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ローマの休日 その2 (Roman Holiday) 

私のお気に入り度 ★★★★☆ (94点)

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【あらすじ】 翌朝、彼女がAnn王女(Audrey Hepburn)であることを知ったJoe(Gregory Peck)はスクープをものにするチャンス喜び、ローマ見物の案内役をひきうけた。Joeの魂胆も知らず、王女はまず床屋で髪を短く切り、1日中のびのびと遊び歩いた。
 Joeの同僚のカメラマンIrving Radovich(Eddie Albert)は、隠し持った小型カメラで、ぬけ目なく王女の行動をスナップした。一方、王女失踪で大使館は、上を下への大騒ぎ。しかし世間に公表するわけにも行かず、本国から秘密探偵をよびよせて、捜査に当らせた。(作品の詳細はこちら


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その1では脇役について書いたが、今回は王女とJoeのロマンチックなシーンを取り上げる。パジャマを着ているのに、喉元まで上げた掛け布団を、しっかり手で押さえる王女。


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この理容室はなくなり、普通の店になっていた気がする。当時は彼女のショートカットが大流行した。前髪パッツンが良く似合う。


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ジェラート・ブームに火をつけた、スペイン階段のシーン。王女はジェラートを舐め終わったあと、コーンは捨ててしまう。撮影当時40℃をこえる暑さで、あっという間にとけてドロドロになってしまう。内心焦りながらジェラートを舐めてたかも?


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王女とJoeとIrvingの3人は、映画史上(たぶん)最強のトリオ。ミニチュア・フェチの私は、ライター式のカメラに目がくぎづけになった。Bar Roccaも、今はもうない。


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ヴェスパやフィアットの500の売り上げが増大。このあと警察のお世話になるが、Joeの咄嗟のウソ「結婚ほやほやの夫婦」で釈放。被害届けも取り下げられ、皆から祝福されるという展開。ええ、確かに事情があれば、見逃してくれることもある。女性警官の場合は、まずムリだけど。


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このシーンがなかったら、真実の口は今ほど注目されなかったでしょう。映画のお陰で、ローマを訪れる観光客が激増した。


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とてもいい雰囲気で踊る2人。


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びしょぬれの2人が、初めてのキスをかわす。とても自然なキスに、胸きゅん。


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Joeのアパートのバスルームから出てくる王女が、とても大人っぽくしっとりした雰囲気に包まれて、ドキッとしたんだけど、2人は身も心も結ばれたのでしょうか。


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このシーンは…もう、何と言っていいのか…。これで2度と会うことはないのよ、永遠に。こんな出会いも、もう2度とないの。言いたいことはたくさんあるのに、言葉にできない2人。ええい、もう、駆け落ちしちゃえーーー!


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たった一日で見違える成長を遂げた王女。ラストシーンの凛とした姿が忘れられない。そして名残惜しそうに立ち去るJoe。この作品の成功には、Dalton Trumboによる脚本も一役買っている。世界中の人々に、永遠に愛され続ける作品の1つになるだろう。


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オフの時間に、トランプで遊ぶ2人。彼らの交友は長く続いた。Audreyが亡くなったときGregoryは、彼女が大好きだったインドの詩人・思想家Rabindranath TagoreのUnending Loveを朗読して、最期のお別れをした。


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by amore_spacey | 2017-07-14 00:41 | - Other film | Comments(2)

ローマの休日 その1 (Roman Holiday)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (90点)

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【あらすじ】 ヨーロッパ最古の王室の王位継承者であるAnn王女(Audrey Hepburn)は、欧州各国を親善旅行で訪れていた。ローマでも公務を無難にこなしていだが、これまでのハードスケジュールで疲れやストレスが溜まっていた。
 主治医に鎮静剤を投与されるものの、気の高ぶりからか逆に目が冴えてしまった彼女は、こっそり夜のローマの街へ繰り出すことに。やがて薬が効いてくると、ベンチで寝入ってしまった。そこへ偶然通りかかったアメリカ人の新聞記者Joe(Gregory Peck)は、彼女を一国の王女であることも知らずに、自分のアパートで休ませるのだが…。(作品の詳細はこちら


