タグ:Nikolaj Lie Kaas ( 8 ) タグの人気記事

特捜部Q Pからのメッセージ (Flaskepost fra P / A Conspiracy of faith )

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタバレあり!

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【あらすじ】 未解決事件を扱う特捜部Qに、また新たな捜査の依頼が舞い込む。海辺を散歩していた町人がボトルの中に「助けて」と書かれた手紙を見つけ、Qに送ってきたのだ。手紙は7~8年前に書かれたもので、インクが滲んで判読できない。唯一の手掛かりは、差出人の頭文字P。Qのチーム達は手紙を解読しながら、該当する行方不明者を割り出していくが、そこには驚愕する事件が隠されていた.。Jussi Adler-Olsenのミステリー小説『特捜部Q』を映画化。(作品の詳細はこちら


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前回の事件による衝撃で魂が抜けてしまったCarlは、廃人同然になっちゃった。あのエピソードには私も気持ちが萎えて、病みそうになりました。さてボトルメッセージと言えば、どこか夢があって良いイメージを抱かせてくれるのに、特捜部Qに届いたのは事件性のある怪しげなメッセージだった。でも幸か不幸かこの捜査依頼のお陰で、ようやくCarlが生還してくれました。仕事に全身全霊の彼は、仕事から受ける負のオーラが余りにも大きすぎる。彼の魂が戻ってきてくれて、本当に良かった。


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今回も早い段階で犯人が分かるので、犯人捜しがメインではなく、犯人の過去や事件の動機を丁寧に描いた、家族や人間関係の愛憎劇である。生まれ育った環境のせいで、犯人もまた被害者の1人だったという。負の連鎖を断ち切るのは、生易しいことではないな。そこに宗教が絡んでくると、それぞれの人生観や価値観が違い、さらにややこしくなる。今回も非常に後味が悪く、私は前回以上に病みそうになりました。何しろ歪んだ人生観の中で生きる犯人が不気味すぎるし、純真無垢な子どもたちが多数犠牲になっているし、Carlは犯人から半殺しにされるし...。


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イケメン犯人役のPål Sverre Hagenをどこかで見たことがあるなと思ったら、Kraftidiotenに出ていたんだ。強烈なキャラだったから、忘れるはずがありません。イケメンだからと言って、油断してほいほいついて行っちゃダメ。

脇役で登場回数は少ないけれど、特捜部Qに協力する警官の1人(Jakob Oftebro )が、アジア系の顔立ち&私好みの地味系イケメンで、彼が登場するたびに心ときめいていたのに、あんな残虐なやり方で殺されるなんて・・・ひどすぎるよぉ(号泣) このシリーズで今回ほど犯人に憎悪を抱いたことはなかった。だからAssadが仕留めてくれた時には、「よっしゃ!ようやってくれた」と心底思いました。


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殆ど笑いのないシリアスなエピソードだったから、機転がきいて有能な秘書Rose(Johanne Louise Schmidt)の存在は、誠に貴重だった。彼女がいなかったら、どこに救いを求めていいんだか。Assad(Fares Fares)の活躍振りも見逃せない。これでCarlとAssadの絆は、さらに深まったに違いない。来年公開予定の4作目が待ちきれません。


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by amore_spacey | 2017-12-09 01:35 | - Other film | Comments(0)

特捜部Q キジ殺し (Fasandræberne / The Absent One)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタバレあり!

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【あらすじ】 前回の事件の解決により、特捜部Qは窓際部署から未解決事件特捜部に昇格した。ある日Carl(Nikolaj Lie Kaas)のデスクに、20年前に捜査終了したはずの、全寮制高校で起きた双子惨殺事件のファイルが置かれていた。何者かの意図を感じた助手のAssad(Fares Fares)たちは再捜査に乗り出すと、事件当時に重要情報を知っていた少女Kimmie(Sarah-Sofie Boussnina)が失踪していたことが判明する。一同はすぐにKimmie(Danica Curcic)の行方を追い始めるが、Kimmieを探し続けている人物は他にもいた。Jussi Adler-Olsenのミステリー小説『特捜部Q』を映画化。(作品の詳細はこちら


