ラッキー・ブレイク (Lucky Break)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 いつも失敗ばかりの冴えない泥棒Jimmy(James Nesbitt)は、今度もドジを踏んで刑務所行きとなった。そこで再会したかつての相棒Rud(Lennie James)と2人で、脱獄を目論む。
 そんなある日、無類のミュージカル好きのMortimer所長(Christopher Plummer)が、自作のミュージカル公演を催すことを発表した。公演のどさくさに紛れて脱走を企てるJimmyは、千載一遇のチャンスとばかりに出演を承諾し、仲間集めに奔走する。主役に抜擢されたJimmyの相手役が美人カウンセラーのAnnabel(Olivia Williams)ときて、すっかり気をよくした彼は、さっそく舞台の準備と同時に脱獄の計画を練り始めるのだった。(作品の詳細はこちら


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ずいぶん突飛な話で突っ込み所満載だけれど、コメディタッチで最後まで楽しめる。ゆるくて小さな笑いがふんだんに用意されているお陰で、ちょっぴりシリアスなシーンも登場するが、深刻になり過ぎないのも、さらっと観るにはちょうどいい。

まず冒頭で銀行強盗に失敗するJimmyとRudのお粗末な2人、こんなコンビで果たして脱獄計画が成功するのか?この時点で既に視聴者はかなり心配になり、行方が気になってくる。彼らに続いて登場する人々が、これまた個性的で、ミュージカルに紛れた脱獄計画に向かって一致団結し、悲喜こもごものドラマを見せてくれるのだ。


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この作品を観たかったのは、『手紙は憶えている』同様、Christopher Plummerがピアノを弾いているから。そのシーンも堪能したけれど(短すぎる!もっと観たかった&聴きたかった)、端正な容貌に似合わないお茶目な所作に萌えました(*^^*) 彼の自作ミュージカルが、『ネルソン提督』って…(爆) しかも囚人たちの演技が小学生レベルなのに、公演終了後、所長ったら感極まって涙を流してるし、ププッ。Christopherのやり過ぎない2枚目半が、チャーミングで素敵だ。


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ミュージカルに出演する囚人たちも、個性の強い人たちばかり。火遊び大好きな青年、出所したら家族3人で幸せな家庭を夢見るCliff(Timothy Spall)、自分が育てるトマトに異常な愛を示す男、荒々しく乱暴な大男、計画を横取りしようとする奴。

それからそこにいるだけでおかしいRog(Bill Nighy:物腰が柔らかく上品で頭は切れるが、腕力ゼロな役柄がピッタリ。圧倒的な存在感があるわけではないのに、何となく印象に残る)、演技指導する?気弱なメガネ男(Julian Barratt:オタク系イケメン?気になる)、囚人たちに目を光らせ彼らの行く手を阻む看守(Ron Cook)、そして美しいカウンセラーAnnabel。それぞれの役割や立ち位置がはっきりしているので、とても分かりやすく、私向きの作品だった。ところでPeter Cattaneo監督は、英国TVドラマ『REV』の監督だったんですね。


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# by amore_spacey | 2017-05-05 00:11 | - Other film | Comments(2)

海よりもまだ深く

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 15年前に1度だけ文学賞を受賞したことのある良多(阿部寛)は、「小説のための取材」と理由を付けて、町田(池松壮亮)とコンビを組んで探偵事務所で働いている。良多は離婚した元妻の響子(真木よう子)への思いを捨てきれず、響子に新しく恋人(小澤征悦)ができたことにぼうぜんとしていた。良多・響子・息子の真悟(吉澤太陽)は、良多の母・淑子(樹木希林)の家に偶然集まったある日、台風の一夜を4人で過ごすことになる。(作品の詳細はこちら


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是枝監督の作品を観ていると、忘れていた懐かしい気持ちに包まれ、胸が苦しくなる。作中の人々も視聴者も、それぞれ抱えている問題や生き方・育った環境は異なるのに、あるシーンに出てくるアイテムや何気ない会話によって、思い出の扉がパタンと開き、日常生活に紛れ忘れていた過去が、芋づる式に次々と蘇ってくる。
 
台風の夜3人が集まった公園の滑り台のシーンに、小学校の放課後、堤防に行って、自分たちの背より高い葦で秘密基地を作ったことを思い出した。台風で停電した夜、外は大荒れの中、部屋にろうそくを灯し、突然ふって湧いた非日常にわくわくしたものだった。カルピスは、子どもの頃の夏の味だな。こうした強烈な思い出だけでなく、同じようなことの繰り返しで、記憶にも残らないような平凡な日々が、是枝監督やベテラン役者たちの手にかかると、深みや広がりや大切さが増して、かけがえのないものに思えてくる。


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阿部ちゃん演じる良多は、ろくでなしのダメ男っぷりが半端なく、あれじゃ、離婚されても仕方がない。図体がデカくて団地サイズに納まり切らず、その姿が息苦しくも滑稽で笑える。そんな息子に突っ込みを入れつつ、煩いことを言わずそっと見守る母。どんなにダメな子でも、母親にとっては可愛い子なのだ。

