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キム秘書はいったい、なぜ? (What's Wrong with Secretary Kim?) 全16話

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 大企業の副会長であるLee Young-joon(Park Seo-joon)は、完璧なルックスとスタイルに卓越した経営能力を持った、筋金入りのナルシストである。そんな彼を秘書のKim Mi-so(Park Min-young)は、9年間支えてきた。
 しかしそんなある日、彼女が突然の退社宣言。考えてもいなかった衝撃の展開に、驚きを隠せないYoung-joonは、Mi-soの気持ちを理解できないまま、彼女を必死に引き留めようとするが…。Jung Kyung-yoonの同名ウェブ小説を基にしたロマンティック・コメディ。(作品の詳細はこちら


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始終とても幸せな気持ちに包まれ、和やかなひとときを過ごすことが出来ました。水をさすような人物も出てきますが、少女漫画を読んでいるような、胸きゅんな台詞やシーンが満載で、楽しかった。観始めて間もない頃は、尊大でナルシストな副社長の、いかにもな仕草や台詞が気になり、演じる役者もタイプではなくて、挫折しそうになったのです。が…

そこで踏みとどまったのは、Park Yoo Shik社長(Kang Ki-young)の魅力のお陰です。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の主人公の上司でベテラン弁護士を演じた時の、人の良さを残しつつも、今回は雰囲気や表情がアニメ級に豊かで、話の分かるいいヤツなのだ。ナルシストで世間知らずな副社長を相手に、面白可笑しくボケやツッコミをみせる。優しさが根底にあるから、あまり人を傷つけないのね。言うことなすことが可愛らしくて、愛嬌があるのよ。癒されるわぁ。

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ユーモラスな社長のお陰で、振り切った副会長のナルシストっぷりがツボにハマってしまい、あれがなくちゃダメになってきた。かっこよすぎるが故にちょいダサな部分が見え隠れする、この絶妙なコメディーバランスも癖になる。

そんな彼を9年間も支えてきた秘書のMi-soが、美しくて気がきいてスタイルも性格もよいし、彼女の衣装やアクセサリーは眼福モノ。べろんべろんに酔っても可愛いなんて、美味しすぎる設定だけど、ずっと2人の姉ちゃんたちを支えてきたなんて、見上げたもんです。ナルシストの副会長を冷たくあしらえるのは、あなただけよ。

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途中から登場した副会長の兄が、とても残念な人だったけれど、パワフルではじけた脇役たちが、嫌な空気を吹っ飛ばしてくれた。副会長の両親はなかなか癖ありで面白い。そして会社の付属室のメンバーが、高校生か大学生のノリで、ちょいおバカなんだけど、愛すべき人ばかり。毎回きゅんきゅんしながら、たくさん笑った。最後まで幸せな気持ちにさせてくれたドラマでした。


# by amore_spacey | 2023-12-23 00:34 | TV series | Comments(0)

おいしいごはんが食べられますように (Le delizie della signorina Ashikawa)

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【あらすじ】 食品パッケージ会社に勤める三人。早退や欠席が多いが、可愛くて思わず守ってあげたい病弱の芦川。芦川が休むとその割(わり)を食うが、頑張ればできてしまうから我慢するしっかり者の押尾。二人の同僚であり、食事が嫌いな二谷。押尾は二谷に、自分は芦川が苦手だと打ち明け、「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんに意地悪しませんか」と持ち掛ける。
 二谷は芦川と交際しているにもかかわらず、その提案を了承した。家にやってきては「おいしいごはん」を作る芦川の押しつけがましさを、二谷も疎ましく思っているのだ。疎ましく思っても付き合い続ける、付き合っているのに意地悪してしまう。職場という閉じられた空間での人間関係を描いた、高瀬隼子による中編小説。第167回(2022年上半期)芥川龍之介賞を受賞。


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今日は映画ではなく、最近読んだイタリア語版のこの小説が、いつになく心をざらつかせたので、感想を書きとめておきます。日本語のタイトルから、『きのう何食べた?』や『舞妓さんちのまかないさん』の優しい世界が広がり、勝手に幸せな気分で読み始めたら、これが全く違っていました。幸か不幸かサクサク読めてしまい、なにげに続きも気になって結局最後まで読んだけれど、ざわざわした嫌な感情だけが残った。