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不朽の名作。ローマから戻ってくると、必ず観てしまう。そして新たな感動に包まれ、幸せな気持ちになる。大学の卒業旅行で、映画とほぼ同じコースを歩いた。スペイン階段でジェラートを食べたり、真実の口に手を入れたり…、楽しかったなぁ。ただ、車の中のAnn王女のお手振りに、やや違和感が。手の向きが違うような気がするのですが…。


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この作品には、魅力的な脇役がたくさん登場する。王女を取り巻くお付きの者たち。脱げた王女の靴を見た、侍従たちの表情といったら!庶民代表のタクシーの運転手も、人間味溢れていた。車内に王女を残したままJoeが立ち去ろうとした時、「ちょっと待たんかい!」 逃がすもんか!とばかりにJoeの袖を掴んだ、素早い反射神経や慌てっぷりが愉快だった。

場面変わって、Via Margutta 51にあるJoeのアパート。鉄砲をかついで、王女のいるアパートの入り口を警備する守衛のおじいさんが、大袈裟で可笑しい。彼はJoeが王女に幾らかお金を貸す現場を、遠くから目撃してしまう。あれは、勘違いをしても仕方がない状況だ。当時のお札が異様に長くて大きいのに、ビックリ。財布もデカかったんだろう。


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バッサリ切っていいという王女にビビって、何度も確認する理容師Mario Delani(Paolo Carlini)が、Christohper Plummer似のイケメンだったりする。Joeの部屋の掃除をする女性や、メルカートので靴を売るシニョーラも、明るくて威勢がいい。


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William Wyler監督の2人の娘さんが、エキストラ出演している。トレヴィの泉でJoeにカメラを取られそうになる女の子が、11歳の次女Judy、それを見て先生を呼ぶのが14歳の長女Catherine。あの時のメガネをかけた先生が、いかにも由緒正しいお嬢様学校にいそうだ。


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初めてみたときから、この秘密探偵(↑右側)が結構好きだった。真面目でコワモテだけど、とんでもない(可笑しな)ことをやらかしそうな雰囲気がある。


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スクープ記事で一儲けを目論んだJoeと同僚のIrving(Eddie Albert)だが、王女にすっかり魅了され、Joeは自分の心の卑しさを恥じる。


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Irvingが渡した封筒を開け、写真をちらっと見る王女。目が一瞬、泳ぐ。あの日の出来事は3人の秘密。この大人対応が素晴らしい。あれが今の時代で、スクープ狙いのブン屋につかまったりしていたら、SNSでダダ漏れだったかも。


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Hugh JackmanやGeorge ClooneyやClark GableやCary Grantのいいとこ取りをしたような、当時37歳のダンディなGregory。Audreyは24歳。



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by amore_spacey | 2017-07-12 00:46 | - Other film | Comments(2)

レッド・ノーズ・デー・アクチュアリー (Red Nose Day Actually)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (90点)

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【あらすじ】 『ラブ・アクチュアリー』(2003年)に登場する人々の、14年後を描いた。(作品の詳細はこちら


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今年のレッド・ノーズ・デー(1985年から始まったチャリティー・イヴェントで、奇数年の3月に開催)のプログラムの中で、とりわけ注目されたのが、このショート・フィルムだった。イヴェント設立者の1人で、脚本家&監督のRichard Curtisが、彼の監督作品でもある『ラブ・アクチュアリー』の続編を作ってくれたんですから、ラヴ・アクが大好きな私としては、そりゃもう、テンションが上がるってもんです。

