カテゴリ:- Other film( 343 )

ラッシュ/プライドと友情 (Rush)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 性格もレーススタイルも相反するF1レーサー、Niki Lauda(Daniel Brühl)とJames Hunt(Chris Hemsworth)が、激しい首位争いを繰り広げていた1976年。ランキング1位だったLaudaは、ドイツ大会の大事故で、大火傷を負いながらも、事故後6週間でレースに復帰し、日本の富士スピードウェイでシリーズ最後のレースに臨む。(作品の詳細はこちら


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Ayrton SennaやAlain Prost以降のF1しか知らないけれど、それでも十分に楽しめた。後半はアドレナリン上昇マックスで、コックピットやレーサーが座る低い位置からとらえた、スピード感があり、臨場感あふれる映像は圧巻だった。まるで自分がハンドルを握って、マシンを走らせているかのようだ。鳥肌が立つようなF1マシンのエンジン音や、Hans ZimmerのBGMが、更に雰囲気を盛り上げ、めちゃくちゃかっこいい。レース終了後は、緊張が解けて私もぐったりでした。


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しかし何と言っても、キャスティングの素晴らしさに唸った。主役の2人を演じるDanielとChrisが、本人たちに良く似ているだけでなく、キャラの演じ分けがお見事というほかはない。Chirs演じるHuntのチャラ男っぷりには、笑いました。「おれが首位をとってやる」という単純なライバル意識が、レースを重ねるうちに、互いを高めあう最高のパートナーとなり、成熟した大人の友情が生まれる。その過程をクールな視点で描き、主役の2人が絶妙の呼吸で演じた。


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『グッバイ、レーニン!』で初めてDanielを観て以来、時おりふっと気になる役者だ。見るからに生真面目ではにかみ屋、思慮深くて真っ直ぐで一途なんだけど、不器用な性格が時に災いすることもある。そんな彼を見ていると、思わず母性本能が刺激される。薄い唇をきっと結んだ表情が、特に好き。安定した演技は、実力派として今後も大いに期待できそうです。そんな彼がLauda役に抜擢されたのは、宿命でしょう。残念なのは、邦題のサブタイトル。プライドと友情って...?あまりにも雑な処理に、泣けてきます。


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by amore_spacey | 2017-04-19 00:23 | - Other film | Comments(4)

人生はビギナーズ (Beginners)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 息子のOliver(Ewan McGregor)に、ゲイであることをカミングアウトしたHal(Christopher Plummer)は、44年連れ添った妻に先立たれ、自身もガンを宣告されるが、75歳にして新たな人生をスタートさせた。一方イラストレーターのOliverは38歳になっても、内気な性格からなかなか恋をすることができない。しかし父が亡くなった後、仲間から誘われたパーティーで、運命の女性Anna(Mélanie Laurent)と出会った。2012年のアカデミー賞&Golden Globeなど30以上の映画賞で、Christopher Plummerが助演男優賞を受賞。(作品の詳細はこちら


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Oliverは始終むっつりとして殆ど笑わないし、ミュージシャンに依頼されたCDのジャケットのイラストが、孤独に満ちた寂しいものばかり。はっきりしない曇り空のようなトーンに覆われ、少々気が滅入った。が、この鬱屈した重苦しさこそ、Oliverが子どもの頃から抱えてきたもので、そこから脱出できず悶々としている。喜怒哀楽のないだるい雰囲気が、Ewan McGregorからじわっと滲み出ていた。


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こんなOliverを中心に、ゲイをカミングアウトした父、その父を丸ごと包み込んでくれる男友だちAndy、Oliverに似てなかなか他人に心を開くことができないAnna、そして愛する人には絶大な信頼を寄せる父の愛犬Arthurと、なかなか個性的な人々が、微妙な距離を保ちながら関わりあっていく。