食の捉え方や食を通した人間関係、そこに浮かび上がってくる人間の中のエゴや多面性に、頷いたり反発したり唸ったり。私は食べることが大好きなので、生きるために仕方なく食べ、食べる時間すら惜しい二谷は、ある意味目からウロコ的な、私の中の根底を揺るがす存在でした。「ねぇ、それ、本気で言ってんの?やっぱり食事は誰かと一緒でなくちゃ、ねぇシロさん」なんて、ケンジの声が聞こえてきそうじゃありませんか。

食べるのは好きだけど、毎日献立を考えるのはホントに面倒。ちょっとした気分転換になる調理も、不調の時は献立を考えるのも作るのも拷問なのね。「食事に手間暇かけるなんて、時間のムダ」と言い切る二谷が、分からなくもない。芦川が作ってきたケーキを、彼がぐちゃぐちゃにつぶしてゴミ箱に捨てたシーンは、予想外の行動に驚いたと同時に、気持ちが妙にスカッとしました。

食への見解が正反対の芦川と二谷って、この先うまくいくのかな。「今日はお前の好きな揚げ物だぞ、ケンジ」「ああ、すごく幸せ、シロさん」なんて会話は、なさそう。いやいやそれ以前に、二谷には芦川への純粋な愛情が見えないし、人生を投げているような彼が、煩わしい結婚生活(及びそれに付随する諸々)を、本気で考えているとは思えない。「やっぱオレさ、結婚に向いてないから、やめるわ」なんて言い出しかねない。

これを実写化するとしたら?ふっと思いついたのは、芦川に20代の頃の綾瀬はるか、押尾に若い頃の小林聡美、二谷に中村倫也や賀来賢人。読んでいたら、おでんが食べたくなってきたー。

最近はネットで試し読みができるので、日本語の小説のイタリア語版を読む前に、原作の登場人物の名前に、どんな漢字が使われているのかを、確認することがあったりします。この小説に出てくる支店長補佐の藤(ふじ)、伊語版ではFujiだけど、日本語だったら、富士・藤・不二・冨二と色んな漢字の可能性がある。漢字から生まれるぼんやりとしたイメージに助けられて、小説を読むこともあるので(だから英語版や伊語版って私にはハードルが高杉で泣)、そんな情報が得られる試し読みは、とてもありがたいサービスです。


# by amore_spacey | 2023-12-17 01:25 | My talk | Comments(2)

イル・ナターレ: クリスマスなんて大嫌い (Odio Il Natale) シーズン2全6話

ネタばれあり!!!
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【あらすじ】 またしてもあの嫌な季節がやってきた。でも今年は違う。同じ病棟勤務の医師Umberto(Glen Blackhall)と付き合っているGianna(Pilar Fogliati)は、彼と一緒にクリスマス気分を楽しむ気満々なのだ。
 ところが彼女の両親や妹Margherita (Fiorenza Pieri)と夫の間に、別居や離婚騒ぎが発生し、実家での恒例のクリスマスディナーが危ぶまれる。
 そんな折Giannaのアパートの向かいに、Filippo(Pierpaolo Spollon)とMonica(Chiara Bono)の父娘が引っ越してきた。バールを営むFilippoは、ドタバタした引っ越しのお詫びに、GiannaやMargheritaや親友のTitti(Beatrice Arnera)を、バールのアペリティーボ(夕食前の食前酒と軽いおつまみ)に招待する。(作品の詳細はこちら


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私が暮らす町でも先月下旬からクリスマス・イルミネーションが始まり、ナターレモード真っ只中で、このシリーズは雰囲気を肌で味わえます。軽いタッチのアップテンポなので、気軽に鑑賞できるのもいい。幾つかあったまさかの展開は、まぁ想定内だからOKなの。

でもあの結末はちょっと意外だったな。今年もGiannaはシングルで、ナターレを迎えるのかもしれない。もしくはシーズン1で出会ったかなり年下のDavide(Nicolas Maupas)と、ヨリを戻すんじゃないかなぁなんて思っていたから。Davideはちゃんと自分の意志があって、素直に感情表現できるいい子です、バーリで子どもたちのために頑張って欲しい。

それにしてもGiannaって、つくづくタイミングが悪すぎる。恋愛モノや少女漫画の王道なんですが、なんでいつも拗れちゃうんだろう。サンタとキスしている現場や、トイレに間に合わず小屋の隅っこで用を足している最中や、偶然Davideと再会したところに、今彼のUmbertoが通りかかってしまうなんて。不運にもほどがある。そういえば今シーズンは、Giannaが前髪を作って、ちょっとクールな雰囲気になった?

