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心のおもむくままに (Va' dove ti porta il cuore)

ネタばれあり。

私のお気に入り度 ★★★★☆(83点)

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幼くして母を亡くしたMarta(Valentina Chico)にとって、唯一の肉親の祖母Olga(Virna Lisi / Margherita Buy)の訃報が留学先のアメリカに届いた。イタリアに帰郷した彼女を待っていたのは、愛犬BookとOlgaが愛する孫娘のために人生の想いを書き残した一冊のノートだった。

孤独だった少女時代、恋を知らないまま親の望む結婚をし、平凡で退屈ですらある毎日を過ごす。精神不安定になった若妻Olgaは、心を癒すために出た温泉療養地で、既婚者のErnesto(Tchéky Karyo)に出会った。胸の鼓動や恋の予感。Ernestoと激しい恋におちた。しかし夫のもとに帰ったOlgaに彼の訃報が伝えられる。Olgaのお腹には彼の子供がいたが、なすすべを持たない彼女は真実を告げられぬまま、娘Ilaria(Galatea Ranzi)を生んだ。成長したIlariaは街を出て父親の分からぬ娘Martaを生む。金の無心に帰ってきたIlariaにOlgaは真実を告げた。衝撃に打ちのめされたIlariaは自動車事故で即死。Olgaの手紙を読み終えたMartaは、Bookを連れてウィーンに旅立つのである。Susanna Tamaroの同題名の小説を映画化。



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Martaが衝撃を受けたのは、祖母の一人の女としての生々しい側面を知ったこと、そして実父が同じ屋根の下で暮さなかったという因果が2代に渡って続いた事実、この2つであろう。幼い頃に抱いた漠然とした薄暗い予感が、白日の下に晒されてしまった。しかしずっと祖母以上でも以下でもなかったOlgaの深く激しい一面を知ることによって、Martaは亡き祖母から「自分の気持ちに正直になること」を学ぶ。

メイクの技術もさることながら、Virna Lisiはさすがベテラン女優である。60~80代という約20年の老女を巧みに演じていた。ある時には生き生きと輝き、またある時には絶望に打ちひしがれ深い皺が刻み込まれる。そしてこの時30代前半という女盛りのMargherita Buyの美しさといったらなかった。目鼻立ちがはっきりしているのだから、あんなに濃い化粧(特に口紅)をする必要はないのに。彼女は歳を重ねるごとに、ナチュラル・メイクが似合うようになってきている。Tchéky KaryoはNikita以来の再会。私の中では可もなく不可もなくといったところかな。特筆すべきはBookを演じたワンコです!私がキミに助演男優賞をあげましょう。クランク・イン前には共演女優と一緒に、相当な訓練を受けたのだろうなぁ。



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逝ったものがわたしたちの胸にのしかかるのは、おたがいにに言わなかったことがあるためなのだ。… この思いから、人生も残りすくないと悟った老女が、遠くはなれた孫娘への置き手紙のつもりで日記を書く。その日記は、孫娘とのあいだに横たわる、理解しあえなかった日々を埋めようとする試みであり、それまで自分自身にさえ明らかにしようとしなかった、「心の暗部の告白」でもあった。『心のおもむくままに』 訳者あとがきより(訳者 泉典子)
製作国:Italy
初公開年:1996年
監督:Cristina Comencini
原作:Susanna Tamaro
キャスト:Virna Lisi, Margherita Buy, Galatea Ranzi, Massimo Ghini, Tchéky Karyo, Valentina Chico ...


by amore_spacey | 2009-10-15 23:07 | - Italian film | Comments(0)
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