カテゴリ:- Italian film( 227 )

愛のために戦地へ (In guerra per amore) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (74点)

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【あらすじ】 戦時中の1943年。ニューヨークのレストランで働くパレルモ出身のArturo(Pif)は、店のオーナーの姪Flora(Miriam Leone)と愛し合っている。だがFloraは在米マフィアの大物の一味の若い男と結婚を強いられている。愛し合う2人の結婚を可能にするのは、彼女の父親だけ。そこでArturoは、シチリアに住むFloraの父から、結婚の許可を得るため、シチリアに上陸しようと画策する米軍に入隊し、シチリアに赴任する。ところが米軍はシチリア占領をスムーズに進めるため、地元のマフィアと密約を結んでいたのだった。(作品の詳細はこちら


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ArturoとFloraのラブストーリーに、マフィアをめぐる激動のイタリア近現代史を絡め、アメリカ軍のシチリア上陸がもたらした影響にも触れている。

とても真面目で誠実なんだけど、どこか抜けていて今一つ頼りなさそうなArturoを見ていると、まどろっこしくやきもきして、「大丈夫か?」「頑張れよ!」と、つい応援したくなる。コメディ路線を貫きながらも、彼を取り巻くコミカルな空気の端々から、当時の不安定な国情(イタリアは、色んな意味でいつも不安定ですが)やシチリアの暮らしやマフィア・米軍・市民の関係が垣間見えてくる。


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マフィアの存在は、あくまでも脇役に過ぎない。アイロニーを込めた目線で捉え、マフィアの滑稽な道化師っぷりは、乾いた笑いを誘う。が、この道化師たちは、うまく立ち回って政治家と癒着し、じわじわとシチリアに根を張っていくのだ。そういった土壌にストーリーが展開していくので、口当たりの良いラブコメとは若干異なっている。ただマフィアの暗部に深く切り込んだ訳ではないので、ぽーんと問題提起はされたものの、「で?」と、もやもやが残るのは否めない。ま、娯楽作品としてなら重すぎず、これくらいがちょうどいいのだろう。


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史実とフィクションの絡ませ方がうまく、また視聴者を笑いに誘いながら、シチリアのマフィア問題にさりげなく触れる手法は、コメディ出身のPif監督らしい。目の見えない男と足の悪い男のコソ泥コンビや、空襲警報のたびにマリア像やムッソリーニ像を抱えて逃げる人々など、脇役たちが個性的で愉快だ。Philip中尉(Andrea Di Stefano)がまるでArturoの兄貴のような2人の関係が微笑ましく、彼らの友情は心温まるものだった。  


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by amore_spacey | 2017-05-12 01:14 | - Italian film | Comments(0)

歓びのトスカーナ (La pazza gioia)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 虚言癖でおしゃべりな自称・伯爵夫人Beatrice(Valeria Bruni Tedeschi)と、自分の殻に閉じこもった全身タトゥーの女Donatella(Micaela Ramazzotti)。社会復帰を助けるトスカーナの診療施設から脱走を図った2人は、破天荒な逃避行を繰り広げるなか、いつしか掛け替えのない絆で結ばれていく。2017年David Donatello賞で、作品賞や監督賞や主演女優賞(Valeria Bruni Tedeschi)など5部門受賞。(作品の詳細はこちら


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タイトルの語感から、弾けるような喜びに満ちた、軽いコメディタッチのドラマを想像していた。確かにBeatriceとDonatellaの逃避行は、Thelma & Louise (1991) を彷彿させるような珍道中だが、2人はどこでどう間違ったのか?人生に躓(つまづ)いて傷つき、心の奥に深い怒りや悲しみや後悔を抱えて生きている。

彼女たちの性格はコインの裏と表のように正反対で、事件が起きるたびに、それぞれのリアクションが面白いほど異なる。Beatriceが光なら、Donatellaは闇。自称・伯爵夫人のBeatriceは、出鱈目な話を間断なくすることで現実から目をそむけ、自分を保っている。Donatellaは付き合った男に捨てられたばかりか、2人の間にできた子どもを認知してもらえず、その子も養子にとられてしまう。心の中は生々しい傷だらけで、その痛みに1人でじっと耐える。殻に閉じこもることで、崖っぷちから転落しないように、なんとか踏みとどまっている。


