タグ:Luchino Visconti ( 10 ) タグの人気記事

Lo straniero (異邦人)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 平凡な会社員Arthur Meursault(Marcello Mastroianni)のもとに、養老院に預けていた母の死の知らせが届いた。葬儀で涙も流さない彼は、翌日、元同僚のMarie Cardona(Anna Karina)とコメディ映画を観に行き、そのまま夜を共にした。そんな彼は「太陽がまぶしかったから」という理由で、人を撃ち殺してしまい、断頭台による死刑を宣告される。Albert Camusの小説『異邦人』を映画化。(作品の詳細はこちら


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原作を読んだのは遠い昔のことで、詳細は忘れてしまったが、あまりにも有名な「きょう、ママンが死んだ。」「太陽がまぶしかったから。」は、おバカな私も覚えている。そして作品を観ているうちに、細部を思い出してきた。真夏のぎらぎらした太陽や蜃気楼のみえる町やよどんだ空気。全体に流れる虚無感や無関心や不条理。もうひたすらだるくて、人生どーでもよくなる。投げやりになっちゃうね。名作と言われようが、こんなタイプの小説は苦手で気力が続かず、最後まで読まなかったんじゃないかなぁ。


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母の死も恋人の存在もアパートの住人も友だちも、Meursaultにとっては全てが虚しい。そういう感覚は分からないでもないが、にしても現実味の薄い人だ。食べるコトすら面倒かもしれない。殺人理由を聞かれて、「太陽がまぶしかったから」なんてシレッと答える彼が、唯一声を荒げたのは、死刑前夜のムショの中。「神の言葉が一体なんなのだ!母の死が、アラビア人の死が、一体なんなのだろう?いつかは誰れもが死ぬんだ!」って、それ言っちゃお終い。これじゃ、身も蓋もないですぞ。


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そんな訳の分からんMeursaultを演じたMastroianni。女たらしでちょっぴりお調子者のヤサ男のイメージが拭いきれないため、最初から最後まで違和感があり、作品に入り込めなかった。若い頃のJean-Louis TrintignantやMontgomery Cliftにやらせたら、も少し説得力があったかも。んーー、でもVisconti監督好みじゃないか。ところで、当時の男性用水着(上下つなぎ型)って・・・(爆) これを着ると男前のMastroianniも、あちゃーーっ、子どもみたい。


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by amore_spacey | 2015-04-09 02:46 | - Italian film | Comments(0)

Vaghe stelle dell'Orsa (熊座の淡き星影)

私のお気に入り度 ★★★☆☆(74点)

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【あらすじ】 結婚間もないSandra(Claudia Cardinale)と夫のAndrew(Michael Craig)は、ジュネーヴからニューヨークへ向かう前に、Sandraの故郷Volterraに立ち寄る。ナチスの強制収容所で非業の死を遂げたユダヤ人科学者の父を記念して像をつくり、屋敷の庭を市に寄贈して除幕式が行われる予定だったのだ。しかし幼い頃暮していた屋敷は、再婚後精神を病んだ母(Marie Bell)と義父Antonio Gilardini(Renzo Ricci)のものとなり、弟Gianni(Jean Sorel)は肩身の狭い思いで彼らと同居していた。姉と彼との精神的な絆は強固で、夫Andrewは次第にその中に立ち入れないものを感じ始める。

父親Agamennoneが母親Clitennestraとその愛人Egistoに殺されたため、Elettraが弟Oresteと共に実の母親に復讐する、ギリシャ古典悲劇『Elettra』にヒントを得る。題名はGiacomo Leopardiの詩『回想』の一節。第30回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。


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モノクロの画面に、BGMのピアノが時々歪んで聞こえてくる。眉間にシワを寄せた三白眼のClaudia Cardinale。それだけで、「こりゃ、ハッピーエンドではないな」と。Visconti監督の作品には退廃現象の1つとして、母&息子や姉&弟の近親相姦がよく登場する。この作品に盛り込まれた、誰がユダヤ人の父のことをナチスに密告したのか?という謎解きが、辛うじて気だるい雰囲気を引き締めていたか?Visconti監督の作品にしては、美しい男たちがいなくてガッカリ。

