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彼女と彼女の猫 (1999年)

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【あらすじ】 都会で一人暮らしの彼女は、ある雨の降る日、ダンボールに入った一匹の白い猫を見つけ、アパートに連れて帰る。こうして彼女と一匹の猫との共同生活が始まった。ある日彼女の留守電に、彼からのメッセージが入る。(作品の詳細はこちら


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偶然You Tube(←音が出ます)で見つけた5分の短編アニメ。1999年の初夏から初冬にかけて、新海誠が日本ファルコムに勤めながら、完全に個人制作された5分弱のモノクロ作品。登場するのは女性と雄猫チョビと雌猫ミミで、チョビのナレーションで展開していく。

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孤独や漠然とした寂しさや虚無感、生きていくことの厳しさや痛み、そんな中でふっと出会う何気ない温もりや、寄り添う何かや誰かが居てくれる安心感。言葉では伝えにくい様々な感情が、自然音や生活音、叙情的で懐かしい風景を通して、脳にダイレクトに伝わって来て、気持ちを優しく静かに揺さぶる。この繊細な心理描写に、泣けました。雑すぎるシンプルな猫が、かえって微笑ましく、愛らしさに満ちています。

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モノクロの向こうに、色が見えてくるような。誰も喋っていないのに、話し声が聞こえてくるような気がする、不思議なアニメ。誰にでもありそうな、平凡な日常風景を切り取っただけなのに、私ったら目をうるうるさせながら観ている。バックに流れるピアノ(←音!)とともに、心が緩やかに癒されていくのを感じました。


# by amore_spacey | 2023-02-01 01:39 | - Short film | Comments(0)

ビガイルド 欲望のめざめ (The Beguiled)

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【あらすじ】 1864年、南北戦争3年目を迎えた、南部諸州側のバージニア州。人里離れた森の中にある女子寄宿学園では、学園長のMartha(Nicole Kidman)と教師のEdwina(Kirsten Dunst)が、5人の生徒たちとひっそりと、暮らしている。
 ある日生徒の一人がキノコ狩りの途中で、脚を負傷した北軍の兵士McBurney(Colin Farrell)を見つけ、学園まで連れて帰った。7人は戸惑いながらも、兵士に手厚い看護を施し、南軍には通報せず、脚が治ったら立ち去るよう約束した。しかしMcBurneyを看護するうちに、彼女たちはみな彼に心を奪われ、秘められた情欲や危険な嫉妬に身を焦がしていく。(作品の詳細はこちら


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細々とColin Farrell一人祭りを続行中。邦題から想像したのは、突っ込み所満載の昼メロ的な、Nicole KidmanとColin FarrellとKirsten Dunstの間で繰り広げられる、傷だらけで狂おしくも妖艶で切ない物語でした。が、予想は見事に外れ、ちょっと、何、これ?(呆れた声で)

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風や水などの自然音が心地良く、オフホワイトが基調のドレスや装飾、暗闇とキャンドルのコントラストや、シックで質の良いインテリアなど、いかにも乙女たちの園という雰囲気で、舞台装置は素晴らしく申し分なかった。

なのに登場人物それぞれの心理描写や、そこから発生する幾つかの事件が、子どもの恋愛ごっこや小競り合いレベルで、全く煮え切らず、白々しくて興ざめでした。女が7人もいるのに、『家族熱』や『阿修羅のごとく』のような、激情を抑えきれない生々しい姿が、これっぽっちも描かれていない。

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礼儀正しく謙虚なMcBurneyの、あまりに唐突な変貌にも面食った。脈略がなさすぎるんです。Colin目当てで観たのに、雑な扱われ方で悲しい。他の女優たちも、Sofia Coppola監督にムダ使いされただけ。脚本がお粗末でした。向田邦子や橋田寿賀子やJane Austenなら、女の修羅場は得意ネタですから、凄まじい事件をねじ込みながら、その展開を楽しんだに違いありません。お口直しにキノコのソテーを作ったので、一緒に召し上がりませんか。


# by amore_spacey | 2023-01-26 23:01 | - Other film | Comments(0)

孤独のグルメ Season10 第4話

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【あらすじ】 商談が終わった井之頭五郎(松重豊)は、住宅街をひたすら歩くが、お店の気配は皆無。空腹で絶望しかけた時、奇跡的に一軒の洋食屋さんを発見。駆け込みでお店に入った五郎は、定番の洋食メニューとおすすめメニューを店員に聞き、五郎オリジナルのコースメニューを堪能した。


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サザエとキノコのプロヴァンス風
 
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バジル風味の野菜スープ

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牛タンシチューのオムライス

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デザートの盛り合わせとコーヒー


2時間近い映画を観る気力も集中力もない時に、『孤独のグルメ』は長さも内容もピッタリ。と言いながらDLしたまま放置していたので、年末年始にシーズン6からダダーッと観ました。オープニングの音楽が始まるや否や、これよ、これ!あっという間に、五郎の世界へひとっ飛びです。

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次々に出てくる五郎オリジナルメニューを、目の端で追いながら、ふっと頭を上げたら、画面に目が張り付いた。そこには、牛タンシチューがのったオムライス。牛タンはともかく、鮮やかな黄色のふわとろオムレツから、昭和の洋食屋さんを思い出し、懐かしさのあまり胸がいっぱいになりました。

洋食屋さんの定番メニューの中で、チキンライスやマカロニサラダやナポリタンなら、料理が壊滅的にダメな私でも何とかできるので、食べたくなると作りますが、これじゃない感が半端ない。その思いは、食べるたびに強まる。洋食屋さんのあの雰囲気じゃなきゃダメなのよ。しかも最近つくづく料理をするのが、億劫になってきて。自分が作ったものなんて、もう食べたくない。飽きた。誰かが作ってくれたものを食べたい。献立を考えるのも作るのも、本当に嫌っっ。泣きが入るくらいに面倒くさい。

さて五郎の心の声が、「瞬殺の旨さ」と絶賛する、トロトロの牛タンシチューと一緒に、オムライスを食べながら、「俺の好みにドンピシャ!」「昭和の大人を夢中にさせるオムライス」の台詞が、私は食べていないのに凄く分かる。このシリーズも10年目なんですね、凄いなぁ。松重さんが五郎になり切って、あれもこれも欲張って注文した料理を、ワシワシと平らげていく様(さま)は、見ていて気持ちがいい。松重さん自身は食が細いなんて、、、それホント?


