カテゴリ:- Italian film( 241 )

フェリーニのローマ (Fellini Roma)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 リミニで生まれ育ったFederico Fellini(Peter Gonzales Falcon)は、第二次世界大戦中ローマに初めて出て、アパート暮らしを始める。監督の第二の故郷となった、愛するローマへの映像オマージュを編んだ作品。(作品の詳細はこちら


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ストーリーはほとんどないが、それ自体にあまり意味はない。監督の少年時代・青年期・現在を通して、彼の心に映るローマの風景が、断片的に映し出される。性に享楽する若者、社会問題、雑然としたアパートやその界隈、淫乱な女たち、下町の劇場や娼館、ヴァチカンでの俗悪なファッションショー、夜のローマを疾走する暴走族…。映像や音や人々の喧騒に身を委ねて観るくらいが、ちょうどいいかもしれない。監督自身も作品の中で、「映画は理論ではない」と明言している。


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庶民の暮らしぶりが生き生きとリアルに描かれ、これはやはり人間が好きな監督ならではの手腕だ。女たちが実に貪欲で逞しい。人々が集い、よく喋り飲んで食べて、踊って歌う。同じテーブルにつけば、もうあなたは家族も同然。

路面電車の線路を挟んで並べられたテーブル。あのシーンはロケではなく、当時のAppio Tuscolano界隈を、スタジオで忠実に再現したという。ちょうど6月下旬のSan Giovanniの日で、店の主(あるじ)がカタツムリの料理を皿に盛ったり、女の客がFellini青年に食べ方を教えるシーンが出てくる。この日はカタツムリを食べて(カタツムリの角から悪魔を連想し、その悪魔を追い払う意味で食べるらしい)お祝いするのだ。猥雑な下町で繰り広げられる人間の営みに、監督は愛情と郷愁の眼差しを注ぐ。このシーンは、何度みても飽きない。彼の人間愛の根本は、マンマへの愛に尽きるだろう。


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さてヴァチカンでのファッションショーは、絶対にあり得ないシチュエーションと、そこに登場する斬新なデザインの法衣が、意表を突いている。カトリックの総本山を抱えるイタリアならではの、唸るような面白おかしいエピソードだ。教会を冒涜する意図はなく、天上の存在と崇め奉るのでもない。敬意を表しつつも、聖職者の世俗的な部分に光を当てただけ。天皇の人間宣言のように、聖職者もまた人間なのです。

ローマを丸ごとひっくるめて愛するFellini。Nino Rotaの音楽がこれまた素晴らしい。Anna Magnani、Gore Vidal、Marcello Mastroianni、Alberto Sordi、Alvaro Amiciらのカメオ出演も、嬉しいサプライズだった。


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by amore_spacey | 2017-07-08 00:00 | - Italian film | Comments(0)

イタリア式離婚狂想曲 (Divorzio all’italiana)

ネタばれあり

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 シチリアの没落貴族Ferdinando(Marcello Mastroianni)は、連れ添って12年になる妻Rosalia(Daniela Rocca)に飽き飽きし、彼女が何度も死ぬ妄想にかられる。その上17歳の従妹Angela(Stefania Sandrelli)と恋仲になるが、妻と死別するほか再婚の望みはない。しかしイタリアでは、離婚が認められていなかった。そこで不貞した妻を殺害しても刑が極端に軽いという法律を悪用し、Ferdinandoは妻をそそのかして不貞を働かせ、名誉のために殺害したことにしようと計画する。1962年度カンヌ映画祭で最優秀喜劇映画賞、1963年アカデミー賞で脚本賞、同年のGolden Globe賞で主演男優賞(Marcello)を受賞。(作品の詳細はこちら


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封建的な色彩の強いシチリアを舞台に、地方色豊かな人間模様が生き生きと描かれている。それにしても、当時世界中の女性をときめかせたMarcello Mascroianni、その彼がこんなクズ男を演じるなんて、ビックリ。そりゃ、17歳のAngelaを前に、気持ちが浮ついても仕方がない。若くて美しく可憐で純真無垢の少女なんだもん、男なら気持ちがムラムラするじゃないか。女の私でも、当時15歳のStefania Sandrelliの美しさには、ため息が出る。だけどいい歳した男なんだから、心の中でひっそり恋愛を楽しめばいいものを、Angelaと結婚するために殺人を計画してしまう。中年オヤジが暴走すると、最強無敵。四六時中、殺すことばかり考えている。本作品でイケメンMarcelloが、飄々とした3枚目キャラで、滑稽な姿を晒してくれる。