父の像の除幕式という晴れがましいイヴェントに出席する姉のもとに、服毒自殺した弟の悲報が届けられようとする、この悲劇的なエンディングは、完全犯罪を遂行したと安心して太陽が降り注ぐビーチでTom が至福の時を過ごしている頃、スクリューに絡みついたPhilippe死体が引き上げられる『太陽いっぱい』のラストシーンにダブった。

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1930年代生まれのイタリア女優に、Monica Vitti(1931)やSofia Loren(1934)やClaudia Cardinale(1938)がいる。Sofia Lorenの名声は揺るぎないが、目や唇や胸など身体の各パーツがやたら大きいだけの彼女より、どこか気だるそうでハスキーヴォイスが魅力のMonica Vittiや、小悪魔的で官能的なClaudia Cardinaleのほうが何倍も好感が持てる。

製作国:Italy
初公開年:1965年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Claudia Cardinale, Jean Sorel, Michael Craig, Renzo Ricci, Fred Williams, Amalia Troiani ...


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by amore_spacey | 2011-03-30 00:19 | - Italian film | Comments(0)

La caduta degli dei (地獄に落ちた勇者ども)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★☆☆(70点)

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【あらすじ】 1933年初め。ドイツでも有数の名家であり鉄鋼会社を率いるEssenbeck家の当主Joachim男爵(Albrecht Schoenhals)のバースデーパーティが、一族を集めて厳かに行なわれていた。その晩餐の席上でドイツを揺るがすニュースが伝えられた。国会議事堂が放火されたのである。ナチス・ドイツによる独裁政治の開始が告げられたのだ。そしてEssenbeck一族も政治的混迷の中で内部分裂の様相を見せ、Joachimの孫Martin(Helmut Berger)によって一族は崩壊していく。



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Visconti監督の作品には上流社会の日常生活や豪奢なシーンが必ず登場するので、毎回楽しみである。この作品もその期待を裏切らず、磨き込まれた調度品が埋め尽くす豪華絢爛たる屋敷の晩餐風景がオープニングに登場する。しかしその屋敷の住人といえば、自己保身と金銭欲や名誉欲に溺れる堕落した人々。こんなEssenbeck家における世襲制の終焉を暗示するのが、Joachim男爵のバースデーパーティで、Marlene Dietrichを真似て女装したHelmut Berger扮するMartinと、そんな彼を舞台袖からうっとりしたまなざしで見つめる母Sophie(Ingrid Thulin)のインモラルな関係なのである。いやぁ、いきなり女装で登場したHelmut Bergerにはたまげました。すね毛も腋毛も未処理で、こりゃ生々しい(滝汗)



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それに引き換えCharlotte Ramplingのまぁなんと可憐なこと!ほっそり華奢な身体にまとったドレス姿の彼女は、この一族の中の誰よりも清楚で優雅でした。重油にまみれた海の中に咲く一輪の百合といった風情☆。.::・'゜



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時代は否応なく刻々と移り変わり、腐敗し堕落しきった貴族(=Essenbeck家)に代わり、暴力によって徹底支配するナチス(=Martin)が全く新しい世の中を作ろうとする。その中で名誉や支配や暴力などという言葉がおよそ似合わず一番弱々しく見えたMartinが、貴族の世界を捨て暴力の世界に入っていったのは、誠に意外な展開だったのであります。

製作国:Italy, West Germany
初公開年:1969年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Dirk Bogarde, Ingrid Thulin, Helmut Griem, Helmut Berger, Umberto Orsini, Nora Ricci, Charlotte Rampling ...