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地味な特捜部Qに、出来る秘書Rose(Johanne Louise Schmidt)と猫が加わって、いくぶん賑やかになってきました。でも猫の名前がキャットって、、、どんだけ無関心やねん。仕事以外はダメダメなCarl、女性を前にすると頭が真っ白になるのか?さらっと気軽に誘えなくて、歯痒いったらありません。


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今回は20年前の事件。これに全く無関係な人なら(まぁ大部分の場合がそうです)、「えーっ、そんなコトあったっけ?」「双子の惨殺事件?言われて見れば、あったかも」くらいの曖昧な記憶しかないけれど、当事者や被害者にとっては、一生忘れられない事件だ。表向きは解決されたことになっているが、まだ終わっていないどころか、この先また死者が出るかもしれない。犯人の共犯者であり犠牲者でもあるKimmieが、命を懸けて復讐しようと、犯人を追い続けているからだ。


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品行方正なお金持ちのおぼっちゃんたちは、蚊も殺せないほど繊細な心の持ち主かと思いきや、残虐で凄まじく暴力的なやつらだったね。級友を虐めるシーンはおぞまし過ぎて、目を背けてしまった。そんな奴らだから、大人になっても富裕階層にのさばり、権力と金で暴力沙汰を揉み消して、のうのうと暮らしている。ったく、吐き気がする話だ。

結局こいつらはうまく立ち回って逃げ切るんだろうと諦めていただけに、CarlやAssadたちが仕留めたときには、幾らか胸のつかえが取れた。しかしこのエピソードも、後味が悪いったらない。いや、後味がいい殺人事件なんて、この世に1つもないのは、分かっちゃいるんだけど。この事件の犯人たちの、更生しそうにない残虐性に、深い闇や絶望を感じます。


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Carlはギクシャクしている義理の息子との関係を何とかしたくて、彼を夕食に誘っておきながら、犯人探しに躍起になるあまり、すっかり約束を忘れてしまう。「やっちまったー」って彼じゃなくても、豆腐の角に頭をぶつけたくなる。仕事バカのCarlらしいエピソードだ。

因みに「キジ殺し」とは、特権階級による娯楽としての狩猟を意味し、娯楽目的で鳥を撃ち殺して、征服欲を満たす狩猟心理と、身勝手な傷害・殺人事件を起こす犯罪心理を重ねているという。イタリアにも狩猟解禁の時期になると、国内だけでなく国外まで出かけて行って、狩猟を楽しむ階層がいる。… 何だか … なぁ。


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by amore_spacey | 2017-11-10 01:11 | - Other film | Comments(0)

特捜部Q 檻の中の女 (Kvinden i buret / The Keeper of Lost Causes)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (83点)

ネタバレあり!

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【あらすじ】 捜査ミスにより部下を殉職させ、自身も重傷を負った経験を持つ殺人課の刑事Carl(Nikolaj Lie Kaas)は、特捜部Qへ転属されることになったが、そこは未解決事件の残務整理を主な業務とする閑職部署だった。仕事をしていく中で、Carlは5年前に起きた女性議員の失踪事件に興味を持つ。議員のMerete(Sonja Richter)が、船から投身自殺したとして処理されていたのだ。イラクから研修に来ている助手Assad(Fares Fares)の力を借りながら、Carlは再調査に挑むのだが…。Jussi Adler-Olsenのミステリー小説『特捜部Q』を映画化。(作品の詳細はこちら


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Mads Mikkelsenと何度も共演していて、気になっていたNikolaj Lie Kaasが、何と!主役じゃないですか。嬉しくなって観てみたら、期待を裏切らない面白さで、見事にハマッてしまいました。派手なカーチェイスや銃撃戦なんてものは、1度も登場しない。むさくるしいおっさん刑事2人が、寒くて陰鬱な北欧の地で、未解決事件の捜査にあたる。残酷なシーンや血まみれシーンもほとんど登場しない。それどころか異様に美しいシーンが時々出てきたりして、面食らう。それが却って不気味で、猟奇的な雰囲気を煽るのだ。今回は粘着気質な人間特有の執拗さに、背筋が凍りつきました。