ゲイをカミングアウトし、残された自分の人生を謳歌するHalを演じたChristopher Plummerが、想像以上に素晴らしかった。さすがベテラン役者で、こなれている。魅力的で清潔な色気があり、幾つになっても現役俳優で、様々な役柄に挑んでいる。そんな生き方をする彼を、1人の人間として尊敬する。


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Halは息子の心を、むりやりこじ開けようとはしない。自分の生き様をみせることで、息子が初めの1歩を踏み出せるように導くのだ。そんな姿に戸惑いつつも、父の愛情に触れて、Oliverの中で何かがカタンと音を立てる。

Annaと出会ったことも良かった。子どもの頃、家族(とくに母親)に思い切り甘えられなかった寂しさが癒され、Annaも自分に似たOliverを愛しく思い、2人の距離が徐々に縮まっていく。人生ってなかなか思うようにはいかない。でも自分はこのままでいい。ここで1歩を踏み出せば、何かが変わるかもしれない。それにしても、愛犬Arthurの可愛らしいこと!こんな愛くるしい子を前にしたら、誰でも無防備になります。


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by amore_spacey | 2017-04-10 01:22 | - Other film | Comments(0)

トレヴィの泉で二度目の恋を (Elsa & Fred)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 共に人生を歩んできた妻を亡くした80歳のFred(Christopher Plummer)は、引っ越したアパートで自由奔放な隣人のElsa(Shirley MacLaine)と出会う。ひょんなことからFredに惹(ひ)かれたElsaは、頑固な彼に心を開いてもらおうと奮闘。やがて二人は惹(ひ)かれ合うが、実はElsaにはある秘密があった。(作品の詳細はこちら


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良くも悪くもこの作品は、Elsaの魅力なくしては成り立たないでしょう。自由奔放に生きる74歳のElisaが、携帯を持ちながら片手運転したり、後ろの車に当て逃げしたり、勘定を払わないで食い逃げしたり(あのデザート、すごくおいしそう)と、これが実母や姑といった身内の話だったら、迷惑以外の何ものでもなく、全く笑えない。が、これは映画の世界で、夢想家とも嘘つきとも思える憎めないElisaの特異なキャラを、幾つになってもキュートなShirley MacLaineが魅力的に演じ、「またそういう嘘をついて…」と苦笑しながらも、可愛らしくて何となく許せてしまう。


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こんなエキセントリックな彼女に翻弄されつつも、徐々に引き込まれていったFred。しょぼくれた頑固爺さんが、Elsaに心を開き2人で一緒に笑うようになるにつれ、気難しい頑固な表情がどんどん柔和になり、とても素敵な男性に生まれ変わっていく過程は、微笑ましいものだ。

Federico Fellini監督の『甘い生活』へのオマージュという形をとりつつ、ローマのトレヴィの泉のシーン(Shirleyのヅラ+ドレス姿は、うーん)は、心憎い演出でした。素敵な衣装に身を包んで、男性にエスコートして欲しい。愛の言葉を囁いて欲しい。幾つになっても、女性は夢見る少女です。Elisaらしいエンディングに、またクスッと笑い、余韻を噛み締めました。タイトルが、残念。


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by amore_spacey | 2017-04-05 02:01 | - Other film | Comments(0)

ジョン・ウィック チャプター2 (John Wick - Chapter 2)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (73点)

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【あらすじ】 引退の身から呼び戻された伝説の暗殺者John Wick(Keanu Reeves)は、かつて血の契約を結んだ、国際的な暗殺組織を乗っ取ろうとする殺し屋仲間Santino D'Antonio(Riccardo Scamarcio)の依頼を受け、ローマへ飛び、世界最強の殺し屋たちと対決することになる。(作品の詳細はこちら


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本作は『ジョン・ウィック』の続編で、舞台はNYとローマ。突っ込みどころ満載ですが、頭を空っぽにして楽しめる痛快アクションもの。前作はシリーズ第一弾という新鮮味に助けられ、ぐいぐい引き込まれて観た。今回も期待を裏切らず、黒スーツでビシッと決め、悲しい表情で容赦なく悪党を殺していくKeanuが、ゾクゾクするほどクールで、前回よりもパワーアップしたアクションを披露してくれた。が、アクション・シーンがワンパターンで長かった。Ruby Roseも全く必要なかったな。


