2017年 01月 09日 ( 1 )

若者のすべて (Rocco e I suoi fratelli)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 父を失い南部で貧窮にあえいでいたParondi一家は、北部の大都市ミラノに出稼ぎに来ていた長兄Vincenzo(Spiros Focás)を頼って、老いた母Rosaria(Katina Paxinou)と兄弟4人が一縷の望みを繋いでやって来る。
  しかし田舎者の彼らに都会の風は冷たかった。ボクサーとして頭角をあらわしはじめた次男のSimone(Renato Salvatori)は娼婦Nadia(Annie Girardot)にのめり込むが、実は彼女が弟のRocco(Alain Delon)に思いを寄せていると知った瞬間から、この兄弟や一家の運命の歯車はさらに狂い始める。(作品の詳細はこちら


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この作品については以前にも書きましたが、久しぶりに観直した今、もう少し立ち入って書いてみたくなりました。何回も言いますが、Alain Delonが神懸り的な美しさで、ため息が出ます。どう表現していいのか、適切な言葉が見つかりません。彼が出てくると画面に釘付けで、他のものが全く目に入ってこない。初めてこの作品を観た時には、ストーリーそっちのけで、彼ばかり観ていました。


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そこへSimoneが出てくると、もういけませんねぇ。どす黒い感情に包まれ、心がざわざわして、とても嫌な気持ちになる。人間のクズのような兄を、Roccoはなぜあそこまでかばい続けたのでしょうか?Roccoは純真無垢で、心優しく繊細な青年だが、兄にあんな目に遭わされながら、一度としてその悔しさや憎しみをぶつけられなかったのは、Roccoの中の何かが強く引き止めていたからに違いない。ここで一線をこえたら、兄も家族もダメになってしまう。だから自分が犠牲になって我慢すればいい。そんなRoccoも、「家族の基礎を築くためには、生贄が必要なんだ」とつい本音をもらす。しかし皮肉なことに、Roccoの優しさが兄をさらに堕落させ、破滅に導いてしまうのです。


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一家が崩壊した原因は、貧困やイタリア南北の経済格差や文化の違いや、時代の流れに乗り切れなかったばかりでなく、病的なまでに息子たちに執着し溺愛するだけで、一人前の人間に育てようとしない母親にもある。自己中心的な母親と息子たちの間に築かれた、常軌を逸脱した歪んだ家族の絆が、崩壊を加速させた。この作品を日本で観た時には、家族のあり方や母親の姿が、大袈裟過ぎるんじゃないか?と思ったが、こちらに暮らすようになり・・・うーむ、多少の差はあれど、あれは今も続く歴然とした現実の姿だったのか、と納得すると同時に、「このままでいいの? イタリア!!!」と、もどかしく思うのでした。


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by amore_spacey | 2017-01-09 02:20 | Alain Delon | Comments(0)