ホルテンさんのはじめての冒険 (O' Horten)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 ノルウェーの首都オスロと第2の都市ベルゲンを結ぶベルゲン急行の運転士Odd Horten(Baard Owe)。勤続40年、67歳の彼は、とうとう定年退職の日を迎えることになった。仲間たちにその功績をたたえられ、恥ずかしながらも祝いの席に招かれた彼は、人生最後の運転をするはずだった翌朝、あろうことか人生初の遅刻をしてしまうのだった。(作品の詳細はこちら


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冒頭のシーン、Hortenさん(名前の響きが可愛らしい)が運転士を勤めるベルゲン急行が、あたり一面真っ白の雪原を、一本の赤い線となって走る雄雄しい姿や、幾つものトンネルを抜け車窓から見えるモノトーンの景色が、印象的だ。Hortenさんをはじめ登場するのはほぼ初老の人ばかりで、ゆっくりとしたテンポで進んでいく。会話は少なく大事件が起きる訳ではないけれど、突飛なことをやらかす人間が出てきたり、みんなどこか間が抜けていたりして、クスっと笑える。そこに生真面目で頑固なキャラが加わると、意図しない面白味が滲み出て、『キッチン・ストーリー』でも感じたような、北欧独特の空気が醸しだされる。


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定年を迎えたHortenさんは、40年間オスロとベルゲンの間を、脇目もふらず往復し続けた。これが彼の仕事人生だ。しかし淡々と生きてきた彼が人生の節目にきて、思うところが色々あったのだろう。この作品はそんな彼が、生まれて初めて自分に挑戦した物語だ。気負わず自然体で、勇気ある一歩を踏み出す。ジャンプ台の向こうに広がる夜景はとびきり美しく、今まさに飛び立とうとする彼を、ふんわり包み込んでくれるかのようだ。あのシーン、Hortenさんが大失敗するんじゃないかって、ちょっとドキドキしました。


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Hortenさんは定年最後の日に様々な人と出会い、今まで知らなかった世界に触れて、新たな道を模索していく。制服を脱ぎ、初めて普段着姿で登場した彼は、実にいい表情をしていました。これは人生の節目や転機に、そっと背中を押してくれる作品ですね。



第三回プラチナブロガーコンテストを開催!
# by amore_spacey | 2018-11-20 02:03 | - Other film | Comments(0)

国籍不詳の北村一輝 その2

北村一輝の画像集、今回は濃い味編です。

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聖也(夜王) このドラマは未見なのですが、観たらきっと眠れない、絶対に眠れなくなる。顔立ちが、白トリュフをフォアグラで挟んでフライにして、スライスアーモンド入りバターソースをかけたような濃さなんですもの。声や微笑みは、レモンのように爽やか。


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ケイオニウス(テルマエ・ロマエ) イタリア人に混じっても、全く違和感なし。中国で撮影中、インド人と間違えられたエピソードもあるらしい。


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与那嶺司(バンビーノ) 北村一輝を初めてみたのが、このドラマ(主役は嵐の松本潤)でした。こんな爽やか&イケメンな給仕長がいたら、頑張ってシェフ(カメリエラでもいい)になって、このトラットリアで働きます、キリッ!



第三回プラチナブロガーコンテストを開催!
# by amore_spacey | 2018-11-18 02:10 | My talk | Comments(0)

国籍不詳の北村一輝 その1

先日また猫侍を観ていたら、北村一輝熱が再燃焼しまして、彼の画像集を作ってみました。まずは侍編。

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斑目久太郎(北村一輝)と玉之丞(あなごちゃん)の息がピッタリあって、何回観ても可愛い。


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柳沢吉保(大奥~華の乱~)


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徳川家定(大奥)


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平頼綱(北条時宗)


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上杉景勝(天地人)


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井上勘兵衛(あずみ)

ちょんまげ頭にも色々バリエーションがありますが、前髪のある方が北村様の濃い顔が、より引き立つように思います。

 
# by amore_spacey | 2018-11-16 02:25 | My talk | Comments(0)

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車 (Kraftidioten)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

ネタばれあり!

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【あらすじ】 ノルウェー中部の小さな町に暮らす除雪車の運転手Nils(Stellan Skarsgård)は、妻と大学生になったばかりの息子の3人家族で、ささやかに暮らしていた。しかしある日息子が急性薬物中毒で死んだと知らされる。麻薬常習者ではない息子の死因に疑問を抱いたNilsは、調査を進めていくうちに、地元の麻薬組織絡みの犯罪であることを突き止めた。そして息子を殺した麻薬組織に復讐すべくたった1人で奔走するが、それが地元のギャングのボスCount(Pål Sverre Hagen)とセルビア系マフィアのボスPapa(Bruno Ganz)の間に火をつけ、Nilsは麻薬抗争に巻き込まれていく。(作品の詳細はこちら


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ノルウェーの上質なB級ブラック・コメディ。適度に緊張感があり、その端々に独特のブラック・ユーモアを挟む。ここで笑わせてやろうという魂胆はまるでなく、本人たちは大真面目だから、ギャップが却って可笑しい。それから韓国や日本の裏社会の抗争は、血や汗にまみれて汚い感じがするのに、真っ白な雪に覆われた舞台で繰り広げられる北欧の抗争は、語弊を招く言い方ですが、クールできれいな印象さえ受ける。あくまでも、印象、です。実際は血まみれ汗まみれなんですけどね。苦笑