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by amore_spacey | 2010-10-29 00:07 | - Italian film | Comments(0)

Ossessione (郵便配達は二度ベルを鳴らす)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

ネタばれあり。

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ポー河沿いのトラットリアDoganaの経営者Giuseppe(Juan de Landa)の妻Giovanna(Clara Calamai)は、一回りも年上の夫との生活に辟易し、退屈な毎日を送っていた。ある日一台のトラックから放り出されてトラットリアの門をくぐった若い男Gino(Massimo Girotti)に魅せられ、激情が湧くのを感じた。GinoもそんなGiovannaの官能的な眼差しに欲情をかきたてられ、2人が駆け落ちを決行するまでに時間はかからなかった。ファシスト体制下の社会の底辺でうごめく人々の、反ファシズム性と扇情的な愛の力強さを描く。『若者の全て』『ベリッシマ』にならんで、この作品はイタリア・ネオレアリズモの先駆となった。



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どこをどう間違ったのか?この映画を「官能的なドラマ」と記憶違いしていた私は、観てビックリ玉手箱。『イノセント』のように官能的で、肉欲を貪るシーンが連続登場するかと思っていたのだ。何という残酷な結末なんだ!Giovannaが初めてGinoに出会い彼の肉体に魅せられて情欲に囚われたり、2人の情事前後やGiovannaがGinoに夫殺しを依頼するシーンなどはすこぶる暗示的で、観るものに行間を読み取らせるような描き方である。勘の悪いワタクシはずーっと後になって、それらのシーンを思い返しては「ああ、そうだったのかぁ」と膝を打つ。阿保ッ★

打算のないGiovannaの盲目的な愛は、まさしく原題のOssessione=妄執な愛だった。それが全ての運命を狂わせ悲劇を生むことになったのである。Ginoが被っていた帽子がよく似合っていた。確か『欲望という名の電車』のMarlon Brandoや別の作品のPaul Newmanも、こんな帽子を被っていたっけ。

この映画には日本語のタイトルにあるような郵便配達は登場しない。ではなぜこんなタイトルがついたのか?James M. Cainの文庫本のあとがきによると、「アメリカでは郵便配達はいつも玄関のベルを二度鳴らすしきたりになっている。つまり来客ではないという便法である。それに郵便配達は長年の知識でどこの何番地の誰が住んでいるかをちゃんと知っているから、居留守を使うわけにはいかない。二度目のベルは決定的な報を意味する。それと同じようにこの小説では事件が必ず二度起こる。パパキダス殺しは二度目で成功する。法廷の争いも二度ある。自動車事故も二度、フランクも(この作品ではGino)一度去ってまた帰る。そしていつも二度目の事件が決定打となるのである。」

製作国:Italy
初公開年:1943年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Clara Calamai, Massimo Girotti, Dhia Cristiani, Elio Marcuzzo, Vittorio Duse, Michele Riccardini, Juan de Landa ...


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by amore_spacey | 2009-10-09 22:41 | - Italian film | Comments(0)

Gruppo di famiglia in un interno (家族の肖像)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

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ローマの中心にある豪邸で静穏そのものの生活を送る教授(Burt Lancaster)は、《家族の肖像》と呼ばれる18世紀の英国の画家たちが描いた、家族の団欒図のコレクションに囲まれて孤独な生活を送っていた。教授のその趣味を巧妙に突いたBianca(Silvana Mangano)は、画商を通して教授に近づき、娘のLietta(Claudia Marsani)とその婚約者Stefano(Stefano Patrizi)、美青年Konrad(Helmut Berger)らを引き連れて、強引に教授の2階に住みついてしまう。そのことによっておきる波紋をヨーロッパ文明と現代貴族のデカダンスを根底に描く。