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今回はローマが舞台なので、イタリア人役者が多数参加している。『ローマでアモーレ』『ロンドン・スパイ』『二ツ星の料理人』、そしてこの2月にクランクアップしたばかりの『Andorra』など、国際舞台に進出するRiccardo Scamarcioが、最初から最後までほぼ出突っ張り、退場の仕方も潔かった。贔屓目になるが、Keanuと並んでも遜色なく、なかなかパワフルで見応えがあったと思う。しかし、あの髪型は…ないな(苦笑) ラブコメの軽いノリのRiccardoもいいが、暗黒街や戦乱の世に生きる男が似合う。


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緊張を強いられるアクションシーンの合間に、『マトリックス』仲間のLaurence Fishburneや、殺し屋御用達コンチネンタル・ホテルの強面ホテルマンLance Reddickが登場すると、知り合いに会ったような懐かしさがこみ上げ、気持ちが和む。素晴らしい脇役たちが、作品にメリハリを出してくれていた。


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倍返しなんて生ぬるいもんじゃない、「誰が来ようが皆殺しだ」と言い切るJohn、。しかし彼はあの世界の掟を破ったため、全てを敵にまわしてしまった。不死身のJohnも、Chapter 3で永遠の引退(=死)なんてことになるのかしら?暗殺組織の会長Winston(Ian McShane)が、彼を始末する?(涙) Chapter 3がとても気になります。


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by amore_spacey | 2017-03-27 02:22 | - Other film | Comments(0)

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 (Jackie)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 1963年11月22日、テキサス州ダラスでパレード中、夫John・F・Kennedy大統領(Caspar Phillipson)が、群衆とファーストレディJacqueline Kennedy(Natalie Portman)の目前で暗殺された。しかし愛する夫の死を悲しむ暇もなく、葬儀を執り仕切り、代わりに昇格する副大統領の大統領就任式に立ち会い、更にホワイトハウスから出て行かなければならない。また事態を飲みこめない幼い二人の子供たちへの対応に苦しみ、夫の命を奪った犯人に怒り、様々な感情がJackieを襲う中、何よりも彼女の心を占めたのは、暗殺されるや否や夫が「過去の人」として語られることへの憤りだった。(作品の詳細はこちら


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銃声のあと、後部トランクに上がったJackie、大統領夫妻を守るべくシークレット・サービスが後部トランクに駆け上がる。世界中を震撼させたKennedy大統領暗殺の映像は、私たちの脳裏に刻印され、そこで時間は止まったまま。あの後も、夫妻を乗せた車が病院に向かって走り続けていった現実を、私たちは知らない。その後のJackieについて私が知っているのは、ギリシャの実業家Onassisと再婚したことだけだ。育ちがよく気品があり才色兼備で当時のファッション・リーダーだった。今でも彼女のグラビアが出され、知性と気品のある女性をJackieに例えられるが、どれだけ贔屓目に見ようとしても彼女に好感が持てない。


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本作は、極度に断片化されたJackieの個人史、暗殺から葬儀までの4日間を彼女がどんな思いで過ごしたのか、ジャーナリスト(Billy Crudup)が迫る。暗殺事件を歴史的な視点で捉えた作品と異なり、4日間のJackieの心の動きを追うスタイルは興味深い。

あんな過酷な状況の中でさえ、ブレることなく、妻として母としてファーストレディとして、彼女は使命を全うした。身も心もバラバラになりそうな彼女を辛うじて支えていたのは、自分の使命。悲しみよりも優先することがある。夫の名が後世まで語り継がれるかどうかは、私の采配にかかっている。夫が築き上げたものを、単なる過去には決してさせない。この私が、夫を伝説にしてみせる。そしてその使命の底に、悲劇のファーストレディの姿を映画のように人々の心に焼きつけ、永遠に語り継がれていって欲しいというJackieの願望も、見え隠れする。新しいアメリカ、新しいホワイトハウスのイメージに奔走したという彼女らしい、一世一代の演出だったに違いない。