人が死ぬたびに画面が暗転して、十字架・あだな・本名のフルネームが掲げられる。これがとても斬新。一瞬しか出てこないような、「お前、誰だっけ?」な人まで弔うかと思えば、大量死を十把ひとからげで弔ってやるこの大雑把さ。滝から落とされる瞬間、死体が「アーーー」と叫んでいるように見えるのも、ブラック・コメディの流れだからだ。


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一癖も二癖もある登場人物ばかりだが、中でもギャングのボスCountは強烈だ。ギャングと言ったら肉食系だろ?なのに彼ときたら、超真面目な菜食主義者。だが頭に血が上りやすく、ピストルぶっ放して部下を殺してしまう。妻との離婚訴訟もなかなか進まず、常にピリピリ&イライラ。チンピラ上がりで、肝っ玉が小さく薄っぺらい男だ。


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駄々っ子のようなCountとは対照的に、Papa(Bruno Ganz)にはマフィアのボスらしい風格がある。が、妙に臆病だったりするから、そのアンバランス加減が笑える。成り行き上Nilsの除雪車に乗り込んでしまってから、Nilsが自分の敵なのか味方なのか分からず、挙動不審になるPapa。ボスだったらもっと毅然としてくれよ。『ヴェニスに 恋して』から年月が経って随分老けたが、飄々としたBruno Ganzの持ち味は今なお健在で嬉しい。



第三回プラチナブロガーコンテストを開催!
# by amore_spacey | 2018-11-13 01:08 | - Other film | Comments(0)

Un coeur en hiver (愛を弾く女) 

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (72点)

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【あらすじ】 美貌の新進ヴァイオリン奏者Camille(Emmanuelle Béart)は、ヴァイオリン工房を経営するMaxime(André Dussollier)と不倫の仲である。Maximeと組んで一緒に仕事をするStéphane(Daniel Auteuil)は、音に関して優れた感覚を持っており、Camilleの持ち込んだヴァイオリンの魂柱をわずかに細工しただけで、彼女の望み通りの音を生み出して驚かせた。自分に注がれるStéphaneの強い視線を意識し、Maximeとでは味わえない高揚感に、CamilleはMaximeに別れを告げ、Stéphaneに愛を告白するが、彼は「君のことを愛してはいない」と言う。(作品の詳細はこちら


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この作品の主人公はStéphane。一歩踏み込んで人間関係を深めることを恐れる(嫌う?)屈折した心の内を、様々なエピソードと共に綴っている。彼の繊細な心や研ぎ澄まされた感覚は固い殻で覆われ、なかなか掴みづらく、寡黙な彼の口から出てくる言葉は、ぶっきら棒で愛想がない。頭の中では何千ものことを考え、心の中でどんなに葛藤や悲しみに苦しんでいても、口から出るのは、「愛していない」の一言。その説明や言い訳もないから、言われた側は衝撃的で辛い。

Stéphaneの相手が、天才的にその場の空気が読める人だったり、包容力のある人間性豊かな人だったり、逆に全く無頓着で鈍感な人だったら、あんな修羅場にはならなかったでしょう。が、相手はCamille、音楽で自己表現する情熱的な女性です。自分の気持ちに嘘がつけない。一歩踏み出したら、もう止められない。Stéphaneへの愛を抑えきれなくなり、情熱に身を任せて押しまくって来る。狂おしいまでの激しさで、彼に迫ってくるのだ。Stéphaneの気持ちも知らないで…。炎と氷の対決ですが、結局彼は自分の世界にとどまることを選んだ。


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そう考えるとHélène(Elizabeth Bourgine)は彼にとって、気の置けない女ともだちだったのではないかしら。彼女もStéphaneタイプの人間で、他人の領域にズカズカ踏み込んで来ないが、話はきちんと聞いてくれて、的確なアドバイスもくれる。

いびつな彼を丸ごと受け止めたのは、恩師のLachaume(Maurice Garrel)だ。恩師の前では、素の自分でいられる。その恩師の最期の願いを聞き入れることが、真の愛情というもの。安楽死の注射を誰も出来なかった中で、無言のまま注射を打ったStéphaneは、罪悪感に咎められることなく、開け放った窓から青空を見上げる。2人の絆は永遠だ。


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理解に苦しんだのは、愛する女性が友人の事を好きだと感づいた場合、普通なら嫉妬を覚えるはずだが、Stéphaneに彼女を譲ろうとしたMaximeの意図だ。他の男に心を奪われた女性と関係を続けても、カッコ悪いし虚しいだけだから?これがフランス的なスマートさなんですか? 「お前、いい加減に目を覚ませよ」と言わんばかりに、MaximeがStéphaneを殴りつけるシーンも、「愛に縁遠いお前を思い遣って…」という愛のムチだったのか。Maximeはクールで洗練されているし、恋愛経験も少なからずありそうだ。そんな彼が仕事仲間・友人として一目置くStéphaneのことを、頼りない弟のように気がかりになるのも分かる。でもこういう余計な配慮を、私はして欲しくないな。空気を先読みして、勝手なことをしないで下さい。


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スタジオ録音の休憩時間にStéphaneとCamilleがビストロに行くシーンは、とても小粋で素敵でした。早く先に進みたいという熱い思いで雨を見上げる彼女、自分とは関係のない世界を薄いベール越しに見ているような彼。軒下で雨宿りする2人には、この先交差することのない前兆が、この時すでにあったのだと思う。実生活での彼らが2年で離婚したのも、同じような経緯があったのかしら?



第三回プラチナブロガーコンテストを開催!
# by amore_spacey | 2018-11-11 02:38 | - Other film | Comments(4)