼の部分を描き分けたかったのではないか。反日感情や政治的・歴史的事実よりも、戦争から遠く離れた片田舎で素朴に正直に生きている一般市民や、最前線にいる部隊とは違った割合大らかな雰囲気の中で暮す兵隊たちが、戦争の影響を否応なく受け、誰にもどうすることもできないまま突き進んでしまう「成り行き」というものが存在する無情を伝えたかったのではないか。あの夜も日本人隊長は心から宴(うたげ)を楽しみ、「今夜こそこいつらを皆殺しにしてやる」といった残虐な気持ちなど(表向きには)なかったはず。中国人の村人があまりにも馴れ馴れしく話しかけてきたことで、何かがプツンと隊長の中で切れたのだ。一触即発のものが、皮膚のすぐしたに眠っていた。同じようなことが私たちの日常生活のあちこちに転がっている。無意識の敵意や憎しみが、何かの拍子にぽんと顔を出してしまう。禅問答のような頓珍漢な会話が前半で展開されて頭が緩んでいただけに、これでもか?どうだ?追い討ちをかけてきた後半、そして余りにもやるせないラストに、口の中がざらついて仕方がない。

吹き替えに慣れた身に、長い字幕英語を読み画像を見ながら作品の展開についていくのは至難のワザだった。しかも一人の会話が長く、作品自体が長編大作だったから、観終わってからの正直な感想は、脳味噌がもみくちゃにされてほとほと疲れ果てました。脱力orz... この作品を繰り返し観たら、また別の視点が出てくるかもしれない。その時には加筆る予定であります。

製作国:Japan
初公開年:2000年
監督:Wen Jiang
キャスト:Wen Jiang, 香川照之, Yihong Jiang, Ding Yuan, Zhijun Cong ...
by amore_spacey | 2008-05-12 02:38 | - Japanese film | Comments(2)
Commented by kaioko at 2008-05-13 23:11
鑑賞するのに、ものすごくエネルギーの要る作品ですよね。
私も通しでは1回しか観ていませんが、何回も繰り返し観ることでいろんな視点が見えてくる作品なのでしょう。
壮大な世界観の中で、紙一重の狂気を描ききっていたのが衝撃的でした。
香川さんの書いた「鬼が來た!撮影日記」も面白いので、機会があったら是非!

Commented by amore_spacey at 2008-05-14 00:51
♡ kaiokoさんへ。
意図している訳ではないのに、最近なぜか映画を観ながら修行している
ような気持ちになる作品が続いています(笑) 観た直後は脱力感と倦怠感で
ぐったり、しばらくレビューも書けないくらい頭の中がごちゃごちゃ。

やはり貴女おすすめの作品だけあって、ずっしり手応えがありました。
今回は香川さんの絶叫場面が多々あり、また重厚なる顔の演技も堪能する
ことができて幸せでした。これは繰り返し観る価値のある作品ですね。
香川さんがメイキングや裏話を綴っているというその本を
一時帰国の時にはぜひぜひゲットしまーす。情報ありがとうね。
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