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この2人を演じたValeriaとMicaelaが、まぁ、実に素晴らしかった。舞台劇のような幾分大袈裟な演技も、Valeriaにかかると、俄然、真実味を帯びてきて、「ああ、こんな人いる」と思わせ、説得力があった。テンションが高く、口を開けば嘘がよどみなく出てくる。あそこまで流暢に次から次へと嘘が出てくると、もうあっぱれ!一緒にいたら非常に疲れるタイプだが、どこか愛嬌があって憎みきれない。一方Micaelaはげっそり痩せて頬がおちくぼみ、全身のタトゥーが嫌でも人目をひく。絶望に沈んだまなざしが痛々しくやるせない。すっかり笑いを忘れた彼女に、施設の先輩であるBeatriceが、あれこれ世話を焼こうとする。Donatellaが気になる存在なのだ。

けれどまるでピエロのように面白おかしく、時には狂ったように陽気な振る舞いで、刹那的に生きるBeatriceに、Donatellaは戸惑いを隠せない。嘘の話でどんなに誤魔化しても、現実は変わらないことを知っているから。厳しい現実を味わったDonatellaは、幸せな時間のあとに襲って来る、あの何とも言いようのない寂しさや重苦しさが、もはや恐怖でしかない。対照的な2人の性格や生き方に、「それはそうだけど…」と言いつつも、そのどこかに自分の姿が重なるような、何かしら共感できる部分があり、知らないうちに引き込まれる。


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背負っている人生は違うが、束の間の逃避行で、何かが少し変わった。現状は、依然、変わらない。しかし2人の間に相手を気遣う愛情が芽生え、傷ついた心を癒してくれる。心を通わせる相手がそばにいて、気持ちがふわっと軽くなる支えがあるというのは、愛に飢えた2人にとって最高の癒しに違いない。養子に出された子どもに再会し、辛い過去など忘れて海で戯れる、こんな束の間の幸せも、私たちの日常に思いがけなく訪れる。人生、悪いこともあれば、いいこともあるよ。


 
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by amore_spacey | 2017-04-26 01:21 | - Italian film | Comments(0)

Io che amo solo te

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (73点)

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【あらすじ】 プーリア地方はプリニャーノ。50歳になるNinella(Maria Pia Calzone)とDon Mimi(Michele Placido)は、若い頃に大恋愛をしたが結婚できなかった。しかし運命は思いがけないプレゼントをしてくれる。彼女の娘Chiara(Laura Chiatti)と彼の息子Damiano(Riccardo Scamarcio)が、めでたく結婚することになったのだ。順調に式の準備がすすめられ、ついに結婚式当日を迎える。Luca Bianchini.の小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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久しぶりのイタリア映画。本作品は若い2人の結婚式までの3日間を描く。運命は時に、思いがけないプレゼントをしてくれるが、この手の話は漫画や小説や映画で語り尽くされているので、それほど目新しくはない。この作品の面白さは、結婚する主役の2人を取り囲む、家族や友人・知人たちの濃いキャラクターや、舞台となったプリニャーノの町や海の美しさにある。


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主役を演じるLaura ChiattiとRiccardo Scamarcioは、共演作品が多いせいか、まるで2人の私生活を垣間見ているように自然だ。デビュー当時のRiccardoはカッコつけすぎで鼻についたが、最近の彼は肩の力がいい具合に抜けてきて、ラブコメもなかなか面白い。昨年Valeria Golinoと別れたRiccardoは、Lauraと本格的に付き合っているのかしら?

因みにRiccardoの元カノValeriaは、14歳歳下のプロデューサーと、それが破局したあと、現在は23歳歳下の彼と付き合っている。どっちもRiccardoの友だちなんだけど、元カレの友だちから彼を調達するValeriaってどうなの?