彼らのその後も気になるが、何よりも、あの素晴らしいキャストが、また私たちのところに帰ってきてくれた!それだけで、と~っても幸せ。某モデルのカメオ出演も、嬉しいサプライズだった。10分足らずの作品ですが、まるで同窓会に出たような懐かしさを覚え、うるうる。ああ、またラブ・アクを見直したくなってきたァ。


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Alan Rickmanと熟年夫婦を演じたEmma Thompsonは、出演を辞退した。「Alan Rickmanの死がまだあまりにも記憶に新しく、出演する気持ちになれない」と。同じような気持ちのRichard Curtis監督も、彼らの14年後をどう描いたらよいのか、良いアイデアが浮ばなかったという(涙)


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その代わりと言ってはなんですが、5月に追加された米国ヴァージョンには、Laura LinneyとPatrick Dempsey(ニューエントリー)のシーンが、追加されている。因みに去年のショートフィルムは、『ゲーム・オブ・スローンズ ミュージカル』でした。


 
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by amore_spacey | 2017-05-28 23:37 | - Other film | Comments(0)

ハンバーガー帝国のヒミツ (The Founder) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (74点)

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【あらすじ】 1954年、シェイクミキサーのセールスマン、Ray Kroc(Michael Keaton)に8台もの注文が飛び込む。注文先はMac(John Carroll Lynch)とDick(Nick Offerman)のMacDonald兄弟が経営する、カリフォルニア州南部にあるバーガーショップ「マクドナルド」だった。合理的なサービス・コスト削減・高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したKrocは兄弟を説得し、「マクドナルド」のフランチャイズ化を展開する。しかし、利益を追求するKrocと兄弟の関係は次第に悪化し、彼らは全面対決へと発展した。実話をもとにしたドラマを映画化。(作品の詳細はこちら


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今でこそマックのハンバーガーは誰もが知るありふれたファーストフードで、あまりにも当たり前すぎてそのルーツを考えたことすらなかったから、その意味ではとても興味深い作品だった。もともとはバーベキュー屋だったのが、注文を受けてからわずか30秒でハンバーガーを出すショップに生まれ変わるなんて、世の中がひっくり返るような出来事だったに違いない。

当時のドライブインのシステムも、なかなか興味深かった。車に乗ったまま注文したメニューを、ウェイトレスがトレイにのせて車ごとにサービスしてくれる。食べ終わったあとも、ウェイトレスが回収に来てくれたのかしら?車から一歩も下りなくても、車内で食事ができる。このアイデアだって、十分に画期的だ。


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MacDonald兄弟のハンバーガーショップで、Krocが初めてハンバーガーを注文して食べるシーンは、黒船が来航した江戸市民の脳内を見ているようで、なかなか愉快だった。ハンバーガーの入った紙袋を前に、Krocはあっけにとられる。トレイもなければ、フォークやナイフもないからだ。自己啓発書の元祖的な『積極的思考の力』というレコードを聞き、ビジネスの世界では成功した者だけが勝ち組!というモットーを叩き込んだ彼が、ハンバーガーごときに振り回され、脳みそを絞って真剣に考えるなんて、滑稽すぎるでしょ。


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このシーンを見て思い出したのは、1971年9月18日に初めて発売されたカップヌードル。カップに熱湯を注いで3分で食べられる。鍋も丼もいらない。販売当初は透明のプラスチックのフォークも付いていたから、箸も不要。お湯を沸かして注げば出来上がり!なんて、魔法のラーメンだった。上にのったフリーズドライの肉・エビ・卵・ネギは、あの頃からミニチュア・フェチだった私のハートを鷲づかみ。友人宅に遊びにいくと、おやつとして出してもらったこともあったなぁ。


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by amore_spacey | 2017-05-24 04:07 | - Other film | Comments(4)