そんな彼女を演じたNatalie Portmanは、Jackieを研究し尽くして作品に臨んだだけあって、申し分なかった。良い意味での生真面目さがあり、残された記録や映像などをもとに、知られざるJackieの素顔を忠実に再現したのは素晴らしい。が、それ以上でもそれ以下でもなかった。Natalieの優等生的な演技よりも、Jackieが過ごした4日間や、ジャーナリストの控えめながら的を得た問いに惹きつけられた。ところで・・・Johnson副大統領の大統領宣誓が、エアフォースワン機内!で行われたとは、知りませんでした。Jackieは一体どんな気持ちで、就任式に立ち会ったのでしょう。


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by amore_spacey | 2017-02-25 00:25 | - Other film | Comments(2)

マリアンヌ (Allied)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (68点)

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【あらすじ】 1942年、極秘諜報員のMax(Brad Pitt)とフランス軍レジスタンスのMarianne(Marion Cotillard)は、ドイツ大使暗殺という重大な任務のためカサブランカで出会う。二人は敵の裏をかくため夫婦を装い、任務の機会をうかがっていた。その後、ロンドンで再会し次第に惹(ひ)かれ合った二人は愛を育んでいくが、Marianneは愛するMaxにも打ち明けられない秘密を持っていた。(作品の詳細はこちら


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BrapiとMarion Cotillardのカップリングに新鮮味を感じて、観てみました。話は淡々と進んでいき、特にこれと言った感動や驚きやどんでん返しもなく、ほぼ予想通りの結末を迎えて終了。チーン!BrapiとMarionは、とても絵になる美しいカップルなんですが、それだけでした。


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まず舞台になったカサブランカ、あれはスタジオでのセット撮影というのが隠し様もなく、一気に興ざめ。主役の2人のなれそめがさっぱり分からないし、愛し合っているのに柔らかい愛情が感じられず、パサパサで味気ないったらありません。

戦時下の諜報員、しかも偽装夫婦というドキドキの設定なのに、ここだけ別空間?ってなくらい、妙に落ち着いた空気が流れ、手に汗を握るようなシーンも殆どない。悪女の本領を発揮してくれるか?と最後のどんでん返しを期待したけれど、こちらも空振り。脚本に従って忠実に再現してみました!な作品で、主役の2人はとても目の保養になった(Brapi若いなとか、Marionの背中が綺麗だなとか…)ものの、「こりゃ、あんまりだわ」なレベルで残念。


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by amore_spacey | 2017-02-22 02:33 | - Other film | Comments(4)

マダム・フローレンス!夢見るふたり (Florence Foster Jenkins) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 Florence Foster Jenkins(Meryl Streep)はニューヨーク社交界のトップとして華やかな毎日を送る一方、ソプラノ歌手を目指して活動しているが、その歌唱力は音痴というしかない絶望的なレベルだった。夫St Clair Bayfield(Hugh Grant)は、マスコミを買収したり、理解者だけを集めた小規模なリサイタルを開いたりと、病を抱えながらも夢を追う彼女を支えていた。そんな中Florenceが、カーネギーホールで歌いたいと言い始める。実話をもとに映画化。(作品の詳細はこちら


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予告編を観た時には、「音痴を自覚していない金持ちマダムの道楽?」で、スルーするつもりだったのに、Hugh Grantが気になって観てしまった。いやぁ、観てよかった。正解でした。冒頭からFlorenceが超音痴な声で歌うシーンに、なぁんだ、やっぱりドタバタコメディだったのかと脱力するやら、夫のSt ClairがFlorenceの邸宅から出て、タクシーで別の家に行くとKathleen(Rebecca Ferguson)という若い愛人がいるという展開に、「ぇえーーーっ、二股かけてる?(◎∇◎)」 状況が良く飲み込めず、これってHughお得意のパターン?彼って未だに90年代のラブコメ路線を引きずっているのかしらと、目眩がするやら…。