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大事件は起きないが、やっかいで面倒な親戚や友人たちが揃い、ネタには事欠かない。結婚前から未来の姑2人が、花嫁の衣装を巡ってバトルを繰り広げたり、式を控えた花婿がこともあろうに、一夜限りの浮気をしたり(おいおい)…

花嫁には何と!服役中の叔父Franco(Antonio Gerardi)がいる。しかも半日の出所許可をもらって式に出席するらしい。世間体を気にする花婿側から、「とんでもない」「欠席させろ!」 花嫁の叔母Dora(Luciana Littizzetto)は、噂話が三度のメシより好きで、ひっきりなしにお喋り。こんな人が身内にいたら、ホントに疲れるが、私の身内にもいる、いる。面倒くさい人で、可能な限り顔を合わせたくないデス。


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そして花婿の弟Orlando(Eugenio Franceschini)が、実はゲイだった!しかし世間体を気にする母のため、Daniela(Eva Riccobono)を彼女として連れて来るが、彼女はレズビアン。しかも弟は、式の祝辞でカミングアウトする暴挙に出たから、さあ大変!

でもこのドタバタ劇が、静かに収束する。愛し合っても結婚できなかったNinellaとDon Mimiが、最初で最後のダンスを踊る。そして式の後Dom Mimiが求愛するも、「これ以上望むものはないくらい最高に幸せ。素敵な思い出にしておきましょう」と言って立ち去るNinellaが、毅然として素晴らしかった。賢明な決断でしょう。これをみて、また夏のプーリアの真っ青な空と空、そして真っ白な家並み、この景色を見に行きたくなってきました。


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by amore_spacey | 2017-03-12 02:01 | - Italian film | Comments(0)

Non essere cattivo

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (76点)

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【あらすじ】 1995年ローマ近郊の海の町オスティア。貧困と暴力がのさばる界隈で育った幼なじみのCesare(Luca Marinelli)とVittorio(Alessandro Borghi)は、20歳を過ぎた今でも兄弟のように仲がいい。毎日中古の車を乗り回し、昼間はドラッグや酒や喧嘩、夜はディスコで憂さ晴らし、日雇いの左官作業やケチな盗みやコカインの密売で、何とか暮らしている。しかしLinda(Roberta Mattei)に出会ってからVittorioは、こんなすさんだ生活から足を洗い、彼女と連れ子の3人で真っ当な暮らしをしたいと思うようになる。同じ頃Viviana(Silvia D'Amico)と親しくなったCesareも、きちんとした家庭を作りたいと考えるのだった。(作品の詳細はこちら


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うわーーっ、この生々しい臨場感は何なのだ!ドラッグ絡みのシーンは何度も観ているのに、本作品にはその場に居合わせたようなリアルな空気があり、嫌でも緊張感が高まる。錠剤を潰して粉にし、それをトランプのカードで1包みずつ分ける。細いストロー状にした紙を鼻に近づけて、テーブルに広げた白い粉を吸い込んだり、粉を指で歯茎に塗ったりする。ドラッグでトリップ状態になった表情が、そりゃもう怖過ぎて、固まっちゃいました。本物の薬物中毒者よりリアルかも。


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そんなCesareやVittorioなんだけど、優しくていいところがそれぞれにある。病気で寝たきりの姪っ子に、クマのぬいぐるみ(店先からかすめてきたものだけどね)をプレゼントするCesareは、まるで彼女の兄貴のようにいいヤツだし、Vittorioは結局Cesareを見捨てることができなかった。だって兄弟のように育ってきたんだから、アイツのことを放っておく訳にはいかないじゃないか。善と悪の間で振り子が大きく揺れるように悶々としながら、悪のスパイラルから抜け出せない2人を見ていると苦々しく思うが、本人たちにその気がなければ、状況改善は不可能だ。荒んだ暮らしを続けるのも、その生活に終止符を打つのも、本人次第だから。


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最悪の結末を予想していただけに、あのフィナーレに救われた。ホッとした。良くも悪くも、私たちの人生は続く。Luca MarinelliとAlessandro Borghi、迫真に迫る2人の演技に拍手喝采。


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by amore_spacey | 2016-06-20 03:44 | - Italian film | Comments(0)