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まぁ、しかし、倦怠期の夫婦って、こんなもんでしょうか。妻(または夫)がどんなに甲斐甲斐しく仕えても、夜の寝室で可愛らしく甘えてみても、夫(または妻)にとってはただ鬱陶しいだけ。古女房の存在そのものが、腹立たしいのだ。なるほど妻を演じたDaniela Roccaには、圧倒的な存在感があって暑苦しい。決して悪い人ではないけれど、一本に繋がった眉毛や、ヅラのような髪型が重苦しく、Ferdinandoの気持ちが分からないでもない。が、それで殺人って…。


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彼らを取り巻く脇役も、ユニークなキャラが揃っている。絵描きCarmeloを演じたLeopoldo Triesteの、困惑した表情やオドオドぶりが、時代も国籍も全く違うのに、なぜか滝藤賢一を彷彿させる。Ferdinandoのパパも助平で、女中の尻を撫でたり、自宅の窓からAngelaを双眼鏡で見たり。男はいくつになっても男だ。それからこの家のやる気のない若い女中や、時代遅れの貞操観念をもったAngelaのパパ、ゴシップ大好きな村の人々など、誰もが主役のような濃いキャラで目が離せない。あのラストシーンに、ニヤリ( ̄ー ̄)


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by amore_spacey | 2017-06-28 00:17 | - Italian film | Comments(0)

いつもの見知らぬ男たち (I Soliti Ignoti)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 Peppe(Vittorio Gassman)、Mario(Renato Salvatori)、Cosimo(Memmo Carotenuto)、Campanelle(Carlo Pisacane)、Ferribotte(Tiberio Murgia)、Tiberio(Marcello Mastroianni)の与太者たちは、簡単に金を稼ぐ方法を考えながら暮らしている。ある時、刑務所から出てきたばかりのPeppeは、質屋の金庫を奪う計画を思いついた。老獪な盗人のプロDante Cruciani(Totò)に指南を仰ぎ、何とか質屋の隣のアパートに侵入はできたのだが…。(作品の詳細はこちら


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まるで漫才を映画化したような作品で、笑いどころ満載。ワザや捻りがない、子どもレベルの笑いなので、笑いどころやオチはすぐに分かってしまうのに、釣られて笑ってしまう。それまでのイタリア映画は、敗戦後の社会問題を真正面から見つめたネオリアリズモ真っ只中の、暗くて絶望的なものばかりだったから、Mario Monicelli監督のこの作品は、当時の庶民には新鮮に映ったに違いない。しかし知識人たちは、「現実から目をそらして、こんな子供騙しのギャグで笑いをとるとは、けしからん!」と批判。Monicelliに続き、Luigi ComenciniやAntonio Pietrangeli、Dino Risi、Nanni Loy、Pietro Germi、Ettore Scolaらが起こした、イタリア式コメディ(Commedia all'italiana)のムーブメントが過小評価され、軽蔑的な意図で使われていたなんて、ね。この種の笑いは、イタリア人のDNAに組み込まれたものだと思う。

周到に計画を立てるのだが、どうも詰めが甘く、大事なところが抜けたりして、どんどんおかしな方向に流れていく。金庫破り決行に向かって緊張は高まるが、クライマックスで大崩壊!そしてそれまでの緊張感が、プッツンと切れてしまう。こりゃ、もう、笑うしかない。しかし金庫破りに失敗したんだから、これはやばい。現場からとっとと逃げるかと思いきや、台所で見つけたパスタと豆を、泥棒仲間で食べはじめて、すっかりくつろいでいる。計画が大失敗に終わって、皆プッツンです、あははっ。


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どうしようもない与太者たちの脇で、ひっそり楚々と咲く花。それは嫉妬深い兄を持つCarmelinaを演じたClaudia Cardinaleや、情報収集のためPeppeに誘惑されたNicolettaに扮したCarla Gravina。可憐で、綺麗でした。


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by amore_spacey | 2017-06-23 23:04 | - Italian film | Comments(0)

カビリアの夜 (Le notti di Cabiria)