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隣に引っ越してきた若いパパFilippoが、人当たりの良いイケメンで、バールで働いている姿に、私はうっかり惚れてしまいそうに。でも話が進むにつれて、いい人なんだけど、どこか優柔不断で覇気がなくて、「おいおい、そんなに簡単にUmbertoに譲っちゃって、いいのか?」「Giannaへの気持ちって、そんなに薄っぺらいんか?」って、イライラもやもや。このFilippoは昔飼っていたハムスターの獣医にそっくりで、ふっとハムスターのことを思い出したりもして…。

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そしてGiannaの元ルームメイトで大親友のTittiは、痒いところに手が届く活躍ぶりで、今シーズンも光っていました。自分の恋愛がうまくいかないのに、男運のないGiannaの愚痴を聞いてやったり、Monica(Filippoの娘)がいじめに遭っている現場での、あの機転の速さよ。頼れる姐御で、とてもカッコいい。

見て見ぬふりができない、Noと言えない、断れない人だから、ついつい問題に首を突っ込んでしまう。あんな彼(を演じたMatteo Martariって、えらくゴツい顔立ちですな)よりもっと素敵な人がたくさんいます。あなたこそ幸せになって欲しいのです。と言うか、私をあなたの妹にして下さい。


# by amore_spacey | 2023-12-13 01:00 | TV series | Comments(0)

イニシェリン島の精霊 (The Banshees of Inisherin)

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【あらすじ】 1923年、アイルランド内戦の砲撃音が響く中、本土の対岸にある小さな孤島・イニシェリン島は、美しい海と空に囲まれ穏やかだった。ここで暮らすPadraic(Colin Farrell)はいつも親友のColm(Brendan Gleeson)を迎えに行き、パブで一緒に過ごす日々を送っていた。が、ある日Colmから、「今後一切、話しかけるな」と言われてしまう。
 長年友情を育んできたはずだった彼が、なぜ突然そんなことを言い出したのか理解出来ないPadraicは、賢明な妹Siobhán(Kerry Condon)や風変わりな隣人Dominic(Barry Keoghan)の力を借りて、事態を好転させようとする。しかしColmから、「これ以上自分に関わると、自分の指を切り落とす」と、恐ろしい宣言をされてしまう。(作品の詳細はこちら


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軽快でコミカルな展開が面白かった『ヒットマンズ・レクイエム』のColin FarrellとBrendan Gleesonが、本作品でW主演と知り、ずっと楽しみにしていたのに、観終わったあとのどんよりした後味の悪さと言ったら。ハッピーエンドに終わるなんて微塵も思っていなかったし、かと言って救いが全くないとも言い切れませんが、常軌を逸した言動やその描写が激しすぎて、ただただ辛かった。

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アイルランドの小さな島で繰り広げられる、じいさんとおっさんの大げんか。これが最初から最後まで延々と続くので、いったい私たちは、何を見せられているんだろう?と。それこそColmが言う、時間の無駄ってヤツですが、中盤あたりから、これがただの喧嘩に終わらず、徐々に生き方や人生の本質に迫っていく。この絶妙の舵取りが素晴らしく、監督やキャストの力量を感じさせます。喧嘩の背景にある、拗れて歪んだ人間関係や、保守的・閉鎖的な島の日常が壮絶すぎて、だけどそこから逃れられず、息苦しく絶望的で、先の見えないトンネルのように怖ろしい。