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ある日突然あなたの生活に土足で入り込む人がいたら、どうする?私ならあらゆる手段を使って追放しようと試みるだろう。教授にはそこまでのエネルギーはなかった。老人の経験や常識ではとうてい理解できない傍若無人な家族の存在が、Visconti監督自身も憂いていたヨーロッパの【新世紀】の象徴だとすれば、所詮は彼らを理解出来ずに死を待つ老人の姿は、変貌する時代の中で孤立する【旧世代】そのものということだろうか。好きな絵画に囲まれ、モーツァルトを聴きながら生きる屍のような生活をしている教授にとって、この家族が起こす事件は久々に生を感じさせてくれるのだった。間貸しした階上の部屋を歩き回る靴の音や、改修工事の爆音や、うるさいだけの若者向けの音楽さえも、教授の心に懐かしい家族の思い出を蘇らせたのである。寄せ集めの集団ながら1つの家族として形を成すかに見えたが、血の繋がらない家族は一気に崩壊し、教授の元から立ち去ってしまう。

ペンで「へ」の字型に描いたSilvana Manganoの極細眉毛が、妙に迫力あって怖かったデス。汗 『ヴェニスに死す』で演じた貴婦人と同一人物とは思えない豹変ぶりにたまげました。回想シーンに一瞬だけ登場する別れた妻(Claudia Cardinale)や美しい母親(Dominique Sanda)もお見逃しなく。Burt Lancasterは『山猫』の時と同様、あるいはそれを上回る押さえた演技で、ある時には父親のような愛情を注ぎ、またある時には威厳を持って自分の意見を貫く姿がとてもようございました。

製作国:Italy, France
初公開年:1974年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Burt Lancaster, Helmut Berger, Silvana Mangano, Claudia Marsani, Stefano Patrizi, Elvira Cortese, Philippe Hersent Claudia Cardinale, Dominique Sanda ...


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by amore_spacey | 2009-09-23 01:51 | - Italian film | Comments(2)

Il Gattopardo (山猫)

私のAlain Delonお気に入り度 ★★★★☆(99点)

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イタリア統一戦争の時代に、没落する貴族と新しい時代へ向かう若者の姿を描いた一大叙事詩。統一戦争に揺れるイタリア。シチリア島に暮らす山猫の紋章の名門貴族Prince Don Fabrizio Salina公爵(Burt Lancaster)は、新時代の幕開けを前に輝かしい未来を甥のTancredi(Alain Delon)とその平民の娘でありながら非常に気品のある婚約者のAngelica(Claudia Cardinale)に託すべく、身分の違う2人の婚約を認めるが…。



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この映画が忘れられない理由はただ1つ。187分という長編にも拘らず、美貌のAlain Delonを見たくて、入れ替え制の岩波ホールで10回以上観たから。舞踏会のシーンではリアリズムに拘るVisconti監督が、毎朝サンレモから大量の生花を送らせ、酷暑のシチリアロケでは出演者の誰もがあの暑さとホコリに喘いだという。

マッチョでいささか粗野な前歴とは裏腹に、Burt Lancasterが由緒ある名門貴族の頭首として、圧倒的な存在感を屹立させていたのには驚いた。下品なほどの若さや美しさをもつAngelicaの、動物的な魅力に引かれていくSalina公爵が、完全には枯れていない男としての残り火を感じつつ、しかしこれから冬が訪れるように確かに老いがやってくることを、痛いほどに理解している公爵の姿を描き出した監督の手腕と、それに応えたBurt Lancasterの演技はもうお見事としかいいようがない。どさくさに紛れて愛人のもとに通う公爵には、人間味溢れた一人の男として好感が持てるのだわぁ(*^^*)



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華やかな舞踏会が終わった後、公爵は一人でふらりと会場を後にする。滅びゆくものの悲しみとも当主としての勤めを全うした充足感ともつかない、複雑で大きくうねる感情。そして自分にひっそり忍び寄る重く荘厳な死の影が、動かし難い説得力をもって観るものの胸に迫る。豪華絢爛たる世界とその落日終焉。その一方でAngelica&Tancrediという新しい世代のカップルに、一族の存続を託し未来への希望をつなげようとする。悲しみだけではないのだ。

