天国と地獄

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 ナショナル・シューズの権藤専務(三船敏郎)は、自分の息子と間違えられて運転手・青木(佐田豊)の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求された。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう。Ed McBainの小説『キングの身代金』(1959年、「87分署シリーズ」の1つ)に触発された黒澤監督が、映画化した作品。


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仲代達矢の1人祭りは、これで終わり。志村喬・三船・仲代・三橋達也・香川京子などの主役級はさておき、クレジットに名前こそ出ているものの、その他大勢にまとめられた役者の中には、その後素晴らしい主役や脇役になった者がたくさんいる。木村功・加藤武・江木俊夫(子役!)・名古屋章・千秋実・北村和夫・浜村純・西村晃・東野英治郎・菅井きん・大滝秀治。小さい頃、両親が観ていたドラマの中に出ていた役者たちだ。

私の中ではずっとおじいさんだった大滝秀治が、めっちゃイケメンでビックリ。おばあさん役しか知らない菅井きんも、当時37歳で女盛りですよ。権藤の子どもは、何とフォーリーブスの江木だった。特急こだまなんてのがあったんだぁ。公衆電話ボックスやダイヤル電話。ごちゃごちゃした街並みや油で汚れた町工場などなど、昭和の風景やアイテムにも目が釘付け。ストーリーとは関係ないところに気をとられて、肝心の話のほうが手薄になってしまった。


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権藤家の応接間の息が詰まるような緊迫した状況から、特急こだまでの身代金の受け渡しのシーンを境に、話は躍動感を帯びはじめ、誘拐された子どもは?身代金は取り戻せるのか?犯人は?その動機は?と、前のめりになって観た。


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叩き上げで築いた製靴会社から追われるが、再び小さな製靴会社を始めることになる権藤。捜査担当主任のエリートで、確実に死刑にするため敢えて犯人を泳がせて逮捕する戸倉(仲代達矢)。死刑など怖くないと強がりを見せるが、結局は頭を抱えて叫ぶ竹内(山崎努)。彼らをみていると、私たち人間が抱く複雑で割り切れない感情や本当の強さについて考えてしまう。それにしても、あの尾行はまずい。すぐにバレちゃうでしょう(苦笑)


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# by amore_spacey | 2017-09-06 00:35 | - Japanese film | Comments(0)

切腹

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 寛永七年十月、彦根藩井伊家の上屋敷に、津雲半四郎(仲代達矢)と名乗る浪人が現れ、「切腹のためお庭拝借」と申し出た。生活に困窮した浪人が「切腹する」と言っては、庭や玄関を汚されたくない人々から金品を巻き上げることが流行っており、家老の斎藤勘解由(さいとうかげゆ、三國錬太郎)は、数ヶ月前にやってきた千々岩求女(ちぢいわもとめ、石浜朗)という若い浪人の話を始めた。家老が切腹の場を設けてやると言い出すと、求女は狼狽したあげく、竹光で腹を切った上に舌を噛んで絶命したと。話を聞いた半四郎は、求女は自分の娘婿であることを告げた。1963年に第16回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞。


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仲代達矢の1人祭り。仲代達矢が演じる津雲半四郎の、異様な落ち着きぶりや存在感。そして淡々とした彼の語り口や狂気と紙一重の眼差し。この男はいったい何者なんだ?もう彼から目が離せなくなってしまった。全く蟻地獄のように恐ろしい子です、仲代達矢という役者は。

領主に対し問答を始めるなど、身の程知らずと言える行為だが、恐ろしい子@仲代達矢は無礼を承知で、わが身を明かし、育て親として千々岩の無念の思いを汲んでやる。時おり不敵に笑う、謎めいたど迫力には、家老でなくともたじろいでしまう。しかしそこは井伊家の家老、内心の焦りなど微塵も見せず、堂々と渡り合っていく。先が読めない2人のやりとりの、この緊迫感が堪らない。まるでミステリーのような展開だ。