ぶっきらぼうで無愛想なCarlと、毛むくじゃらで人懐こい助手のAssad。という安定のキャラ設定だが、Carl役や相棒のAssad役がハマり過ぎで、これ以上のキャスティングはあり得ないかも。画面にこの2人が出てくるだけで、何かありそうで(何もなくても)面白い。


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さて不条理な運命に憤る犯人の復讐は、どす黒くて凄まじく執拗なのに、交通事故の現場がとても静かで美しい。白い雪が舞う中に立つ、真っ赤なワンピースを着た天使?いや、あれは少女Mereteだ。そんな彼女を、横転した車の中から、当時少年だった犯人の目が追う。音もなくスローモーションで動いていくシーン。事故のショックで、一瞬、魂が身体から遊離するために起きる現象なのか?目の前の状況が、あまりにも現実離れしていて、キツネに抓まれたかのようだ。


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自分がこんな悲惨な人生を送っているのに、全てを奪った元凶のMereteは、女性議員として成功している。はらわたが煮えくり返るような憎悪。そしてあの時、一瞬でも彼女に魅了されてしまった自分へのおぞましさや自己嫌悪。そこに粘着気質が加わって、復讐の鬼と化すのだ。それにしても酷い拷問だ。あんなひどい目に遭わされるくらいなら、さっさと殺して下さい。


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犯人に辿り着くまでの展開も興味深いが、ちぐはぐな2人の刑事の捜査活動や、ちらっと垣間見えるCarlの私生活が、地味な作品に小さな起伏をもたらしてくれる。この2人が徐々に距離を縮めていき、面白コンビになっていく過程もたまらない。刑事という肩書きを取り払った、1人の人間としてのCarlの生き様を見ていくうちに、じわじわ親近感がわいてくる。Assadの淹れた不味いコーヒーも、後半で認めたCarl。あの微妙な表情が可愛い過ぎる、このシリーズの原作を、読んでみたくなりました。


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by amore_spacey | 2017-10-31 01:51 | - Other film | Comments(0)

Men & Chicken (メン&チキン)

ネタばれあり?

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 奇妙な性癖のある兄Elias(Mads Mikkelsen)と冴えない大学教授の弟Gabriel(David Dencik)は、死に際に残した父親のメッセージから、育ての親が実の親ではなかったばかりか、それぞれ母親も違うことを知った。そこで本当の父親を訪ねて行った彼らは、さらに3人の異母兄弟と遭遇する。家畜だらけの寂れた屋敷で、クセ者揃いの男たちが巻き起こす、奇想天外なルーツ探し狂想曲。(作品の詳細はこちら


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デンマーク映画だしポスターが強烈だったから、何かやらかしてくれるだろうと予想はしていたが、ストーリーが展開するにつれ、バイオレンスやブラックユーモアやシュールな場面が畳み掛けてきて、これらがまた恐ろしくナンセンスでバカバカしくて、前半は大いに笑いました。5人のうちの誰かが出てくるだけで、おかしいんだから。これは、監督や脚本や役者たちの演技力に尽きるでしょう。Madsの風貌や挙動不審や切れっぷりに笑い、弟とのすれ違いや自制心の欠如に悶々とする姿に、切なくなる。


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Eliasはところ構わずマスターベーションを始めるし、お化け屋敷に住む3人の異母兄弟たちは、異常なまでに凶暴で、いい年をした男たち5人が皿の模様(これ、伏線だったのね)を巡って大喧嘩したり、和やかに始まったはずのバドミントンが、血まみれの取っ組み合いに終わったりする始末。哲学や編み物や読み聞かせやハクセイ製作…など、それぞれ素晴らしい特技を持つ一方で、精神面が全く成熟していないため、うっかり地雷を踏んでしまうと血を見ることになる。そんな中で唯一Gabrielだけが‘まとも’といえるかもしれない。が、この作品を観ていると、‘普通’とか‘まとも’の基準が分からなくなってくる。というより、こういったカテゴリー化に意味ある?

