カテゴリ:- Italian film( 241 )

特別な一日 (Una giornata particolare)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (90点)

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【あらすじ】 1938年5月のローマ、第2次世界大戦前夜、Mussolini政権下のローマをHitlerが正式訪問する、イタリアにとって歴史的な記念式典の日。6人の子育てに追われるMussolini信奉の主婦Antonietta(Sophia Loren)は、これまた盲目的にMussoliniに傾倒する夫や子どもたちを式典に送り出した。山ほどある家事を片付けるのに忙しいというのに、飼っていた九官烏が逃げ出してしまう。これがきっかけで、同じ高層アパートの向かいの建物に暮らすGabriele(Marcello Mastroianni)という男と出会った。そして2人は特別な関係を持つのだが…。(作品の詳細はこちら


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Marcello Mastroianni1人祭り。ローマを訪問したHitlerと、彼を熱狂的に迎えるBenito Mussoliniやイタリア国民のニュース映像が、オープニングでかなりの時間を割いて流れる。ハーケンクロイツの旗とイタリア国旗が翻る祝福ムードのこの日は、イタリア人にとって特別な1日だったが、Antoniettaにはいつもと同じ1日になりそうだ。世間から取り残され、満たされない孤独な日々を送る平凡な主婦に、一体何があるというのだ?

同性愛者のGabrieleは、「夫・父・兵士でない男は、男ではない」と唱えるMussoliniのファスシト政権下で、アナウンサーの仕事を追われ、世間から蔑(さげす)まれ、虐(しいた)げられてきた。いつサルデーニャに送られるのか?不安と孤独の中で、官憲から逃れるようにひっそり暮らしている。


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この2人は結局結ばれるのだが、燃えるような愛ではなく、互いを労わり傷を舐めあうような、憐憫に近い哀しい愛だった。Gabrieleが『三銃士』の本を持って訪ねて来たときから、Antoniettaは何かを期待していた。けれども屋上の洗濯干し場で彼と話しているうちに、今朝自分の心をよぎった愚かな考えを恥じ、「やっぱり男はみんな、オオカミなのよ!」と吐き捨てる。

同性愛者として負い目のあるGabrieleの胸に、その言葉は刃のように突き刺さった。異性と恋愛し結婚し子どもをもうけて家族を作ることが、真っ当な人生とみなされる時代の中で、存在価値のない自分に絶望している。彼自身がそうした自分を嫌悪し、受け入れられなかった。でも明日サルデーニャに連行される前に、せめて世間一般の男が経験するように、女と結ばれてみたい…という儚い願望があったに違いない。


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束の間の情事のあと、Gabrieleの背後から、「また来週会える?」と、淡い期待を抱きながら、何気なく聞くAntonietta、それに答えられず硬直した顔の彼。残酷なシーンだ。屋上の洗濯物干し場から関係を持つに至るまでの、彼らの感情の起伏や気持ちの変化が、痛いほど伝わってくる。ただ同性愛者のMarcelloという設定が…ね。演技だけでなく、身につける物などディテールに拘り、精一杯それらしく見せてはいるが、ゴメン!ピンと来なかった。そこだけ微妙で残念だった。


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ラストシーン。夕食後の片づけをすませ、静まり返った台所の窓際でGabrieleが持ってきた本を読むAntonietta。ふっと窓越しに目をやると、Gabrieleが2人の男に連れられて出て行く。彼が2度とここに戻って来ないことを、彼女はたぶん知らない。本を置いた彼女は、家の灯りを1つ1つ消しながら、夫が眠る寝室に向かい、ベッドにそっと滑り込んで部屋の灯りを消す。誰にとっても特別な1日が、静かに終わろうとしている。そしてうんざりするような明日が、またやってくる。

でもAntoniettaは、それを乗り越えることができる。九官鳥や砂のオモリのついた台所の灯りやボタンで描いたMussoliniの絵を見るたびに、コーヒーミルや『三銃士』の本を手にとるたびに、屋上の洗濯物干し場に行くたびに、Gabrieleのことを、あの特別な1日のことを思い出し、束の間の幸せをかみしめる。他人にはどうでもよい出来事が、Antoniettaをずっと支えてくれるだろう。ファシズムの嵐が吹荒れる中、いくつも生まれては消えていった、市井の人々の小さなドラマ。観れば観るほど、味わい深い。


