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Un giorno perfetto (完璧な一日)

私のやりきれなさ度 ★★★★☆(98点)

ネタばれありありあり。

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夫が元妻やその両親や子どもたちを殺したあと自殺。元妻への腹いせに子どもたちを殺す。妻が元夫の新しい伴侶を殺す。鬱気味の母親が赤子を殺す。金欲しさに孫が祖父母を殺す…。家族内での血生臭い事件はあとを絶たない。この作品は別居した一家族のある一日を軸に、交差したさまざまな人間のエピソードが、美しくも虚しいローマの風景の中で展開する。Andrea Guerraの音楽が、家族や人間の悲哀を否応なく高めていく。



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Emma(Isabella Ferrari)は夫Antonio(Valerio Mastandrea)と別れて、母(Stefania Sandrelli)と小学生のKevinと中学生のCamillaと一緒に暮している。普段は少々気弱で優しいAntonioは妻と寄りを戻したいが、頑として聞き入れない妻に逆上し、暴力亭主と豹変する。その執拗さはストーカー的で、Emmaの心をますます凍りつかせるのだ。飄々としていつも曖昧な世界に生きているようなValerio Mastandreaが、元夫Antonioを好演。Saturno contro (対角に土星)にも登場した味のあるSerra Yilmazが、ジェラテリアの店主としてちらっと出てくる。同郷のよしみということで、Ozpetekごひいきの役者なのだろう。

多くの人物が脈絡なく登場するので、人間関係がなかなかつかめない。Antonioが警備する政治家(Valerio Binasco)、その政治家と若い美しい妻(Nicole Grimaudo)、政治家の息子(Federico Costantini)の生活、Emmaの職場、小学生Kevinの学校生活、中学生Camillaの初恋など、この家族を取り巻く人物が徐々に浮き彫りになって来たところで、はっと気づく。世間は狭いと言うが、この作品を見れば、なるほど!本当にそうである。誰かとどこかで細く繋がっている、すれ違っている、言葉を交わしている。そして…  完璧な一日、どころか最悪の一日が間もなく終わろうとするその夜。「パパ、どうして?」 娘の絶叫のあとに続く銃声。クモの糸のように細く危うい家族の繋がりを、Antonioはバッサリ断ち切った。心臓を錐で突かれたような衝撃と激痛が走る。やるせない。ずずーんと撃沈。



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1つだけ救いがあるとすれば…、政治家の息子を演じたFederico Costantiniの超甘い&クールな存在かしら、ぐふふっ(*^^*) まだ20歳なのか、若けぇな。このまま安っぽいB級ソープオペラ路線に走らないことを祈ります。

製作国:Italy
初公開年:2008年
監督:Ferzan Ozpetek
音楽:Andrea Guerra
キャスト:Isabella Ferrari, Valerio Mastandrea, Valerio Binasco, Monica Guerritore, Nicole Grimaudo, Federico Costantini, Angela Finocchiaro, Stefania Sandrelli, Serra Yilmaz ...


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by amore_spacey | 2009-07-30 00:11 | - Italian film | Comments(2)

西の魔女が死んだ

私のお気に入り度 ★★★★☆(75点)

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中学生になったばかりのまい(高橋真悠)は学校へ行くのが嫌になり、ママの提案でおばあちゃん(サチ・パーカー)のもとでひと夏を過ごすことになる。魔女の血筋を引くというおばあちゃんの暮らしは自給自足。野菜やハーブを育て、昔ながらの知恵を活かしながらの生活は、まいにとって新鮮だった。課された“魔女修行”は、早寝早起き、食事をしっかり摂り規則正しい生活をするという、意外にありふれたもの。そんな暮らしは、やがてまいの心にも変化を起こさせるのだった。



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今ひとつ映画の中に入ることが出来なかった。「学校に行かない」と告げるまいに、「そう」と答えるだけの母親。このドライさ☆クールな落ち着きぶりは一体なんなの?そんなリアクションってある?冒頭のこのシーンで一気に興ざめ。途中で刺し身のツマのようにちょろりんと登場する父親ってのも、何だかなぁ。あれがやり手のサラリーマン…ですか?おばあちゃんちで魔女修行をする必要があったのは、この両親だったのではないですかね?「ですね。」「ました。」というおばあちゃんの台詞は、とてもきれいな日本語ではあるけれど、話し言葉としてこなれていないから、他人行儀で浮いた感がありました。

