2017年 09月 04日 ( 1 )

春との旅

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 足の不自由な元漁師の忠男(仲代達矢)と仕事を失った18歳の孫娘・春(徳永えり)は、忠男の生活の面倒を見てもらおうと疎遠だった親類縁者を訪ね歩く旅に出る。親族との気まずい再会を経るうちに、忠男はこれまで避けてきた過去と向き合わざるを得なくなる。そんな祖父の葛藤(かっとう)を間近に見ていた春にも、ある感情が芽生えていく。


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仲代達矢1人祭り。何となく『東京家族』を彷彿させるが、こちらは傲慢で我儘で甘ったれな男が、老後の面倒をみてもらおうと、身内を訪ね歩く話だ。舞台役者だけあって、仲代達矢の演技はいささか大袈裟だが、彼の存在感には圧倒された。特に台詞のない場面での微妙な表情の変化は、経験に裏付けられ真に迫る。

脇役も素晴らしい。兄夫婦(大滝秀治と菅井きん)、弟の内縁の妻(田中裕子)、彼女と同じアパートの住人(小林薫って、すぐには分からなかったよ)、旅館を切り盛りする姉(淡島千景の肝っ玉姉さんぶりに惚れた)、不動産で羽振りがよかったはずの弟夫婦(柄本明と美保純)、春の父(香川照之)と再婚した妻(戸田菜穂)。主役レベルが勢揃いじゃないですか!


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さていきなり訪ねて来られた側は、玄関先で追い払うことも出来ず、対応に困ってしまう。が、一応部屋にあげて、忠男の話を聞く。そして面倒をみることはできないと、皆口を揃えて言う。決して薄情ではない。面倒をみてやりたくてもムリなのだ。柄本明との喧嘩、あれは子どもレベルで面白かった。家族や失業や高齢化など、厳しい現実を取り上げつつ、微妙に歯車の合わない2人が醸し出す、ちょいトボけた空気のお陰で、重苦しさが薄められたように思う。


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旅を通しておじいちゃんと身内の関係をみているうちに、今度は春自身が実父に会いたくなり、後半で春の家族のことや、辛い事実が明らかになる。春の父親を演じた香川照之が、すごく良かったなぁ。顔芸合戦やキャッチコピーのような名台詞を連射する役より、むしろ地味で平凡な男や脛に傷を持つ男を演じたほうが、彼の持ち味をじっくり味わうことができる気がする。哀愁を漂わせた彼の背中や横顔が、胸に突き刺さった。


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by amore_spacey | 2017-09-04 00:49 | - Japanese film | Comments(0)