ラッキー・ブレイク (Lucky Break)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 いつも失敗ばかりの冴えない泥棒Jimmy(James Nesbitt)は、今度もドジを踏んで刑務所行きとなった。そこで再会したかつての相棒Rud(Lennie James)と2人で、脱獄を目論む。
 そんなある日、無類のミュージカル好きのMortimer所長(Christopher Plummer)が、自作のミュージカル公演を催すことを発表した。公演のどさくさに紛れて脱走を企てるJimmyは、千載一遇のチャンスとばかりに出演を承諾し、仲間集めに奔走する。主役に抜擢されたJimmyの相手役が美人カウンセラーのAnnabel(Olivia Williams)ときて、すっかり気をよくした彼は、さっそく舞台の準備と同時に脱獄の計画を練り始めるのだった。(作品の詳細はこちら


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ずいぶん突飛な話で突っ込み所満載だけれど、コメディタッチで最後まで楽しめる。ゆるくて小さな笑いがふんだんに用意されているお陰で、ちょっぴりシリアスなシーンも登場するが、深刻になり過ぎないのも、さらっと観るにはちょうどいい。

まず冒頭で銀行強盗に失敗するJimmyとRudのお粗末な2人、こんなコンビで果たして脱獄計画が成功するのか?この時点で既に視聴者はかなり心配になり、行方が気になってくる。彼らに続いて登場する人々が、これまた個性的で、ミュージカルに紛れた脱獄計画に向かって一致団結し、悲喜こもごものドラマを見せてくれるのだ。


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この作品を観たかったのは、『手紙は憶えている』同様、Christopher Plummerがピアノを弾いているから。そのシーンも堪能したけれど(短すぎる!もっと観たかった&聴きたかった)、端正な容貌に似合わないお茶目な所作に萌えました(*^^*) 彼の自作ミュージカルが、『ネルソン提督』って…(爆) しかも囚人たちの演技が小学生レベルなのに、公演終了後、所長ったら感極まって涙を流してるし、ププッ。Christopherのやり過ぎない2枚目半が、チャーミングで素敵だ。


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ミュージカルに出演する囚人たちも、個性の強い人たちばかり。火遊び大好きな青年、出所したら家族3人で幸せな家庭を夢見るCliff(Timothy Spall)、自分が育てるトマトに異常な愛を示す男、荒々しく乱暴な大男、計画を横取りしようとする奴。

それからそこにいるだけでおかしいRog(Bill Nighy:物腰が柔らかく上品で頭は切れるが、腕力ゼロな役柄がピッタリ。圧倒的な存在感があるわけではないのに、何となく印象に残る)、演技指導する?気弱なメガネ男(Julian Barratt:オタク系イケメン?気になる)、囚人たちに目を光らせ彼らの行く手を阻む看守(Ron Cook)、そして美しいカウンセラーAnnabel。それぞれの役割や立ち位置がはっきりしているので、とても分かりやすく、私向きの作品だった。ところでPeter Cattaneo監督は、英国TVドラマ『REV』の監督だったんですね。


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by amore_spacey | 2017-05-05 00:11 | - Other film | Comments(2)

ラッシュ/プライドと友情 (Rush)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 性格もレーススタイルも相反するF1レーサー、Niki Lauda(Daniel Brühl)とJames Hunt(Chris Hemsworth)が、激しい首位争いを繰り広げていた1976年。ランキング1位だったLaudaは、ドイツ大会の大事故で、大火傷を負いながらも、事故後6週間でレースに復帰し、日本の富士スピードウェイでシリーズ最後のレースに臨む。(作品の詳細はこちら


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Ayrton SennaやAlain Prost以降のF1しか知らないけれど、それでも十分に楽しめた。後半はアドレナリン上昇マックスで、コックピットやレーサーが座る低い位置からとらえた、スピード感があり、臨場感あふれる映像は圧巻だった。まるで自分がハンドルを握って、マシンを走らせているかのようだ。鳥肌が立つようなF1マシンのエンジン音や、Hans ZimmerのBGMが、更に雰囲気を盛り上げ、めちゃくちゃかっこいい。レース終了後は、緊張が解けて私もぐったりでした。


