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アラン・ドロン、名誉パルムドールを受賞 (Palme d'or d'honneur)

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第72回カンヌ国際映画祭で、映画史への功績を称える名誉パルムドールがAlain Delonに贈られた。授賞式では娘・女優のAnouchkaからトロフィーを受け取り、満場の拍手に感極まって涙を流す場面もあった。


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彼は受賞のあと、「このパルムドールは、私を育ててくれた監督たちに贈られたもの。そんな名誉あるものを贈られて、私は今とても幸せだ。けれど共演者たちの多くが既に故人となり、それが寂しくてならない」と語っている。また1957年に開催されたカンヌ映画祭で、ハリウッドのエージェントにスカウトされたエピソードに触れ、「もしあの時カンヌに行かなかったら、もしあの時エージェントにスカウトされていなかったら、私は今頃ろくでなしになっていたかもしれない」と自嘲気味に話し、会場をほのぼのとさせた。


# by amore_spacey | 2019-05-26 00:18 | Alain Delon | Comments(0)

リラックマとカオルさん

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (74点)

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【あらすじ】 都内のレトロなアパートに暮らすアラサー独身のカオルさんは、同僚から「真面目すぎる」と言われてちょっぴり落ち込んでしまうこともあるけれど、料理が上手で細やかな感情の女性。でもちょっぴり寂しがり屋の彼女には、「猫が欲しい!」という願望があり、それを叶えるかのようにある日突然この家に、コリラックマとリラックマが現れた。同じアパートには、両親が離婚して母親が仕事でなかなか家にいない小学生のトキオがいる。少しとぼけたカオルさんとリラックマたちとトキオの12ヶ月の日常を描くストップモーションアニメ。(作品の詳細はこちら


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あの可愛らしいリラックマがアニメになる、という記事を読んでから動画の配信を楽しみにしていました。1話が約11分間と短く、ノホホンとユル~い癒し系なので、気分転換に丁度よかった。でも11分のストップモーションのために現場では、物凄い労働力がつぎ込まれているのでしょうね。まずオープニングが毎回違うので、ぐっと惹きつけられます。登場人物のキャラがこれまたカワイく、ぬいぐるみの質感がリアルで素晴らしい。動いているリラックマたちが想像以上に可愛いので、胸キュンキュン。ある日ひょっこりわがやにも現れないかな、と思ったくらい。ちょっとした仕草や目線が、いちいちお茶目でツボにはまる。毎朝あんな可愛い子たちに玄関で見送ってもらえたら、テンション上がって仕事も頑張れそうです。

しっかり者だけど心のどこかに孤独を抱えるカオルさんと、「オー」とか「アー」しか言わないリラックマたちが、雰囲気で何となく理解できてしまう不思議な関係や、つかず離れずの絶妙な距離や、リラックマたちが違和感なく私たちの生活の中にいるという設定は、現実逃避が大好きな私のためにあるようなもの。四季折々に移り変わる風景も、リアルでとても美しい。てるてる坊主のシーンには、「そうそう、子どもの頃作ってぶら下げたなぁ」と、しみじみ懐かしく思い出しました。

ダラダラ寝てばかりでグータラなおっさんクマが、好物の団子やホットケーキには、シャキーーン!ムダに服は多い(爆)のに、着替えるところは絶対に見せない。カオルさんちに長くいるキイロイトリは、小柄ながら働き者で、いつもハタキを持ってパタパタ掃除をしている。その姿が姑宅に来る家政婦さんにそっくりなので、親近感が沸きました。強烈なキャラのリラックマとキイロイトリに挟まれて、コリラックマの存在がやや薄いものの、とても無邪気でかわいい。カオルさんがハワイに行ってみたいと言えば、彼らなりに知恵を出して、ハワイを演出して楽しませてくれる。悲しい時には涙うるうる。寂しいときには、何も言わずそっと寄り添う。なかなか良い関係ですね。色んな失敗をやらかしてしまうカオルさんが、一旦は落ち込むけれど切り替えも早く、前に進んでいこうとする姿に好感が持てるし、誰にでもありそうな日常が満載なので、共感しやすくほっと一息つくことができるアニメでした。


# by amore_spacey | 2019-05-21 04:40 | - Japanese film | Comments(0)

The Guilty ギルティ (Den skyldige)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 Asger Holm(Jacob Cedergren)は捜査上のトラブルから現場を外されて、緊急通報指令室のオペレーターという閑職に飛ばされた。彼の仕事は通報者の身元や車の位置情報を確認し、他の部署と連携して事件の解決を図るのだ。そんな閑職の最終日もいつものように、酔っ払いや娼婦に騙されて強盗にあった男の対応や、交通事故の処理の手配などに追われた。そんな中、Ibenと名乗る女性から一本の通報を受ける。彼女は今まさに誘拐され、車で連れ去られていると言うではないか。(作品の詳細はこちら


