カテゴリ:- Other film( 360 )

サルバドールの朝 (Salvador)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (81点)

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【あらすじ】 1970年代初頭、フランコ政権末期のスペインで、自由解放運動のグループに所属する25歳のSalvador(Daniel Brühl)は、不慮の発砲により若い警部を死なせてしまう。彼は正当な裁判を受けられないまま死刑を宣告され、彼の家族や仲間、担当の弁護士Arau(Tristán Ulloa)や彼の同僚たちは何とか処刑を防ごうと手を尽くすが…。(作品の詳細はこちら


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近代~現代スペインにあんな過酷な歴史があったなんて、この映画で初めて知りました。30年以上も軍事独裁政権が牛耳っていた?軍隊や秘密警察が、ついこの間まで普通に市民生活を脅かしていた?うわぁ、想像がつきません。

激動する歴史に翻弄される役を演じると、Daniel Brühlはじわじわと、しかし圧倒的な説得力で迫ってきます。チャラい役は似合わない。と言っても、主人公のSalvadorは革命の闘士になって、この国を変えてやる!ほどの意気込みはなく、当時の若者の間ではカッコイイことだった政治を熱く語ることで、少しだけ目立ち、人から一目を置かれたかった。


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Jesús刑務官(Leonardo Sbaraglia)が言うように、独裁打倒!を掲げつつも、お坊ちゃんの遊びでしかなかったのかもしれない。だからJesúsはSalvadorに、嫌悪感を抱いたのだ。そのJesúsは、父に宛てて書いたSalvadorの手紙の中に、肉親への愛や慈しみを感じ、共感を寄せ次第に友情を抱いていく。Salvadorの処刑を目の当たりにして、自分こそ権力の犬であったことを恥じ、「Francoは人殺しだ!」と思わず叫ぶ。


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絶望的な状況を熟知しつつも、Arau弁護士は最後まで信念を曲げず突き進み、Salvadorの隣で支え続ける。Salvadorと家族(特に姉妹とのやりとり)の愛情や友人たちとの友情…など、人間の良心に心を動かされ、この国にも救いや希望があるのを見ました。Daniel Brühlの1人祭りはとりあえず、これで終わります。


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by amore_spacey | 2017-09-13 00:05 | - Other film | Comments(0)

ユダヤ人を救った動物園 ~アントニーナが愛した命~ (The Zookeeper's Wife)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 1939年、第二次大戦下のポーランド。夫婦でワルシャワ動物園を営み、愛する動物に囲まれて生活していたJan(Johan Heldenbergh)とAntonina(Jessica Chastain)は、ナチスドイツの侵攻に大きな不安を抱いていた。Janはナチスドイツがユダヤ人を弾圧するのを見て、Antoninaに動物園を彼らのための隠れ家にすると言う。強制居住区域に暮らすユダヤ人たちを救い出しては動物園にかくまう彼らだったが、次第にナチスドイツの警戒は厳しさを増し彼らにも危険が迫る。300人ものユダヤ人を匿い逃亡させたDiane Ackermanのベストセラーを映画化。(作品の詳細はこちら


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Daniel Brühlの1人祭り&機内上映第1弾。ホロコーストに動物ものを抱き合わせて、いかにも興行成績を狙った作品だ。その下心が、邦題に透けて見える。良いテーマを扱っているだけに、脚本や演出が散漫だったのが残念でした。だったら観なくてもいいのにって話になりますが、キャストにDanielの名を見つけてしまったから、その勢いで何となく観てしまったのでした。という言い訳はともかく、ナチスドイツへの不安や恐怖はそれなりに、ユダヤ人たちを救い出す夫婦の善意も、人間として当然のことをしたまでといったスタンスで、事実を淡々と描き出している。