Lo chiamavano Jeeg Robot (皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 ローマ。盗品の売買で小銭を稼ぐEnzo(Claudio Santamaria)は、盗みが見つかり警察に追われている最中に、ひょんなことから超人的パワーを手に入れた。初めはこのパワーを犯罪に悪用していたが、『鋼鉄ジーグ』の大ファンというAlessia(Ilenia Pastorelli)に出会って、彼の中にヒーローの心が芽生えていくのだった。1970年代に日本で公開されていた永井豪のロボット・アニメ『鋼鉄ジーグ』にインスパイアされた作品。2016年David di Donatello賞で新人監督賞・主演男女優賞・助演男女優賞など7部門を受賞。(作品の詳細はこちら


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公開前から、「これは面白い作品だ!」「イタリア初のスーパー・ヒーロー」「コミックを映画化したイタリア初の作品」「イタリア映画にも希望の兆しが見えてきた」と、評判は上々だったので、観に行ってきた。いやぁ、面白かった。皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」という日本語タイトルが、伊語タイトルの何倍も大きくスクリーンにバーンと出てきたのには驚いた。

ハリウッド的なスーパーヒーローを期待して行くと、面食らうかもしれない。何しろEnzoときたら超人的パワーを持ったあとも、ぼってり太った冴えない男のままだし(Claudio Santamariaは役作りのため20kg増量)、ヒーローとして活躍するときも、防空頭巾のような子供騙しの変身道具を身につけるだけだから。殴られたり刺されたりすれば、痣が出来たり血が流れたりする。喜びや悲しみの感情もある。隣の兄ちゃんが、ここぞというときに身体を張って守ってくれるような存在で、血も涙もないサイボーグやロボットとは違うのだ。因みにClaudioは映画の中のアニメの吹き替えも担当し、エンド・ロールで流れる「鋼鉄ジーグのテーマ」も歌ってる。


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ヨーグルトとAV以外には、何の関心もなかったEnzo。その彼を変えたのはAlessiaの一途で無垢な心だった。母を失ったことで心を病み、夢と現実がごちゃまぜの中をふわふわ生きている女の子だが、当初はお荷物的な存在だった彼女のお陰で、Enzoは人間的な感情を取り戻すのだ。Alessiaを悲しませたくない、誰かの役に立ちたい、Enzoは生まれて初めてそんな気持ちに駆られる。Alessia役のIlenia Pastorelliの演技は素晴らしかったが、語尾を飲み込むような超コテコテなローマ弁が殆ど聞き取れず、激しくもやもや~~~。字幕をつけて下さーい!


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さて、登場人物の中で一番濃い滑稽なキャラで笑わせてくれたのは、Lo Zingaro=Fabio Cannizzaroだ。悪党ぶりといいキレっぷりといい、一度見たら忘れられない強烈な容貌や目元といい、どれをとっても可笑しくて仕方がない。Luca Marinelliの怪演が光っていた。イカレまくっている頭の中はお子ちゃまレベルで、ひたすら有名になりたくてしょうがない。いかにして自分の存在を世間にアピールするか?が最重要課題だから、ボクちゃんもEnzoの超人パワーが欲しいよぉーってな訳です。彼も愛情に飢えた寂しい人なんですね。


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by amore_spacey | 2016-05-17 00:50 | - Italian film | Comments(2)

Veloce come il vento (ゴッド・スピード・ユー!)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (85点)

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【あらすじ】 代々ラリーのチャンピオンを出した家に生まれたGiulia(Matilda De Angelis)は、有望なツーリングカーのドライバーである。父の指導の下、たった17歳でGiuliaは、GT選手権参加を目標に、数々のレースに参加して腕を磨いた。しかし父の死によって全てが一変し、Giuliaはレースも自分の人生も、1人で立ち向かわねばならなくなる。
 ところが父の葬式当日、10年も顔を見せなかった兄Loris(Stefano Accorsi)が、彼女を連れてひょっこり帰ってきた。数々のラリーに優勝した輝かしい過去をもつLorisだが、薬物依存に陥り、いまや見る影もない。そんな兄が父に代わってGiuliaのコーチとして指導することになった。元ラリードライバーCarlo Caponeの半生からインスピレーションを受けて映画化された。(作品の詳細はこちら