家畜だらけで謎の多いお化け屋敷の秘密や、不気味な5人の異母兄弟の出生の秘密が明らかになるにつれ、終盤は猟奇的な空気が色濃くなる。ある意味『ハンニバル』を上回るようなシーンが出てきて、小学校の理科実験室にあった薄暗い一角を思い出し、気分が悪くなった。ホルマリン漬けとか・・・やめてくれェ。


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このまま絶望的なエンディングを迎えるのかと思いきや、父親の実験のせいで重い運命を背負った、凶暴な5人の野生児が、徐々に社会性を身につけ、彼らなりに新しい人生を切り開いていこうとする。実際こんな人たちが隣に住んでいたら、不安と恐怖でおちおち眠ることもできないし、何か事件でも起こそうものなら、速攻で警察を呼ぶに違いない。そんな人たちなんだけど、トコトンまで憎むことができず、何となく愛おしくすら思えてくるから不思議だ。ま、映画の中の出来事だから、都合のいいことを言ってられるんだけど…ね。



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by amore_spacey | 2016-05-24 23:42 | - Other film | Comments(2)

Flickering Lights (ブレイカウェイ)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 ギャングのリーダーTorkild(Søren Pilmark)は40歳の誕生日を迎えた。しかし彼女には振られ、せっかくの誕生パーティーでも、ボスに因縁をつけられる。何をやってもうまくいかない人生をやり直すため、Torkildはボスの大金を略奪しようと画策。腐れ縁のPeter(Ulrich Thomsen)とArne(Mads Mikkelsen)とStefan(Nikolaj Lie Kaas)を巻き込んで、計画を実行したTorkildたちは、銃撃戦で負傷しながらも、何とか逃亡先へ車を走らせた。しかし国境寸前まで来て、車が故障してしまう。なすすべもないまま、4人は廃墟となったレストランに身を隠すことになった。(作品の詳細はこちら


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そこらじゅうに銃弾が散乱し、流血事件が起きるにもかかわらず、オープニングからは予想もつかない結末が、静かに私たちを待っている。見終わったあとの余韻が、なかなかいい。これ、監督の愛情ですね。1回きりの人生、どこかで報われなくちゃ。現実はなかなかこう上手くはいかないけれど、せめて映画の中で夢を見させてくれてありがとう。

デンマーク作品ならではの、全体を包むブラックでシュールな空気、でも嵐を潜り抜けたトンネルの向こうに雪解けの春が待っている、そんな流れが、ドラッグのように病みつきになりつつある。そんなデンマーク映画と、切れると恐ろしい子になっちゃう不気味な髪型のMadsにハマった。私も危ない子になりつつある。


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ならず者の4人は心の交流の少ない家庭に育ったためか、大人になった今でも、心の中に癒されない子どもを抱えて生きている。精神的に危なくてどこか挙動不審の彼らは、互いの傷を舐めあうような共依存で大人になった。だから仲間のやり方や行動が気に入らなくても、文句を言いながらも濡れ落ち葉のようにくっついているし、足手まといになると分かっていても見捨てることができない。あー、イライラ!そんなどうしようも ない奴らなんだけど、どこか憎めない。彼らに比べると、Stefanの彼女は、あの中では一番マトモにみえたのに・・・(絶句) もう少し空気読めよ!卵なんてどうでもいいよ。


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どこをどうすると、「レストランを開業しよう」てなことになるのか?そこは深く追求しないけれど、人生の転機は案外こんなものかもしれない。ふっと頭をよぎった冗談のようなことが運気を変え、人生を好転させてくれるって、意外にあるものだ。とにかく、どのキャラも強烈!狩人のおっちゃんのラストシーンは、 本人はもちろんだけど、私もスカーッとした(笑)


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by amore_spacey | 2015-08-03 00:14 | - Other film | Comments(2)

Adams Æbler/Adam's Apple (アダムのりんご)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 善良で信心深いIvan司祭(Mads Mikkelsen)は、田舎の小さな教会で犯罪者の更生プログラムに携わっている。そこにはアラブ系のKhalid(Ali Kazim)や盗癖のある太っちょGunnar(Nicolas Bro)がいた。このプログラムに新しく加わることになったネオナチのリーダーAdam(Ulrich Thomsen)は、Ivanから更生期間中の目標を決めように言われ、 「アップルパイを焼くこと」と冗談のような人を舐めた目標を設定する。しかし思いがけない苦難が待ち受けていた。(作品の詳細はこちら