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さてドイツ軍将校で動物学者Lutz Heckを演じたDaniel。彼はユダヤ人を弾圧する側に立つ人間だが、とても色っぽく綺麗な、そして人情味のあるAntoninaにすっかり入れ込んでしまう。彼も人間だから、特別な感情を持った相手がユダヤ人であろうが、何とか手を貸してやりたいと思うのは、ごく当然の成り行きだろう。しかし時は第二次大戦下のポーランド、Lutzにはドイツ軍将校としての任務がある。私情と任務の狭間で苦しんだ末、彼が選んだのは…。

基本的にDanielは性善説の世界の人だから、悪人にはなり切れない。どんなにワルぶっても、無理して演じているのが痛々しくて、観ていられないのだ。今回は脇役だったこともあるが、演技に隙がありすぎたのと、やっつけ仕事的に演じていたようにしか見えず、だったらこんな役を引き受けなければ良かったのに、と八つ当たりさえしたくなる。感動の実話かもしれないが、観る前からお涙頂戴的なキャッチフレーズを並べ立てられると、興冷め。


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by amore_spacey | 2017-09-09 00:01 | - Other film | Comments(0)

ラヴェンダーの咲く庭で (Ladies in Lavender) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 1939年、イギリスはコーンウォール。静かな村にある海岸の屋敷に暮らす老姉妹Janet(Maggie Smith)とUrsula(Judi Dench)は、ある日海岸に打ち上げられた青年を発見した。負傷したAndrea(Daniel Brühl)という名のこのポーランド人を屋敷に運び入れ、医師を呼んで治療・養生・リハビリさせる。そんあ彼には類まれなヴァイオリンの才能があった。こうして彼が老姉妹の家で暮らすようになり、JanetやUrsulaの生活にちょっとした変化が訪れる。(作品の詳細はこちら


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今日からDaniel Brühl1人祭りを始めます(*^^*) 若くして夫を亡くした姉Janetと、たぶん1度も結婚しないまま現在に至った妹Ursula。この2人に扮したMaggieとJudiの共演(競演)が素晴らしかった。哀愁に満ちたヴァイオリンの音色も感動もの。音楽は言葉をこえる。姉には長女らしい分別があり、年齢相応のたしなみがあるのに、Andreaが来てから妹は、親愛の情をこえた特別な感情を彼に抱き、恋する乙女になってしまった。愛があれば、歳の差なんて…。何でもアリなご時勢だけど、やっぱりこれはないわァ。小説や映画の世界ならまぁいいが、現実にあったら、正直なところ、嫌だな。

以前も書いたように、Judi Denchの芸域の振り幅の広さには驚く。コワい子だわぁ。M女史から同性愛ものまで、何でもござれ。チワワのような目のMaggie女史は、とってもキュートな2枚目半。あんなおばあちゃまになりたいもんです。


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さてさて、Andreaだって鈍感じゃない。老姉妹の手厚い看護に深く感謝し、自分を見るUrsulaの特別な気持ちにも気づいている。けれど助けてもらった命を無駄にせず、自分の人生を歩んでいきたい気持ちもある。書置きする時間すらなく、後ろめたい思いを抱えて、姉妹を捨てるようにAndreaは立ち去った。

当時26歳のDaniel Brühlが、まるで少年のようで、Jude Denchでなくても惚れちまいます。看護だって何だってやります、うふふっ。目の覚めるようなイケメンではない。セクシーが売りの役者でもない。むしろ童顔&地味で、ちょっぴり憂いが漂う。不器用でゴツゴツした印象がある。けれど、彼の中から滲み出ている何かに惹かれてしまう。母性本能をそそられるのかしら?そんな彼(実際にはJoshua Bell)が演奏するLadies in Lavender(←音が出ます)を聴いていると、色々な感情が幾重にも折り重なり、苦しくなってきます。


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作品に流れる純粋で淡いトーンを吹っ飛ばしてしまうのが、肝っ玉かあちゃん的な屋敷の家政婦Dorcas(Miriam Margolyes)。Andreaとじゃがいもをむくシーンは愉快。「皮はこっちで、剥いたじゃがいもはあっち!」