おばあちゃんとまいが一緒の布団で寝ながら話を交わす、あのシーンはよかったなぁ。早寝早起き・規則正しい食事と身体をうんと動かす生活・自給自足で腹八分目、これらのものが生きる力を養ってくれる。日本の両親はまさにそのお手本のような人たちだ。おばあちゃんを演じたサチ・パーカーさんは、シャーリー・マクレーンの娘なんですね。絶賛されているという原作を読んでみたい。

製作国:Japan
初公開年:2008年
監督:長崎俊一
キャスト:サチ・パーカー, 高橋真悠, りょう, 木村祐一, 大森南朋, 高橋克実 ...


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by amore_spacey | 2009-07-29 00:34 | - Japanese film | Comments(0)

La Sconosciuta (題名のない子守唄)

私のお気に入り度 ★★★★☆(89点)

ネタばれあり。

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ウクライナから北イタリアの港街トリエステにやってきた女性Irena(Kseniya Rappoport)。彼女はある目的を果たすべく、裕福なAdacher夫婦(Pierfrancesco Favino & Claudia Gerini)と4歳になる娘・Teaに近づき、彼らが住む家のメイドとして働き始める。引っ込み思案なTeaと徐々に心を通わせるようになるが、そんな彼女の前にかつて彼女を苦しめた邪悪な男“Muffa”(Michele Placido)が再び現れる…。主演のKseniya RappoportはDavid di Donatello賞を受賞したほか、作品賞を含む主要5部門を受賞。



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何かの拍子にふっとフラッシュバックする過去。仮面を被った全裸の女たち。恋人を惨殺される。拷問に近いSMプレイを強いられる自分。性的虐待…。忘れようとすればするほど執拗に追いかけてくる過去の悲惨なシーンが、Irenaを苦しめる。そんな彼女もまた自分の娘ではないか?と希望を託す4歳になる少女Teaを相手に、「自分で自分を守らなくちゃいけないよの。強くならなくちゃいけないの。」 自分に言い聞かせるかのように、暴力的で鬼気迫る行動をとってしまう。Irenaを演じるKseniyaに、Giovanna MezzogiornoやCate Blanchettの容貌や仕草がだぶった。前半では素性を隠したIrenaが果たそうとする目的が一体何なのか?そこに焦点を置いて見ていたが、話が進むにつれてロシアからの女性人身売買や、機械のように生ませた子どもたちを闇組織が売買する実態などが明らかになる。何年かののち出所したIrenaがバス停でぼんやり待っていると、10代の少女がふらりと現れた。大きくなったTeaだった。血は繋がらなくとも人間の深遠な愛情によって、新しい人生を歩み出すことができるかもしれない。かすかな希望が託されたラスト幾らか安堵した。



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フラッシュバックに映るIrenaの過去は断片的で必ずしも時間軸に沿っていない。そのモザイクを1つ1つ拾い集めながら、自分なりにIrenaという人間像を作りあげていく作業は、謎の部分が多くてなかなか大変だった。見終わってから、「なるほど、そうだったのか。」という場面がたくさんある。それを確認するためにもう1度この作品を観たいが、少し時間をおくことにしよう。Michele Placidoさま、晩年の平清盛のような入道頭がインパクトありすぎ☆ あなた怖すぎでしゅ(-.-'')

製作国:Italy, France
初公開年:2006年
監督:Giuseppe Tornatore
音楽:Ennio Morricone
キャスト:Kseniya Rappoport, Pierfrancesco Favino, Alessandro Haber, Claudia Gerini, Michele Placido, Margherita Buy ...