ネタばれあり

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 貧しい暮らしの娼婦のMaria 'Cabiria' Ceccarelli(Giulietta Masina)は、いつか全うな人生を歩みたいと思っているが、その願いはなかなか叶わない。ある時は恋人に鞄を奪われたばかりか、川に突き落とされ、またある時は有名な映画俳優(Amedeo Nazzari)の気まぐれで、彼の屋敷に招かれるという千載一遇のチャンスに恵まれるが、愛人Jessy(Dorian Gray)の登場で冷たい扱いを受けてしまう。宗教にすがってみるが、これも役に立たず。そんなある日、ふらりと立ち寄った劇場で、Oscar D'Onofrio(François Périer)という男性に声を掛けられ、結婚を申し込まれる。(作品の詳細はこちら


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Cabiriaは、つくづく男運の悪い女だ。今度こそうまく行くかに見えるのに、最後に必ず裏切られる。冒頭のシーンからしてああだから、今までにも色んな目に遭ったんだろう。私だったら、川でのうのうと溺れてなんかいない。あの男をとっつかまえ、娼婦仲間たちの前で公開処刑です。映画俳優との一夜は、普通あり得ない話だから、残念な結果になったのは仕方がないでしょう。が、Oscarの仕打ちは断じて許せない。プロポーズのシーンで、「今度こそ大丈夫かな?幸せになってね」と思ったのに。ところでクズ男Oscarを演じたFrançois Périer、目元の涼しいイケメンですね。


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Cabiriaは打たれ強い女だ。どんな悲惨な状況にあっても立ち上がって、前を向いて進んでいく。生きているだけで、まるもうけってヤツです。彼女自身の強さもあるが、彼女だって1人で生きている訳ではない。頼りになるWanda(Franca Marzi)や娼婦仲間たち、毎日の暮らしの中で出会う人々のお陰で、苦しくったって、悲しくったって、生きていけるってもんです。


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Giulietta Masinaは決して目を見張るような美人ではなく、少年のような身体つきから中性的なイメージが強い。が、くっきりした眉毛やくるくるした瞳が愛らしく、揺るぎのない自分軸を持った表情に、はっとさせられる。映画俳優(Amedeo Nazzari)の屋敷に招かれたCabiriaの、好奇心に満ちた表情がとても印象的だ。またどの衣装も素敵で、セーラーカラーのワンピースは、よく似合っていた。Giulietta Masinaのように小柄で、気働きができる、そんな人を知っている。彼女も芯が強く、腹が据っている。


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by amore_spacey | 2017-06-22 00:53 | - Italian film | Comments(0)

愛のために戦地へ (In guerra per amore) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (74点)

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【あらすじ】 戦時中の1943年。ニューヨークのレストランで働くパレルモ出身のArturo(Pif)は、店のオーナーの姪Flora(Miriam Leone)と愛し合っている。だがFloraは在米マフィアの大物の一味の若い男と結婚を強いられている。愛し合う2人の結婚を可能にするのは、彼女の父親だけ。そこでArturoは、シチリアに住むFloraの父から、結婚の許可を得るため、シチリアに上陸しようと画策する米軍に入隊し、シチリアに赴任する。ところが米軍はシチリア占領をスムーズに進めるため、地元のマフィアと密約を結んでいたのだった。(作品の詳細はこちら


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ArturoとFloraのラブストーリーに、マフィアをめぐる激動のイタリア近現代史を絡め、アメリカ軍のシチリア上陸がもたらした影響にも触れている。

とても真面目で誠実なんだけど、どこか抜けていて今一つ頼りなさそうなArturoを見ていると、まどろっこしくやきもきして、「大丈夫か?」「頑張れよ!」と、つい応援したくなる。コメディ路線を貫きながらも、彼を取り巻くコミカルな空気の端々から、当時の不安定な国情(イタリアは、色んな意味でいつも不安定ですが)やシチリアの暮らしやマフィア・米軍・市民の関係が垣間見えてくる。


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マフィアの存在は、あくまでも脇役に過ぎない。アイロニーを込めた目線で捉え、マフィアの滑稽な道化師っぷりは、乾いた笑いを誘う。が、この道化師たちは、うまく立ち回って政治家と癒着し、じわじわとシチリアに根を張っていくのだ。そういった土壌にストーリーが展開していくので、口当たりの良いラブコメとは若干異なっている。ただマフィアの暗部に深く切り込んだ訳ではないので、ぽーんと問題提起はされたものの、「で?」と、もやもやが残るのは否めない。ま、娯楽作品としてなら重すぎず、これくらいがちょうどいいのだろう。