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そして、こちら。ロマンチックなムードぶち壊しの、この魚のパイ。何、これ?魚の頭や尾がパイから飛び出ているなんて、ビックリ仰天です。家政婦のDorcasが有り合わせの材料で、適当に作ったパイかと思ったら、Stargazy pieって立派な名前のついた、伝説の惣菜なんですね。


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by amore_spacey | 2017-09-07 00:30 | - Other film | Comments(0)

ローマの休日 その2 (Roman Holiday) 

私のお気に入り度 ★★★★☆ (94点)

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【あらすじ】 翌朝、彼女がAnn王女(Audrey Hepburn)であることを知ったJoe(Gregory Peck)はスクープをものにするチャンス喜び、ローマ見物の案内役をひきうけた。Joeの魂胆も知らず、王女はまず床屋で髪を短く切り、1日中のびのびと遊び歩いた。
 Joeの同僚のカメラマンIrving Radovich(Eddie Albert)は、隠し持った小型カメラで、ぬけ目なく王女の行動をスナップした。一方、王女失踪で大使館は、上を下への大騒ぎ。しかし世間に公表するわけにも行かず、本国から秘密探偵をよびよせて、捜査に当らせた。(作品の詳細はこちら


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その1では脇役について書いたが、今回は王女とJoeのロマンチックなシーンを取り上げる。パジャマを着ているのに、喉元まで上げた掛け布団を、しっかり手で押さえる王女。


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この理容室はなくなり、普通の店になっていた気がする。当時は彼女のショートカットが大流行した。前髪パッツンが良く似合う。


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ジェラート・ブームに火をつけた、スペイン階段のシーン。王女はジェラートを舐め終わったあと、コーンは捨ててしまう。撮影当時40℃をこえる暑さで、あっという間にとけてドロドロになってしまう。内心焦りながらジェラートを舐めてたかも?


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王女とJoeとIrvingの3人は、映画史上(たぶん)最強のトリオ。ミニチュア・フェチの私は、ライター式のカメラに目がくぎづけになった。Bar Roccaも、今はもうない。


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ヴェスパやフィアットの500の売り上げが増大。このあと警察のお世話になるが、Joeの咄嗟のウソ「結婚ほやほやの夫婦」で釈放。被害届けも取り下げられ、皆から祝福されるという展開。ええ、確かに事情があれば、見逃してくれることもある。女性警官の場合は、まずムリだけど。


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このシーンがなかったら、真実の口は今ほど注目されなかったでしょう。映画のお陰で、ローマを訪れる観光客が激増した。


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とてもいい雰囲気で踊る2人。


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びしょぬれの2人が、初めてのキスをかわす。とても自然なキスに、胸きゅん。


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Joeのアパートのバスルームから出てくる王女が、とても大人っぽくしっとりした雰囲気に包まれて、ドキッとしたんだけど、2人は身も心も結ばれたのでしょうか。


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このシーンは…もう、何と言っていいのか…。これで2度と会うことはないのよ、永遠に。こんな出会いも、もう2度とないの。言いたいことはたくさんあるのに、言葉にできない2人。ええい、もう、駆け落ちしちゃえーーー!


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たった一日で見違える成長を遂げた王女。ラストシーンの凛とした姿が忘れられない。そして名残惜しそうに立ち去るJoe。この作品の成功には、Dalton Trumboによる脚本も一役買っている。世界中の人々に、永遠に愛され続ける作品の1つになるだろう。


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オフの時間に、トランプで遊ぶ2人。彼らの交友は長く続いた。Audreyが亡くなったときGregoryは、彼女が大好きだったインドの詩人・思想家Rabindranath TagoreのUnending Loveを朗読して、最期のお別れをした。


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by amore_spacey | 2017-07-14 00:41 | - Other film | Comments(2)

ローマの休日 その1 (Roman Holiday)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (90点)