残された自分の人生を考えた時、知性や教養のあるColmにとって、いいヤツなんだけど、愚鈍で知識も自分軸も壊滅的にないPadraicは、邪魔な存在でしかない。出来るものならじいさんだって、Padraicの妹のように島を離れたかった。でも彼女のように割り切れるものではない。Padraicへの憐れみが心のどこかにあり、最後の優しさまでバッサリ切り捨てることができなかった。だからColmは自分の命を懸けて、Padraicの自立を促そうと?いやいや、そこまでするかなぁ?2人の狂気に満ちた行動に、底知れない絶望を感じ、暗澹たる思いからため息が出てしまった。

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この作品で唯一救われたのは、赤いリボンをつけたロバのJenny(←音が出ます!)でした。Padraicと散歩したり仲良くする姿が、めちゃくちゃ可愛い。犬や馬の演技も微笑ましかった。Colin Farrellも役作りのために、ボディメイクを頑張った。髭や髪を短く整え、いい感じに痩せて、小ざっぱり。それにしてもこんな最悪の役を、よくぞ引き受けました。Padraicという人間の解釈に、太い眉をハの字にしながら、戸惑ってしまったんじゃありませんか。


# by amore_spacey | 2023-12-06 01:33 | Other film | Comments(4)

きのう何食べた?シーズン2 第7話&第8話

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【あらすじ】 仕事中の史朗(西島秀俊)の様子を見ていた小山志乃(中村ゆりか)は、ずっと贈りたいと思っていたと老眼鏡を渡すが、史朗は頑なに受け取ろうとしない。しかし上町美江(高泉淳子)に一蹴され、仕方なく掛けてみた。そして想像以上の効果を感じた史朗は、その日の夜、賢二(内野聖陽)から誕生日プレゼントの希望を聞かれ、「老眼鏡」と即答するのだった。
 そんな折、史朗のもとに、大学の同級生・金森が亡くなったとの知らせが入る。誕生日当日が告別式のため、史朗はお祝いを見送ることに。
 4月になり、賢二が勤める美容室の店長(マキタスポーツ)と妻の玲子さん(奥貫薫)は、2人の関係が修復されるどころか、玲子さんが離婚届けを残して出て行った。一方史朗は、国際ロマンス詐欺にあっている男性の妻から、相談を受ける。(作品の詳細はこちら


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シロさんの老眼鏡エピソードは、身につまされました。「いやいや、まだメガネ(まだ老眼鏡と呼びたくない)をかけなくても、見えるから(本当は焦点がなかなか合わず、ボヤけて字が読めない…苦笑)」って、私も抵抗したなぁ。でも老眼鏡をかけた瞬間、焦点がピタッと合って、世界がぱあっと広がった。頭の中もスッキリ。もう老眼鏡は手放せません。あの無口な店員(唯野未歩子)から、「似合ってます」なんて言われて、まんざらでもない表情のシロさんが、キュートで胸きゅんモノでした。

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そんなシロさんの誕生日に航(磯村勇斗)は、とてもゴージャスな花束を贈る。シロさんの自尊心をくすぐるが、50歳のデカいバルーンを付けてピリッと辛口なのが、いかにも捻くれたジルベールらしい。美味しいシロさんの手料理に、太るとかヒドいことを言ったり、ムスッとした顔で、ちっとも素直になれない。

わがままでまわりを振り回すガキのような自由奔放な航に、「お前がそれ言うか!」と最初の頃はイライラしていたのに、今はジルベール(もう呼び名からして…爆笑)の振り切ったキャラがツボって萌えまくり。ケンジが作ったなべ焼きうどんは、彼の優しさや心遣いがストレートに伝わって、身も心もホカホカと幸せな気持ちになりました。

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こうやってシロさんとケンジが、ともに老いに向き合って歩んでいく姿をみると、しみじみとした気持ちになる。相手のことを思いやりながら、老いをネガティブに捉えず、むしろ楽しんじゃおう!って感じが、2人にはピッタリです。

法的な婚姻関係がないから、些細なことで壊れてしまうかもしれない。でもシーズン1ではゲイということに神経を尖らせてピリピリしていた2人が、今シーズンでは過剰に反応せず、むしろ自然体で受け止めて、自分を少しずつ解放することに成功している。そんなシロさんとケンジの小さな変化が嬉しく、この先も大丈夫じゃないかなと思いながら、心から2人を応援しています。


# by amore_spacey | 2023-12-01 01:10 | Japanese film | Comments(2)