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史実とフィクションの絡ませ方がうまく、また視聴者を笑いに誘いながら、シチリアのマフィア問題にさりげなく触れる手法は、コメディ出身のPif監督らしい。目の見えない男と足の悪い男のコソ泥コンビや、空襲警報のたびにマリア像やムッソリーニ像を抱えて逃げる人々など、脇役たちが個性的で愉快だ。Philip中尉(Andrea Di Stefano)がまるでArturoの兄貴のような2人の関係が微笑ましく、彼らの友情は心温まるものだった。  


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by amore_spacey | 2017-05-12 01:14 | - Italian film | Comments(0)

歓びのトスカーナ (La pazza gioia)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 虚言癖でおしゃべりな自称・伯爵夫人Beatrice(Valeria Bruni Tedeschi)と、自分の殻に閉じこもった全身タトゥーの女Donatella(Micaela Ramazzotti)。社会復帰を助けるトスカーナの診療施設から脱走を図った2人は、破天荒な逃避行を繰り広げるなか、いつしか掛け替えのない絆で結ばれていく。2017年David Donatello賞で、作品賞や監督賞や主演女優賞(Valeria Bruni Tedeschi)など5部門受賞。(作品の詳細はこちら


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タイトルの語感から、弾けるような喜びに満ちた、軽いコメディタッチのドラマを想像していた。確かにBeatriceとDonatellaの逃避行は、Thelma & Louise (1991) を彷彿させるような珍道中だが、2人はどこでどう間違ったのか?人生に躓(つまづ)いて傷つき、心の奥に深い怒りや悲しみや後悔を抱えて生きている。

彼女たちの性格はコインの裏と表のように正反対で、事件が起きるたびに、それぞれのリアクションが面白いほど異なる。Beatriceが光なら、Donatellaは闇。自称・伯爵夫人のBeatriceは、出鱈目な話を間断なくすることで現実から目をそむけ、自分を保っている。Donatellaは付き合った男に捨てられたばかりか、2人の間にできた子どもを認知してもらえず、その子も養子にとられてしまう。心の中は生々しい傷だらけで、その痛みに1人でじっと耐える。殻に閉じこもることで、崖っぷちから転落しないように、なんとか踏みとどまっている。


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この2人を演じたValeriaとMicaelaが、まぁ、実に素晴らしかった。舞台劇のような幾分大袈裟な演技も、Valeriaにかかると、俄然、真実味を帯びてきて、「ああ、こんな人いる」と思わせ、説得力があった。テンションが高く、口を開けば嘘がよどみなく出てくる。あそこまで流暢に次から次へと嘘が出てくると、もうあっぱれ!一緒にいたら非常に疲れるタイプだが、どこか愛嬌があって憎みきれない。一方Micaelaはげっそり痩せて頬がおちくぼみ、全身のタトゥーが嫌でも人目をひく。絶望に沈んだまなざしが痛々しくやるせない。すっかり笑いを忘れた彼女に、施設の先輩であるBeatriceが、あれこれ世話を焼こうとする。Donatellaが気になる存在なのだ。

けれどまるでピエロのように面白おかしく、時には狂ったように陽気な振る舞いで、刹那的に生きるBeatriceに、Donatellaは戸惑いを隠せない。嘘の話でどんなに誤魔化しても、現実は変わらないことを知っているから。厳しい現実を味わったDonatellaは、幸せな時間のあとに襲って来る、あの何とも言いようのない寂しさや重苦しさが、もはや恐怖でしかない。対照的な2人の性格や生き方に、「それはそうだけど…」と言いつつも、そのどこかに自分の姿が重なるような、何かしら共感できる部分があり、知らないうちに引き込まれる。


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背負っている人生は違うが、束の間の逃避行で、何かが少し変わった。現状は、依然、変わらない。しかし2人の間に相手を気遣う愛情が芽生え、傷ついた心を癒してくれる。心を通わせる相手がそばにいて、気持ちがふわっと軽くなる支えがあるというのは、愛に飢えた2人にとって最高の癒しに違いない。養子に出された子どもに再会し、辛い過去など忘れて海で戯れる、こんな束の間の幸せも、私たちの日常に思いがけなく訪れる。人生、悪いこともあれば、いいこともあるよ。


