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2016年いい男に囲まれた暮らし その3 Dominic West

今年3番目のニューエントリーは、Dominic West。これから書くことは、ごく一部を除いて(*1)全て妄想の世界です。
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6歳になるアタシの娘・まる子は、ピアノの個人レッスンに通っている。最初の師匠はMaurizio Pollini、次が内田光子、そして3人目がKrystian Zimerman。上達するに従って、ピアノもグレードアップしてきた。色々なメーカーのピアノを弾いてきたが、1年前Fazioliのグランドに変えてから、まる子の奏でる音色は、成熟した女のような艶を帯びてきた。

このピアノの子守役が、Dominic Westなのだ。SteinwayやFazioliのピアノに詳しいカリスマ調律師で、一般の予約は受け付けていないが、友人Martha Argerichの口利きで、わがやのような庶民の家にも足を運んでくれることになった。


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初めてわがやに来たのは2年前。相手はカリスマ調律師、失礼があってはいけない。1週間前から大掃除を始め、ピアノの部屋は念入りに磨き上げた。お茶菓子は老舗から取り寄せたほうがいいのかしら?Marthaに電話すると、「ああ、彼ね、亀田の柿の種っ子が好きなのよ」 へっ?柿の種っ子ならアタシの大好物、常備してあるから大丈夫。Dominicって庶民的なのね、うふふっ。

何事も初対面が肝心。なので20年ぶりに着物を着て(何で着物?)、玄関に正座してお待ちしておりました。インターフォンが鳴ったのは、約束の10時きっかり。さすがカリスマ調律師、てきとーなイタリア人とは違う。ところがインターフォンの画面に映っていたのは、けったいな帽子をかぶった山男だった。「また変な新興宗教の勧誘かしら?ほんまに嫌やわぁ」 居留守を使おうと思ったが、アタシの第六感が「ダメダメ」という。インターフォンに出ると、件の山男は、Dominicその人だった。居留守を使わなくて、よかった。玄関に入ってくるなり、大きなバックパックをドサリと置いて、「初めまして。」 「いやぁ、奥さん、驚かせてしまったようですね。たった今、北アルプスから戻ってきたばかりで…。」 雷神のような豪快な声が、狭い玄関に響き渡った。


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気さくで人懐こいDominicの魅力に、アタシは一目惚れ。緊張は解け、着物の帯も解けそうになった。ピアノのある防音室に案内すると、さっそく仕事に取り掛かる。気さくな山男は消え、そこに居たのはカリスマ調律師だった。Fazioliのピアノを、まるで自分の愛娘のように扱う。仕事の邪魔にならないように、アタシは居間に戻ってきた。それから1時間ほど経ち、「奥さん、終わりました」と防音室から彼の声。ちょうどお茶を入れたところで、柿の種っ子と一緒に持っていった。「コレ、美味しいですよねェ。一度でいいから、バケツ一杯食べてみたいもんです」などと言いながら、Dominicは柿の種っ子をボリボリ。その年のクリスマス・プレゼントに、10トントレーラー1台分の柿の種っ子を贈った。もちろん彼は大喜び。素直でかわいい子。

「こんな素晴らしいピアノで練習できる娘さんは、本当に幸せですね」 キャリーケースに調律道具一式を片付けたDominicが、急にあらたまった口調で、「1つだけお願いしたいことが…」 と言ってピアノの前に立ち、静かに鍵盤を指さした。「これでは、せっかくのピアノが泣いてしまいます」 何のことやらさっぱり分からず、のぞき込んでみると、、、そこらじゅうの鍵盤に、まる子の鼻クソがこってり。あちゃー!(→←;) 鍵盤の掃除まで、手が回らなかった。「まる子のバカ!アタシに恥かかせて…。高級ピアノに何すんのよ」と心の中で毒づくアタシにDominicは、「でも娘さんを叱ったりしないで下さいね。子どもはよくやるんですよ」とまる子へのフォローを欠かさない。さらに彼の虜になった。次回の調律は半年先。アタシたちの逢瀬は、まるで七夕の織姫と彦星みたい(涙)

(*1) わがやに来るピアノの調律師が、Dominic Westにビックリ仰天レベルで似ている。これはホンマの話やねんで。


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by amore_spacey | 2016-01-30 22:47 | My talk | Comments(0)

