タグ:Stefania Sandrelli ( 4 ) タグの人気記事

テラス (La terrazza)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (75点)

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【あらすじ】 ローマの広いテラスを舞台に、5人のストーリーが展開する。第1話はスランプに陥った映画の脚本家Enrico(Jean-Louis Trintignant)、第2話は妻の心を取り戻したい流行遅れのファッション・ジャーナリストLuigi(Marcello Mastroianni)、第3話は拒食症で鬱のRAI(国営放送)職員Sergio(Serge Reggiani)、第4話は妻に振り回される映画プロデューサーAmedeo(Ugo Tognazzi)、第5話は人妻(Stefania Sandrelli)と浮気をする共産党の議員Mario(Vittorio Gassman)。広いテラスのある家で顔を合わせた5人は、楽しく喋ったり、時には議論を戦わせたり、興奮のあまり喧嘩に発展したり。そして1年後、同じ場所で再会した彼らは…。1980年第33回カンヌ国際映画祭で、脚本賞を受賞。(作品の詳細はこちら )


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広いテラスにご馳走が用意されたブッフェスタイルの夕食に、大勢の人々が招待されて集まった。5つのエピソードに登場する5人は、旧知の仲なのか、ここで初めて顔を合わせたのか、説明がない。が、そんなことはあまり意味がない。イタリア人は初対面でも、すぐに仲良くなる天才だから。5人のエピソードがどれもこれも冴えず、まさしく中年のオヤジにありがちなことばかり。中でもスランプに陥った映画の脚本家Enricoや拒食症で鬱のSergioは、病的ですらあり、他人事だから笑えるものの、これが家族だったら頭を抱え込んでしまう事態だ。


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ローマに住む中産階級の人々の堅実な暮らしぶりは、贅沢さえ言わなければそこそこ幸せなはずなのに、誰も彼もが何か割り切れない思いを抱えている。自分の人生は、こんなはずではなかった。もっと上を目指すことだってできた。ああ、若いあの頃はよかった。そんなノスタルジーに満ちた中にも、ほんの少し気持ちを切り替えれば、またいいことがあるさ。というような、現状を受け入れて行こうとする姿勢が垣間見えてくる。にわか雨が降ってきて、人々がテラスから部屋に駆け込むラストシーン。白いグランドピアノを囲んで、皆が歌う。こんな暮らしだって、悪くないじゃないか、と言わんばかりに。因みにこの作品でJean-Louis Trintignantは、娘と共演している。


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by amore_spacey | 2017-09-03 00:10 | - Italian film | Comments(0)

あんなに愛しあったのに (C’eravamo tanto amati)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (81点)

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【あらすじ】 第二次大戦中のレジスタンス仲間Antonio(Nino Manfredi)・Gianni(Vittorio Gassman)・Nicola(Stefano Satta Flores)は、戦後、病院の救急班・弁護士助手・教師としてそれぞれの道を歩みながらも、変わらぬ固い友情で結ばれていた。そんな彼らの前に、Luciana(Stefania Sandrelli)という天使のごとき女が現れ、皆、彼女の虜になってしまう。以来30年の歳月を、時代の変遷と過ぎゆく青春への哀惜を重ねながら叙述する。(作品の詳細はこちら


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この3人の男たちは、まるで夫の友人関係を見ているようだ。殴り合いの喧嘩こそしないが、絶縁に近い状態になりながらも、「ったく、しょうがない奴だなぁ。」と、窮地に追い込まれた友に助けの手を伸べたり、ふらっと家に立ち寄って喋っていったり、どうでもいい話に盛り上がり、笑って、食べて、飲んで、喋り倒す。アイツは○○だからと文句を言いつつ、誘い合って出かけたり…。

Scola監督はそういった市井の人々を、彼らの内面を、実によく観察している。この作品は、イタリア人の日常生活を何の加工もせず、そのまま切り取ったビデオのようである。が、ただのビデオではない。Scola監督を通した映像は、私たちが心の奥底で固く蓋をしているところを、いとも簡単に開けてしまう、静かで力強い感情に溢れている。コミカルなのに、どこか物悲しい。


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そんな3人の前に女性が登場すると、大概は仲間割れして自然消滅することが多いのに、彼らの友情は育まれ続けていく。Gianni(Vittorio Gassman)を訪ねて行った3人が、豪邸のプールに佇む彼を垣根越しに見つける。その瞬間、彼らの心をさっと横切った気持ち。声をかけないまま3人が引き返すシーンに、はっと胸をつかれた。


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巨匠や名優らを作品の中にさりげなく登場させるのも、Scola監督が映画をこよなく愛しているからだ。Vittorio De Sicaを敬愛するあまり、クイズ番組でヒートアップし、監督への思いを熱く語るシーンは、秀逸だ。あそこでNicola(Stefano Satta Flores)の存在が、いきなり浮上した。3人の中で一番風采が上がらず、地味な存在だっただけに、あれは拍手喝采モノで、映画の好きな私は、一気に彼のファンになってしまった。あのNicolaは、Scola監督に違いない。Mike Bongiornoが若い。Gianniの舅を演じたAldo Fabriziが、化け物のようですな(滝汗)


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by amore_spacey | 2017-07-26 00:31 | - Italian film | Comments(0)

私は彼女をよく知っていた (Io la conoscevo bene)

ネタバレあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (75点)

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【あらすじ】 女優になることを夢見て、トスカーナの農家からローマに出てきたAdriana(Stefania Sandrelli)は、美容サロンのマニキュア師や映画館内の案内嬢や安っぽいファッションショーのモデルなどを経て、やっとエキストラの役を手にした。花形役者の受賞パーティーに出席した彼女は、大物役者らと顔見知りになり、そこでCM撮影まですることになる。しかし加工されて流されたCMは、Adrianaにとって屈辱的なものだった。(作品の詳細はこちら