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うわぁぁ、最初から最後までテンションが高くて、アドレナリン上昇しっ放し。車やレースに全く興味がない人も、レースの詳細が分からない人も、あっと言うまに引き込まれ、まるで自分がドライバーになったかのような、臨場感あふれる素晴らしいカメラアングル&演出&フィルム編集に唸るはず。スポーツ(と言っても色々あるが、今回は自動車レース)を軸に家族のあり方を描いたイタリア映画は、これが最初かもしれない。しかもウェットじゃない。突き抜けた感のある潔いドラマ展開が、家族をテーマにした従来のイタリア映画とは一線を画している。

自動車産業が盛んで、F1王国でもあるエミリア・ロマーニャ地方を舞台にしたアクション・ムービー、しかもStefano Accorsiが出ていると聞いて、公開初日に観にいった。イモラの町やサーキットを舞台に、スピード&躍動感あり、束の間の静寂あり、アイロニーを含んだ笑いありの、期待を裏切らないドラマチックな作品だった。監督は弱冠34歳のMatteo Rovere。監督としては7本目の作品。


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いや、それにしてもAccorsiが登場したときには、場内一同唖然でした。全く別人&別キャラですもん。壊れ方が半端ない。完全にイッちゃってます。クールだったあのAccorsiはどこへ?しかもモデナ方言そっくりのイモラ方言で話すAccorsiがおかしくて、場内爆笑。久しぶりにエミリア・ロマーニャ地方を舞台にした作品に、ボローニャ生まれのAccorsiは懐かしさと郷土愛から、オファーを速攻でOKしたという。Lorisを演じるため、12キロ以上体重を落とし髪も伸ばした。目の下には隈がくっきり。目はうつろで、焦点もあわない。じっと立っていられず、いつもゆらゆら状態。そんな彼が一度(ひとたび)妹のコーチになると、見る間に本領を発揮し、自分らしさを取り戻していくのだ。


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Giuliaを演じたMatilda De Angelisは、本作品で主役デビューだが、あの落ち着きやしなやかさを、一体どこで身につけたんだろう?20歳とは思えない迫力に圧倒された。ありがちな恋愛物ではなく、男の世界を描いた作品で開花するなんてすごい。男勝りで負けず嫌いだけど、凹んだ時は年齢相応の無邪気な顔を覗かせる。キュートでカッコいい。彼女が歌う♪ SEVENTEEN ♪(音!)もタイトでカッコいい。どんな女優になっていくのか、楽しみだ。


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by amore_spacey | 2016-04-14 01:16 | - Italian film | Comments(0)

La cena (星降る夜のリストランテ)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】  ローマの街角にある小さなリストランテ。病気療養中の夫に代わって女主人Flora(Fanny Ardant)が切り盛りしている。冬の夕暮れ、いつものように店先に明かりが灯り、開店を告げる。ここに来る客たちは十人十色。さっそく常連の老詩人Maestro Pezzullo(Vittorio Gassman)がやってきた。(作品の詳細はこちら


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夜のリストランテに集う人々の人間模様を、開店から閉店までの間に起こる、テーブルごとの様々なエピソードと共に描かれたグランド・ホテル方式の会話劇。この店の客層は幅広く、シングルやカップルや友人や家族のほかに、インチキ占い師や不倫カップルなど、様々な客がやってくる。それぞれのテーブルで喋る他愛のない話や痴話喧嘩やホラ話が、途切れることなく流れる。

喋るために生まれてきたイタリア人だから、ごくありふれた話でも、彼らにかかると面白おかしいエピソードに早代わりする。この他愛のない話の積み重ねが人生そのものなのだ。この作品に大きな事件は登場しないが、テーブルごとの話から人々の暮らしを垣間見ることができる。


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起承転結のないドタバタコメディを引き締めているのが、濃いキャラクターを演じたGiancarlo Giannini やVittorio GassmanやStefania Sandrelliなど存在感のある役者たちや軟派なカメリエレ、そしてリストランテの女主人を演じるFanny Ardantの泰然自若としたホステス振りに尽きる。客と付かず離れずの絶妙な距離感や、客への暖かい言葉やまなざしなど、Fanny Ardantならではの雰囲気やオーラが、心地よかった。Ettore Scola監督と音楽担当のArmando Trovajoliが、Good job!