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この映画でSophiaの6人の子どもの中の娘Maria Luisaを演じているのは、Sophia Lorenの妹とBenito Mussoliniの息子の間に出来た娘Alessandra Mussolini。SophiaとAlessandraは、伯母・姪っ子の関係にある。因みに、私の姑の叔父は反ファシストの罪でサルデーニャに送り込まれたが、何年かして戻ってきた。しかも婚約者(市長の娘)を連れて。瑣末なことだけど、Marcelloはここでも『ひまわり』の時のように、慣れた手つきで卵焼きを作っている。卵が好き?私みたい(笑) マンション管理人のオババは、小柄なのに物凄い存在感がありました。


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by amore_spacey | 2017-07-30 00:42 | - Italian film | Comments(2)

マカロニ (Maccheroni)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (73点)

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【あらすじ】 アメリカ軍の将校としてイタリアに駐在していたRobert(Jack Lemmon)は、晩年になって商用でナポリに来た。彼はかつて愛し合ったMaria(Giovanna Sanfilippo)のもとを訪れ、村人たちから大歓迎された。そしてRobertを待ち続ける妹のために、兄Antonio(Marcello Mastroianni)がRobertになって、手紙を書いていたことを知る。(作品の詳細はこちら


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Marcello Mastroianni1人祭り、進行中。面倒なこともあるが、友情っていいもんだ、歳を取ることも悪くない、幾つになっても人間は変わることができる。この作品を観てしみじみ思う。心が疲れていたり、トゲトゲしくなった時、やさしい嘘や無償の愛や、人を信頼する気持ちに触れると、いつも以上にその有り難味が身に沁みるものだ。

お人好しで茶目っ気たっぷりのAntonioと、仕事一筋で生きてきたRobert。冒頭のシーンから、歯車が噛み合わない対照的なこの2人が、可笑しくて仕方がない。Robertにしてみれば、商用でナポリに来ただけだから、過密スケジュールをやっつけて、さっさとアメリカに戻りたい。ところが思いがけない再会によって、遥か彼方にある記憶が蘇り、彼の乾いた心は少しずつ潤いを取り戻していく。よくある話だが、人の心模様を幾重もの繊細な層で表現できるのは、主役の2人や監督の手腕だけではなく、味のある脇役、そして舞台となったナポリの風景、それらが一体となって見事にとけあった賜物である。


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微妙に噛み合わないAntonioの高齢のマンマとの会話も、何となく分かったふりをしたり、都合のいいように解釈する。マンマへの愛情だ。彼女が乗った車椅子が、これまた素晴らしい。手前には作業台が設(しつら)えられ、背中側にはジュウシマツやカナリアなどの小鳥たちが入ったカゴがいくつもぶら下がり、たとえマンマが1人で居ても退屈しない特別仕様だ。公私混同しないRobertのイタリア側の辣腕秘書が、たった1度だけ酔っ払ってRobertに絡むシーンや、Jack Lemmonのピアノ演奏は、秀逸!

全員が揃ったラストの食事は、『無邪気な妖精たち』を思い出す。トマトソースをたっぷり絡めたパスタが、余りにも美味しそうだったので、その日の夕食はトマトスパゲッティだった。あの紐の先を辿っていくと、Antonioの手に繋がっている。このシーンでは、誰もが奇跡を願うでしょう。ナポリに行ったら、生クリームがのった特大サイズのババを、ぜひとも食べてみたい。


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by amore_spacey | 2017-07-29 00:03 | - Italian film | Comments(0)

あゝ結婚 (Matrimonio all’italiana) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 第二次大戦中のナポリ。娼婦Filumena(Sophia Loren)とパスティッチェリア(菓子屋)の後継ぎDomenico(Marcello Mastroianni)は、空襲の日に娼館で出逢った。終戦後2人は再会し、恋仲となって別宅も持った。Filumenaは身請けしてもらい幸福の絶頂…と思いきや、Domenicoは浮気の虫が止まず、彼女に仕事を任せてほったらかし。Filumenaは一計を案じ、危篤状態を装って無理矢理Domenicoに結婚を迫った。(作品の詳細はこちら


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Marcello Mastroianni1人祭り、進行中。『イタリア式離婚狂想曲』に負けず劣らず、Marcelloのクズっぷりが炸裂するコメディだ。のらりくらり言い逃れながら、いつまでもFilumenaを日陰の女にしておき、それをいいことに、高齢の母の介護をさせたり、メイドの部屋で寝かせたり、店の仕事をやらせたりして、自分はパスティッチェリアのレジ係の若い女とよろしくやるって、とんでもないヤツだ。何とかして報復してやりたくなります。