それは私の早合点で、事実婚の関係にあった2人は、音楽を通した人間愛によって固く結ばれていたのでした。最初の結婚で夫から移された梅毒は、当時不治の病とされ、Florenceは死に怯えなら生きてきた。治療の副作用で体力を失い、左手も不自由になってピアニストの夢を断念せざるを得なかった。そんな彼女を支えていたのは、幼い頃から愛してやまなかった音楽だった。音楽は彼女に生きる力を与えてくれたのだ。

さて夫のSt Clairはというと、妻が梅毒に罹っているため肉体関係が持てない。だから?妻に内緒で外に愛人をもつのだが、そういった事情であれば仕方がないのかも。ただどうして妻にあそこまで献身的だったのか、初めは不思議で仕方がなかった。遺産目当て?なんて邪推してしまうが、もう見た通りSt Clairは妻のことを心の底から愛していたのだ。

歌っている時の幸せに満ちた彼女の表情を見るのが大好きで、それがそのまま自分の幸せになった。世間知らずなところもあるが、無邪気で純真無垢な妻が、可愛くて愛しくて仕方がなかった。カーネギーホールで歌いたいという妻の夢も叶えてやりたい。Florenceには人をひきつける不思議な魅力があり、守ってやらねばという気持ちになる。だから彼女の歌声をバカにする奴らを見たとき、思わず頭に血が上り、詰め寄って食ってかかる。あのシーンはグッときました。夫を演じたHugh様ですが、56歳という年齢相応にしわが増え、笑うと顔中しわくちゃになっちゃうんだけど、いい感じに歳を取ったなぁと思います。相変わらず軽薄な雰囲気も残っていて、若い頃より断然好感度が高い。


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脇役たちも、芸達者が揃っていた。特にピアノ伴奏者Cosméを演じたSimon Helbergったら、もうお茶目で愛嬌たっぷりで、いちいち目が離せなかった。彼のボケや突っ込みが、そのまま私たち観客の目線で、「へっ?」とか「それ、マジっすか?」な表情や、その場の空気が読めず目が泳いでしまったりする、世間擦れしていないぎこちなさが、もうバカ受けでした。


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初めてFlorenceの声を聴き、あまりの酷さに堪(こら)え切れず爆笑するNina(Agnes Stark)。外に連れ出されたあとも床で笑い転げていたが(そこまで笑う?)、カーネギーホールでは嘲笑する兵士たちを叱責してFlorenceを励ますという、心温まるエピソードを残している。誰もが認める音痴だが、人の心をつかむ魅力的なFlorenceの歌声が、戦時下の人々にひとときの夢をもたらしてくれたに違いない。


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by amore_spacey | 2017-02-03 00:36 | - Other film | Comments(4)

Arme riddere (Jackpot) 

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 クリスマスを控えたある日、Oscar Svendsen(Kyrre Hellum)がストリップ・バーで目覚めると、8つの遺体に囲まれていた。自分は血まみれで、手にはショットガンを握っている、しかもSolør刑事(Henrik Mestad)に銃を向けられていた。記憶を辿っていくと、Oscarがサッカー賭博で一攫千金(=Jackpot)を得たことから、賞金を巡ってThor(Mads Ousdal)・Billy(Arthur Berning)・Tresko(Andreas Cappelen)たちと、どうやら仲間割れがあったらしい。実話をもとにしたJo Nesbøの小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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初めてノルウェイ映画を観た。こりゃ、すんげェや。これだけ突き抜けていると、道徳観念や倫理観なんて軽~く吹っ飛ぶ。しかも凄惨&グロテスクで猟奇的なシーンが続くのに、バックに流れる音楽が場違いに陽気、その描写も漫画チック・シュールすぎて、決して笑う場面ではないのに、おかしい。とにかくシュールでブラックな作品だ。