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【あらすじ】 ヨーロッパ最古の王室の王位継承者であるAnn王女(Audrey Hepburn)は、欧州各国を親善旅行で訪れていた。ローマでも公務を無難にこなしていだが、これまでのハードスケジュールで疲れやストレスが溜まっていた。
 主治医に鎮静剤を投与されるものの、気の高ぶりからか逆に目が冴えてしまった彼女は、こっそり夜のローマの街へ繰り出すことに。やがて薬が効いてくると、ベンチで寝入ってしまった。そこへ偶然通りかかったアメリカ人の新聞記者Joe(Gregory Peck)は、彼女を一国の王女であることも知らずに、自分のアパートで休ませるのだが…。(作品の詳細はこちら


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不朽の名作。ローマから戻ってくると、必ず観てしまう。そして新たな感動に包まれ、幸せな気持ちになる。大学の卒業旅行で、映画とほぼ同じコースを歩いた。スペイン階段でジェラートを食べたり、真実の口に手を入れたり…、楽しかったなぁ。ただ、車の中のAnn王女のお手振りに、やや違和感が。手の向きが違うような気がするのですが…。


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この作品には、魅力的な脇役がたくさん登場する。王女を取り巻くお付きの者たち。脱げた王女の靴を見た、侍従たちの表情といったら!庶民代表のタクシーの運転手も、人間味溢れていた。車内に王女を残したままJoeが立ち去ろうとした時、「ちょっと待たんかい!」 逃がすもんか!とばかりにJoeの袖を掴んだ、素早い反射神経や慌てっぷりが愉快だった。

場面変わって、Via Margutta 51にあるJoeのアパート。鉄砲をかついで、王女のいるアパートの入り口を警備する守衛のおじいさんが、大袈裟で可笑しい。彼はJoeが王女に幾らかお金を貸す現場を、遠くから目撃してしまう。あれは、勘違いをしても仕方がない状況だ。当時のお札が異様に長くて大きいのに、ビックリ。財布もデカかったんだろう。


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バッサリ切っていいという王女にビビって、何度も確認する理容師Mario Delani(Paolo Carlini)が、Christohper Plummer似のイケメンだったりする。Joeの部屋の掃除をする女性や、メルカートので靴を売るシニョーラも、明るくて威勢がいい。


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William Wyler監督の2人の娘さんが、エキストラ出演している。トレヴィの泉でJoeにカメラを取られそうになる女の子が、11歳の次女Judy、それを見て先生を呼ぶのが14歳の長女Catherine。あの時のメガネをかけた先生が、いかにも由緒正しいお嬢様学校にいそうだ。


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初めてみたときから、この秘密探偵(↑右側)が結構好きだった。真面目でコワモテだけど、とんでもない(可笑しな)ことをやらかしそうな雰囲気がある。


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スクープ記事で一儲けを目論んだJoeと同僚のIrving(Eddie Albert)だが、王女にすっかり魅了され、Joeは自分の心の卑しさを恥じる。


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Irvingが渡した封筒を開け、写真をちらっと見る王女。目が一瞬、泳ぐ。あの日の出来事は3人の秘密。この大人対応が素晴らしい。あれが今の時代で、スクープ狙いのブン屋につかまったりしていたら、SNSでダダ漏れだったかも。


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Hugh JackmanやGeorge ClooneyやClark GableやCary Grantのいいとこ取りをしたような、当時37歳のダンディなGregory。Audreyは24歳。



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by amore_spacey | 2017-07-12 00:46 | - Other film | Comments(2)

レッド・ノーズ・デー・アクチュアリー (Red Nose Day Actually)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (90点)

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【あらすじ】 『ラブ・アクチュアリー』(2003年)に登場する人々の、14年後を描いた。(作品の詳細はこちら


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今年のレッド・ノーズ・デー(1985年から始まったチャリティー・イヴェントで、奇数年の3月に開催)のプログラムの中で、とりわけ注目されたのが、このショート・フィルムだった。イヴェント設立者の1人で、脚本家&監督のRichard Curtisが、彼の監督作品でもある『ラブ・アクチュアリー』の続編を作ってくれたんですから、ラヴ・アクが大好きな私としては、そりゃもう、テンションが上がるってもんです。