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大輪のひまわりが咲いたようなSophiaの満面の笑顔や、健康的&魅力的なダイナマイト級のナイスバディは、見るものを元気にしてくれる。天真爛漫で、惚れっぽい性質(たち)。読み書きができなくて、自分の名前を署名するのにも、時間がかかってしまう。が、勝気で威勢がよく、理不尽な目に遭えば、徹底的に闘う。口喧嘩だって絶対に負けやしない。そんな彼女も3人の子どもたちの前では、母性愛に満ちた母の顔に戻る。子どもの病気にアタフタしたり、幸せに涙ぐんだりする情の深さ。どの仕草もどの表情も可憐で繊細で、女心が随所ににじみ出て、ほろりとさせられた。彼女がすけすけのエロティックな衣装を着ても、嫌らしさがない。彼女の存在が眩しいほどゴージャスだから。

彼女とMarcelloとDe Sica監督、この3人がいるロケ現場は、きっといい雰囲気だっただろうなぁ。それぞれの持ち味が最大限に引き出される、最強のトリオだ。MarcelloとSophiaのカップルは、イタリア映画の黄金時代を築き、その中を華麗に走り抜けていった。2人は様々な作品で悲喜劇を演じてきたが、その時々で感情の匙加減が絶妙な具合に加減され、微妙な色合いの違いを楽しませてくれる。この作品はSophiaの手のひらで転がされているように見えるMarcelloだが、そんな彼にぞっこんだったのは、実は負けん気の強いSophiaだったかもしれない。彼のことが好きで好きでたまらなかったのに、自分からは言えなかった。だから、ラストシーンにほっとした。「ああ、本当によかった」


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こてこてのナポリ方言(サレルノ方言?)も、この作品をより人間味溢れるものにしている。パスティッチェリアのお菓子の山や、子どもたちが口のまわりや鼻の頭や服を粉砂糖だらけにして、お菓子を食べるシーン。メイドのおばちゃんやAlfredoなど、庶民的な雰囲気満載の脇役たちも、映画を引き立ててくれた。身振り手振りが大袈裟な、人情味に溢れたお節介おばちゃん、いますものね。


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by amore_spacey | 2017-07-28 01:18 | - Italian film | Comments(0)

8 1/2

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 著名な映画監督Guido(Marcello Mastroianni)は医者に勧められ、また騒がしい現実から逃れるため、湯治場にやって来た。新作の撮影準備を進めてから5か月が過ぎたにもかかわらず、クランクインが遅れている。愛人Carla(Sandra Miloや妻Luisa(Anouk Aimée)や若手女優Claudia(Claudia Cardinale)や知人たちの幻影に悩まされ、映画の構想が全くまとまらないのだ。療養中も亡き両親の姿や少年時代の思い出がよみがえり、これが現実なのか虚構の世界なのか、次第に曖昧になり、Guidoは混乱していく。1964年第36回アカデミー賞で、衣裳デザイン賞と外国語映画賞を受賞。(作品の詳細はこちら


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Marcello Mastroianni1人祭り。Fellini監督は作品の中に、自分自身のこと、自分が育ったRiminiや熟年期の拠点となったRomaを積極的に取り入れる。今回は映画制作にからんだ自身の苦悩を、そのまま映画にしてさらけ出している。これを映像にするのはなかなか難しいと思うが、監督らしい撮影と演出で、見事に実現した。女優たちの衣装も、ゴージャスだったりキュートだったりで、目の保養になった。でもこの手の作品が、実は苦手だったりします。


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妄想の中で起きるハーレムのどんちゃん騒ぎが、とてもシュールで面白かった。撮影中も楽しかったでしょう。清楚で可憐なClaudia Cardinaleは、まるで野に咲くマーガレットやすずらんのようで、綺麗だったんだなぁ。ところで黒縁メガネのMarcelloが、『シングルマン』『キングズマン ザ・シークレット・サービス』のColin Firthを彷彿させたが、たぶんColinが意識して真似たに違いない。音楽担当は、お馴染みのNino Rota。


 
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by amore_spacey | 2017-07-27 00:27 | - Italian film | Comments(0)

あんなに愛しあったのに (C’eravamo tanto amati)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (81点)