Room (ルーム)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (86点)

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【あらすじ】 7年前から施錠された部屋に監禁されているJoy(Brie Larson)と、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子Jack(Jacob Tremblay)。この部屋しか知らない息子に外の世界を教えるため、そして奪われた自らの人生を取り戻すため、彼女は命懸けで脱出を計画するのだった。オーストリアで起きたFritzl事件をもとに書いた、Emma Donoghueの同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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先日観たばかりの『灼熱の魂』に続いて、この作品も胸にズシーンと来た。少しずつヒントが与えられるので、ストーリーが進むに従い、この母子の置かれた状況が明確になっていく仕掛けになっており、最初から画面にくぎづけ。しかし平和な母子の暮らしが、Old Nick(Sean Bridgers )という男の登場によって一変する。Jackの脱出シーン。うまくいくことは分かっているのに、ハラハラ・ドキドキ。もう心臓に悪いったらありゃしない。


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初めて部屋の外に出たJackにとって外の世界は、人が多すぎる、広すぎる、明るすぎる。怖い。うまく声を出せない。階段の上り下りすら分からない。生まれてから5年かけて体験することを、Jackは(大袈裟に言えば)たった1日でやらなくちゃならない。だから毎日の暮らしは、黒船来航など比べ物にならないほど、衝撃の連続だ。

自宅に帰ってホッとしたのも束の間、脱出してからの暮らしのほうが、遥かに大変だという事実にJoyは気づく。マスコミ連中や野次馬。それ以上に神経を尖らせたのが、実の両親、特に父との関係だった。犯人にレイプされて出来てしまった子どもを生んだ娘。世間様に顔向けできない。


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5歳の息子が次第に心を開き、健気にも広い世界へ踏み出していこうとしている一方で、Joyは失った7年の重みに押し潰されそうになり、次第に崩壊していく。そんな母を守ろうとするのが、5歳の息子だ。あんな素敵な言葉をJackにかけてもらったら、あんなに無垢で可愛い目で言われたら、おばあちゃん(Joyの母)やお母さんだけでなく、視聴者もうるうる、涙ぽろりデス。


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by amore_spacey | 2016-01-29 02:47 | - Other film | Comments(0)

Steve Jobs (スティーブ・ジョブズ)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 1984年 Macintosh発表会。本番40分前、主役のMacintoshがうまく作動せず、それなら発表会は中止するというSteve Jobs(Michael Fassbender)に、音声ソフトなしで進めることを提案するJoanna Hoffman(Kate Winslet)。会場の控室には元恋人Chrisann Brennan(Katherine Waterston)が、娘のLisa(Makenzie Moss)と待っていた。娘の認知を拒否し、タイム誌の取材に「米国男性の28%は父親の可能性がある」と言ったJobsに抗議に来たのだった。
 Steve Jobsの人生の中で転機となった、1984年 Macintosh発表会・1988年 NeXT Cube発表会・1998年 iMac発表会の幕が上がる前の舞台裏40分を描いた伝記ドラマ。(作品の詳細はこちら


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Fassbender1人祭り続行中。舞台劇のような作品で、1人の人間として、また父親としてのSteve Jobs像をじっくり堪能することができた。それにしても人間的には、問題の多い人だったようだ。頭ごなしにスタッフを怒鳴り散らす、うまくいかなきゃ子どものように拗ねる、友人の手柄を横取りする…。上司には絶対になって欲しくない。父親や夫もヤダ。ビジネス戦略には非常に長けていたが、歪(いびつ)で寂しい独裁者だったのでは?と思われる。真っ白なポスターに、Steveがぽつんと1人。これが全てを物語っている。


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もし才能溢れる友人たちやJoannaがいなかったら、カリスマSteveは誕生しなかったかもしれない。娘Lisaとの関係も、どうなっていたことやら。DNA鑑定で父親と認定されたにも拘わらず、娘を拒否し続けた。父親としてどうふるまっていいのか、彼自身が途方にくれていたのだ。娘のことを本当に愛せるかどうかさえ、彼には分からなかった。孤独な少年時代を過ごした彼は、温かい家族や親の存在に飢えていたにも拘らず、同時に、そういうものに嫌悪感を抱いていた・・・のかもしれない。

この作品でMichael Fassbenderの魅力に、ますますハマッた。アレがでかい(グフフッ)、危険な香りをまとっている、官能的でとてもセクシー。彼を形容する言葉は色々あるが、Steveを演じた彼はそのどれでもなく(危険な香りはあったかも)、誰にも埋められない孤独感や寂しさをまとい、ぎゅっとハグしてあげたかった。Kate Winsletもグッジョブ!