若い頃のAlain Delonは、本当に美しく格好良かった!ちょい役で出ているTerence HillやGiuliano Gemmaも若い。しかし現在の3人を比べてみると、Giuliano Gemmaが一番きれいに歳を重ねている。Alain Delonは往年の美貌がウソのように老醜が激しく、ますます頑固になってきて、ロケ地やスタジオのスタッフとよく揉めるらしい。うぅぅ。

製作国:Italy, U.S.A.
初公開年:1963年
監督:Luchino Visconti
原作:Giuseppe Tomasi Di Lampedusa
キャスト:Burt Lancaster, Claudia Cardinale, Alain Delon, Paolo Stoppa, Rina Morelli, Terence Hill, Giuliano Gemma, Ottavia Piccolo ...


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by amore_spacey | 2009-09-22 01:51 | Alain Delon | Comments(6)

Bellissima (ベリッシマ)

私のお気に入り度 ★★★★☆(88点)

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ローマの下町を舞台にわが子を映画スターにしようと奔走する母親の夢と絶望を描く。チネチッタ撮影所では最新作に出演させる少女「ベリッシマ(美少女)・コンクール」という特設看板を掲げて、6~8歳の少女1名を募集した。その知らせをラジオで聞きつけたMaddalena(Anna Magnani)は、5歳の娘Maria(Tina Apicella)をこのコンテストで優勝させ映画スターにしようと奮闘する。撮影所に出入りするAlberto(Walter Chiari)と偶然知り合いコネとして使おうとするが、大金が必要だと言われ、自宅を買うためにコツコツ貯めていた貯金を支払う。なけなしの金をはたいて、娘にバレエを習わせたり写真を撮ったり衣装を作ったりする。コンテストに優勝したのはMariaだったが…。



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これがLuchino Viscontiの作品?と目を疑うような力強い下町の人々の姿が描かれている。彼の初期の作品は『若者の全て』にもみられるようなネオレアリスモが色濃く出ているが、個人的には豪華絢爛たる貴族の世界より、こういった下町人情もののほうがたやすく感情移入できるので好きだ。Maddalenaのステージママぶりは勿論のこと、この3人家族が暮すアパートの住人たちの、一喜一憂ぶりも面白おかしい。映画スターにしようと奔走するMaddalenaは、まさにイタリアのおっかさんの姿である。生活力があり心身ともにたくましく、気さくでお喋りで心から家族を愛する。喜怒哀楽が明確。貞節でまじめで素朴。それでもプライドは高く押しも強いときているから、一筋縄ではいかないのだ。しかし彼女は最後に何が自分にとって一番大切なのか?悟るのである。娘のMariaちゃん、可愛かったですね。パッツンパツンに髪をカットされたシーンも、愛らしかったわぁ(*^^*)

製作国:Italy
初公開年:1951年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Anna Magnani, Walter Chiari, Tina Apicella, Gastone Renzelli, Tecla Scarano, Nora Ricci ...


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by amore_spacey | 2009-09-18 01:25 | - Italian film | Comments(2)

L'innocente (イノセント)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

ネタばれあり。

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自らは浮気三昧でありながらTullio Hermil伯爵(Giancarlo Giannini)は、妻のGiuliana(Laura Antonelli)には不変の貞淑と情愛を期待する身勝手な男。そんな彼は眩惑的な未亡人の公爵夫人Teresa Raffo(Jennifer O'Neill)に夢中だった。互いの愛は冷めかけていたが、新婚時代の思い出の詰まった別邸を2人で訪れたことで、夫婦の愛を取り戻したかにみえた。