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【あらすじ】 第二次大戦中のレジスタンス仲間Antonio(Nino Manfredi)・Gianni(Vittorio Gassman)・Nicola(Stefano Satta Flores)は、戦後、病院の救急班・弁護士助手・教師としてそれぞれの道を歩みながらも、変わらぬ固い友情で結ばれていた。そんな彼らの前に、Luciana(Stefania Sandrelli)という天使のごとき女が現れ、皆、彼女の虜になってしまう。以来30年の歳月を、時代の変遷と過ぎゆく青春への哀惜を重ねながら叙述する。(作品の詳細はこちら


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この3人の男たちは、まるで夫の友人関係を見ているようだ。殴り合いの喧嘩こそしないが、絶縁に近い状態になりながらも、「ったく、しょうがない奴だなぁ。」と、窮地に追い込まれた友に助けの手を伸べたり、ふらっと家に立ち寄って喋っていったり、どうでもいい話に盛り上がり、笑って、食べて、飲んで、喋り倒す。アイツは○○だからと文句を言いつつ、誘い合って出かけたり…。

Scola監督はそういった市井の人々を、彼らの内面を、実によく観察している。この作品は、イタリア人の日常生活を何の加工もせず、そのまま切り取ったビデオのようである。が、ただのビデオではない。Scola監督を通した映像は、私たちが心の奥底で固く蓋をしているところを、いとも簡単に開けてしまう、静かで力強い感情に溢れている。コミカルなのに、どこか物悲しい。


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そんな3人の前に女性が登場すると、大概は仲間割れして自然消滅することが多いのに、彼らの友情は育まれ続けていく。Gianni(Vittorio Gassman)を訪ねて行った3人が、豪邸のプールに佇む彼を垣根越しに見つける。その瞬間、彼らの心をさっと横切った気持ち。声をかけないまま3人が引き返すシーンに、はっと胸をつかれた。


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巨匠や名優らを作品の中にさりげなく登場させるのも、Scola監督が映画をこよなく愛しているからだ。Vittorio De Sicaを敬愛するあまり、クイズ番組でヒートアップし、監督への思いを熱く語るシーンは、秀逸だ。あそこでNicola(Stefano Satta Flores)の存在が、いきなり浮上した。3人の中で一番風采が上がらず、地味な存在だっただけに、あれは拍手喝采モノで、映画の好きな私は、一気に彼のファンになってしまった。あのNicolaは、Scola監督に違いない。Mike Bongiornoが若い。Gianniの舅を演じたAldo Fabriziが、化け物のようですな(滝汗)


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by amore_spacey | 2017-07-26 00:31 | - Italian film | Comments(0)

ローマの恋 (Un amore a Roma)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 斜陽貴族の息子で文芸評論を書いているMarcello(Peter Baldwin)は婚約者のFulvia(Elsa Martinelli)との関係が少々わずらわしくなり、一切を清算しようと喧嘩別れする。その夜たまたま、女優志願の少女Anna(Mylène Demongeot)に会い、強引に彼女のアパートに泊ってしまう。数日後Marcelloはある寄席でAnnaの姿を見つけ、彼女と過した夜を思い出して、すぐに撮影所にかけつける。が、Annaの周囲は実業家Curtatoniや俳優のTonyなどが取り巻き、彼女に近づくことができなかった。(作品の詳細はこちら


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この作品が作られた1960年当時の生き生きとしたローマが素晴らしく、ストーリーより町角の風景が魅力的だった。『ローマの休日』(1953年)に登場するローマは観光スポットが多く、これはこれで楽しい。本作品では、享楽的・刹那的な斜陽貴族の社交の場としてのローマや、リアルな日常風景に迫っていたのが嬉しい。


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遊びのつもりだったのに、MarcelloはAnnaにハマッてしまう。よくある話です。純真で無邪気に見えたAnnaを知れば知るほど、Marcelloは嫉妬や屈辱に苦しみ、暴力をふるい涙まで流す。最初と最後のシーンを見比べると、Marcelloはまるで別人のような変わり様である。あれほど感情を剥き出しにしたのは、たぶん人生初めてでしょう。


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ちょい役でAnnaが出演する映画の撮影シーンに、Vittorio De Sicaが監督として登場する。安っぽいB級史劇映画で、本来の彼の作品とはジャンルも趣向も全く違うのが笑える。哀愁漂うCarlo Rustichelliの音楽が、傷ついたMarcelloの切ない思いを際立たせていた。


