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昨日、今日、明日(Ieri oggi domani)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 Sophia LorenとMarcello MastroianniがW主演で共演する、3話からなるオムニバス。第1話Adelinaはナポリを舞台に、妊娠中の女性は法を犯しても罪を免れられるため、夫Carmineに頑張らせて妊娠し続ける主人公を、第2話Annaはミラノを舞台に、富豪の有閑マダムと若い小説家の卵Renzoとの浮気の代償を、そして第3話Maraはローマを舞台に、美しい高級コールガールに思いを寄せる隣家の神学生Umbertoの顛末を描く。第37回アカデミー賞で外国語映画部門を受賞した。(作品の詳細はこちら


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Sophia LorenとMarcello MastroianniとVittorio De Sica監督の、ゴールデントリオが織り成す、コミカルな人生劇場。そこにどっしり根を張った、下町の女の逞(たくま)しさや強(したた)かさや厚い人情に、大笑いしたりほろりと涙したり、わがままな金持ちマダムの鼻持ちならない態度に辟易したり。一番面白かったのは、第1話のAdelinaでした。刑務所に入りたくないがため妊娠し続ける妻と、それに答える夫の大奮闘ぶり。7人の子どもと失業中の夫を支える貫禄あるSophiaと、ヨレヨレにくたびれた影の薄いMarcelloの夫婦が、コントのように対照的で可笑しい。

界隈の住人の野次馬根性っぷりや大らかさも、2人の暮らしの一端を支えている。夫婦の身辺に事件が起きるたびに、彼らは夫婦の家にどっと押し寄せて、大騒ぎ。コントのような夫婦だから、お祭り騒ぎのネタには事欠かない。傍から見ればすこぶるいい加減な夫婦だが、この2人は互いに心底惚れ合っている。強い夫婦愛によって、がっちりと結ばれているのだ。


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第2話は、あまり楽しくないエピソードだった。当時のイタリア映画音楽を一手に引き受けていた作曲家Armando Trovajoli)が、Sophiaたちの乗っている車が故障するシーンで、ちらっと登場する。


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第3話のMaraも愉快痛快。神に捧げる身でありながら、コールガールなんぞに思いを寄せる孫を見て、Maraに逆切れするUmbertoのばあちゃん(Tina Pica)。けれど孫を思うばあちゃんの涙にMaraは心を動かされ、「それじゃ、ここは、私が何とかしてみせますわ」と一肌脱いでみせる。そのとばっちりを受けるのが、常連客のAugusto(Marcello Mastroianni)だ。Maraの部屋にいそいそと訪れるが、いつも隣家の神学生絡みの騒動で、お預けを食ってしまう。


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さぁ、そのお楽しみが始まりますよ。軽い曲にあわせて、黒のストッキングをくるくると脱ぎ捨てるMara、それを子供ような仕草で嬉しそうに見つめるMarcelloのラストシーンは、まるで休憩時間にセットの片隅でふざけあっている様子を、隠しカメラで撮ったかのように自然で、2人の演技はもちろんのこと、彼らの魅力を最大限に引き出したDe Sica監督の手腕ならでは、の愛情に満ちたフィナーレだ。大柄なSophiaが、軽やかな身のこなしで踊ったり、愛する人をぎゅっと抱きしめたり、ここぞと言うときには一家の大黒柱になって踏ん張る。まことにゴージャスで可憐な女優でございます。


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by amore_spacey | 2017-10-09 01:26 | Comments(2)

特別な一日 (Una giornata particolare)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (90点)

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【あらすじ】 1938年5月のローマ、第2次世界大戦前夜、Mussolini政権下のローマをHitlerが正式訪問する、イタリアにとって歴史的な記念式典の日。6人の子育てに追われるMussolini信奉の主婦Antonietta(Sophia Loren)は、これまた盲目的にMussoliniに傾倒する夫や子どもたちを式典に送り出した。山ほどある家事を片付けるのに忙しいというのに、飼っていた九官烏が逃げ出してしまう。これがきっかけで、同じ高層アパートの向かいの建物に暮らすGabriele(Marcello Mastroianni)という男と出会った。そして2人は特別な関係を持つのだが…。(作品の詳細はこちら