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静かなシーンが淡々と進んでいくが、もちろん殺陣もある。特に仲代と丹波の一騎打ちは、カッコよく美しく、見ごたえ十分。ここからフィナーレに向かって、驚くべき展開が待っている。誰が正しいか?武士道とは何なのか?その答えには、各々のモラルや立場や考え方が、如実に反映されるだろうと思う。


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当時29歳の仲代、あの老成した演技に深く感動した。彼の娘を演じた岩下志麻が、当時20歳。9歳しか違わない父娘なのに、全く違和感がなかった。いやはや、仲代様には恐れ入りました。


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# by amore_spacey | 2017-09-05 01:35 | - Japanese film | Comments(0)

春との旅

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 足の不自由な元漁師の忠男(仲代達矢)と仕事を失った18歳の孫娘・春(徳永えり)は、忠男の生活の面倒を見てもらおうと疎遠だった親類縁者を訪ね歩く旅に出る。親族との気まずい再会を経るうちに、忠男はこれまで避けてきた過去と向き合わざるを得なくなる。そんな祖父の葛藤(かっとう)を間近に見ていた春にも、ある感情が芽生えていく。


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仲代達矢1人祭り。何となく『東京家族』を彷彿させるが、こちらは傲慢で我儘で甘ったれな男が、老後の面倒をみてもらおうと、身内を訪ね歩く話だ。舞台役者だけあって、仲代達矢の演技はいささか大袈裟だが、彼の存在感には圧倒された。特に台詞のない場面での微妙な表情の変化は、経験に裏付けられ真に迫る。

脇役も素晴らしい。兄夫婦(大滝秀治と菅井きん)、弟の内縁の妻(田中裕子)、彼女と同じアパートの住人(小林薫って、すぐには分からなかったよ)、旅館を切り盛りする姉(淡島千景の肝っ玉姉さんぶりに惚れた)、不動産で羽振りがよかったはずの弟夫婦(柄本明と美保純)、春の父(香川照之)と再婚した妻(戸田菜穂)。主役レベルが勢揃いじゃないですか!


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さていきなり訪ねて来られた側は、玄関先で追い払うことも出来ず、対応に困ってしまう。が、一応部屋にあげて、忠男の話を聞く。そして面倒をみることはできないと、皆口を揃えて言う。決して薄情ではない。面倒をみてやりたくてもムリなのだ。柄本明との喧嘩、あれは子どもレベルで面白かった。家族や失業や高齢化など、厳しい現実を取り上げつつ、微妙に歯車の合わない2人が醸し出す、ちょいトボけた空気のお陰で、重苦しさが薄められたように思う。


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旅を通しておじいちゃんと身内の関係をみているうちに、今度は春自身が実父に会いたくなり、後半で春の家族のことや、辛い事実が明らかになる。春の父親を演じた香川照之が、すごく良かったなぁ。顔芸合戦やキャッチコピーのような名台詞を連射する役より、むしろ地味で平凡な男や脛に傷を持つ男を演じたほうが、彼の持ち味をじっくり味わうことができる気がする。哀愁を漂わせた彼の背中や横顔が、胸に突き刺さった。


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# by amore_spacey | 2017-09-04 00:49 | - Japanese film | Comments(0)

テラス (La terrazza)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (75点)

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【あらすじ】 ローマの広いテラスを舞台に、5人のストーリーが展開する。第1話はスランプに陥った映画の脚本家Enrico(Jean-Louis Trintignant)、第2話は妻の心を取り戻したい流行遅れのファッション・ジャーナリストLuigi(Marcello Mastroianni)、第3話は拒食症で鬱のRAI(国営放送)職員Sergio(Serge Reggiani)、第4話は妻に振り回される映画プロデューサーAmedeo(Ugo Tognazzi)、第5話は人妻(Stefania Sandrelli)と浮気をする共産党の議員Mario(Vittorio Gassman)。広いテラスのある家で顔を合わせた5人は、楽しく喋ったり、時には議論を戦わせたり、興奮のあまり喧嘩に発展したり。そして1年後、同じ場所で再会した彼らは…。1980年第33回カンヌ国際映画祭で、脚本賞を受賞。(作品の詳細はこちら )