 
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by amore_spacey | 2017-04-26 01:21 | - Italian film | Comments(0)

Io che amo solo te

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (73点)

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【あらすじ】 プーリア地方はプリニャーノ。50歳になるNinella(Maria Pia Calzone)とDon Mimi(Michele Placido)は、若い頃に大恋愛をしたが結婚できなかった。しかし運命は思いがけないプレゼントをしてくれる。彼女の娘Chiara(Laura Chiatti)と彼の息子Damiano(Riccardo Scamarcio)が、めでたく結婚することになったのだ。順調に式の準備がすすめられ、ついに結婚式当日を迎える。Luca Bianchini.の小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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久しぶりのイタリア映画。本作品は若い2人の結婚式までの3日間を描く。運命は時に、思いがけないプレゼントをしてくれるが、この手の話は漫画や小説や映画で語り尽くされているので、それほど目新しくはない。この作品の面白さは、結婚する主役の2人を取り囲む、家族や友人・知人たちの濃いキャラクターや、舞台となったプリニャーノの町や海の美しさにある。


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主役を演じるLaura ChiattiとRiccardo Scamarcioは、共演作品が多いせいか、まるで2人の私生活を垣間見ているように自然だ。デビュー当時のRiccardoはカッコつけすぎで鼻についたが、最近の彼は肩の力がいい具合に抜けてきて、ラブコメもなかなか面白い。昨年Valeria Golinoと別れたRiccardoは、Lauraと本格的に付き合っているのかしら?

因みにRiccardoの元カノValeriaは、14歳歳下のプロデューサーと、それが破局したあと、現在は23歳歳下の彼と付き合っている。どっちもRiccardoの友だちなんだけど、元カレの友だちから彼を調達するValeriaってどうなの?


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大事件は起きないが、やっかいで面倒な親戚や友人たちが揃い、ネタには事欠かない。結婚前から未来の姑2人が、花嫁の衣装を巡ってバトルを繰り広げたり、式を控えた花婿がこともあろうに、一夜限りの浮気をしたり(おいおい)…

花嫁には何と!服役中の叔父Franco(Antonio Gerardi)がいる。しかも半日の出所許可をもらって式に出席するらしい。世間体を気にする花婿側から、「とんでもない」「欠席させろ!」 花嫁の叔母Dora(Luciana Littizzetto)は、噂話が三度のメシより好きで、ひっきりなしにお喋り。こんな人が身内にいたら、ホントに疲れるが、私の身内にもいる、いる。面倒くさい人で、可能な限り顔を合わせたくないデス。


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そして花婿の弟Orlando(Eugenio Franceschini)が、実はゲイだった!しかし世間体を気にする母のため、Daniela(Eva Riccobono)を彼女として連れて来るが、彼女はレズビアン。しかも弟は、式の祝辞でカミングアウトする暴挙に出たから、さあ大変!

でもこのドタバタ劇が、静かに収束する。愛し合っても結婚できなかったNinellaとDon Mimiが、最初で最後のダンスを踊る。そして式の後Dom Mimiが求愛するも、「これ以上望むものはないくらい最高に幸せ。素敵な思い出にしておきましょう」と言って立ち去るNinellaが、毅然として素晴らしかった。賢明な決断でしょう。これをみて、また夏のプーリアの真っ青な空と空、そして真っ白な家並み、この景色を見に行きたくなってきました。


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by amore_spacey | 2017-03-12 02:01 | - Italian film | Comments(0)

Non essere cattivo

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (76点)

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【あらすじ】 1995年ローマ近郊の海の町オスティア。貧困と暴力がのさばる界隈で育った幼なじみのCesare(Luca Marinelli)とVittorio(Alessandro Borghi)は、20歳を過ぎた今でも兄弟のように仲がいい。毎日中古の車を乗り回し、昼間はドラッグや酒や喧嘩、夜はディスコで憂さ晴らし、日雇いの左官作業やケチな盗みやコカインの密売で、何とか暮らしている。しかしLinda(Roberta Mattei)に出会ってからVittorioは、こんなすさんだ生活から足を洗い、彼女と連れ子の3人で真っ当な暮らしをしたいと思うようになる。同じ頃Viviana(Silvia D'Amico)と親しくなったCesareも、きちんとした家庭を作りたいと考えるのだった。(作品の詳細はこちら