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しかし何と言っても、キャスティングの素晴らしさに唸った。主役の2人を演じるDanielとChrisが、本人たちに良く似ているだけでなく、キャラの演じ分けがお見事というほかはない。Chirs演じるHuntのチャラ男っぷりには、笑いました。「おれが首位をとってやる」という単純なライバル意識が、レースを重ねるうちに、互いを高めあう最高のパートナーとなり、成熟した大人の友情が生まれる。その過程をクールな視点で描き、主役の2人が絶妙の呼吸で演じた。


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『グッバイ、レーニン!』で初めてDanielを観て以来、時おりふっと気になる役者だ。見るからに生真面目ではにかみ屋、思慮深くて真っ直ぐで一途なんだけど、不器用な性格が時に災いすることもある。そんな彼を見ていると、思わず母性本能が刺激される。薄い唇をきっと結んだ表情が、特に好き。安定した演技は、実力派として今後も大いに期待できそうです。そんな彼がLauda役に抜擢されたのは、宿命でしょう。残念なのは、邦題のサブタイトル。プライドと友情って...?あまりにも雑な処理に、泣けてきます。


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by amore_spacey | 2017-04-19 00:23 | - Other film | Comments(6)

人生はビギナーズ (Beginners)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 息子のOliver(Ewan McGregor)に、ゲイであることをカミングアウトしたHal(Christopher Plummer)は、44年連れ添った妻に先立たれ、自身もガンを宣告されるが、75歳にして新たな人生をスタートさせた。一方イラストレーターのOliverは38歳になっても、内気な性格からなかなか恋をすることができない。しかし父が亡くなった後、仲間から誘われたパーティーで、運命の女性Anna(Mélanie Laurent)と出会った。2012年のアカデミー賞&Golden Globeなど30以上の映画賞で、Christopher Plummerが助演男優賞を受賞。(作品の詳細はこちら


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Oliverは始終むっつりとして殆ど笑わないし、ミュージシャンに依頼されたCDのジャケットのイラストが、孤独に満ちた寂しいものばかり。はっきりしない曇り空のようなトーンに覆われ、少々気が滅入った。が、この鬱屈した重苦しさこそ、Oliverが子どもの頃から抱えてきたもので、そこから脱出できず悶々としている。喜怒哀楽のないだるい雰囲気が、Ewan McGregorからじわっと滲み出ていた。


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こんなOliverを中心に、ゲイをカミングアウトした父、その父を丸ごと包み込んでくれる男友だちAndy、Oliverに似てなかなか他人に心を開くことができないAnna、そして愛する人には絶大な信頼を寄せる父の愛犬Arthurと、なかなか個性的な人々が、微妙な距離を保ちながら関わりあっていく。

ゲイをカミングアウトし、残された自分の人生を謳歌するHalを演じたChristopher Plummerが、想像以上に素晴らしかった。さすがベテラン役者で、こなれている。魅力的で清潔な色気があり、幾つになっても現役俳優で、様々な役柄に挑んでいる。そんな生き方をする彼を、1人の人間として尊敬する。


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Halは息子の心を、むりやりこじ開けようとはしない。自分の生き様をみせることで、息子が初めの1歩を踏み出せるように導くのだ。そんな姿に戸惑いつつも、父の愛情に触れて、Oliverの中で何かがカタンと音を立てる。

Annaと出会ったことも良かった。子どもの頃、家族(とくに母親)に思い切り甘えられなかった寂しさが癒され、Annaも自分に似たOliverを愛しく思い、2人の距離が徐々に縮まっていく。人生ってなかなか思うようにはいかない。でも自分はこのままでいい。ここで1歩を踏み出せば、何かが変わるかもしれない。それにしても、愛犬Arthurの可愛らしいこと!こんな愛くるしい子を前にしたら、誰でも無防備になります。


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by amore_spacey | 2017-04-10 01:22 | - Other film | Comments(0)