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Marcello Mastroianni1人祭り。ローマを訪問したHitlerと、彼を熱狂的に迎えるBenito Mussoliniやイタリア国民のニュース映像が、オープニングでかなりの時間を割いて流れる。ハーケンクロイツの旗とイタリア国旗が翻る祝福ムードのこの日は、イタリア人にとって特別な1日だったが、Antoniettaにはいつもと同じ1日になりそうだ。世間から取り残され、満たされない孤独な日々を送る平凡な主婦に、一体何があるというのだ?

同性愛者のGabrieleは、「夫・父・兵士でない男は、男ではない」と唱えるMussoliniのファスシト政権下で、アナウンサーの仕事を追われ、世間から蔑(さげす)まれ、虐(しいた)げられてきた。いつサルデーニャに送られるのか?不安と孤独の中で、官憲から逃れるようにひっそり暮らしている。


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この2人は結局結ばれるのだが、燃えるような愛ではなく、互いを労わり傷を舐めあうような、憐憫に近い哀しい愛だった。Gabrieleが『三銃士』の本を持って訪ねて来たときから、Antoniettaは何かを期待していた。けれども屋上の洗濯干し場で彼と話しているうちに、今朝自分の心をよぎった愚かな考えを恥じ、「やっぱり男はみんな、オオカミなのよ!」と吐き捨てる。

同性愛者として負い目のあるGabrieleの胸に、その言葉は刃のように突き刺さった。異性と恋愛し結婚し子どもをもうけて家族を作ることが、真っ当な人生とみなされる時代の中で、存在価値のない自分に絶望している。彼自身がそうした自分を嫌悪し、受け入れられなかった。でも明日サルデーニャに連行される前に、せめて世間一般の男が経験するように、女と結ばれてみたい…という儚い願望があったに違いない。


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束の間の情事のあと、Gabrieleの背後から、「また来週会える?」と、淡い期待を抱きながら、何気なく聞くAntonietta、それに答えられず硬直した顔の彼。残酷なシーンだ。屋上の洗濯物干し場から関係を持つに至るまでの、彼らの感情の起伏や気持ちの変化が、痛いほど伝わってくる。ただ同性愛者のMarcelloという設定が…ね。演技だけでなく、身につける物などディテールに拘り、精一杯それらしく見せてはいるが、ゴメン!ピンと来なかった。そこだけ微妙で残念だった。


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ラストシーン。夕食後の片づけをすませ、静まり返った台所の窓際でGabrieleが持ってきた本を読むAntonietta。ふっと窓越しに目をやると、Gabrieleが2人の男に連れられて出て行く。彼が2度とここに戻って来ないことを、彼女はたぶん知らない。本を置いた彼女は、家の灯りを1つ1つ消しながら、夫が眠る寝室に向かい、ベッドにそっと滑り込んで部屋の灯りを消す。誰にとっても特別な1日が、静かに終わろうとしている。そしてうんざりするような明日が、またやってくる。

でもAntoniettaは、それを乗り越えることができる。九官鳥や砂のオモリのついた台所の灯りやボタンで描いたMussoliniの絵を見るたびに、コーヒーミルや『三銃士』の本を手にとるたびに、屋上の洗濯物干し場に行くたびに、Gabrieleのことを、あの特別な1日のことを思い出し、束の間の幸せをかみしめる。他人にはどうでもよい出来事が、Antoniettaをずっと支えてくれるだろう。ファシズムの嵐が吹荒れる中、いくつも生まれては消えていった、市井の人々の小さなドラマ。観れば観るほど、味わい深い。