阿部ちゃんと樹木希林との掛け合いは、素晴らしかった。『歩いても歩いても』に続く母子役というのもあるが、2人の息がぴったり合い、本当の親子以上に自然で馴染んでいた。こんなダメな父を持った息子はとんだ災難だけど、グレたり捻くれたりせず、それどころか父親より精神的にずっと大人で(そうならざるを得なかったんだけどね)、この年にしてすでに悟りの境地に達している。子どもは大人をよく見てるね。


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頑張っていい息子をやろう、いい父親ぶりをみせようとする良多に、元妻や姉(小林聡美)は手厳しい。そりゃそうです、世の中そんなに甘くないし、舐めてもらっちゃ困る。真っ当な生き方をする彼女たちの前では、デカい図体の良多も返す言葉がなく、縮こまってしまう。しかしダメ男で孤立無援かと思えば、探偵事務所に拾ってもらい、後輩の町田が仕事の域をこえて、手助けしてくれる。阿部ちゃんにくっついている池松が、まるで子犬みたい。助けてくれる人がいるというのは、心強いことだ。何はともあれ、現実をちゃんと見つめて、生きて欲しい。


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「幸せっていうのはね、何かを諦めないと手にできないもんなのよ」と良多の母は言うが、そうかな?幸せは手にするものではなく、ある瞬間にふっと感じるものだと思う。何かを諦めなくても、その人のアンテナさえさびついていなければ、じわっと噛み締めることが出来るはず。ところで冒頭に登場する煮物がとてもおいしそうだった。子どもの頃は、茶色の煮物が大嫌いだったのにね。


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# by amore_spacey | 2017-05-01 04:02 | - Japanese film | Comments(0)

歓びのトスカーナ (La pazza gioia)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 虚言癖でおしゃべりな自称・伯爵夫人Beatrice(Valeria Bruni Tedeschi)と、自分の殻に閉じこもった全身タトゥーの女Donatella(Micaela Ramazzotti)。社会復帰を助けるトスカーナの診療施設から脱走を図った2人は、破天荒な逃避行を繰り広げるなか、いつしか掛け替えのない絆で結ばれていく。2017年David Donatello賞で、作品賞や監督賞や主演女優賞(Valeria Bruni Tedeschi)など5部門受賞。(作品の詳細はこちら


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タイトルの語感から、弾けるような喜びに満ちた、軽いコメディタッチのドラマを想像していた。確かにBeatriceとDonatellaの逃避行は、Thelma & Louise (1991) を彷彿させるような珍道中だが、2人はどこでどう間違ったのか?人生に躓(つまづ)いて傷つき、心の奥に深い怒りや悲しみや後悔を抱えて生きている。

彼女たちの性格はコインの裏と表のように正反対で、事件が起きるたびに、それぞれのリアクションが面白いほど異なる。Beatriceが光なら、Donatellaは闇。自称・伯爵夫人のBeatriceは、出鱈目な話を間断なくすることで現実から目をそむけ、自分を保っている。Donatellaは付き合った男に捨てられたばかりか、2人の間にできた子どもを認知してもらえず、その子も養子にとられてしまう。心の中は生々しい傷だらけで、その痛みに1人でじっと耐える。殻に閉じこもることで、崖っぷちから転落しないように、なんとか踏みとどまっている。


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この2人を演じたValeriaとMicaelaが、まぁ、実に素晴らしかった。舞台劇のような幾分大袈裟な演技も、Valeriaにかかると、俄然、真実味を帯びてきて、「ああ、こんな人いる」と思わせ、説得力があった。テンションが高く、口を開けば嘘がよどみなく出てくる。あそこまで流暢に次から次へと嘘が出てくると、もうあっぱれ!一緒にいたら非常に疲れるタイプだが、どこか愛嬌があって憎みきれない。一方Micaelaはげっそり痩せて頬がおちくぼみ、全身のタトゥーが嫌でも人目をひく。絶望に沈んだまなざしが痛々しくやるせない。すっかり笑いを忘れた彼女に、施設の先輩であるBeatriceが、あれこれ世話を焼こうとする。Donatellaが気になる存在なのだ。

けれどまるでピエロのように面白おかしく、時には狂ったように陽気な振る舞いで、刹那的に生きるBeatriceに、Donatellaは戸惑いを隠せない。嘘の話でどんなに誤魔化しても、現実は変わらないことを知っているから。厳しい現実を味わったDonatellaは、幸せな時間のあとに襲って来る、あの何とも言いようのない寂しさや重苦しさが、もはや恐怖でしかない。対照的な2人の性格や生き方に、「それはそうだけど…」と言いつつも、そのどこかに自分の姿が重なるような、何かしら共感できる部分があり、知らないうちに引き込まれる。