トレヴィの泉で二度目の恋を (Elsa & Fred)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 共に人生を歩んできた妻を亡くした80歳のFred(Christopher Plummer)は、引っ越したアパートで自由奔放な隣人のElsa(Shirley MacLaine)と出会う。ひょんなことからFredに惹(ひ)かれたElsaは、頑固な彼に心を開いてもらおうと奮闘。やがて二人は惹(ひ)かれ合うが、実はElsaにはある秘密があった。(作品の詳細はこちら


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良くも悪くもこの作品は、Elsaの魅力なくしては成り立たないでしょう。自由奔放に生きる74歳のElisaが、携帯を持ちながら片手運転したり、後ろの車に当て逃げしたり、勘定を払わないで食い逃げしたり(あのデザート、すごくおいしそう)と、これが実母や姑といった身内の話だったら、迷惑以外の何ものでもなく、全く笑えない。が、これは映画の世界で、夢想家とも嘘つきとも思える憎めないElisaの特異なキャラを、幾つになってもキュートなShirley MacLaineが魅力的に演じ、「またそういう嘘をついて…」と苦笑しながらも、可愛らしくて何となく許せてしまう。


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こんなエキセントリックな彼女に翻弄されつつも、徐々に引き込まれていったFred。しょぼくれた頑固爺さんが、Elsaに心を開き2人で一緒に笑うようになるにつれ、気難しい頑固な表情がどんどん柔和になり、とても素敵な男性に生まれ変わっていく過程は、微笑ましいものだ。

Federico Fellini監督の『甘い生活』へのオマージュという形をとりつつ、ローマのトレヴィの泉のシーン(Shirleyのヅラ+ドレス姿は、うーん)は、心憎い演出でした。素敵な衣装に身を包んで、男性にエスコートして欲しい。愛の言葉を囁いて欲しい。幾つになっても、女性は夢見る少女です。Elisaらしいエンディングに、またクスッと笑い、余韻を噛み締めました。タイトルが、残念。


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by amore_spacey | 2017-04-05 02:01 | - Other film | Comments(0)

ジョン・ウィック チャプター2 (John Wick - Chapter 2)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (73点)

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【あらすじ】 引退の身から呼び戻された伝説の暗殺者John Wick(Keanu Reeves)は、かつて血の契約を結んだ、国際的な暗殺組織を乗っ取ろうとする殺し屋仲間Santino D'Antonio(Riccardo Scamarcio)の依頼を受け、ローマへ飛び、世界最強の殺し屋たちと対決することになる。(作品の詳細はこちら


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本作は『ジョン・ウィック』の続編で、舞台はNYとローマ。突っ込みどころ満載ですが、頭を空っぽにして楽しめる痛快アクションもの。前作はシリーズ第一弾という新鮮味に助けられ、ぐいぐい引き込まれて観た。今回も期待を裏切らず、黒スーツでビシッと決め、悲しい表情で容赦なく悪党を殺していくKeanuが、ゾクゾクするほどクールで、前回よりもパワーアップしたアクションを披露してくれた。が、アクション・シーンがワンパターンで長かった。Ruby Roseも全く必要なかったな。


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今回はローマが舞台なので、イタリア人役者が多数参加している。『ローマでアモーレ』『ロンドン・スパイ』『二ツ星の料理人』、そしてこの2月にクランクアップしたばかりの『Andorra』など、国際舞台に進出するRiccardo Scamarcioが、最初から最後までほぼ出突っ張り、退場の仕方も潔かった。贔屓目になるが、Keanuと並んでも遜色なく、なかなかパワフルで見応えがあったと思う。しかし、あの髪型は…ないな(苦笑) ラブコメの軽いノリのRiccardoもいいが、暗黒街や戦乱の世に生きる男が似合う。


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緊張を強いられるアクションシーンの合間に、『マトリックス』仲間のLaurence Fishburneや、殺し屋御用達コンチネンタル・ホテルの強面ホテルマンLance Reddickが登場すると、知り合いに会ったような懐かしさがこみ上げ、気持ちが和む。素晴らしい脇役たちが、作品にメリハリを出してくれていた。