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Adrianaはトスカーナの農家で育った、どこにでもいる素朴な女の子で、負傷したボクサーや自動車修理工との淡く優しい関係を見ていると、打算のない純粋な心をもっている。彼らのような人々に囲まれていたなら、穏やかな日々を送ることもできたはず。しかし彼女はそこからするりと抜け、成り行きにまかせて、華やかなものや楽しいものについて行った。「楽しく過ごせるなら、それでいいの。」 女優志願なのに、そのための努力というものは全くしない。

若者の間で「しらけ」という言葉が、日本でも流行していた。しらけ世代(1950年~1960年代前半生まれの世代)や、「無気力・無関心・無責任」という三無主義の風潮もあった。世界的な現象だったのかもね。その一方で、権力や富を手にするためなら、どんなに汚いこともやる集団がいる。政財界や芸能界は、その最たるもので、虚栄と空虚の巣窟だ。胡散臭く、醜悪で物悲しい。


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この作品は、何の説明も脈絡もないまま、淡々と新しいエピソードに移っていく。さっきまでビーチに寝そべっていたAdrianaが、美容院に駆け込んでマダムの爪を磨いている。しかし次の瞬間には映画館の案内嬢をやり、画面が変わったお次は、チャラ男(Jean-Claude Brialy)と遊びまくっている。かと思えば、ボクシングの合間のファッションショーでモデルをつとめたり、年上の作家(Joachim Fuchsberger)と仲良くなったり、警察(Turi Ferro)で事情聴取されたり…。こうして成り行き任せに、ふわふわと流されていくAdrianaだったが…


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ショッキングなラストシーンに、凍り付いた。Adrianaはちょっと散歩にでも行くようなかんじで、高いマンションの窓からふわっと身を投げる。しかし次の瞬間には、冒頭にも使われた楽しいテーマ曲が流れ、「ちょっと、待って。大変なことが起きたのよ!」という観客の気持ちに、少しも寄り添ってはくれない。この突き放した無関心が、人の心をじわじわと蝕んでいくのだ。

自動車修理工を演じたFranco Neroが、めちゃくちゃ若くてイケメン!少年の面影すら残っていて、可愛い。Nino Manfredi、Enrico Maria Salerno、Ugo Tognazzi(タップダンスは見ごたえあり)、Franco Fabriziなど、脇を固める名優も、超豪華な顔ぶれだ。


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by amore_spacey | 2017-07-22 00:44 | - Italian film | Comments(0)

イタリア式離婚狂想曲 (Divorzio all’italiana)

ネタばれあり

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 シチリアの没落貴族Ferdinando(Marcello Mastroianni)は、連れ添って12年になる妻Rosalia(Daniela Rocca)に飽き飽きし、彼女が何度も死ぬ妄想にかられる。その上17歳の従妹Angela(Stefania Sandrelli)と恋仲になるが、妻と死別するほか再婚の望みはない。しかしイタリアでは、離婚が認められていなかった。そこで不貞した妻を殺害しても刑が極端に軽いという法律を悪用し、Ferdinandoは妻をそそのかして不貞を働かせ、名誉のために殺害したことにしようと計画する。1962年度カンヌ映画祭で最優秀喜劇映画賞、1963年アカデミー賞で脚本賞、同年のGolden Globe賞で主演男優賞(Marcello)を受賞。(作品の詳細はこちら


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封建的な色彩の強いシチリアを舞台に、地方色豊かな人間模様が生き生きと描かれている。それにしても、当時世界中の女性をときめかせたMarcello Mascroianni、その彼がこんなクズ男を演じるなんて、ビックリ。そりゃ、17歳のAngelaを前に、気持ちが浮ついても仕方がない。若くて美しく可憐で純真無垢の少女なんだもん、男なら気持ちがムラムラするじゃないか。女の私でも、当時15歳のStefania Sandrelliの美しさには、ため息が出る。だけどいい歳した男なんだから、心の中でひっそり恋愛を楽しめばいいものを、Angelaと結婚するために殺人を計画してしまう。中年オヤジが暴走すると、最強無敵。四六時中、殺すことばかり考えている。本作品でイケメンMarcelloが、飄々とした3枚目キャラで、滑稽な姿を晒してくれる。


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まぁ、しかし、倦怠期の夫婦って、こんなもんでしょうか。妻(または夫)がどんなに甲斐甲斐しく仕えても、夜の寝室で可愛らしく甘えてみても、夫(または妻)にとってはただ鬱陶しいだけ。古女房の存在そのものが、腹立たしいのだ。なるほど妻を演じたDaniela Roccaには、圧倒的な存在感があって暑苦しい。決して悪い人ではないけれど、一本に繋がった眉毛や、ヅラのような髪型が重苦しく、Ferdinandoの気持ちが分からないでもない。が、それで殺人って…。


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彼らを取り巻く脇役も、ユニークなキャラが揃っている。絵描きCarmeloを演じたLeopoldo Triesteの、困惑した表情やオドオドぶりが、時代も国籍も全く違うのに、なぜか滝藤賢一を彷彿させる。Ferdinandoのパパも助平で、女中の尻を撫でたり、自宅の窓からAngelaを双眼鏡で見たり。男はいくつになっても男だ。それからこの家のやる気のない若い女中や、時代遅れの貞操観念をもったAngelaのパパ、ゴシップ大好きな村の人々など、誰もが主役のような濃いキャラで目が離せない。あのラストシーンに、ニヤリ( ̄ー ̄)


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by amore_spacey | 2017-06-28 00:17 | - Italian film | Comments(0)