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by amore_spacey | 2009-07-24 23:47 | - Italian film | Comments(2)

私は貝になりたい

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

高知の港町で細々と理髪店を営む清水豊松(中居正広)は昭和19年に招集されるが、終戦後、無事に家族のもとへ帰ってくる。しかし、平和な暮らしを取り戻したかに見えた矢先、MPに戦犯として逮捕される。従軍中、上官に捕虜処刑を命ぜられたのだった。拒めば自分の命がないことを占領軍による裁判でどれだけ訴えようと聞き入れられることはなく、重い判決が言い渡される。妻の房江(仲間由紀恵)は減刑の嘆願書に署名を集めるため奔走する。


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《一言コメント》 映像がとても美しく、日本の四季折々の自然を堪能することができました。中居くんの健闘ぶりが微笑ましかった。気負いすぎ?なトコもあったけど。おやっ?草なぎくんが…。

製作国:Japan
初公開年:2008年
監督:福澤克雄
キャスト:中居正広, 仲間由紀恵, 柴本幸, 西村雅彦, 平田満, 武田鉄矢, 伊武雅刀, 片岡愛之助, 名高達男, 泉ピン子, 浅野和之, 笑福亭鶴瓶, 草なぎ剛, 石坂浩二 ...


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by amore_spacey | 2009-07-21 01:41 | - Japanese film | Comments(2)

In Bruges (ヒットマンズ・レクイエム)

私のお気に入り度 ★★★★☆(86点)

ネタばれあり。

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ベルギー西部にある水の街ブルージュ。殺し屋Ray(Colin Farrell)とKen(Brendan Gleeson)にとってここが人生最後の目的地になりそうだった。彼らのボス・Harry(Ralph Fiennes)によってクリスマス直前にこの街へ送られ、命令があるまで2週間待機することになっているのだ。殺しの仕事で罪のない子供を誤射してしまったRayはそのことにずっと苛まれ、Kenはそんな彼を父親のような目で心配していた。そしてHarryからの電話を受けたとき、2人の休暇は一転、生と死を賭けた闘いへ発展する...。



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昨冬訪れた懐かしいブルージュの風景、とりわけ夜景が心に染み渡るように美しい。そんな古都を背景に、いったい何回Fワードが登場したんだろ?殺し屋同士で交わされるブラックジョークは、腹を抱えて笑うたぐいのものではないけれど、緊迫したシーンの中でつい滲み出る人間の間抜けな(人間臭い?)心模様がよく映し出されていた。Colin Farrellが苦手でこの作品をすぐに観なかったのだが、ベテランに囲まれて浮くことなく演じているじゃないか。トレードマークの極太眉毛は困ったワンコみたいな「ハの字」(^^) いつもの行け行けColinとはちょっと違う。2枚目半の彼ってなかなかいい。



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Ralph Fiennesの悪役ぶりには、いつもながら唸る。意外に小柄なんだな。あの不気味さは、Kevieさまに通じるものがある。吹き替えの声が、「セブン」のJon Doeをも担当した方なので、凍りつくような恐怖に髪の毛が逆立ってしまった。その彼もカトリックの罪の意識(=無垢な子どもの命を奪う)に苛まれ、ピストルを口に突っ込んで死んでいく。古都ブルージュを背景に 真正面からは笑えぬような笑いや、アメリカ人嫌いを前面に押し出した、ちょっぴりへんてこりんな作品だった。キャストの面々から、派手にもっとドンパチやるのかと構えすぎてました。苦笑

製作国:U.K., U.S.A
初公開年:2008年
監督:Martin McDonagh
キャスト:Colin Farrell, Brendan Gleeson, Ralph Fiennes, Clémence Poésy, Jérémie Renier, Thekla Reuten, Eric Godon ...


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by amore_spacey | 2009-07-18 00:47 | - Other film | Comments(2)

舞妓 Haaaan!!!

阿部サダヲ度 ★★★★★(100点)

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舞妓に夢中の男が、京都で引き起こす珍騒動を描いたとても濃いおバカ映画。京都が舞台なのに、大阪的なカラーが光っておりました。汗



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阿部サダヲの毒気に当たって(一体ヤツは何者?)、訳が分からないうちに観終わっていた。ハチャメチャなおバカ映画ですな。堤真一氏が出るというので観たのに、今度も妙ちくりんな役でがっかりよ。自虐的M的な役柄は、堤氏ご本人の希望なのかすら?2枚目に徹するのはかっこ悪いと思ってる?病院長とか代議士とかエリート社員とか辣腕弁護士とか、、、彼にぴったりの役って幾らでもあるでしょ~に?最後には舞妓さんになって踊ってるしぃぃぃ(爆) ちらっと登場した北村一輝。濃い、濃いですョ~~~(^^) あんな医師に診てもらいたいわぁ。病気は確実に悪化しそうだけど、あははっ。

製作国:Japan
初公開年:2007年
監督:水田伸生
キャスト:阿部サダヲ, 堤真一 , 柴咲コウ, 小出早織 , 京野ことみ, 山田孝之, Mr.オクレ, 北村一輝, 植木等, 吉行和子, 伊東四朗 ...


