タグ:Vittorio Gassman ( 3 ) タグの人気記事

あんなに愛しあったのに (C’eravamo tanto amati)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (81点)

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【あらすじ】 第二次大戦中のレジスタンス仲間Antonio(Nino Manfredi)・Gianni(Vittorio Gassman)・Nicola(Stefano Satta Flores)は、戦後、病院の救急班・弁護士助手・教師としてそれぞれの道を歩みながらも、変わらぬ固い友情で結ばれていた。そんな彼らの前に、Luciana(Stefania Sandrelli)という天使のごとき女が現れ、皆、彼女の虜になってしまう。以来30年の歳月を、時代の変遷と過ぎゆく青春への哀惜を重ねながら叙述する。(作品の詳細はこちら


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この3人の男たちは、まるで夫の友人関係を見ているようだ。殴り合いの喧嘩こそしないが、絶縁に近い状態になりながらも、「ったく、しょうがない奴だなぁ。」と文句を言いながらも、窮地に追い込まれた友に助けの手を伸べたり、ふらっと家に立ち寄って喋っていったり、どうでもいい話に盛り上がり、笑って、食べて、飲んで、喋り倒す。アイツは○○だからと文句を言いつつも、誘い合って出かけたり…。

Scola監督はそういった市井の人々を、人間の内面を、実によく観ている。この作品は、イタリア人の日常生活を何の加工もせず、そのまま切り取ったビデオのようでもある。が、ただのビデオではない。Scola監督を通した映像は、私たちが心の奥底で固く蓋をしているところを、いとも簡単に開けてしまう、静かで力強い感情に溢れている。コミカルなのに、どこか物悲しい。


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そんな3人の前に女性が登場すると、大概は仲間割れして自然消滅することが多いのに、彼らの友情は育まれ続けていく。Gianni(Vittorio Gassman)を訪ねて行った3人が、豪邸のプールにいる彼を垣根越しに見つける。その瞬間、彼らの心をさっと横切った気持ち。声をかけないまま3人が引き返すシーンに、はっと胸をつかれた。


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巨匠や名優らを作品の中にさりげなく登場させるのも、Scola監督が映画をこよなく愛しているからだ。Vittorio De Sicaを敬愛するあまり、クイズ番組でヒートアップし、監督への思いを熱く語るシーンは、秀逸だ。あそこでNicola(Stefano Satta Flores)の存在が、いきなり浮上した。3人の中で一番風采が上がらず、地味な存在だっただけに、あれは拍手喝采モノで、映画の好きな私は、一気に彼のファンになってしまった。あのNicolaは、Scola監督に違いない。Mike Bongiornoが若い。Gianniの舅を演じたAldo Fabriziが、化け物のようですな(滝汗)


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by amore_spacey | 2017-07-26 00:31 | - Italian film | Comments(0)

追い越し野郎 (Il Sorpasso)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 聖母被昇天の日(8月15日)のローマ。生真面目で内気な法学部の学生Roberto(Jean-Louis Trintignant)は、通りがかりの見知らぬ中年の男(Bruno= Vittorio Gassman)に電話を貸したことから、2人のドライブ珍道中が始まった。Robertoの叔父を訪ね、ナイトクラブに立ち寄り、Brunoの別居中の妻と娘に会いに出かける。強引でお調子者のBrunoに嫌気がさしつつも、どこかで惹かれる正反対のRoberto。そんな矢先、思いもかけない出来事がふたりを待ち受ける。(作品の詳細はこちら


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Brunoに振り回されっぱなしのRobertoが、『地獄でなぜ悪い』の星野源のようで、Noと言えないためにBrunoのペースから逃れられなくなり、ずるずると巻き込まれていく。『激しい季節』 のJean-Louisもそうだったが、生真面目で世間擦れしていない役どころがピッタリ。当時32歳だが、法学部の学生の設定に違和感がない。年齢不詳だ。


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チャラいBrunoだが、別れた妻の家へ転がり込めば、年頃の娘Lilli(Catherine Spaak)に軽く扱われ、彼なりの葛藤があったりする。「人生色々あるけれど、楽しんだもん勝ちじゃないか?」というBrunoのような生き方は、自分の力ではどうしようもない人生に、あえて逆らおうとしない。良い意味で諦めていると言ったらいいのか。しかしラストの悲劇で、全てが一転する。絶望に打ちひしがれたBrunoの姿が、目に焼き付いて忘れられない。Robertoが初めて自分を解放できたというのに、それが人生最後の日だったなんて…。


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by amore_spacey | 2017-07-17 19:26 | - Italian film | Comments(0)

いつもの見知らぬ男たち (I Soliti Ignoti)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

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【あらすじ】 Peppe(Vittorio Gassman)、Mario(Renato Salvatori)、Cosimo(Memmo Carotenuto)、Campanelle(Carlo Pisacane)、Ferribotte(Tiberio Murgia)、Tiberio(Marcello Mastroianni)の与太者たちは、簡単に金を稼ぐ方法を考えながら暮らしている。ある時、刑務所から出てきたばかりのPeppeは、質屋の金庫を奪う計画を思いついた。老獪な盗人のプロDante Cruciani(Totò)に指南を仰ぎ、何とか質屋の隣のアパートに侵入はできたのだが…。(作品の詳細はこちら


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まるで漫才を映画化したような作品で、笑いどころ満載。ワザや捻りがない、子どもレベルの笑いなので、笑いどころやオチはすぐに分かってしまうのに、釣られて笑ってしまう。それまでのイタリア映画は、敗戦後の社会問題を真正面から見つめたネオリアリズモ真っ只中の、暗くて絶望的なものばかりだったから、Mario Monicelli監督のこの作品は、当時の庶民には新鮮に映ったに違いない。しかし知識人たちは、「現実から目をそらして、こんな子供騙しのギャグで笑いをとるとは、けしからん!」と批判。Monicelliに続き、Luigi ComenciniやAntonio Pietrangeli、Dino Risi、Nanni Loy、Pietro Germi、Ettore Scolaらが起こした、イタリア式コメディ(Commedia all'italiana)のムーブメントが過小評価され、軽蔑的な意図で使われていたなんて、ね。この種の笑いは、イタリア人のDNAに組み込まれたものだと思う。

周到に計画を立てるのだが、どうも詰めが甘く、大事なところが抜けたりして、どんどんおかしな方向に流れていく。金庫破り決行に向かって緊張は高まるが、クライマックスで大崩壊!そしてそれまでの緊張感が、プッツンと切れてしまう。こりゃ、もう、笑うしかない。しかし金庫破りに失敗したんだから、これはやばい。現場からとっとと逃げるかと思いきや、台所で見つけたパスタと豆を、泥棒仲間で食べはじめて、すっかりくつろいでいる。計画が大失敗に終わって、皆プッツンです、あははっ。


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どうしようもない与太者たちの脇で、ひっそり楚々と咲く花。それは嫉妬深い兄を持つCarmelinaを演じたClaudia Cardinaleや、情報収集のためPeppeに誘惑されたNicolettaに扮したCarla Gravina。可憐で、綺麗でした。


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by amore_spacey | 2017-06-23 23:04 | - Italian film | Comments(0)