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広いテラスにご馳走が用意されたブッフェスタイルの夕食に、大勢の人々が招待されて集まった。5つのエピソードに登場する5人は、旧知の仲なのか、ここで初めて顔を合わせたのか、説明がない。が、そんなことはあまり意味がない。イタリア人は初対面でも、すぐに仲良くなる天才だから。5人のエピソードがどれもこれも冴えず、まさしく中年のオヤジにありがちなことばかり。中でもスランプに陥った映画の脚本家Enricoや拒食症で鬱のSergioは、病的ですらあり、他人事だから笑えるものの、これが家族だったら頭を抱え込んでしまう事態だ。


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ローマに住む中産階級の人々の堅実な暮らしぶりは、贅沢さえ言わなければそこそこ幸せなはずなのに、誰も彼もが何か割り切れない思いを抱えている。自分の人生は、こんなはずではなかった。もっと上を目指すことだってできた。ああ、若いあの頃はよかった。そんなノスタルジーに満ちた中にも、ほんの少し気持ちを切り替えれば、またいいことがあるさ。というような、現状を受け入れて行こうとする姿勢が垣間見えてくる。にわか雨が降ってきて、人々がテラスから部屋に駆け込むラストシーン。白いグランドピアノを囲んで、皆が歌う。こんな暮らしだって、悪くないじゃないか、と言わんばかりに。因みにこの作品でJean-Louis Trintignantは、娘と共演している。


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# by amore_spacey | 2017-09-03 00:10 | - Italian film | Comments(0)

ゲーム・オブ・スローンズ シーズン7 第3話~第7話 (Game of Thrones season 7 3-7 episodes)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (98点)

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【あらすじ】 Euron Greyjoy(Pilou Asbæk)の捕虜となったYara(Gemma Whelan)たち3人は、Cersei(Lena Headey)に引き渡された。Jon Snow(Kit Harington)とDaenerys(Emilia Clarke)の初会談は、Tyrion(Peter Dinklage)の計らいにより、DaenaerysがJonたちを援護することを約束する。Jaime(Nikolaj Coster-Waldau)率いるLannister軍を襲撃したDothrakiの大軍は、Daenaerysが乗るドラゴンの炎によって焼き尽くされた。
   一方Stark家には、Bran(Isaac Hempstead Wright)やArya(Maisie Williams)やSam(John Bradley)が帰って来た。AryaとSansa(Sophie Turner)を仲違いさせ、Stark家の自滅を画策したLittlefinger(Aidan Gillen)は、Aryaの手で始末される。BranはSamに、Jonの出生の秘密を明かす。
  Daenerysの援護により、Jonたちは死闘の末、死の軍団の1人を捕え、White Walkersから辛くも生還する。しかしDaenerysのドラゴンの1匹が、彼らの手に渡ってしまう。DaenerysはCerceiと初会談し、White Walkersの大軍が押し寄せてくる中、今は王国間で争っている場合ではないと力説した。CerceiはDaenerysたちと同盟を組み、White Walkersに立ち向かうことを宣言する。その頃Eastwatchでは、死のドラゴンが氷の炎で壁をなぎ倒し、死の軍団たちが攻め入って来た。(作品の詳細はこちら) 


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戦乱の世には、Tyrionのような参謀が必要ですのね。頭脳明晰で、常に冷静。譲歩したり、賭けに出るタイミングを心得ている。しかし彼も人の子。燃え盛るLannisterの光景を、どんな気持ちで見ていたのでしょう。Jaimeの安否も気になる。死ぬな。血を分けた異母兄弟なのに、今や敵対関係になってしまった。Lannister家の兄弟関係も複雑で、切ないもんですね。