ほどなくしてGiulianaが子どもを宿す。しかし身に覚えのないTullioは、妻と新進作家Filippo d'Arborio(Marc Porel)の密通を確信する。相続人ができたと嬉ぶ母(Rina Morelli)や弟Federico(Didier Haudepin)を傍らに、憎悪&憤りと苦悩を深めるTullioは、生まれてきた不義の子を寒いテラスに置き去りにして死なせてしまう。絶望したGiulianaは全てを捨てて僧院に入り、愛人であったTeresaからは彼への愛は冷めたと告げられる。思いがけない展開にTullioは、自分が全てに敗れたことを悟り、拳銃の引き金を引くのだった。Gabriele D'Annunzioの『罪なき者』を映画化したVisconti監督の遺作。



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20世紀初頭のイタリア貴族社会とは、こういうものだったのか。豪華絢爛で華麗な世界の裏に、虚飾・衰退・頽廃、放蕩・情欲・裏切りが蠢く。その中で神をも恐れず放蕩と情欲の限りを尽くすTullioが犯した「赤子殺し」は、神から授かった命を殺める=神への冒涜であり、その代償に自らの命を断つという処罰が下されるのだ。人間の良識を信じた監督らしい幕切れを用意したものである。貴族社会の内情を掘り下げて描くということは、監督の身を削るということに等しい。様々な作品の中で貴族社会を描き続けた監督の胸の内には、近い将来衰退し廃れて行くであろうこの世界への哀愁と愛おしさが去来していたのではないか。

原作ではTullioの独白形式で物語が進むため、妻Giulianaの夫への感情や愛人Teresaの存在などは、Tullioの目を通した範囲に留めら輪郭がぼんやりしている。作家Filippoや弟Federicoや母などの脇役にも、殆ど言及していない。しかし映画ではそれぞれの人物描写や心理描写が掘り下げられ、生き生きとして奥行きのあるドラマを創りあげることに成功している。



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Giancarlo Gianniniが若いっ!30代半ばと言ったところでしょうか?顔が頭が身体のラインがシャープ過ぎなのだわぁ。『007 カジノ・ロワイヤル』『007 慰めの報酬』を見ると、どこのオッサン?アナタ善人なの?悪人なの?というくらい全体に崩れた印象があるのだけれど、歳を重ねたGiancarloっていいわぁ。爬虫類のような鷹のような哀愁を帯びた瞳は健在で嬉しい。何よりも艶のある声がいい。あの声で囁かれたら、あは~~ん♪ でもあんな身勝手な男はご免なのだ。Laura Antonelliもこの時30代半ば、女盛りの官能的な美しさに、同性の私もクラクラしました。愚直なまでに従順な女をうまく演じてました。彼女は様々な作品でヴィーナスのような美しい肢体を惜しげもなく見せてくれましたが、1992年の『Malizia 2000』を最後に映画界から引退。その後は麻薬絡みの事件で、変わり果てた彼女の写真が雑誌に載りました。一世を風靡した女優の栄光と衰退は、ファンにとって寂しく残念なことでしょう。

いや、しかし、あの飾りたてた屋敷には参りました。天井からぶら下がるシャンデリア・壁・大きな扉・食器棚・額縁・暖炉・テーブルランプ・ソファー・クッション…に施されたバロック調というのか、ゴテゴテ&キンキラキンの装飾は、ったく悪趣味ですねー。花瓶に生けた花なんか、クリスマスツリーのように背が高いし、女衆の被り物ときたら飾り立てたクジャクのようではありませんか。博物館として訪れるには目の保養になり、半日貴婦人体験は女心をくすぐって楽しいが、毎日暮すには窒息しそうで息苦しく落ち着かない。掃除も大変だー!というのは、庶民のひがみデス。



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三島由紀夫が生田長江訳の『死の勝利』を下敷きに『岬にての物語』(1946年)を書いたことはよく知られている。三島は池田弘太郎と共訳で『聖セバスチァンの殉教』を美術出版社で出した。これら作品上の関係のみでなく、楯の会の制服や行動にダンヌンツィオの影響を見る者は数多い。特に、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地のバルコニーから三島がおこなったアジ演説は、フィウーメ占拠時のダンヌンツィオが取った行動の拙劣な模倣であるとたびたび指摘されている。1989年に筒井康隆が書いた『ダンヌンツィオに夢中』(中公文庫で再刊)は、これらの指摘に基づいている。(Wikipediaより引用)

製作国:Italy, France
初公開年:1976年
監督:Luchino Visconti
原作:Gabriele D'Annunzio
キャスト:Giancarlo Giannini, Laura Antonelli, Jennifer O'Neill, Rina Morelli, Massimo Girotti, Didier Haudepin, Philippe Hersent ...