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背負っている人生は違うが、束の間の逃避行で、何かが少し変わった。現状は、依然、変わらない。しかし2人の間に相手を気遣う愛情が芽生え、傷ついた心を癒してくれる。心を通わせる相手がそばにいて、気持ちがふわっと軽くなる支えがあるというのは、愛に飢えた2人にとって最高の癒しに違いない。養子に出された子どもに再会し、辛い過去など忘れて海で戯れる、こんな束の間の幸せも、私たちの日常に思いがけなく訪れる。人生、悪いこともあれば、いいこともあるよ。


 
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# by amore_spacey | 2017-04-26 01:21 | - Italian film | Comments(0)

ラッシュ/プライドと友情 (Rush)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 性格もレーススタイルも相反するF1レーサー、Niki Lauda(Daniel Brühl)とJames Hunt(Chris Hemsworth)が、激しい首位争いを繰り広げていた1976年。ランキング1位だったLaudaは、ドイツ大会の大事故で、大火傷を負いながらも、事故後6週間でレースに復帰し、日本の富士スピードウェイでシリーズ最後のレースに臨む。(作品の詳細はこちら


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Ayrton SennaやAlain Prost以降のF1しか知らないけれど、それでも十分に楽しめた。後半はアドレナリン上昇マックスで、コックピットやレーサーが座る低い位置からとらえた、スピード感があり、臨場感あふれる映像は圧巻だった。まるで自分がハンドルを握って、マシンを走らせているかのようだ。鳥肌が立つようなF1マシンのエンジン音や、Hans ZimmerのBGMが、更に雰囲気を盛り上げ、めちゃくちゃかっこいい。レース終了後は、緊張が解けて私もぐったりでした。


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しかし何と言っても、キャスティングの素晴らしさに唸った。主役の2人を演じるDanielとChrisが、本人たちに良く似ているだけでなく、キャラの演じ分けがお見事というほかはない。Chirs演じるHuntのチャラ男っぷりには、笑いました。「おれが首位をとってやる」という単純なライバル意識が、レースを重ねるうちに、互いを高めあう最高のパートナーとなり、成熟した大人の友情が生まれる。その過程をクールな視点で描き、主役の2人が絶妙の呼吸で演じた。


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『グッバイ、レーニン!』で初めてDanielを観て以来、時おりふっと気になる役者だ。見るからに生真面目ではにかみ屋、思慮深くて真っ直ぐで一途なんだけど、不器用な性格が時に災いすることもある。そんな彼を見ていると、思わず母性本能が刺激される。薄い唇をきっと結んだ表情が、特に好き。安定した演技は、実力派として今後も大いに期待できそうです。そんな彼がLauda役に抜擢されたのは、宿命でしょう。残念なのは、邦題のサブタイトル。プライドと友情って...?あまりにも雑な処理に、泣けてきます。


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# by amore_spacey | 2017-04-19 00:23 | - Other film | Comments(6)

シン・ゴジラ (Shin Godzilla)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (62点)

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【あらすじ】 東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していった。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが…。(作品の詳細はこちら


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この手の映画は観ないのですが、楽しみにしている映画ブログでほぼ満点がついていたのと、ハセヒロが出ているのを知って、それじゃまぁという感じで観たのですが・・・、全くダメでした。映画ブログのレビューがとても面白く、それに釣られてしまった。苦笑

噂どおり、ホントに会議ばかりしてましたね。緊迫した現場と、バカみたいに冷静な会議の、見事な対比。悲しいかな、これってかなり現実に近い状況ですよね。想定外の事態が発生したとき、地獄と化した現地のことなど、官僚たちにとってはテレビの向こう側の出来事でしかない。一刻一秒を争う状況なのに、尤もらしい顔して、結論の出ない無駄な会議ばかり。役者たちの早口も、癇に障る。非常事態なのにお行儀がよろしく、緊迫感が全く伝わってこない。避難訓練だって、もう少し差し迫った雰囲気がある。石原さとみ演じるカヨコに至っては、客寄せパンダ以外の何ものでもなく、思い切り笑わせて頂きました。


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東京を炎の海にした最強の破壊力をもつゴジラが、意外に可愛い顔立ちで、これには拍子抜でした。凍結作戦は成功したものの、あれだけ巨大だと、処理が大変です。不思議の国のアリスのように、食べると身体が小さくなるお菓子を、ゴジラに食べさせたら、後始末だけでも楽だったのに。という冗談はさておき、自衛隊の活躍や日本も武器を!なニュアンス、そしてアメリカ様様な台詞や描き方に、きな臭いプロパガンダが作品に織り込まれているような気が、しないでもありませんでした。いや、考えすぎね。


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何日もシャワーを浴びず同じYシャツで、「服も部屋も少々臭います。」と言われて、脇をクンクンするハセヒロの仕草が、ゴジラのまんまるなお目目と同じくらい可愛らしい。でも他には取り立ててこれといったものがなかったな。彼は善人よりやや悪人っぽい役柄のほうが、見応えあります。


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# by amore_spacey | 2017-04-14 01:28 | - Japanese film | Comments(4)