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by amore_spacey | 2016-01-27 02:33 | - Other film | Comments(2)

Incendies (灼熱の魂)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (88点)

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【あらすじ】 ケベック州に住む双子の姉弟Jeanne(Mélissa Désormeaux-Poulin)とSimon(Maxim Gaudette)は、亡くなった母親Nawal(Lubna Azabal)の遺言を公証人Jean Lebel(Rémy Girard)から受け、未だ見ぬ彼らの父親と兄の存在を知らされた。そして遺言によりJeanneは父親への手紙を、Simonは兄への手紙を託された。まだ見ぬ家族を探すためNawalの母国を訪れたJeanneとSimonは、そこで母の過去と向き合うことになる。(作品の詳細はこちら


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眠り病に罹ったのか?と思うほど、最近眠くて仕方がなく、この映画を観た夜もかなり眠くて、途中でうたた寝していたらしい(目撃談) ぼんやり画面を追いながら、しかし母Nawalがプールで、かかとの刺青(=縦に並んだ3つの点)を見た瞬間や、Simonが1+1=1?を繰り返すシーンに、頭をガツーンと殴られた。衝撃的だった。

     ソファから起き上がり、前のめりになって、「マジ??」

ジグソーパズルを1ピースずつ丹念に当て嵌めていくように、地道な作業で母の過去を再現してきた姉弟(そして視聴者)の前に、戦慄すべき事実がバーン!!!と突きつけられる。いや、JeanneもSimonも視聴者も、薄々は感づいていた、その事実。「でも、まさか・・・だよね?」と打ち消して来たそのことが、母の現実だったのだ。

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こんな間違いが起きたのは、「時代のせいだから、仕方がないのよ」「それでもあの子は、私の大切な息子」「ここで憎しみの連鎖を、断ち切らねばならない」と、全てを知った上で母は赦した。しかし残された姉弟は、この爆弾をどう処理するのか?どう折り合いをつけて、これから生きていくのだろう?レバノンの国情を、少しは勉強してからもう1度みようと思う。

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因みに大部分の国では作品のタイトルがIncendies(=戦火、火災)、日本語版は『灼熱の魂』、イタリア語版は『La donna che canta(歌う女)』、某国では『烈火焚身』、またある国では『母親的告白』など、色々。



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by amore_spacey | 2016-01-25 00:15 | - Other film | Comments(0)

2016年いい男に囲まれた暮らし その2 Taylor Kitsch

今年2番目のニューエントリーは、Michael Fassbenderに続いてTaylor Kitsch。これから書くことは、全て妄想の世界です。

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Taylor Kitschは近所のスーパーの一角で、5年ほど前からたい焼きを売っている。イケメン兄ちゃんなので、売り場の前にはいつも主婦の人だかり。もちろんアタシもその1人。だけど15歳になるアタシの長男・ブサ男が、Taylorにサッカーを教えてもらっているよしみで、他の主婦より若干待遇がいいの、フッフーン(ドヤ顔)。

頭の先から尾ひれの隅っこまで、餡子をぎっちり詰めてくれる。それを頬張ろうとして、アゴが外れたことがあったけれど、全然OK、問題なーし。たい焼き用の餡子や塩キャラメル入りカスタードクリームを、タッパーに入れて渡してくれることもある。断れない性質(たち)のアタシは、たい焼きや餡子やクリームを食べ続ける。でも太らない体質で、スリムなボディをキープ。もちろん朝晩のヨガと毎日のジムは欠かさない。それもこれも、みんなTaylorのため。