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by amore_spacey | 2009-09-04 21:09 | - Italian film | Comments(2)

Morte a Venezia (ヴェニスに死す)

私のMahlerお気に入り度 ★★★★☆(90点)

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1911年のヴェニスのリド島。生暖かいシロッコ(季節風)が吹き、ねっとりと蒸し暑い夏。静養のため一人この島を訪れたドイツ有数の作曲家・指揮者Gustav von Aschenbach(Dirk Bogarde)は、同じホテルに宿泊するポーランド人一家の美しい少年Tadzio(Björn Andresen)を一目見るなり心を奪われた。純粋な美の具現と思えるような美少年。一方ヴェネチアはコレラが蔓延する退廃的で薄汚れた街になろうとしていた。美しい水の街、老いた孤独な音楽家、汚れのない美少年、優雅な貴婦人たち、古き良き時代のサロン…。GustavとTadzioは?



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この作品を初めて観たのはいつだっただろう?Tadzio少年を演じたBjörn Andresenの評判が高く、当時の美少年雑誌には必ず彼がベスト3に入っていた。美青年Alain Delonに夢中だった私も、Björnの陶磁器のような華奢な美しさに目がくらくらしたものだった。今改めて作品を観直すと、Björnの寂しげな美しさに、母性本能をちょっぴり刺激されるくらいのものだけれど、Gustavおぢさまの魂が完全にTadzioの虜になってしまったのが分かる。原作者Thomas Mannが男色家だったことから、この作品も同性愛ものとして捉えられることが多いけれど、わたし的には美しいものへの憧れは、同性にも異性にも生じる全くノーマルな感情だと思う。許容範囲とか限度というものはあるけれど。

私が子どもの頃は今ほど世界各地の情報が簡単に入手できなかったから、映像から伝わる水に囲まれたヴェネチアやリド島の異国情緒豊かな街並みに心底感動した。よくよく見ればコレラが蔓延してかび臭く薄汚い路地裏なのに、それさえも私の心を捉えたのだ。白い消毒液をバケツでまくシーンに至っては、「あらまぁ、イタリアって国は牛乳が余ると、街に捨てるのねぇ」なんてお気楽なことを思っていた(>_<;) アホッ★



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官能的なMahlerのメロディーで始まるオープニングにて、私の心はVisconti監督の美の罠(魔力)にかかり金縛りにあう。何よりも心打たれたのは、高雅で少々物悲しくノスタルジックなMahlerの交響曲5番第4楽章Adagiettoをバックに描かれた、優雅で偽善的な20世紀初頭の社交界(それは慇懃無礼なホテルの総支配人に集約される)や、その階級に属する家族の姿であった。ゆったりとした雅やかな物腰。レディーファースト。手入れの行き届いた調度品。古き良き時代というのは、あの頃のことを指すのだろう。長いドレスをまとい大きな帽子を被っても、汗ひとつ流さず(実際には流れているのだろうけれど、そんな気配すら見せない)、涼しげな顔でビーチのデッキに腰掛ける。なのに私ときたら、蒸し暑い日には首にタオルを巻き、Tシャツと短パン姿で団扇を仰いでいる(滝汗) 一家の教育係が絶えず気を配り、きちんと躾がなされた子どもたちは、礼儀正しく言いつけを忠実に守る。まるで絵に描いたような、神に望まれたような一家ではありませんか?(写真はSilvana Manganoに演技指導中の監督)



