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家族の肖像 (Gruppo di famiglia in un interno)

私のお気に入り度 ★★★★☆(80点)

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ローマの中心にある豪邸で、静穏そのものの生活を送る教授(Burt Lancaster)は、《家族の肖像》と呼ばれる18世紀の英国の画家たちが描いた、家族の団欒図のコレクションに囲まれて孤独な生活を送っていた。

教授のその趣味を巧妙に突いたBianca(Silvana Mangano)は、画商を通して教授に近づき、娘のLietta(Claudia Marsani)とその婚約者Stefano(Stefano Patrizi)、美青年Konrad(Helmut Berger)らを引き連れて、強引に教授の2階に住みついてしまう。そのことによっておきる波紋を、ヨーロッパ文明と現代貴族のデカダンスを根底に描く。



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ある日突然、あなたの生活に土足で入り込む人がいたら、どうする?私ならあらゆる手段を使って、追放しようと試みるでしょう。教授にはそこまでのエネルギーはなかった。老人の経験や常識ではとうてい理解できない、傍若無人な家族の存在が、Visconti監督自身も憂いていたヨーロッパの【新世紀】の象徴だとすれば、彼らを理解出来ずに死を待つ老人の姿は、変貌する時代の中で孤立する【旧世代】そのものということかしら。

好きな絵画に囲まれ、モーツァルトを聴きながら、生きる屍のような生活をしている教授にとって、この家族が起こす事件は、久々に生を感じさせてくれるのだった。間貸しした階上の部屋を歩き回る靴の音や、改修工事の爆音や、うるさいだけの若者向けの音楽さえも、教授の心に懐かしい家族の思い出を蘇らせたのである。寄せ集めの集団ながら1つの家族として形を成すかに見えたが、血の繋がらない家族は一気に崩壊し、教授の元から立ち去ってしまう。

ペンで「へ」の字型に描いたSilvana Manganoの極細眉毛が、妙に凄まじく迫力があった。『ヴェニスに死す』で演じた貴婦人と、同一人物とは思えない豹変ぶりにたまげました。回想シーンに一瞬だけ登場する別れた妻(Claudia Cardinale)や、美しい母親(Dominique Sanda)もお見逃しなく。Burt Lancasterは『山猫』の時と同様、あるいはそれを上回る抑えた演技で、ある時には父親のような愛情を注ぎ、またある時には威厳を持って自分の意見を貫く姿が、とても渋くて貫禄がありました。

製作国:Italy, France
初公開年:1974年
監督:Luchino Visconti
キャスト:Burt Lancaster, Helmut Berger, Silvana Mangano, Claudia Marsani, Stefano Patrizi, Elvira Cortese, Philippe Hersent Claudia Cardinale, Dominique Sanda ...


by amore_spacey | 2009-09-23 01:51 | ┗ L. Visconti | Comments(5)
Commented by 松たけ子 at 2009-09-23 20:37
こんばんは☆

ヴィスコンティ監督作品、重厚で高雅で退廃的で、何か観てると酔ってしまう魔魅が。「地獄に堕ちた勇者ども」が特に好きです。ヴィスコンティ監督の再来が、いまだに現れないのが残念です。
ヘルムートみたいな妖しく美しい闖入者なら、ちょっと嬉しいかも。ぶっさいくな男なら、私も全力で追い出します♪

追伸:The Tudorsが、ついに日本で放送されます!マンモスうれピ~♪henry cavillくんに萌えまくる予定☆
Commented by amore_spacey at 2009-09-24 01:04
☆ 松子さんへ。
この秋は「Viscontiシーズン」と命名して、彼の作品を集中してみようという
企画を立てたのですが、超heavyだから3本観たら軽めのおバカ映画でも
観ないと続きません。「地獄に堕ちた勇者ども」はもう少しあとに観る予定で~す。
Helmut Bergerは、作品によって病弱で妙に弱々しいなぁと思えば
とっても俺様的に威張り腐るんですが、本音のところに純粋で可愛い部分が
あるんですよね。そこに引っかかるとアリ地獄?泥沼化??

祝☆The Tudors放映!!!!! Henry!萌えまくって下さいね。
season1で観ていた時には地味だなぁと思っていたのですが、それは
Jonathan R. Meyersがあまりにもギラギラと濃いからだということに
あとになって気付きました。
Commented by Tom5k at 2024-11-10 11:12
https://zidai.exblog.jp/33262446/

こんにちは。トム(Tom5k)です。
>好きな絵画に囲まれ、モーツァルトを聴きながら生きる屍のような生活

この生活、屍なんですね。う〜ん!
私としては、静かな充実と捉えたいところでしたが・・・。
まあ、正誤はわかりませんが、確かに、教授はエリート街道から逃げ出した隠遁者ですよね。

>ヨーロッパの【新世紀】の象徴
>この家族が起こす事件は久々に生を感じさせてくれるのだった。間貸しした階上の部屋を歩き回る靴の音や、改修工事の爆音や、うるさいだけの若者向けの音楽さえも、教授の心に懐かしい家族の思い出を蘇らせた

まさに!
ヴィスコンティは本来のコミュニティが何なのかを表現しようとしたとのだと思います。大仰のものではない友情、家族の愛情、単純でシンプルだと思います。

Commented by Tom5k at 2024-11-10 12:46
P.S.事後報告すみません。勝手にリンクにさせてもらいました。
Commented by amore_spacey at 2024-11-17 01:44
☆ トムさんへ
お返事が遅くなってごめんなさい。
そうですね、閉じた世界(好きなものに囲まれた部屋)で充実した静かな隠遁生活を送っているという捉え方が、しっくりきますね。この暮らしを乱す、性別も年齢も違う赤の他人を、割とすんなり受け入れたり、多少の騒音さえも教授には懐かしく心温まるものとして描かれ、人恋しさや寂しさや諦観のようなものを抱える姿に、胸がいっぱいになりました。

人との繋がりは、そんなに大袈裟なものでなく、意外とシンプルなものなのかもしれません。ブログの繋がりもその1つですね。

リンク、OKです。ありがとうございます!
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