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夫が出張で留守のときに、巣鴨や駒込でお茶したり、荒川上流で釣りをしたり、日帰りで伊香保温泉に行ったりする。桜の季節には桜を、秋には紅葉を見に出かけることも。アタシがインフルエンザで寝込んだとき、うちに来ておかゆを作ってくれたことがあった。夫は海外出張中、ブサ男はサッカー合宿で、アタシはTaylorと2人きり、グフフッ(赤頭巾ちゃんのオオカミ)。彼を丸ごと食べちゃいたい気持ちをぐっとこらえて、「よう来てくれはりましたなぁ。ありがとぅ。うち、ほんまに嬉しいわぁ」アタシはティーンエイジャーのように顔を赤らめながら、うつむき加減に微笑んだ(おそろしい子)。


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2人でいるところを女性自信や週間新調にパパラッチされ、近所の主婦たちの噂となり、夫が知るのも時間の問題だった。ところが、びっくりぽんや。「若い男友だちがいたかて、ええのんと違いますか?」と、アタシたちの関係をあっさり承認。えっ、まさか、夫に愛人?Sherlockに調査させてみたが、結果は白だった。まぁ、貴方はなんて寛容な夫なんでしょう!今まで粗大ゴミ扱いしてゴメンなさい。

心を入れ替えたアタシは、それから夫もTaylorも、命をかけて愛している。昨夜はわがやのすき焼きパーティーにTaylorやFass先生も招待して、大勢で盛り上がった。そこで知った事実は、TaylorとFass先生が、同じ高校のサッカー部だったこと。世間は狭い、狭すぎる。ウソみたいな本当のことが、あるものだ(妄想OD)。アタシがTalyorと更に仲良くなったのを妬んで、近所の主婦やママ友連中はアタシをシカトするようになった。そやけどアテにはTaylorはんやFass先生が居てるさかい、コワいことなんかあらしまへんで(遠吠え)。



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by amore_spacey | 2016-01-23 01:03 | My talk | Comments(4)

2016年いい男に囲まれた暮らしその1 Michael Fassbender

1年に1度はこのシリーズをやって、妄想ワールドにどっぷり浸かりたい今日この頃。今年のニューエントリーは、Michael Fassbender。これから書くことは、全て妄想の世界です。

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6歳になるアタシの娘・まる子を連れて、明治時代から3代続く、この界隈では評判のよいFass小児科医院に行った。まる子の担当医は、Michael Fassbender医院長先生。初対面の挨拶のとき、野球のグローブのようなデカい手で、ぎゅっと手加減なく握手をされて、アタシの右手が砕けた。喧嘩っ早いアタシは普通だったら胸ぐらつかんで、「何すんじゃ、ワレ!」と投げ飛ばすところ。でも憧れのFass先生だから、手の骨の1本や2本や3本…いや、全滅しても、全然OK。にっこりFass先生に微笑み返す、余裕ぶっこいてるアタシ。


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人見知りしないまる子は、診察のあとツキノワグマのようなFass先生を相手に、ときどきお医者さんごっこをする。もちろんまる子がお医者さんで、Fass先生が患者さん。「今日はどうされたんですか?」 「じつはお弁当のおにぎらずを食べてたら、前歯が折れてしまって…」 「おや、それは大変ですね。ちょっと口の中を見せて下さい。」 「あーーん(←Fass先生が口を開ける動作)」 「Fassくんの歯は、真珠のようですね。歯並びもきれいです。歯磨きのCMに出るといいかもですよ」 「まる子先生、ありがとうございます」 まる子の声色や口調は、Fass先生そのもの。

彼らがどんどん盛り上がっていくのを見て、イライラと疎外感が募ってくる。Fass先生と嬉しそうに遊ぶまる子の首根っこをつかんで、ブンブンぶん回し、診察室の窓から放り投げてやりたい衝動に駆られた。その瞬間、Fass先生が本業のお医者さんに戻り、「さぁて、先生もお仕事あるから、お医者さんごっこはおしまい。まる子ちゃん、早くよくなるといいね」そう言いながら、とても爽やかなスマイルでアタシを包んでくれた。