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Tadzio少年を中心とした完璧なまでの美を前にして、美少年に魂を奪われた恍惚と苦悩、そして次第に老いの孤独や不吉な死の予感に追い詰められてゆくGustavを、Dirk Bogardeは見事に演じた。神経質で几帳面で癇癪もちな彼はいつも、そわそわ、きょろきょろ、うわの空。心ここにあらず。少年への気持ちに気付いていながら、それを自分の中でうまく消化できない。しかし美とは何であるかを常に意識せざるをえなかった芸術家としての性癖が、この街を静かに葬り去ろうとするコレラ(それは美の対極にあるもの)の出現によって、少しずつ歪み狂い始めるのである。美少年の後ろ姿を眺めつつ、奇妙な若返りの化粧を施したままコレラに罹って死んでいくGustavを、醜悪で哀れと思うか?幸せな最期と思うか?それは観る人次第。



Björn Andresenは1971年の8月9日から9日間、映画と念願だったレコードのキャンペーンで日本に来日してるんですね~。しかも明治チョコレートのCMにも出演したんですってね、きゃーきゃー。美少年だった彼はいったいどんな大人になったのでしょう?現在の彼を見たい?見たいでしょ?
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あ、これがが現在のボクです。。。
1954年生まれだから今年55歳。

製作国:Italy
初公開年:1971年
監督:Luchino Visconti
原作:Thomas Mann
キャスト:Dirk Bogarde, Romolo Valli, Mark Burns, Nora Ricci, Marisa Berenson, Carole André, Björn Andrésen, Silvana Mangano ...


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by amore_spacey | 2009-08-29 17:16 | - Italian film | Comments(2)

Rocco e i suoi fratelli (若者のすべて)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

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ミラノに基盤を築きつつある長男をたよって、一家が南部から移り住む。言葉も仕来りも食習慣も…何もかも違う土地で、彼らにとって異国のように孤立した社会の中で、新しい暮らしを確立しなくてはならない。Visconti監督は下層庶民の世界にスポットを当てて、手加減なく誠にリアルに描き出している。華麗なViscontiの世界も嫌いではないけれど、ネオ・レアリズモにあふれた作品も捨て難いものです。


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Visconti監督が惚れこむのも分かります。美しい♡ ミラノの引越し先のベッドで、雪の朝下着姿のまま「雪だ、雪だ~!」といってはしゃぐ彼の表情をご覧下さい。純真無垢な笑顔。何て綺麗なんでしょう。そしてあそこまで兄を思うRoccoが愛しく哀れでなりません。結果的にそれが、兄弟の破滅の引き金になっていたとしても。



e0059574_1821111.jpgAnnie Girardot、綺麗です。
気骨と圧倒的な存在感のある娼婦です。
キリッとあがった媚山が魅力的。



e0059574_1822899.jpgこの時のRenatoは、まだ少年の面影すら残る坊やですね。南部から引っ越してきたばかりのたどたどしさや遠慮が表情によく出ていました。そして彼の運命を狂わせることになる女性との出会いと弟Roccoとの女性を巡る確執で、彼の表情にはどんどん翳がさし、陰惨な雰囲気を常に漂わせるようになるのです。



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この作品はClaudia CardinaleやPaolo Stoppaなど、Visconti映画の常連役者の若かりし頃の姿を見る、ちょっとした楽しみもあります。ずっしり見応えがあったのは、兄弟の肝っ玉母さんの存在感が発するエネルギーだったのではないかと。良くも悪くもマイペースで、自分がルール。息子たちに異常なまでに執着し、喜怒哀楽は窓枠が揺れ動くほど激しい。そんなマンマが、イタリアには今でもいます。

製作国:Italy
製作年:1960年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Alain Delon, Renato Salvatori, Annie Girardot, Claudia Cardinale, Katina Paxinou...
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by amore_spacey | 2006-04-17 17:54 | Alain Delon | Comments(4)