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この映画に登場するSophiaの6人の子どものうち、娘Maria Luisaを演じているのは、Sophia Lorenの妹とBenito Mussoliniの息子の間に出来た娘Alessandra Mussolini。だからSophiaとAlessandraは、伯母・姪っ子の関係になる。因みに私の姑の叔父は、反ファシストの罪でサルデーニャに送り込まれたが、何年かして戻ってきた。しかも婚約者(市長の娘)を連れて。瑣末なことだけど、Marcelloはここでも『ひまわり』の時のように、慣れた手つきで卵焼きを作っている。そんなに卵が好き?私みたい(笑) マンション管理人のオババは、小柄なのに物凄い存在感がありました。


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by amore_spacey | 2017-07-30 00:42 | - Italian film | Comments(2)

あゝ結婚 (Matrimonio all’italiana) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 第二次大戦中のナポリ。娼婦Filumena(Sophia Loren)とパスティッチェリア(菓子屋)の後継ぎDomenico(Marcello Mastroianni)は、空襲の日に娼館で出逢った。終戦後2人は再会し、恋仲となって別宅も持った。Filumenaは身請けしてもらい幸福の絶頂…と思いきや、Domenicoは浮気の虫が止まず、彼女に仕事を任せてほったらかし。Filumenaは一計を案じ、危篤状態を装って無理矢理Domenicoに結婚を迫った。(作品の詳細はこちら


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Marcello Mastroianni1人祭り、進行中。『イタリア式離婚狂想曲』に負けず劣らず、Marcelloのクズっぷりが炸裂するコメディだ。のらりくらり言い逃れながら、いつまでもFilumenaを日陰の女にしておき、それをいいことに、高齢の母の介護をさせたり、メイドの部屋で寝かせたり、店の仕事をやらせたりして、自分はパスティッチェリアのレジ係の若い女とよろしくやるって、とんでもないヤツだ。何とかして報復してやりたくなります。


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大輪のひまわりが咲いたようなSophiaの満面の笑顔や、健康的&魅力的なダイナマイト級のナイスバディは、見るものを元気にしてくれる。天真爛漫で、惚れっぽい性質(たち)。読み書きができなくて、自分の名前を署名するのにも、時間がかかってしまう。が、勝気で威勢がよく、理不尽な目に遭えば、徹底的に闘う。口喧嘩だって絶対に負けやしない。そんな彼女も3人の子どもたちの前では、母性愛に満ちた母の顔に戻る。子どもの病気にアタフタしたり、幸せに涙ぐんだりする情の深さ。どの仕草もどの表情も可憐で繊細で、女心が随所ににじみ出て、ほろりとさせられた。彼女がすけすけのエロティックな衣装を着ても、嫌らしさがない。彼女の存在が眩しいほどゴージャスだから。

彼女とMarcelloとDe Sica監督、この3人がいるロケ現場は、きっといい雰囲気だっただろうなぁ。それぞれの持ち味が最大限に引き出される、最強のトリオだ。MarcelloとSophiaのカップルは、イタリア映画の黄金時代を築き、その中を華麗に走り抜けていった。2人は様々な作品で悲喜劇を演じてきたが、その時々で感情の匙加減が絶妙な具合に加減され、微妙な色合いの違いを楽しませてくれる。この作品はSophiaの手のひらで転がされているように見えるMarcelloだが、そんな彼にぞっこんだったのは、実は負けん気の強いSophiaだったかもしれない。彼のことが好きで好きでたまらなかったのに、自分からは言えなかった。だから、ラストシーンにほっとした。「ああ、本当によかった」


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こてこてのナポリ方言(サレルノ方言?)も、この作品をより人間味溢れるものにしている。パスティッチェリアのお菓子の山や、子どもたちが口のまわりや鼻の頭や服を粉砂糖だらけにして、お菓子を食べるシーン。メイドのおばちゃんやAlfredoなど、庶民的な雰囲気満載の脇役たちも、映画を引き立ててくれた。身振り手振りが大袈裟な、人情味に溢れたお節介おばちゃん、いますものね。