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by amore_spacey | 2016-04-01 21:29 | - Italian film | Comments(0)

Perfetti sconosciuti (おとなの事情)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 長年の友人である7人。Lele(Valerio Mastandrea)とCarlotta(Anna Foglietta)、Cosimo(Edoardo Leo)と Bianca(Alba Rohrwacher)の2組の夫婦とPeppe(Giuseppe Battiston)は、皆既月食の夜、Eva(Kasia Smutniak)とRocco(Marco Giallini)夫婦の家で開かれた夕食会に集まった。食事が始まって間もなくEvaが、親友や夫婦の間に秘密はないはずだから、全員携帯電話をテーブルに出して、夕食中に受信するメッセージや電話を、皆にオープンにするゲームをしようと提案する。その場の成り行きで、ゲームをすることになったが…。(作品の詳細はこちら


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本作品は夕食会の席で繰り広げられる辛口コメディの舞台劇で、『おとなのけんか』を彷彿させる。和やかに始まった夕食会で、あんな変なゲームをやってみない?なんて言い出すEvaってどうなの?実際にあんなことを言う人は、まぁ、いないでしょうが、やってみたら怖面白いかも。


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私たちの誰もが公的な顔とプライベートな顔を持ち、さらに自分だけの秘密を持って暮らしている。秘密の程度はピンきりで、人それぞれ。携帯電話の登場によって、この秘密(たとえば浮気)に拍車がかかったかもしれない。そう考えると、携帯と秘密の関係って、なんとなく隠微よね、うふふっ。固定電話の時代より、浮気のハードルが確実に下がった。

みんなの携帯電話には、一体どんなメッセージが届いているのかな?それが誰かの目に触れたら…。本作品でも息をつく間もなく、次々に小さなハプニングが起きる。そのたびに7人の間にはさざなみが立ち、次第に大きなうねりとなっていく。視聴者も、ハラハラ&ドキドキ。そして、「ああ、もう、絶体絶命!」な事件の勃発で、修復不可能なところまで行ってしまう。さあ、どうする?どうなる?いや、その前に、時間の長短はあるものの、それぞれのカップルは、一緒に暮らしてきた相手のことを、そこそこ知っていたつもりでいたのに、小さな亀裂によって、突然見知らぬ他人になってしまう怖さが、そこに隠されている。最後の1分に用意された、意外などんでん返しに、色々思うところがあり、面白かった。


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ゲームの行方以上に気になったのが、夕食会に登場したメニュー。スティック野菜やポルペッタ(肉団子)、ズッキーニの肉詰め?やじゃがいものニョッキのトマトソース、ミーとローフにローストポテト、そしてティラミス。お腹が空いたときに、観るもんじゃないわぁ。辛かった。


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by amore_spacey | 2016-03-16 02:32 | - Italian film | Comments(0)

Estate Violenta (激しい季節)

ネタばれあり

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 1943年夏。アドリア海沿岸の避暑地リッチョーネでは、兵役を逃れた上流社会の若者グループが青春を享楽していた。戦火を避けて帰ってきた、ファシスト党高官(Enrico Maria Salerno)の息子Carlo(Jean-Louis Trintignant)も、当然のようにこのグループに加わる。グループの中の幼なじみRosanna(Jacqueline Sassard)は、物静かなCarloに恋心を抱いていた。一方Carloは幼い少女を助けたことから、その母親Roberta(Eleonora Rossi Drago)に出会う。彼女は海軍将校の夫を、戦場で失ったばかりの未亡人だった。Robertaの美しさに、Carloは激しく惹かれていく。(作品の詳細はこちら


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大傑作ではないけれど、ふっとまた観てみたくなる作品である。『女ともだち』で、仕事に生きる女Cleliaを演じた、Eleonora Rossi Dragoの代表作と言われる。Catherine DeneuveやGrace KellyやIngrid Bergmanのような、気品と官能に満ちた美貌に恵まれた彼女が、当時としては大胆なベッドシーン(DVDではカット)を演じたことでも話題になった。日本で公開された昭和35年当時、主演女優がベッドシーンでヌードになったのは空前のことだったため、噂を聞きつけた殿方は映画館に殺到し、リピーターになったらしい。