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その笑顔が、超可愛くてね、アタシとろけそうになりました。あのスマイルがなかったら、診察室は血の海、母娘の修羅場と化すところだった。夫のスマイルじゃ、こうはいかない。身も心も浮き浮き、アタシの目はハート・マーク。るんるん(死語)しながら診察室を出ていくアタシに、「おかあちゃん、待ってェ。なんでそんなに嬉しいん?」 まるで空気が読めないまる子。今夜はFass先生が夢に出てきてくれるかも、ウフフッ。夕食の席で、「おとうちゃん、あのな、今日のおかあちゃんな、いつもと違うんよ」と、余計なことを報告するまる子だった。


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by amore_spacey | 2016-01-22 02:07 | My talk | Comments(4)

Taylor Kitsch (ヴェリーショートなテイラー・キッチュ)

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フランス映画1人祭りの最中に突然Fassbender1人祭りも始めてしまいましたが、Taylor1人祭りも忘れていませんよ。さてTaylor Kitschと言ったら、Friday Night LightsのTim Riggins。Timと言ったら、セミロング。だからトレードマークのセミロングをバッサリ切った時、大勢のファンが泣いた。「なんで切ったの?」

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手にしているのは、ナマズ?


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by amore_spacey | 2016-01-20 00:03 | My talk | Comments(0)

Spotlight (スポットライト 世紀のスクープ)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (85点)

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【あらすじ】 2002年ボストン。アメリカの新聞Boston Globeは、SPOTLIGHTという見出しの新聞連載コーナーに、神父による児童への性的虐待やカトリック教会がその事実を看過していたという記事を掲載した。これをきっかけにMarty Baron新編集長(Liev Schreiber)率いるSpotlightチームのRobby(Michael Keaton)やMike Rezendes(Mark Ruffalo)やSacha Pfeiffer(Rachel McAdams)ら5人は、記者生命をかけて真相を調査し、社会で大きな権力を握る人物たちを失脚へと追い込んでいく。最後の余談となるが、2003年 Spotlightチームは、Pulitzer賞(報道部門)を受賞。(作品の詳細はこちら


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超豪華キャスト。「米国の長塚京三」と私が密かに慕っているMichael Keatonをはじめ、社会派ドラマにふさわしい役者たちが揃った素晴らしい作品だった。主役も(誰が主役?)脇役もほぼ同じラインに立ち、出過ぎず引き過ぎずほどよいバランスと適度な緊張を保ちながら、ストーリーが展開していく。出来得る限り客観的に描写することで、性的虐待を受けた者の生の声をくっきり浮かび上がらせた。抑制の効いたフィナーレによって、観終わった後も静かに余韻に浸り、様々な思いを巡らせることができる。


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教会は神殿、司祭や宗教指導者たちは神の使い。彼らは人の心を救う神聖な存在、絶対的な善なのだ。教会にメスを入れる者は、神に刃向かう異端者、神への冒涜に等しい。刃向かえば、相応の処罰が下る。彼らはタブーを印籠のように突きつけ、水面下で弱者を利用し傷つけ死に追い込んできた。ヤクザやマフィアより陰湿かもしれない。

Benedetto XVI教皇が在位中、神父による性的虐待事件とカトリック教会による長年の隠蔽問題が表面化し、大々的に取り沙汰された。しかし教皇自らこのスキャンダルを見過すとも受け取られ兼ねない曖昧な発言をしたため、教会批判はいっそう激しくなった。後任のFrancesco教皇に、期待が寄せられる。


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「Pulitzer賞の報道部門・公益(Public Service)は、社説・写真・時事漫画・報道などジャーナリズムによって社会の公益に貢献した新聞を対象とするもの」とWikipediaは定義する。

Spotlightチームのメンバーは、生身の人間の苦悩を見過すことが出来なかった。見過してきたことへの後悔があった。宗教指導者たちの性の道具にされ人生を狂わされた人々の声、教会の隠蔽工作によって闇に葬られた彼らの声をすくいとって国民に届け、教会の因習やタブーを畏れず真相究明に奔走した。その結果、生き残った被害者や残された家族が、打ちひしがれたまま泣き寝入りするのではなく、今まさに自らの足で立ち上がって歩き出そうとしている。これこそジャーナリズムが社会の公益に貢献したといえるのではないかと思う。ジャーナリストとして、それ以前に1人の人間として、善良な心を持つ果敢な人々が存在する、という事実に勇気づけられた。


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by amore_spacey | 2016-01-19 01:00 | - Other film | Comments(0)

Shame (シェイム)

ネタばれあり?