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Cersei姐御は、性懲りもなくJaimeの子を御懐妊 ┐( ̄∇ ̄;)┌ 人間性や倫理や善とは対極に生きている彼女の、1ミクロンもブレない邪悪ぶりが、潔くてあっぱれ。地獄の果てまで突っ走って下さい。Cerceiを見限ったJaimeは、何処へ?背中が寂しかった。


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AryaとSansaがようやく再会できたというのに、Littlefingerの奴め、ろくなことを考えない。が、もはや彼女たちに敵うわけがない。彼のノドを真一文字に掻き切るArya、その一部始終を涼しげな瞳で見つめるSansa。邪魔者がまた1人退場、フフッ。


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ところで、北の壁に行ったJonのメンバーの中で、Brienne(Gwendoline Christie)が同行せず、寂しがっていたThormund(Kristofer Hivju)が、お茶目全開で可愛すぎました。「まだそんな関係じゃないけど、俺を見る目で、彼女の気持ちが分かるよ。」「子どもを作って、俺たち2人で世界征服するんだ」なんて、子どもみたいにはしゃぐ彼が、無邪気で可愛い。こういう箸休め的なエピソードが、すごく好きよ。ムードメーカーのThormundが、一瞬死んだか?とあの時は焦ったが、生きていてくれて本当によかった。


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DaenerysとJonの初対面が、意外にあっさりしていて拍子抜けしました。Daenerysの下に戻ったJorahも、劇的な再会を期待していたと思うが、傍らにいるJonを見て、「何だ、コイツは?」って、1ミリくらい敵意を抱いたのを、私は見逃さなかった。背は低いけど、自分より若くてイケメンだし。ムゥ、畜生っ!昼のメロドラマのような微妙な空気が、3人の間にさっと流れました(笑) 彼らは未だ知らないけど、Jonは落とし子でなく、本当の名はAegon Targaryen、正統な鉄の玉座の後継者ですから。SamとBranが、Winterfellの参謀として活躍してくれそうです。


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Jonを救出して看護するDaenerysを、Danyと呼ぶJon…(*^^*) いきなり打ち解けた雰囲気に、視聴者がほんの一瞬置いてきぼり。2人の熱い視線が絡み合い、ついに、ああなりました。Jonのプリップリのお尻は、眼福もの。叔母と甥っ子だけど、Targaryen家では(昔はよくあった)日常茶飯事なことだから、問題ありません。


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DaenerysとCerceiの初会談は、大御所2人の御出座(おでま)しとあって、一触即発の緊迫した空気に包まれ、一戦交えるかもな?と心配したが、Tyrion、ありがとう!貴方がいなかったら、とうの昔にこのドラマは終わっていたよ。Daenerysらしい華麗な登場に、「あたくしを待たせるなんて、何様気取り?」とイラつくCercei。でも巨大なドラゴンにビビり、死の軍団の捕虜に度肝を抜かれた彼女の頭は、お腹の中の世継ぎのことだけ。


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それにしても、ゾンビ軍団が多過ぎて、勝てる気が全くしないんですけど。White Walkerの組長Night Kingは、記憶違いでなければTargaryenかStarkの血を引いていたはずだから、次シーズンの展開は、ドラゴンに乗った組長とDaenerysが、真っ向から激突?組長が和解を申し入れてくる?それとも意表を突く第3の候補が、玉座をかっさらっていくのか?

今シーズンはさらにダイナミック&見所満載で、毎回ドキドキハラハラしているうちに、あっという間に終わってしまった。戦闘シーンは圧巻。主要なキャラが再会したり集結していくのをみると、このシリーズも終盤に入ったなぁと、涼しい風がそよぎ始める晩夏のように、一抹の寂しさを覚えました。玉座につくのは?来シーズンで終わっちゃうなんて…GOTロス、確定!(号泣) 


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# by amore_spacey | 2017-09-02 00:09 | - TV series | Comments(0)