事の発端は、Oscarがサッカー賭博で、巨額の賞金を得たことにある。彼が強気でガツンと言える人間だったら、他の3人につけ込まれることはなく、賞金を山分けしようなんて流れにはならなかったはず。ところが哀れなOscarは、ここぞ!というところで、生来の気の弱さが災いして、自ら不幸を引き寄せてしまう。そんな場面が何度もあって、イライラが募る。


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Oscarの不安をよそに、3人の暴力はどんどんエスカレート。死体を何とか消そうと必死になっているのに、状況は好転するどころかますますこじれ、負のスパイラルに陥っていく。ってか、殺しをやっちまった時点で、既に終わってませんか?『メン&チキン』の野生児たちのように、みんな病んでる!狂っているぜ!極悪非道のBillyは切れやすく、多額の負債を抱えるThorにとって、殺しはゲーム感覚。Oscarのアパートの大家(元警官)も、Oscarの賞金を狙って、事件に巻き込まれる。


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クールなんだけどどこか可笑しいSolør刑事は、Oscarを容疑者として逮捕し、この事件は余裕で一件落着するはずだった。ところが取り調べてみると、複雑な事実が明るみに出てくる。そこで本腰を入れて捜査に乗り出すことにしたのだが、捜査や取調べが進むにつれ、容疑者として連れてきたはずのOscarが、いつの間にか事件の目撃者として証言する側になっていた。彼はシロだ。結局Oscarを釈放したが…


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果たしてOscarは、本当にシロだったのか?アパートの大家が言うように、Oscarは予め筋書きを用意してコトを進めたのではないのか?莫大な賞金を守るため、バールで働くTrine(Lena Kristin Ellingsen)に預けたところからして、用意周到じゃないか。実は気が弱くて優柔不断なOscarに、みんなが一杯食わされたってことか。Trineと2人で行方をくらませた先で、彼は高笑いしてるかもしれない。で、原題のArme riddereはフレンチ・トーストという意味らしいのですが、何でまたこんなタイトルに?もしかして、一攫千金を意味する俗語??


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by amore_spacey | 2017-01-29 03:33 | - Other film | Comments(0)

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち (Good Will Hunting)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 ボストンに住む青年Will(Matt Damon)は、マサチューセッツ工科大学で清掃員のバイトをしている。悪友たちとつるんで、たびたび警察沙汰の事件を起こしたりしているが、実は彼は、数学に異様な才能を見せる天才だった。
 彼の才能に気付いた数学のLambeau教授(Stellan Skarsgård)は、Willに精神分析医のSean(Robin Williams)を紹介する。Willは次第にSeanに心を開いてゆくが、彼の才能に気付いた政府機関や大企業などが就職依頼のため接近してきた。1997年度Golden Globeの脚本賞、アカデミーオリジナル脚本賞、助演男優賞(Robin Williams)をそれぞれ受賞。(作品の詳細はこちら


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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。さて2017年最初のこの作品、涙腺が緩みすぎて、ヤバすぎやしませんか?初めて観たとき、こんなに泣いた記憶がないので、これって年齢のせいなのかも。出演者の若さにもビックリ。MattやBenときたらイタズラ盛りの子どもだし、Stellan Skarsgård(↑)なんて、ゆで卵のようにお肌つるつるの好青年。それに、何なんですか?Benのあの盛り上がった髪は?(爆)


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虐待を受けた事に対して、「君が悪いんじゃない」と言い含めるように繰り返すSean、そしてこの言葉によって救われたWill。彼の心に鬱屈していたものが解放され、凍り付いていた心が融かされた。Seanと抱き合いながら、Willは声を上げて泣きじゃくった。こんな言葉を誰かに言って欲しいと、彼はずっと思っていたに違いない。もう、涙・涙・涙で、画面がかすんだシーンの1つです。