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舞台は緊急通報のオペレーター・ルームのみ。ここで電話対応するのが主人公のAsger。まるで1人舞台劇のようですが、話が展開するにつれ、この閉鎖された空間はどんどん濃密になっていきます。事件を解決する頼みの綱は、通報者の話やその後ろから聞こえてくる音だけ。なので、相手の言葉を聞き逃さないよう、全神経を集中させて探っていく。会話や音から想像力をかきたてられて、私の頭は目まぐるしく動き、画面に映らない電話の向こうの、刻々と変わって行く状況を次々と想像するので、どっと疲れました。Asgerは疲れたなんて言っていられない。通報者の情報から状況を素早く判断し、時には違法とも思える手段を使って、限られた時間の中で、最良の解決策を導き出さなくてはならないから。もともとは現場の警察官なので、何とかして助けたいと血が騒ぐんですね。

絶望的な幾つものシーンを脳裏に浮べながら、私たちはAsgerと一体になって汗を握り、現場に行けないもどかしさに苛立ち、現場の状況は本当はどうなんだ?といった疑惑や焦燥に駆られる。電話の向こうから聞こえてくるすすり泣きや沈黙に動揺したり、相手の気持ちを静めるためにAsgerの投げかけた話題が少しでも弾んで、相手の声が和らいだりすると、妙にほっとしたり。でも安心はできない。緊迫感が常にあり、いっときも気を抜くことはできませんでした。

こうして辿り着いた答えが、一瞬にして引っくり返され、Asgerも私たちも絶句し、呆然・唖然。先入観や思い込みは危ういもので、これに囚われると真実が見えなくなってしまう。実に恐ろしい。Ibenの一件を通して、Asgerの中で何かが変わりつつある気配を感じさせつつ、作品は終わる。昨日までの彼とは違った生き方や価値観が芽生えてきたに違いありません。


# by amore_spacey | 2019-05-18 00:13 | - Other film | Comments(0)

(ハル)

ネタバレあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (76点)

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【あらすじ】 速見昇(内野聖陽)は“ハル”というハンドル名で、パソコン通信の映画フォーラムにアクセスする。仕事も恋もうまくいかず鬱屈していた(ハル)に、励ましのメールを送ってきたのは(ほし)(深津絵里)という人物だった。互いの実像をわからないまま二人は次第に本音を伝え合うようになる。やがて(ほし)の住む盛岡に出張することになった(ハル)は、そこで会おうと提案するが……。パソコン通信で出会った男女の恋を描くラブ・ストーリー。


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ひっそりと内野聖陽の一人祭り。『昨日なに食べた?』でとても気になり、若い頃の作品を探して観てみました。えぇぇぇ、内野さんが若すぎて、一瞬分からなかった。こんなタイプの子が、高校の時にいました。公開された1996年は私がイタリアに来た年で、世の中はアナログからデジタルに移行しつつあった。ダイアルアップ接続時の雑音のような不安定な音が、耳の奥に残っていて懐かしい。某メーリングリストで知り合った人たちと、チャットしたこともあります。チャットルームから退室することを「落ちる」と言ったり、「こんばんは>amoreさん」のように、誰に対する発言なのか示すために>を使うことなど、ちょっとしたルールも覚えた。懐かしいです。

全体に静かなトーンで、台詞が少ない。パソコン通信の会話が画面いっぱいに映し出されるので、映画を観るというより本を読むような異色の作品だった。(ハル)や(ほし)は互いに、どんな人なんだろう?今どこで何をしてどんなことを考えているだろう?と想像を巡らせるのが楽しくて、ディスプレイの前でワクワクしている。メールが届かないと、妙に気持が落ち着かず沈み込んでしまう。見ず知らずの相手とメールを交換し、心を通わせ、相手を想う。些細なことで一喜一憂する初々しい感情のヒダを、主役の2人が淡々と見せてくれた。

メールという最先端のツールを使いながらも、不器用な彼らは探るようにほんの少しずつ心の距離を縮めていきます。通信を重ねるうちに、2人は徐々に互いの存在の大きさに気づいていき、「もっと知りたい」「会ってみたい」気持が膨らんでいく。でもここで実際に会うのは、とても勇気がいる。文面から想像した相手のイメージや、その相手に対するこれまでの想いが、瞬時に壊れてしまうようで、夢から覚めてしまうようで、魔法がとけてしまうようで、怖い。だからそっとしておきたい。でも、やっぱり会いたい。何て素朴で古典的で純粋な2人なんでしょうか。奥ゆかしくも、もどかしくて切ないですね。