# by amore_spacey | 2023-01-22 00:54 | - Japanese film | Comments(4)

Be Silent 世にも奇妙な物語

ネタばれあり!
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【あらすじ】 天才作曲家の片岡亮(渡部篤郎)は、国立劇場のこけらおとしにと、依頼された曲作りに行き詰っていた。締め切りを延ばしてもらうが、どうしても納得のいく作品が出来上がらない。
 しかもピアノの前に座っていると、次第に周囲の音が気になり始める。最初は工事などの大きな音だけだったが、徐々にスリッパや冷蔵庫の音までが気になる。やがて片岡は、音のない世界を目指すようになっていった。(作品の詳細はこちら


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しばらく前『人生スイッチ』のレビューを書いている時に、ふっと『世にも…』が頭に浮んで来ました。「半分こ」や「墓友」は、真綿で首をじわじわ締めつけられる、一方通行のとても濃厚な友人関係を描いた、超ブラック&シュールなエピソードで、ホラーとは違った人間の怖さを孕んでおり、それが癖になります。

これとはジャンルが異なるBe Silentを初めて観た時には、想定外のラストシーンに頭が追いつかなかった。えっ、そこまでする?聴覚が優れすぎたこの作曲家は、あらゆる雑音を耳が拾ってしまい、作曲活動に集中出来ない。彼が少しずつ常軌を逸脱していくある段階までは、分からなくもありませんが、これがエスカレートして、とうとう渡部篤郎は一線を越えてしまう。怖かったなぁ。

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渡部篤郎の無表情で淡々とした演技が、却って鬼気迫る凄みを与える。ストイックで神経をピリピリ尖らせ、張り詰めた空気や一触即発の静けさが、息詰まる臨場感で迫ってくる。私も酸欠状態で行方を見守っていましたが、へぇっ??彼の究極の選択に、今目の前で何が起きたのか?すぐには理解できず、呆然としたままソファに座っていた。高橋一生や岡田将生やElio GermanoやCillian Murphyのヴァージョンがもしあったら、それぞれ独特のテイストで見応えがあるに違いありません。実現したらいいな。


# by amore_spacey | 2023-01-20 01:21 | - Japanese film | Comments(0)

リプリー (The Talented Mr. Ripley)

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【あらすじ】 1958年、貧しい青年Ripley(Matt Damon)は、アメリカ人の富豪(James Rebhorn)から、ヨーロッパで放蕩三昧の息子Dickie(Jude Law)を、連れ戻してきて欲しいと頼まれた。彼は大学時代の友人と偽ってDickieに近づき、一緒に贅沢な生活を満喫するうちに、彼の魅力に惹かれていく。
 しかしDickieに疎まれたことから、彼を殺害。その後RipleyはDickieに成りすまし、さらには彼の恋人Marge(Gwyneth Paltrow)の愛も得ようと画策するのだった。Patricia Highsmithの同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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Patricia Highsmithの同名小説を映画化した作品と言えば、René Clément監督の『太陽がいっぱい』、『太陽が...』と言えばAlain Delon、Alain Delonと言えばTom Ripley。なので、Matt DamonがTom Ripleyを演じるこの1999年版を、色んな人たちから勧められたのですが、ずっと封印してきました。

1999年版を観ることは、『太陽がいっぱい』への冒涜・反逆・裏切り行為だなと、勝手に忠誠を誓っていたのもあります。若いAlainや南伊の魅力を最大に引き出した、映画史に残る名画。何もかもが大人の世界で、Alainの美貌に酔いしれ、海外の桁外れの金持ち息子の優雅な暮らしに目を丸くし、青い地中海や太陽が降り注ぐ南イタリアの町に惹かれた。これほど鮮烈な印象を残した映画は、当時なかったのです。魔がさしたんでしょうね、1999年版をふっと観てしまった。ダメだったら、途中でやめればいいんだから。

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嗚呼、しかし悪い予感は見事に的中。ゾワゾワとした嫌な感触が、下の方から立ち上ってきて、全く映画に集中できない。身体が拒否反応を起こすなんて、もうね、生理的にムリだった。あと10分だけ我慢、あと5分だけ頑張れ、あと1分!と、自分に苦行を強いる。年明け早々、何のためにこんなことをやってるんだろうと自嘲しつつ、ダメなものはダメ。半ばでリタイアしました。

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Matt Damonの巧みな変貌振りや、若いJude Lawの美しさに魅了され、BL感満載のシーンに、何だかなぁともやもやを募らせ…。いや、そこじゃない、そんなことじゃない。私が大切にしてきた『太陽がいっぱい』の世界を、メチャクチャにされた怒りや悲しみがこみ上げてきて、観なきゃよかったと、後悔の嵐の真っ只中で打ちひしがれていた。だけどもしかしたらこの気持ちを、分かってくれる人がいるかも、というかすかな希望を込めて、レビューならぬ愚痴を書き散らかしました。1999年版が(も)好きな方、本当にごめんなさい。

それにしても、この邦題は、潔い。


# by amore_spacey | 2023-01-15 00:32 | - Other film | Comments(4)