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Willがいつもつるんでいた悪友たちの1人で、兄貴のようなChuckie(Ben Affleck)との友情にも、鼻の奥がツーンと熱くなった。Willの才能を妬むどころか、Willが新しい1歩を踏み出せるように、Chuckieはそっと背中を押す。Chuckieが「このまんまじゃ、絶対に許さないぜ」って言わなかったら、、Willの将来は違ったものになっていたかもしれない。一流企業への就職を蹴って、Skylar(Minnie Driver)の元へ向かったWillに、「よっしゃ!」と思わず心の中でガッツポーズしました。

作品を観ながらふっとこのエピソードを思い出し、長く続く2人の友情をとても羨ましく思いました。


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by amore_spacey | 2017-01-02 02:56 | - Other film | Comments(2)

ハドソン川の奇跡 (Sully)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 2009年1月15日、極寒のニューヨーク。マンハッタン上空850メートルで、突如全エンジンが完全停止し、制御不能となった旅客機が高速で墜落を始めた。Sullenberger機長(Tom Hanks)の必至の操縦により、70トンの機体は目の前を流れるハドソン川に着水。乗客乗員155名全員無事という奇跡の生還を果たした。着水後も、浸水する機内から乗客の避難を指揮した機長は、国民的英雄として称賛を浴びる。だがその裏で、彼の判断を巡って、国家運輸安全委員会の厳しい追及が行われていた。(作品の詳細はこちら


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知らなかった、あの事故のあと、こんなことがあったなんて。あの悲劇を最小限に食い止めることが出来たのは、勇気ある機長の迅速な判断や責任感のお陰ではなかったのか。安全委員会にしてみれば、機長は自分勝手なことをした、組織を乱す迷惑な人。管制塔の指示を無視し、勝手に航路を変えた。マンハッタンのビルの谷間を飛ぶとは、テロ機と間違われるような行為、ましてやハドソン川に不時着させるなんて、無謀で言語道断。釈明の余地なし、という訳だ。

再現された当時の状況をみると、事故機はさまざまな偶然や幸運に恵まれていたのも確かだ。機長の英断、熟練した機長の操縦技術そして着水成功、民間船による素早い救出、乗客乗員の一致団結など、1つでも欠けていたら、状況がさらに悪化していたであろうことは、容易に想像できる。安全委員会が主張した「引き返す」という選択は、あり得なかった。

その安全委員会は、「どうしてマニュアル通りにやらなかったのだ?」「なぜ管制塔の指示に従わなかったのだ?」と感情的になる。また作品を観ている私たちは、機長の口から出てくる35秒の猶予とか、208秒の持ち時間というのが、一体どんな意味を持つ数字なのか、具体的によく分からない。しかしその後、畳み掛けるように迫る幾つものシミュレーションによって、あの非常事態の中で機長が何を成し遂げたのか、安全委員会や私たちは知ることになるのだ。いやはや、あの緊迫感といったらなかった。


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Sullenberger機長(↑本人)は、危機的な状況下においても公聴会の席でも、努めて平常心で、なすべきことを淡々とやっていく。国民から英雄扱いされても、当たり前のことをしたまでと言う、それどころか家族や同僚や乗客への配慮を忘れない。パイロットという仕事に誇りを持つ姿は、清々しく高潔だった。

こういった役どころをTom Hanksにやらせると、実に上手い。説得力がある。軽いコメディ映画にも出て欲しいが、ダヴィンチシリーズの安っぽい学者などではなく、こういった社会派ドラマでビシッと決めて欲しい。演出も演技も過不足なし、その上これだけ濃い内容をビシッと90分におさめたClint Eastwood監督の、卓越した手腕にも唸る。そうは言っても、1年に1度は飛行機に乗る身にとって、この手の作品はちょっとねェ。フライト前に観ちゃいけません。


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by amore_spacey | 2016-12-25 03:12 | - Other film | Comments(2)