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by amore_spacey | 2009-07-16 01:38 | - Japanese film | Comments(4)

Dopo mezzanotte (トリノ、24時からの恋人たち)

私のお気に入り度 ★★★★☆(81点)

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トリノ映画博物館(=通称Mole Antonelliana)の夜警として働く寡黙な青年Martino(Giorgio Pasotti)、女たらしの車泥棒Angelo(Fabio Troiano)、そしてその彼女で博物館近くのバーガーショップで働くAmanda(Francesca Inaudi)は今の生活に不満だらけ。ある夜店でトラブルを起こしたAmandaが、警察の追跡から逃れて映画博物館に逃げ込む。そこでMartinoに出会ったことから3人の間に不思議な関係が生まれ、日常が少しずつ変わり始める。古き良き時代の名画へのオマージュをちりばめ、トリノの美しい街並みや夜の博物館の夢のような情景を背景に、緩やかに揺れ動く3人の若者たちの恋愛模様を描き出す。



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1人の女を巡って2人の男が争う構図が三角関係。ところがここに登場する2人の男たちは、自分の面子や女への愛情を賭けて激しく争うわけではないのだ。狭間にいるAmandaも、その状況に特別困っているようには見えず、たとえ選択権を与えられても「私は選ばない」と言い放つ。人生における決断をできるだけ先延ばしにする。誰も彼も自己主張をしない、未来への展望もない、ただ時の流れに身を任せる。一旦社会に出た若者たちの、現実を見てしまったあとの希望なきモラトリアムというものなのか?

そんな雰囲気に最も近いところにいるのがMartinoを演じるGiorgio Pasotti。名画オタクの彼は殆どの時間を好きな映画とともに過ごす、ヒッキーに近い生活を送っている。人との交流は殆どないから、人を好きになって、「オレのものになってくれ~!」と好きになった人を強引に振り返らせるような、エネルギーのいる行動や複雑な駆け引きができない&しない。クールでおとなしい青年なのだが、強烈な個性がなくてちょっと物足りないんだなぁ。TVドラマのDistretto di polizia(刑事)やLa scelta di Laura(医師)でもL'ultimo bacioL'aria salata (潮風に吹かれて)でも、知的イケメンで気になる人なのだけれど、おとなしくて空気のような存在なのが残念。Amandaを演じたFrancesca Inaudiのベリーショートは、彼女の美しい目鼻立ちをより際立たせて、かっこええーーっ!



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この映画のもう一つの見所は、3人の人間関係や人物設定や状況などが 様々な名画のパロディーや伏線になっているところ。見る側にクイズの謎解きのような楽しみがあるのだ。登場人物たちの主張がなく特別なヤマもないエピソードから、映画のような話はそれほど世の中にはないという結論に行き着いて、これじゃ身も蓋もないけれど、それでも見終わったあと、恋愛に不器用なMartinoが、フィルムを使ってAmandaへの気持ちを密やかに懸命に伝えようとするあたりのシーンが蘇ってくると、淡い甘酸っぱさに心がきゅんとなる(*^^*)

トリノを訪れるたびに、Mole Antonelliana前にはいつも行列が出来ているので、あっさり入館をあきらめて旧市街散策に足を向けてしまうが、こんなに素晴らしい映画博物館があると知っていたら、行列待ちも我慢できたのに。トリノのシンボルとも言うべき教会のような塔の円蓋に、フィボナッチ数列のライトアップがされているなんて知らなかったなぁ。面白い。次回のトリノ訪問はここだ!

製作国:Italy
初公開年:2004年
監督:Davide Ferrario
音楽:Fabio Barovero
キャスト:Giorgio Pasotti, Francesca Inaudi, Fabio Troiano, Francesca Picozza, Silvio Orlando(Narrator)


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by amore_spacey | 2009-07-10 02:48 | - Italian film | Comments(2)