彼らのその後も気になるが、何よりも、あの素晴らしいキャストが、また私たちのところに帰ってきてくれた!それだけで、と~っても幸せ。某モデルのカメオ出演も、嬉しいサプライズだった。10分足らずの作品ですが、まるで同窓会に出たような懐かしさを覚え、うるうる。ああ、またラブ・アクを見直したくなってきたァ。


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Alan Rickmanと熟年夫婦を演じたEmma Thompsonは、出演を辞退した。「Alan Rickmanの死がまだあまりにも記憶に新しく、出演する気持ちになれない」と。同じような気持ちのRichard Curtis監督も、彼らの14年後をどう描いたらよいのか、良いアイデアが浮ばなかったという(涙)


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その代わりと言ってはなんですが、5月に追加された米国ヴァージョンには、Laura LinneyとPatrick Dempsey(ニューエントリー)のシーンが、追加されている。因みに去年のショートフィルムは、『ゲーム・オブ・スローンズ ミュージカル』でした。


 
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by amore_spacey | 2017-05-28 23:37 | - Other film | Comments(0)

ハンバーガー帝国のヒミツ (The Founder) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (74点)

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【あらすじ】 1954年、シェイクミキサーのセールスマン、Ray Kroc(Michael Keaton)に8台もの注文が飛び込む。注文先はMac(John Carroll Lynch)とDick(Nick Offerman)のMacDonald兄弟が経営する、カリフォルニア州南部にあるバーガーショップ「マクドナルド」だった。合理的なサービス・コスト削減・高品質という、店のコンセプトに勝機を見出したKrocは兄弟を説得し、「マクドナルド」のフランチャイズ化を展開する。しかし、利益を追求するKrocと兄弟の関係は次第に悪化し、彼らは全面対決へと発展した。実話をもとにしたドラマを映画化。(作品の詳細はこちら


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今でこそマックのハンバーガーは誰もが知るありふれたファーストフードで、あまりにも当たり前すぎてそのルーツを考えたことすらなかったから、その意味ではとても興味深い作品だった。もともとはバーベキュー屋だったのが、注文を受けてからわずか30秒でハンバーガーを出すショップに生まれ変わるなんて、世の中がひっくり返るような出来事だったに違いない。

当時のドライブインのシステムも、なかなか興味深かった。車に乗ったまま注文したメニューを、ウェイトレスがトレイにのせて車ごとにサービスしてくれる。食べ終わったあとも、ウェイトレスが回収に来てくれたのかしら?車から一歩も下りなくても、車内で食事ができる。このアイデアだって、十分に画期的だ。


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MacDonald兄弟のハンバーガーショップで、Krocが初めてハンバーガーを注文して食べるシーンは、黒船が来航した江戸市民の脳内を見ているようで、なかなか愉快だった。ハンバーガーの入った紙袋を前に、Krocはあっけにとられる。トレイもなければ、フォークやナイフもないからだ。自己啓発書の元祖的な『積極的思考の力』というレコードを聞き、ビジネスの世界では成功した者だけが勝ち組!というモットーを叩き込んだ彼が、ハンバーガーごときに振り回され、脳みそを絞って真剣に考えるなんて、滑稽すぎるでしょ。


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このシーンを見て思い出したのは、1971年9月18日に初めて発売されたカップヌードル。カップに熱湯を注いで3分で食べられる。鍋も丼もいらない。販売当初は透明のプラスチックのフォークも付いていたから、箸も不要。お湯を沸かして注げば出来上がり!なんて、魔法のラーメンだった。上にのったフリーズドライの肉・エビ・卵・ネギは、あの頃からミニチュア・フェチだった私のハートを鷲づかみ。友人宅に遊びにいくと、おやつとして出してもらったこともあったなぁ。


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by amore_spacey | 2017-05-24 04:07 | - Other film | Comments(4)