いやぁ、女性の私もEleonoraの美しさに頭がクラクラしました。成熟した女性のエレガンスや余裕を感じさせ、彼女(当時34歳)より遥かに年上なのに、大人になりきれない中途半端な自分が恥ずかしい。


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Jean-Louis Trintignantは、形容し難い不思議な魅力のある役者だ。彼のまなざしには、動物的な感覚を呼び覚ます野生的なエロティズムがあり、抗えない魔力を持っている。不穏な空気を漂わせ、人の心をざわざわさせる。好きなタイプではないが、どこか気になる役者。逃亡中の列車がドイツ軍の爆撃を受けて、Carloは目が覚めた。祖国の若者が国のために戦っているというのに、自分は一体何をしているんだ?自分の人生だけでなく、未亡人の人生をも台無しにするといころだった。ラストシーンは本当に切ない。


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一度見たら忘れない、目鼻立ちがはっきりしたJacqueline Sassard(当時19歳)。みんなにちやほやして欲しい、自分が女王様でないと気がすまない。Rosannaに嫉妬し、嫌がらせをしたり、冷たく当たったり、Carloの前では拗ねてみせたり、ほんとに面倒くさい子。


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Robertaの母親(Lilla Brignone)の容貌も、脳裏に焼きついて離れない。大のファシスト嫌いで、愛想のない女だ。『レベッカ』に出てくるDanvers夫人のごとく、無表情で不気味。表情や喋り方も堅苦しく、女性特有の丸みが全くない。サボテンやカメを相手に喋っていたほうが、ずっと楽しくて心和むことでしょう。


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by amore_spacey | 2016-03-03 00:28 | - Italian film | Comments(0)

Suburra (暗黒街)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (84点)

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【あらすじ】 ローマ。2011年11月5日、第三次Berlusconi政権が退陣表明を出す1週間前。裏社会に強力なコネを持つ汚職政治家Filippo Malgradi(Pierfrancesco Favino)、父親の多額の負債を返済しなければならないVip専用ディスコの支配人Sebastiano(Elio Germano)、ローマ一帯を取り仕切る犯罪組織の若きボスNumero 8(Alessandro Borghi)、犯罪組織の昇格を目論むジプシー一族のボスManfredi Anacleti(Adamo Dionisi)、政界や裏社会やバチカンに顔が利き、ローマの犯罪組織の中で最も恐れられている帝王Samurai(Claudio Amendola)。
  ある事件をきっかけに交錯する彼らの人生を軸に、政界と裏社会のつながりや犯罪組織同士の反目、またそれらに巻き込まれる人々の人間模様を描く。Giancarlo De CataldoとCarlo Boniniの小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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緊張感が途切れることなく、最後まで目が離せなかった。やられたな。あの時の興奮や高揚感が未だに覚めやらず。タイトルのSuburraはローマ時代の地名で、権力と犯罪勢力が水面下でせめぎ合っていた区域を指す。


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根回し・ドラッグ・娼婦たちと3P・全裸でホテルのベランダから放尿・スキャンダルとその揉み消し・権力と金への執着・・・。人間のクズ、国民の敵、税金泥棒!鑑賞者の憎悪が、彼を集中砲撃する。そんな腐りきった政治家を、文字通り身体を張って熱演したPierfrancesco!本当に素晴らしかった。渾身の演技に感動。


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Elioが演じた、爬虫類のような冷たい皮膚で覆われたディスコの支配人。自分可愛さと保身のためなら、簡単に彼女を犯罪組織に売る。イケメンで優しいが、窮地に追い込まれると、この手の男は簡単に裏切る。錯乱状態に陥って、何をするか分からない。怖いノダ。


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義理人情や礼儀を重んじたかつての裏社会の、最後の生き残りと言われる男Samuraiを演じたAmendola。登場回数はそれほど多くないが、あの存在感を何と表現したらいいんだろう。圧倒的なカリスマを備えた役者だ。


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特筆すべき脇役たち。ジプシーのボスManfrediを演じたAdamo Dionisi、目ぢからが半端ないNumero 8(Alessandro Borghi)、そしてこの作品の中ではたぶん唯一、真っ当な愛の形を見せてくれたViola(Greta Scarano)にも拍手。


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by amore_spacey | 2015-10-22 00:27 | - Italian film | Comments(0)