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うわーーっ、この生々しい臨場感は何なのだ!ドラッグ絡みのシーンは何度も観ているのに、本作品にはその場に居合わせたようなリアルな空気があり、嫌でも緊張感が高まる。錠剤を潰して粉にし、それをトランプのカードで1包みずつ分ける。細いストロー状にした紙を鼻に近づけて、テーブルに広げた白い粉を吸い込んだり、粉を指で歯茎に塗ったりする。ドラッグでトリップ状態になった表情が、そりゃもう怖過ぎて、固まっちゃいました。本物の薬物中毒者よりリアルかも。


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そんなCesareやVittorioなんだけど、優しくていいところがそれぞれにある。病気で寝たきりの姪っ子に、クマのぬいぐるみ(店先からかすめてきたものだけどね)をプレゼントするCesareは、まるで彼女の兄貴のようにいいヤツだし、Vittorioは結局Cesareを見捨てることができなかった。だって兄弟のように育ってきたんだから、アイツのことを放っておく訳にはいかないじゃないか。善と悪の間で振り子が大きく揺れるように悶々としながら、悪のスパイラルから抜け出せない2人を見ていると苦々しく思うが、本人たちにその気がなければ、状況改善は不可能だ。荒んだ暮らしを続けるのも、その生活に終止符を打つのも、本人次第だから。


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最悪の結末を予想していただけに、あのフィナーレに救われた。ホッとした。良くも悪くも、私たちの人生は続く。Luca MarinelliとAlessandro Borghi、迫真に迫る2人の演技に拍手喝采。


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by amore_spacey | 2016-06-20 03:44 | - Italian film | Comments(0)

Lo chiamavano Jeeg Robot (皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 ローマ。盗品の売買で小銭を稼ぐEnzo(Claudio Santamaria)は、盗みが見つかり警察に追われている最中に、ひょんなことから超人的パワーを手に入れた。初めはこのパワーを犯罪に悪用していたが、『鋼鉄ジーグ』の大ファンというAlessia(Ilenia Pastorelli)に出会って、彼の中にヒーローの心が芽生えていくのだった。1970年代に日本で公開されていた永井豪のロボット・アニメ『鋼鉄ジーグ』にインスパイアされた作品。2016年David di Donatello賞で新人監督賞・主演男女優賞・助演男女優賞など7部門を受賞。(作品の詳細はこちら


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公開前から、「これは面白い作品だ!」「イタリア初のスーパー・ヒーロー」「コミックを映画化したイタリア初の作品」「イタリア映画にも希望の兆しが見えてきた」と、評判は上々だったので、観に行ってきた。いやぁ、面白かった。皆はこう呼んだ「鋼鉄ジーグ」という日本語タイトルが、伊語タイトルの何倍も大きくスクリーンにバーンと出てきたのには驚いた。

ハリウッド的なスーパーヒーローを期待して行くと、面食らうかもしれない。何しろEnzoときたら超人的パワーを持ったあとも、ぼってり太った冴えない男のままだし(Claudio Santamariaは役作りのため20kg増量)、ヒーローとして活躍するときも、防空頭巾のような子供騙しの変身道具を身につけるだけだから。殴られたり刺されたりすれば、痣が出来たり血が流れたりする。喜びや悲しみの感情もある。隣の兄ちゃんが、ここぞというときに身体を張って守ってくれるような存在で、血も涙もないサイボーグやロボットとは違うのだ。因みにClaudioは映画の中のアニメの吹き替えも担当し、エンド・ロールで流れる「鋼鉄ジーグのテーマ」も歌ってる。


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ヨーグルトとAV以外には、何の関心もなかったEnzo。その彼を変えたのはAlessiaの一途で無垢な心だった。母を失ったことで心を病み、夢と現実がごちゃまぜの中をふわふわ生きている女の子だが、当初はお荷物的な存在だった彼女のお陰で、Enzoは人間的な感情を取り戻すのだ。Alessiaを悲しませたくない、誰かの役に立ちたい、Enzoは生まれて初めてそんな気持ちに駆られる。Alessia役のIlenia Pastorelliの演技は素晴らしかったが、語尾を飲み込むような超コテコテなローマ弁が殆ど聞き取れず、激しくもやもや~~~。字幕をつけて下さーい!