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by amore_spacey | 2017-07-25 00:21 | - Italian film | Comments(0)

マルチェロ・マストロヤンニ 甘い追憶 (Marcello, una vita dolce)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (86点)

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【あらすじ】 1996年に亡くなったMarcello Mastroianniにオマージュを捧げたドキュメンタリー。彼の二人の娘(異母姉妹)BarbaraとChiaraを中心に、生前交流があった映画監督や俳優やスタッフ、そして本人が“俳優Mastroianni”についてのエピソードを披露する。160本余りの作品に出演し、ViscontiやFelliniやDe Sicaなどの巨匠たちに愛されながらも決しておごらず、ひょうひょうと自分らしく生きた内気な大物俳優の姿が感動を呼ぶ。
 1924年に生まれ、俳優デビューは1948年。その後初めて手を組んだFellini監督の『甘い生活』で世界的スターとなり、その後も世界中の巨匠たちの作品に出演した。ナレーターは、Sergio Castellitto。(作品の詳細はこちら

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Marcello Mastroianni1人祭り。「何だってあんなに評価されるのか分からなかったが、時間が経つにつれ、彼の偉大さにやっと気づいた」とSergio Rubiniがインタビューに答えている。皮肉屋の彼らしい言葉だが、私もMarcelloの根強い人気を、ずっと不思議に思っていた1人だ。


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ところがひょんなことから彼の作品を観るようになり、そのへんにいる市井の人を演じると、実にうまい。人間臭く、怒りや嫉妬など醜い感情にとりつかれた時の演技ときたら、表向きはクールでありながら、ドロドロとした黒い感情を独特の方法で表出するのが、うまいのだ。遅ればせながら、彼の魅力にハマった。


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共演した役者や監督、脚本や音楽や衣装や撮影担当者、そして2人の異母姉妹が語るエピソードは、どれも私を心地よく幸せにしてくれるものばかりだった。数々のイタリア映画の音楽を手掛けたArmando Trovajoliの、ピアノ演奏が見られるという嬉しいサプライズもある。Flora Carabella(妻)やCatherine Deneuve(同居)の談話がないのは残念だが、娘たちが代弁しているのかもしれない。朝寝坊で、電話と煙草が何よりも好きなMarcello。


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by amore_spacey | 2017-07-24 00:01 | - Italian film | Comments(2)

私は彼女をよく知っていた (Io la conoscevo bene)

ネタバレあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (75点)

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【あらすじ】 女優になることを夢見て、トスカーナの農家からローマに出てきたAdriana(Stefania Sandrelli)は、美容サロンのマニキュア師や映画館内の案内嬢や安っぽいファッションショーのモデルなどを経て、やっとエキストラの役を手にした。花形役者の受賞パーティーに出席した彼女は、大物役者らと顔見知りになり、そこでCM撮影まですることになる。しかし加工されて流されたCMは、Adrianaにとって屈辱的なものだった。(作品の詳細はこちら


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Adrianaはトスカーナの農家で育った、どこにでもいる素朴な女の子で、負傷したボクサーや自動車修理工との淡く優しい関係を見ていると、打算のない純粋な心をもっている。彼らのような人々に囲まれていたなら、穏やかな日々を送ることもできたはず。しかし彼女はそこからするりと抜け、成り行きにまかせて、華やかなものや楽しいものについて行った。「楽しく過ごせるなら、それでいいの。」 女優志願なのに、そのための努力というものは全くしない。

若者の間で「しらけ」という言葉が、日本でも流行していた。しらけ世代(1950年~1960年代前半生まれの世代)や、「無気力・無関心・無責任」という三無主義の風潮もあった。世界的な現象だったのかもね。その一方で、権力や富を手にするためなら、どんなに汚いこともやる集団がいる。政財界や芸能界は、その最たるもので、虚栄と空虚の巣窟だ。胡散臭く、醜悪で物悲しい。


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この作品は、何の説明も脈絡もないまま、淡々と新しいエピソードに移っていく。さっきまでビーチに寝そべっていたAdrianaが、美容院に駆け込んでマダムの爪を磨いている。しかし次の瞬間には映画館の案内嬢をやり、画面が変わったお次は、チャラ男(Jean-Claude Brialy)と遊びまくっている。かと思えば、ボクシングの合間のファッションショーでモデルをつとめたり、年上の作家(Joachim Fuchsberger)と仲良くなったり、警察(Turi Ferro)で事情聴取されたり…。こうして成り行き任せに、ふわふわと流されていくAdrianaだったが…