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倍返しなんて生ぬるいもんじゃない、「誰が来ようが皆殺しだ」と言い切るJohn、。しかし彼はあの世界の掟を破ったため、全てを敵にまわしてしまった。不死身のJohnも、Chapter 3で永遠の引退(=死)なんてことになるのかしら?暗殺組織の会長Winston(Ian McShane)が、彼を始末する?(涙) Chapter 3がとても気になります。


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by amore_spacey | 2017-03-27 02:22 | - Other film | Comments(0)

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 (Jackie)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 1963年11月22日、テキサス州ダラスでパレード中、夫John・F・Kennedy大統領(Caspar Phillipson)が、群衆とファーストレディJacqueline Kennedy(Natalie Portman)の目前で暗殺された。しかし愛する夫の死を悲しむ暇もなく、葬儀を執り仕切り、代わりに昇格する副大統領の大統領就任式に立ち会い、更にホワイトハウスから出て行かなければならない。また事態を飲みこめない幼い二人の子供たちへの対応に苦しみ、夫の命を奪った犯人に怒り、様々な感情がJackieを襲う中、何よりも彼女の心を占めたのは、暗殺されるや否や夫が「過去の人」として語られることへの憤りだった。(作品の詳細はこちら


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銃声のあと、後部トランクに上がったJackie、大統領夫妻を守るべくシークレット・サービスが後部トランクに駆け上がる。世界中を震撼させたKennedy大統領暗殺の映像は、私たちの脳裏に刻印され、そこで時間は止まったまま。あの後も、夫妻を乗せた車が病院に向かって走り続けていった現実を、私たちは知らない。その後のJackieについて私が知っているのは、ギリシャの実業家Onassisと再婚したことだけだ。育ちがよく気品があり才色兼備で当時のファッション・リーダーだった。今でも彼女のグラビアが出され、知性と気品のある女性をJackieに例えられるが、どれだけ贔屓目に見ようとしても彼女に好感が持てない。


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本作は、極度に断片化されたJackieの個人史、暗殺から葬儀までの4日間を彼女がどんな思いで過ごしたのか、ジャーナリスト(Billy Crudup)が迫る。暗殺事件を歴史的な視点で捉えた作品と異なり、4日間のJackieの心の動きを追うスタイルは興味深い。

あんな過酷な状況の中でさえ、ブレることなく、妻として母としてファーストレディとして、彼女は使命を全うした。身も心もバラバラになりそうな彼女を辛うじて支えていたのは、自分の使命。悲しみよりも優先することがある。夫の名が後世まで語り継がれるかどうかは、私の采配にかかっている。夫が築き上げたものを、単なる過去には決してさせない。この私が、夫を伝説にしてみせる。そしてその使命の底に、悲劇のファーストレディの姿を映画のように人々の心に焼きつけ、永遠に語り継がれていって欲しいというJackieの願望も、見え隠れする。新しいアメリカ、新しいホワイトハウスのイメージに奔走したという彼女らしい、一世一代の演出だったに違いない。

そんな彼女を演じたNatalie Portmanは、Jackieを研究し尽くして作品に臨んだだけあって、申し分なかった。良い意味での生真面目さがあり、残された記録や映像などをもとに、知られざるJackieの素顔を忠実に再現したのは素晴らしい。が、それ以上でもそれ以下でもなかった。Natalieの優等生的な演技よりも、Jackieが過ごした4日間や、ジャーナリストの控えめながら的を得た問いに惹きつけられた。ところで・・・Johnson副大統領の大統領宣誓が、エアフォースワン機内!で行われたとは、知りませんでした。Jackieは一体どんな気持ちで、就任式に立ち会ったのでしょう。


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by amore_spacey | 2017-02-25 00:25 | - Other film | Comments(2)