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by amore_spacey | 2017-07-28 01:18 | - Italian film | Comments(0)

I girasoli (ひまわり)

私のお気に入り度 ★★★★☆(82点)

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【あらすじ】 洋裁で生計を立てるGiovanna(Sophia Loren)とアフリカ出兵を控えた電気技師Antonio(Marcello Mastroianni)は、ナポリの美しい海岸で出逢い恋におちた。12日間の結婚休暇を目当てに結婚式を挙げた2人は、幸せな新婚の日々を過ごすが、 休暇は瞬く間に過ぎる。精神疾患による除隊を目論んだが、あえなく露見し、懲罰のためAntonioは酷寒のソ連戦線へ送られた。前線では、厳寒の中でイタリア兵が次々と倒れていく中で、Antonioも生死をさまよったが、ソ連娘Mascia(Lyudmila Savelyeva)に助けられる。7年が過ぎ、 Antonioの母(Anna Carena)と淋しく暮らすGiovannaのもとへ、夫の行方不明という通知が届た。


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確か日曜洋画劇場で、両親と一緒に観た。◎十年も前のことだ。地平線の果てまで続く広大なひまわり畑をバックに繰り広げられる悲恋物語よりも、Henry Manciniの美しく物悲しいメロディーに感動して泣いた気がする。今回も同じように心を揺り動かされたが、人生って思うようにはいかない経験を積み重ねてくると、理想や理屈や努力だけではどうにもならない現実や、元には戻すことができない辛さを乗り越えることは、過去を手放して新しい人生を踏み出す第一歩なのだ、という1つの結論にたどり着く。夫を探しに行ったソ連で、Giovannaは悟った。身を切られるように辛く悲しいけれど、幸せだったかつての日々は思い出に過ぎない、ということを。


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それまでのGiovannaも行動力のあるたくましい人間だったが、泣くだけ泣いたあと、吹っ切れたように淡々と自分の人生を歩み始める。初めてこの作品を観たとき、そんな彼女に、「えっ、彼に対するあなたの思いってそんなちっぽけなもんだったの?」 しかし彼女は、あっさりと過去を封印した訳じゃない。それどころか、いつも心のどこかにAntonioがいたはずなのだ。でも人は前に進まなくてはならない。新しい一歩を踏み出した時の彼女には、誰にも止められない勢いがあった。不死鳥のように蘇り、再び輝き始めたGiovannaの精神力に感動した。


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感動といえば、Marcello Mastroianniが大きなフライパンに、卵をぽんぽん割り入れて作った、特大サイズのオムレツが実においしそうだった。大柄豊胸でちょっとガサツな女にしか見えなかったSophia Lorenなんだけど、乱れた髪を直す仕草や、「そんな近くでじっと見つめないで。年取っちゃったんだから」という台詞、そしてミラノ中央駅で見送る彼女の目からあふれる涙が、切なく胸を掻きむしられた。どーでもいいんだけど、Sophia Lorenって地黒だったんだな、ってなことも思ったり(汗) 彼女に比べてMasciaを演じたLyudmila Savelyevaは、なんて可憐で美しいんだろう。


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因みに再婚したGiovannaの赤ちゃんは、Sophia LorenとPaolo Conti夫婦の実の子Carlo Ponti Jr.で、現在指揮者として活躍している。7 月7日の七夕は、Vittorio De Sicaの誕生日なので、今月はDe Sica強化月間にしました。その第一弾がこの作品であります。

製作国:Italy, France, Soviet Union
初公開年:1970年
監督:Vittorio De Sica
製作:Carlo Ponti
音楽:Henry Mancini
キャスト:Sophia Loren, Marcello Mastroianni, Lyudmila Savelyeva, Galina Andreeva, Anna Carena, Germano Longo ...


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by amore_spacey | 2014-07-06 02:06 | - Italian film | Comments(6)