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ショッキングなラストシーンに、凍り付いた。Adrianaはちょっと散歩にでも行くようなかんじで、高いマンションの窓からふわっと身を投げる。しかし次の瞬間には、冒頭にも使われた楽しいテーマ曲が流れ、「ちょっと、待って。大変なことが起きたのよ!」という観客の気持ちに、少しも寄り添ってはくれない。この突き放した無関心が、人の心をじわじわと蝕んでいくのだ。

自動車修理工を演じたFranco Neroが、めちゃくちゃ若くてイケメン!少年の面影すら残っていて、可愛い。Nino Manfredi、Enrico Maria Salerno、Ugo Tognazzi(タップダンスは見ごたえあり)、Franco Fabriziなど、脇を固める名優も、超豪華な顔ぶれだ。


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by amore_spacey | 2017-07-22 00:44 | - Italian film | Comments(0)

ローマのアメリカ人 (Un americano a Roma)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (73点)

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【あらすじ】 1950年代のローマ。Nando Moriconi(Alberto Sordi)はアメリカに憧れる若者で、変なアメリカ英語を話しながら、コーンフレークにケチャップをかけて食べたり、John Wayneの歩き方を真似たりする。彼の夢は、アメリカに行くこと。しかし渡米するにはビザが必要だ。そこで彼はコロッセオのてっぺんにのぼり、アメリカ大使館がビザを出してくれなければ、ここから飛び降りる!と駄々をこねるのだった。(作品の詳細はこちら


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ローマを歩いていると、この写真が必ず目に飛び込んでくる。とても有名なシーンだ。イケメンとはかけ離れ、いかにも労働者といった雰囲気のあるAlbertoが、ローマ訛りのおかしなアメリカ英語を気取って話す姿は、ルー大柴や長嶋茂雄のように、滑稽で愉快・痛快。


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アメリカにぞっこんのNandoは、衣食住すべてをアメリカっぽくしたいが、それには限界がある。その中途半端さや思い込みが、バカバカしいやら可笑しいやら。しかし本人は大真面目なのだ。変な英語で相手を煙に巻きながら、あちこちで事件を起こし、界隈でもお騒がせ男として有名だ。

彼のアメリカかぶれっぷりは、ドイツ兵やアメリカ兵が相手でも変わらず、挙げ句の果て逮捕されてしまう。ローマの下町を舞台に、あり得ないシチュエーションで話は展開していくが、人懐こいAlbertoを見ているだけで笑いがこみあげ、気持ちが和む。


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by amore_spacey | 2017-07-19 01:19 | - Italian film | Comments(2)

追い越し野郎 (Il Sorpasso)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 聖母被昇天の日(8月15日)のローマ。生真面目で内気な法学部の学生Roberto(Jean-Louis Trintignant)は、通りがかりの見知らぬ中年の男(Bruno= Vittorio Gassman)に電話を貸したことから、2人のドライブ珍道中が始まった。Robertoの叔父を訪ね、ナイトクラブに立ち寄り、Brunoの別居中の妻と娘に会いに出かける。強引でお調子者のBrunoに嫌気がさしつつも、どこかで惹かれる正反対のRoberto。そんな矢先、思いもかけない出来事がふたりを待ち受ける。(作品の詳細はこちら


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Brunoに振り回されっぱなしのRobertoが、『地獄でなぜ悪い』の星野源のようで、Noと言えないためにBrunoのペースから逃れられなくなり、ずるずると巻き込まれていく。『激しい季節』 のJean-Louisもそうだったが、生真面目で世間擦れしていない役どころがピッタリ。当時32歳だが、法学部の学生の設定に違和感がない。年齢不詳だ。


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チャラいBrunoだが、別れた妻の家へ転がり込めば、年頃の娘Lilli(Catherine Spaak)に軽く扱われ、彼なりの葛藤があったりする。「人生色々あるけれど、楽しんだもん勝ちじゃないか?」というBrunoのような生き方は、自分の力ではどうしようもない人生に、あえて逆らおうとしない。良い意味で諦めていると言ったらいいのか。しかしラストの悲劇で、全てが一転する。絶望に打ちひしがれたBrunoの姿が、目に焼き付いて忘れられない。Robertoが初めて自分を解放できたというのに、それが人生最後の日だったなんて…。


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by amore_spacey | 2017-07-17 19:26 | - Italian film | Comments(0)