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 ニューヨークに暮らすビジネスマンBrandon(Michael Fassbender)は、プライベートのすべてをセックスに費やしているほどの性依存状態。そんなある日Brandonのアパートに、恋人と別れた妹のSissy (Carey Mulligan)が転がりこんできた。恋愛依存症でリストカット癖のあるSissy。感情を剥き出しにする妹と衝突を繰り返すうちに、彼の中で眠っていた過去が蠢きはじめる。


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引き続きFassbender1人祭り開催中。「Fassbenderの全裸シーン」「濡れ場満載!」「彼のアレが見えるらしい」… ポルノ映画並みの噂を聞いて、ウハウハ飛びついた。が、蓋を開いてみたら・・・もちろんそういったシーンも沢山出てくるが、嫌らしさや官能的なものは皆無に近く、ただ虚しさや寂しさが募るばかり。不器用で歪(いびつ)に育った人間の心模様を描いた作品だった。

Brandonにとって男女の営みは、愛情交流の先にある温かなものではなく、足りない何かを埋めようとする手段であり、封印しておきたい感情を紛らわせるための行為でしかない。深い人間関係を築くことができないから、行為の最中も快楽どころか、苦しみや絶望があるだけなのだ。

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妹がアパートに転がり込んで来てから、彼らを取り巻く環境や生い立ちが、断片的に明らかになっていく。この2人は幼い頃、性的虐待を受けたに違いない。親から愛情を注いでもらえず、寂しい思いをして育ってきたらしい。だからごく普通の人間関係を築くことができない。自分にも他人にも、愛情が持てない。大勢の人々に囲まれながら、底知れぬ絶望の暗闇にいる。喜怒哀楽の表情が平坦な中での、虚ろな表情や下卑た目つき、ごく稀に現れる怒りや子どものような純真なまなざし。Fassbenderはそれらを見事に演じ分けた。それにもまして、彼の役者魂やプロ根性に拍手。


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by amore_spacey | 2016-01-16 07:07 | - Other film | Comments(0)

The Lobster (ザ・ロブスター)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (76点)

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【あらすじ】 独り者は悪とされる近未来社会。ここで生きるには常にカップルでいなければいけないため、独身者は身柄を拘束され、強制的にホテルに連行され、45日以内に同じ独身者からパートナーを見つけてカップルにならなければ、罰として自分で選んだ動物の姿に変えられ森に放たれる。妻に別れを告げられ独り身になったDavid(Colin Farrell)もホテルに送られ、カップルを見つけなければ、’’希望通り’’ロブスターに変えられてしまうことになった。しかし想像を絶するホテルの生活に耐えきれず、Davidは独身者たちが密かに暮らしている森へ逃亡。そこで彼は1人の女性(Rachel Weisz)に恋をするが、独り身世界の掟を破ってしまう。(作品の詳細はこちら


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奇想天外なストーリーで、ブラックユーモアにあふれたシュールな会話や映像が次々に登場する。前半は小気味のよいテンポで進んでいくが、Davidの逃亡あたりから冗長で緩慢になり、中弛みのままフィナーレを迎える。しかし話が収束しないため、もやもや。着地場所が見出せず、視聴者に丸投げした感が強い。前半86点、後半66点。

David扮するColin Farrellの、ボッテリした締まりのない身体、人生どうでもいい投げやりな感じ、自分のことにすら無関心、虚ろなまなざし。人生に疲れたおっさん、そんなColinが可愛くてたまらない。ハグしてあげたい。彼の兄(弟?)が姿をかえたワンコも可愛い。


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価値観や法が全く違う(理不尽な)社会における、個人としての人や、他者との繋がり・組織の中の個人の様相に迫る。斬新な切り口で、とても興味深い試みだと思う。例えば『霧と夜』の時代に生まれていたら、四の五の言ってる場合じゃない。命令に従わなければ(従っても)殺される。今の世の中は、様々なことに寛容になってきている(ように見える)。価値観も多様化している。その中で、いかに自分らしく生きるか、いかに生を全うするのか?それは社会や世間が決めるのではなく、個人の意志に委ねられている。


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by amore_spacey | 2016-01-16 06:47 | - Other film | Comments(0)