ラッキー・ブレイク (Lucky Break)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 いつも失敗ばかりの冴えない泥棒Jimmy(James Nesbitt)は、今度もドジを踏んで刑務所行きとなった。そこで再会したかつての相棒Rud(Lennie James)と2人で、脱獄を目論む。
 そんなある日、無類のミュージカル好きのMortimer所長(Christopher Plummer)が、自作のミュージカル公演を催すことを発表した。公演のどさくさに紛れて脱走を企てるJimmyは、千載一遇のチャンスとばかりに出演を承諾し、仲間集めに奔走する。主役に抜擢されたJimmyの相手役が美人カウンセラーのAnnabel(Olivia Williams)ときて、すっかり気をよくした彼は、さっそく舞台の準備と同時に脱獄の計画を練り始めるのだった。(作品の詳細はこちら


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ずいぶん突飛な話で突っ込み所満載だけれど、コメディタッチで最後まで楽しめる。ゆるくて小さな笑いがふんだんに用意されているお陰で、ちょっぴりシリアスなシーンも登場するが、深刻になり過ぎないのも、さらっと観るにはちょうどいい。

まず冒頭で銀行強盗に失敗するJimmyとRudのお粗末な2人、こんなコンビで果たして脱獄計画が成功するのか?この時点で既に視聴者はかなり心配になり、行方が気になってくる。彼らに続いて登場する人々が、これまた個性的で、ミュージカルに紛れた脱獄計画に向かって一致団結し、悲喜こもごものドラマを見せてくれるのだ。


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この作品を観たかったのは、『手紙は憶えている』同様、Christopher Plummerがピアノを弾いているから。そのシーンも堪能したけれど(短すぎる!もっと観たかった&聴きたかった)、端正な容貌に似合わないお茶目な所作に萌えました(*^^*) 彼の自作ミュージカルが、『ネルソン提督』って…(爆) しかも囚人たちの演技が小学生レベルなのに、公演終了後、所長ったら感極まって涙を流してるし、ププッ。Christopherのやり過ぎない2枚目半が、チャーミングで素敵だ。


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ミュージカルに出演する囚人たちも、個性の強い人たちばかり。火遊び大好きな青年、出所したら家族3人で幸せな家庭を夢見るCliff(Timothy Spall)、自分が育てるトマトに異常な愛を示す男、荒々しく乱暴な大男、計画を横取りしようとする奴。

それからそこにいるだけでおかしいRog(Bill Nighy:物腰が柔らかく上品で頭は切れるが、腕力ゼロな役柄がピッタリ。圧倒的な存在感があるわけではないのに、何となく印象に残る)、演技指導する?気弱なメガネ男(Julian Barratt:オタク系イケメン?気になる)、囚人たちに目を光らせ彼らの行く手を阻む看守(Ron Cook)、そして美しいカウンセラーAnnabel。それぞれの役割や立ち位置がはっきりしているので、とても分かりやすく、私向きの作品だった。ところでPeter Cattaneo監督は、英国TVドラマ『REV』の監督だったんですね。


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by amore_spacey | 2017-05-05 00:11 | - Other film | Comments(2)

ラッシュ/プライドと友情 (Rush)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 性格もレーススタイルも相反するF1レーサー、Niki Lauda(Daniel Brühl)とJames Hunt(Chris Hemsworth)が、激しい首位争いを繰り広げていた1976年。ランキング1位だったLaudaは、ドイツ大会の大事故で、大火傷を負いながらも、事故後6週間でレースに復帰し、日本の富士スピードウェイでシリーズ最後のレースに臨む。(作品の詳細はこちら


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Ayrton SennaやAlain Prost以降のF1しか知らないけれど、それでも十分に楽しめた。後半はアドレナリン上昇マックスで、コックピットやレーサーが座る低い位置からとらえた、スピード感があり、臨場感あふれる映像は圧巻だった。まるで自分がハンドルを握って、マシンを走らせているかのようだ。鳥肌が立つようなF1マシンのエンジン音や、Hans ZimmerのBGMが、更に雰囲気を盛り上げ、めちゃくちゃかっこいい。レース終了後は、緊張が解けて私もぐったりでした。