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『ハンニバル シーズン3』が始まり、私の中でMads熱が再燃してきました。彼の出演作品を観なけりゃ忘れてしまう、そんな程度のファンなのか?と言われれば、返す言葉もございません(汗)が、Mads一人祭りを細々と続けていきたいなと思っています。

さてこの作品はブラックユーモアが満載で、現実離れした漫画のようなシーンあり、流血 シーンあり、アブナイ人たちが大集合して、いったいこの話はどこへ進んでいくのだろう?と思わせるが、雲間から光がさすような小さな希望を暗示させるエンディングに安堵した。一番救われたのはIvanだな。


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何よりもAdamとIvanの掛け合いや2人の対照的な表情が、漫才のようでおかしくて仕方がない。「暴力が正義だ!」が信条のネオナチと、 どこか浮世離れした善良なる神の使い。そんな2人だから、うまく噛み合うはずがない。 狼狽するIvanが見たくてAdamはわざと色々仕掛けるのに、さらりとIvanにかわされるばかりか、逆に懇々と説教までされてしまう。「何なんだ、コイツは?」「頭イカレてるんじゃねぇのか?」

このAdamの予感は的中。聖人のようなIvanこそが、誰よりも更生(=カウンセリングや心のサポート)を必要としている人だったのだ。不幸な生い立ちに加え、結婚後もなお続く苦難。こんな状況の中で生きていくには、過去の出来事を「なかったことにする」以外に手立てがなかった。あまりにも辛すぎて消化しきれず、どうしても受け入れることができないのだ。


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Ivanの生い立ちや不幸を聞いたAdamは、スキンヘッドに腕には刺青、いつも苦虫を噛み潰したようなとっつきにくい顔つきだが、情にもろい下町気質なのか、弱い者を見ると放っておけない無法者の魂が 「コイツを助けてやらにゃいかん!」とささやいたのか? 「てやんでぇ、バカ野郎!」と毒づきながらも、AdamはIvanに手を差し伸べる。しかしネオナチの乱暴者だから、デリカシーなんてまるでない。ボコボコに殴りまくりの荒療治に出た。このあたりからAdamの善良な心がどんどん引き出され、表情や言動に丸みが出てくる。Adam、手荒いけどいいヤツだ。スキンヘッドが、よく似合うな。


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Madsもいい。無条件に可愛い。あんなに背が高くて体格がいいのに、小さな子どもみたい。眉毛のないMads、ハーフパンツのMads、白のエリザベスカラーをつけたMads(天正少年使節団とかザビエルが頭に浮かぶ)、鼻の曲がったMads、 クッキーを(人の分まで奪って)コーヒーに浸して食べるMads、お気に入りの歌を口ずさむMads、痛いところを指摘されると目が泳いでしまうMads、包帯ぐるぐる巻きの顔でアップルパイを食べるMads。どれも愛おしく守ってあげたくなるMadsだった。HannibalからIvanまで、ホントに芸域が広い役者だ。『フレッシュ・デリ』などで Madsとよく共演するNikolaj Lie Kaas、今回は残念で情けない役回りだったけど、こんなMikolajも好き。


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by amore_spacey | 2015-06-14 18:18 | - Other film | Comments(0)

The Green Butchers (フレッシュ・デリ)

ネタばれあり!!!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 Svend(Mads Mikkelsen)とBjarne(Nikolaj Lie Kaas)は評判の精肉店で働いていたが、店主Holger(Ole Thestrup)の傲慢ぶりに耐えられず、独立して2人で肉屋を開業することにした。しかし客はまったくやって来ない。ある日Svendは、冷蔵室を修理に来た電気工事業者をうっかり閉じ込めて、凍死させてしまう。動転した挙句にSvendは、死体を切り分けマリネにして店で売ってしまった。相棒の狂気の所業に戸惑うBjarneだが、マリネは評判を呼んで、店の外には長蛇の列ができる大繁盛ぶり。事態は既に引くに引けない状況に陥った。そんな折も折り、事故で植物人間になっていたBjarneの双子の弟Eigil (Nikolaj Lie Kaas=1人2役)が、奇跡的に回復したとの連絡が入る。


