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真夜中のピアニスト (De battre mon coeur s'est arrêté)

私のお気に入り度 ★★★★☆(82点)

ネタばれあり!
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【あらすじ】 28歳のThomas(Romain Duris)は悪辣な不動産ブローカー。同業の父親Robert(Niels Arestrup)に頼まれれば、借金の取立てに手を貸すこともある。薄汚れた世界で、どうにも満たされない心を持て余していた。
 しかしピアニストだった亡き母のマネージャーと偶然再会したことで、一度は諦めたはずの音楽への夢が甦る。これが最後のチャンスとオーディションに挑む決意をするが、長いブランクに加え個人レッスンを受けることになった留学生Miao Lin(Linh Dan Pham)に、フランス語が通じないことも手伝って焦燥感を募らせるのだった。


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ピアノが登場する映画。邦題タイトルやポスターから、秘密めいたロマンチックな話かと思ったが、全く違った。Thomasの仕事ぶりや父との愛憎を中心に、東欧からの移民問題や同僚の妻との不倫などを織り交ぜながら、ピアニストだった亡き母のマネージャーとの再会を機に、封印していたピアノへの情熱が再燃し、激しく揺れ動く彼の心を描く。

人を殴り倒し血に汚れたその指で、ピアノの鍵盤を叩く日々が始まる。長期ブランクのあるピアノの出来は散々だし、個人レッスンの教師Miaoとのコミュニケーションも全く埒があかない。ガラスのように壊れやすいThomasの心も定まらず、何もかもが中途半端で割り切れない。しかし美しいピアノの旋律や言葉以上のものを伝えるMiaoのレッスンが、薄汚れた心を浄化し、荒んだ暮らしに束の間の潤いをもたらすようになり、Thomasの中で何かが変わりつつあった。音楽には癒しの効果がある、と思っている私は、どんどんピアノにのめり込んで行く彼の姿に心を揺さぶられました。あの時、マネージャーや彼女との出会いがなかったら…。


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Miaoの前では、まるで小さな駄々っ子のようなThomas。その姿がなんとも微笑ましい。言葉は通じなくても、音楽は感性で分かり合える部分がある。ピアノのレッスンをウン十年ぶりに再開した私も、つくづくそう思うのです。結局彼はオーディションで自滅し、音楽の道は閉ざされてしまった。そしてその数年後、国際的なピアニストになったMiaoのマネージャーとして生きるThomas。彼の心の内は一体どんなだろう。

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何となくチャラいイメージが強かったRomain Durisの素晴らしい演技に、見る目が変わりました。割り切れない気持ちや、不完全燃焼の思いを抱きつつ、裏社会に生きざるを得ない苦渋に満ちた男が、ひょんなことから別の人生の扉を開ける。こんな人間を演じる時の彼は、内に秘めていた官能的な魅力を放ち始めるのです。

製作国:France
初公開年:2005年
監督:Jacques Audiard
キャスト:Romain Duris, Niels Arestrup, Gilles Cohen, Linh Dan Pham, Aure Atika, Emmanuelle Devos, Mélanie Laurent ...


by amore_spacey | 2011-11-30 03:10 | - Other film | Comments(0)
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