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しかし何と言っても、キャスティングの素晴らしさに唸った。主役の2人を演じるDanielとChrisが、本人たちに良く似ているだけでなく、キャラの演じ分けがお見事というほかはない。Chirs演じるHuntのチャラ男っぷりには、笑いました。「おれが首位をとってやる」という単純なライバル意識が、レースを重ねるうちに、互いを高めあう最高のパートナーとなり、成熟した大人の友情が生まれる。その過程をクールな視点で描き、主役の2人が絶妙の呼吸で演じた。


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『グッバイ、レーニン!』で初めてDanielを観て以来、時おりふっと気になる役者だ。見るからに生真面目ではにかみ屋、思慮深くて真っ直ぐで一途なんだけど、不器用な性格が時に災いすることもある。そんな彼を見ていると、思わず母性本能が刺激される。薄い唇をきっと結んだ表情が、特に好き。安定した演技は、実力派として今後も大いに期待できそうです。そんな彼がLauda役に抜擢されたのは、宿命でしょう。残念なのは、邦題のサブタイトル。プライドと友情って...?あまりにも雑な処理に、泣けてきます。


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by amore_spacey | 2017-04-19 00:23 | - Other film | Comments(6)

人生はビギナーズ (Beginners)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 息子のOliver(Ewan McGregor)に、ゲイであることをカミングアウトしたHal(Christopher Plummer)は、44年連れ添った妻に先立たれ、自身もガンを宣告されるが、75歳にして新たな人生をスタートさせた。一方イラストレーターのOliverは38歳になっても、内気な性格からなかなか恋をすることができない。しかし父が亡くなった後、仲間から誘われたパーティーで、運命の女性Anna(Mélanie Laurent)と出会った。2012年のアカデミー賞&Golden Globeなど30以上の映画賞で、Christopher Plummerが助演男優賞を受賞。(作品の詳細はこちら


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Oliverは始終むっつりとして殆ど笑わないし、ミュージシャンに依頼されたCDのジャケットのイラストが、孤独に満ちた寂しいものばかり。はっきりしない曇り空のようなトーンに覆われ、少々気が滅入った。が、この鬱屈した重苦しさこそ、Oliverが子どもの頃から抱えてきたもので、そこから脱出できず悶々としている。喜怒哀楽のないだるい雰囲気が、Ewan McGregorからじわっと滲み出ていた。


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こんなOliverを中心に、ゲイをカミングアウトした父、その父を丸ごと包み込んでくれる男友だちAndy、Oliverに似てなかなか他人に心を開くことができないAnna、そして愛する人には絶大な信頼を寄せる父の愛犬Arthurと、なかなか個性的な人々が、微妙な距離を保ちながら関わりあっていく。

ゲイをカミングアウトし、残された自分の人生を謳歌するHalを演じたChristopher Plummerが、想像以上に素晴らしかった。さすがベテラン役者で、こなれている。魅力的で清潔な色気があり、幾つになっても現役俳優で、様々な役柄に挑んでいる。そんな生き方をする彼を、1人の人間として尊敬する。


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Halは息子の心を、むりやりこじ開けようとはしない。自分の生き様をみせることで、息子が初めの1歩を踏み出せるように導くのだ。そんな姿に戸惑いつつも、父の愛情に触れて、Oliverの中で何かがカタンと音を立てる。

Annaと出会ったことも良かった。子どもの頃、家族(とくに母親)に思い切り甘えられなかった寂しさが癒され、Annaも自分に似たOliverを愛しく思い、2人の距離が徐々に縮まっていく。人生ってなかなか思うようにはいかない。でも自分はこのままでいい。ここで1歩を踏み出せば、何かが変わるかもしれない。それにしても、愛犬Arthurの可愛らしいこと!こんな愛くるしい子を前にしたら、誰でも無防備になります。


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by amore_spacey | 2017-04-10 01:22 | - Other film | Comments(0)