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ブラックでシュール!だけど常軌を逸した設定の中で、ヒューマンドラマ(人を殺して人肉マリネを売るってぇのに)が静かに展開されていく。人肉マリネの「具材」調達の行方も気になるが、SvendとBjarneの生い立ちや現在の暮らしぶりを見て、不幸な過去を持つ彼らがこの先どうなっていくのか?こちらも大いに気になる。

ここまで芸人キャラに徹するMads!良い意味でのサプライズだった。一度見たら忘れられない髪型。パッと見た感じは宮崎県の東国原知事、額の生え際の盛り上がりはゴロー?インパクト強すぎ!!汗っかきだから、いつも顔がテカってるし。しかも神経質で自己中でキモい。知り合いにはなりたくないタイプ。極めつけは子どもの頃から愛された体験がないため、人嫌いでコミュ障。でも実は愛されることに飢えている。Madsは『ハンニバル』以前に、もうこの頃から人肉を調理していたのね(爆)


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相棒のBjarneもこれまた変わり者で、イケメンなのに無口・無気力・陰鬱としていて、黒い怒りをどっぷり溜め込んでいる。この2人はブラックなネタ専門のお笑いコンビのようだが、人を笑わせようなんて意図は微塵もなく、当人たちは至って大真面目、どころか現状を何とかしようと必死。負のスパイラルから抜け出そうと、ひっそり発狂している人たちなのだ。


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そんな皮肉な状況に苦笑する私たちも、Bjarneの双子の弟Eigilが登場するあたりから、「これ、何とかならんの?」「助けてあげたいな」「うまくいくといいんだけど」と同情したり応援したりしている。私たちの中の「善」が掘り起こされて、いつの間にか優しい気持ちに包まれているってわけ。双子の兄弟を1人2役で演じたNikolaj Lie Kaas、イケメンで感じがいい。『幸せな孤独』でMadsと共演してたっけ(*^^*)


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しかしあれだけ人を殺しておいて、こんなエンディングはあり?ってなもんですが、倫理観や過程を度外視(無視?)した結末に、ほろりとさせられちゃったりするんだから、ったく監督や芸達者な役者陣にやられたなァ。フィレンツェでMadsに会ってからMads熱が再燃したので、一人祭りをひっそり再開中。

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by amore_spacey | 2014-12-27 01:01 | - Other film | Comments(4)

Open Hearts (しあわせな孤独)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】  23歳の女性コックCæcilie(Sonja Richter)は、大学で地理を専攻しているJoachim(Nikolaj Lie Kaas)との結婚を間近に控えていた。しかしJoachimが交通事故で、全身不随になってしまう。彼を轢いたのは、Marie(Paprika Steen)の運転する車で、助手席の娘Stine(Stine Bjerregaard)と口論していて、前方をよく見ていなかったのだ。絶望したJoachim はCæcilieに冷たく当たるようになり、それに疲れたCæcilieは、Joachimの入院する病院の医師で加害者Marieの夫Niels(Mads Mikkelsen)に慰めを求めた。2人の関係は、いつしか本気の恋へと変わっていく。


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交通事故がなければたぶん出会わなかった人々が、絡み合ったり遠ざかったりしながら、否応なく運命の力に押し流されていく。その中でJoachimのことを心から心配していたのは、たぶん過去の悲しみを乗り越えて生きてきた看護師だけだろう。他の人々も決して悪人ではないと思うが、優先順位は1番が自分だ。特に加害者Marie。Joachimが全身不随という重い現実を受け入れられず、絶望のどん底に突き落とされたというのに、見舞いに行くわけでもなく、子どもの誕生日パーティーなんぞやっている。故意に轢いた訳ではないからって、あの神経やあの態度は普通じゃない、理解し難い。良心の呵責の欠片もない。エンディングは、まぁ妥当か。


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Marieだけでなく、登場人物の誰にも負い目や薄暗い部分がある。ごちゃごちゃ&ドロドロした中で、Cæcilieのような若くて綺麗で、ちょっぴり憂いのある瞳に見つめられたら、野郎ならイチコロだよな。

作品の詳細はこちら


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by amore_spacey | 2014-09-05 01:09 | - Other film | Comments(0)