そして2人が初めて「会う」シーン。新幹線に乗った(ハル)を線路の近くで待つ(ほし)と、時速200kmの新幹線が(ほし)の前を通過するとき、互いにハンカチを振りながらビデオを撮り合う。傍から見ればバカげたことなんだけど(このシーンを冷めた目で見ている私が半分いました)、メールを交わした相手が、現実に存在していることが確認できれば十分。それがほんの一瞬の、短い時間だったとしても。いやぁ、泣けるじゃないですか。因みにこのシーンを見ながら、全くジャンルの違う『天国と地獄』を思い出した。ストーカーのような男たちや(ハル)の元カノは何だかな?だったけれど、(ハル)と(ほし)の恋は、切なくて甘酸っぱくて胸キュン。ラストシーンで、ほっとするような心地よい感覚に包まれました。


# by amore_spacey | 2019-05-13 02:12 | - Japanese film | Comments(0)

Il testimone invisibile

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 「今年の起業家」にも選ばれた若手実業家Adriano Doriaには、美しい妻や可愛い娘のほかに、写真家の美しい愛人Laura(Miriam Leone)がいた。しかしAdrianoは愛人の殺人罪で告発・逮捕され、自宅軟禁下にある。彼は身の潔白を証明するため、法廷で一度も敗北を経験したことがないという、有能な弁護士Virginia(Maria Paiato)に援助を求め、事件前後の詳細を一部始終を話すのだった。(作品の詳細はこちら


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この映画は2つの殺人事件当時に何度も遡りつつ、1つ1つ謎を解き明かしながらフィナーレを迎える。作品の大部分を占める実業家Adrianoと弁護士Virginiaの会話シーンは、見応えがありました。家族や人間関係を描いたイタリア映画には優れたものが多いが、面白いミステリー・サスペンスが少ないので、この作品はなかなかいい線いってるなと思ったのですが、見終わってから2016年のスペイン映画Contratiempoを忠実にリメイクしたものと知って、なーんだとちょっぴりがっかり。

Adrianoは2つの殺人事件の容疑者として逮捕された。殺されたのはTommaso(Fabrizio Bentivoglio)とSoniaの息子、そしてAdrianoの愛人Laura。後者はホテルの部屋で起きた密室殺人事件で、Adrianoが気を失って床に倒れていたことや、これといったアリバイがなく目撃者もいないことから、真っ先に犯人の疑いがかけられた。Adrianoにしてみれば、誰かが仕掛けた罠にハメられ、犯人に仕立て上げられたような状況で、何としても身の潔白を証明しなければならない。自分に不利な材料ばかりの状況の中で、窮地を脱することができるのか?

事件前後の様子は、Virginiaの質問にAdrianoが答える形で再現される。事件に関わった人物は、Adrianoと愛人Laura、TommasoとSoniaと息子、車で通りかかった男、そしてホテルの従業員たち。この中で一番疑わしいのが、AdrianoとTommasoの2人。どちらにも殺すだけの動機があるからだ。しかしVirginiaにとってAdrianoは、大事なクライアントでもある。頭から犯人と疑ってかかってはいけない。かと言って、彼を全面的に信用していいものか、100パーセント真実を語っているのか?食い違いや矛盾はないか?嘘はないか?徹底的に洗い出すのも、彼女の仕事だ。目撃者がいない限り、クライアントの証言だけが頼みの綱だから、慎重に進めていく必要がある。ここは辣腕弁護士の腕の見せ所だ。Adrianoの証言に納得がいかなければ、Virginiaはあの手この手で矛盾を明らかにし、事件の核心に近づいていく。途切れることのない2人の会話の水面下では、相手を出し抜こうと、目に見えない駆け引きや攻防戦が行われ、時には張り詰めた空気が漂う。最後にサプライズがあるが、勘のいい人は途中であれっ?と気づくかもしれません。

弁護士を演じたMaria Paiatoは今回初めてだが、舞台出身の女優らしく存在感がある。話し方や表情がやや大袈裟で、それこそ舞台劇を観ているような錯覚に陥る瞬間もあるが、何よりも役づくりがうまいので、彼女の魅力にぐいぐい引き込まれる。Lauraを演じたMiriamやAdrianoを演じたScamarcioは、Maria Paiatoの迫力や演技力に押されて、無残でした。台詞は棒読み、顔の表情はワンパターンで、学芸会レベル。BGMも耳障りでした。「これ、サスペンスなんだよ!」「ここ、山場だから。ちゃんと見てね」と言わんばかりに煽り立てる俗悪なBGMのせいで、画面に集中できない。あれ、もう少し何とかならなかったのかしら。燻し銀のようなFabrizio BentivoglioがMaria Paiatoと共に脇を支えてくれたので、何とか作品として成り立ったと言えましょうか。

その後オリジナル作品Contratiempoを観たのですが、本作品は寸分違わずそっくりそのままリメイクされているんですよね。いやもう、オリジナルを買い取って、CGでイタリア人俳優に置き換えただけ、なレベルで驚いた。そこまでしてリメイクする意味が、イマイチ分かりません。


# by amore_spacey | 2019-05-08 01:07 | - Italian film | Comments(0)