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さて、登場人物の中で一番濃い滑稽なキャラで笑わせてくれたのは、Lo Zingaro=Fabio Cannizzaroだ。悪党ぶりといいキレっぷりといい、一度見たら忘れられない強烈な容貌や目元といい、どれをとっても可笑しくて仕方がない。Luca Marinelliの怪演が光っていた。イカレまくっている頭の中はお子ちゃまレベルで、ひたすら有名になりたくてしょうがない。いかにして自分の存在を世間にアピールするか?が最重要課題だから、ボクちゃんもEnzoの超人パワーが欲しいよぉーってな訳です。彼も愛情に飢えた寂しい人なんですね。


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by amore_spacey | 2016-05-17 00:50 | - Italian film | Comments(2)

Veloce come il vento (ゴッド・スピード・ユー!)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (85点)

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【あらすじ】 代々ラリーのチャンピオンを出した家に生まれたGiulia(Matilda De Angelis)は、有望なツーリングカーのドライバーである。父の指導の下、たった17歳でGiuliaは、GT選手権参加を目標に、数々のレースに参加して腕を磨いた。しかし父の死によって全てが一変し、Giuliaはレースも自分の人生も、1人で立ち向かわねばならなくなる。
 ところが父の葬式当日、10年も顔を見せなかった兄Loris(Stefano Accorsi)が、彼女を連れてひょっこり帰ってきた。数々のラリーに優勝した輝かしい過去をもつLorisだが、薬物依存に陥り、いまや見る影もない。そんな兄が父に代わってGiuliaのコーチとして指導することになった。元ラリードライバーCarlo Caponeの半生からインスピレーションを受けて映画化された。(作品の詳細はこちら


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うわぁぁ、最初から最後までテンションが高くて、アドレナリン上昇しっ放し。車やレースに全く興味がない人も、レースの詳細が分からない人も、あっと言うまに引き込まれ、まるで自分がドライバーになったかのような、臨場感あふれる素晴らしいカメラアングル&演出&フィルム編集に唸るはず。スポーツ(と言っても色々あるが、今回は自動車レース)を軸に家族のあり方を描いたイタリア映画は、これが最初かもしれない。しかもウェットじゃない。突き抜けた感のある潔いドラマ展開が、家族をテーマにした従来のイタリア映画とは一線を画している。

自動車産業が盛んで、F1王国でもあるエミリア・ロマーニャ地方を舞台にしたアクション・ムービー、しかもStefano Accorsiが出ていると聞いて、公開初日に観にいった。イモラの町やサーキットを舞台に、スピード&躍動感あり、束の間の静寂あり、アイロニーを含んだ笑いありの、期待を裏切らないドラマチックな作品だった。監督は弱冠34歳のMatteo Rovere。監督としては7本目の作品。


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いや、それにしてもAccorsiが登場したときには、場内一同唖然でした。全く別人&別キャラですもん。壊れ方が半端ない。完全にイッちゃってます。クールだったあのAccorsiはどこへ?しかもモデナ方言そっくりのイモラ方言で話すAccorsiがおかしくて、場内爆笑。久しぶりにエミリア・ロマーニャ地方を舞台にした作品に、ボローニャ生まれのAccorsiは懐かしさと郷土愛から、オファーを速攻でOKしたという。Lorisを演じるため、12キロ以上体重を落とし髪も伸ばした。目の下には隈がくっきり。目はうつろで、焦点もあわない。じっと立っていられず、いつもゆらゆら状態。そんな彼が一度(ひとたび)妹のコーチになると、見る間に本領を発揮し、自分らしさを取り戻していくのだ。


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Giuliaを演じたMatilda De Angelisは、本作品で主役デビューだが、あの落ち着きやしなやかさを、一体どこで身につけたんだろう?20歳とは思えない迫力に圧倒された。ありがちな恋愛物ではなく、男の世界を描いた作品で開花するなんてすごい。男勝りで負けず嫌いだけど、凹んだ時は年齢相応の無邪気な顔を覗かせる。キュートでカッコいい。彼女が歌う♪ SEVENTEEN ♪(音!)もタイトでカッコいい。どんな女優になっていくのか、楽しみだ。


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by amore_spacey | 2016-04-14 01:16 | - Italian film | Comments(0)