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柘榴坂の仇討

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (75点)

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【あらすじ】 安政7年、彦根藩士・志村金吾(中井貴一)は、主君である大老・井伊直弼(中村吉右衛門)に仕えていたが、登城途中の桜田門外で井伊は暗殺されてしまった。
 その後あだ討ちの密命を受けた金吾は、敵を捜し続けて13年が経過。明治6年、時代が変わり、時の政府があだ討ちを禁止する中、金吾は最後の敵である佐橋十兵衛(阿部寛)を捜し出した。浅田次郎原作の同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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阿部ちゃんと中井氏の共演だなんて、願ったり叶ったり。2人の安定した演技は期待通りだったが、両者とも少々抑えすぎで地味だった感が残る。途中のテンポも緩かったような気がする。阿部ちゃんファンとしては、井伊直弼を暗殺した後、名前を変え逃亡生活に至った経緯を、もう少し描いて欲しかった。それはさておき、あの背丈に濃い風貌では、あまりに目立ちすぎて、隠遁生活なんざムリってもんでしょう(笑) 


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13年間も探し求めた仇に出会ったのが、何と!仇討禁止令の出たその日だなんて、そりゃ、あんまりじゃありませんか。桜田門外の変の後、日本は江戸から明治に変り、新しい時代を迎えて混乱の真っ只中。しかし時代が変わっても、武士は武士の精神を決して捨ててはならぬと考える志村金吾は、仇を討ったあと、切腹して主君への忠誠を表明するつもりだった。

一方の佐橋十兵衛は、暗殺を成功させたにもかかわらず、次々と仲間が処罰されたり切腹したりしていく中で、 結局1人生き残ってしまい、名を変え身を隠して暮らしながら、いつか仇討に来る敵側の武士を待っていた。13年前の呪縛に囚われた2人は、何らかの形で決着をつけなければ、新しい時代に踏み出すことができなかったのでしょう。

その辺りの両者の葛藤が、ラスト15分に凝縮され、一触即発かと思わせつつ、井伊直弼が残した「死ぬときは死ぬ。それで生かされたのなら、生きろということなのだ」「死ぬ運命が来るときまで、精一杯生きればいいのだ」という言葉の重みを、敵対するはずの2人が雪の中で噛み締める姿に、心動かされる。


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男たちを陰で支える女性たちの存在は大きい。中堅どころの広末涼子ちゃんが、なかなかよかった。慎ましやかな中に凛とした雰囲気を漂わせ、着物がこれまたよく似合う。着物、いいですね。


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この女の子がホントに可愛らしかったなぁ。阿部ちゃんの口の中に金平糖を入れるシーン、それ、私にもやらせてェ。


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ちょんまげを切り落としてザンギリ頭になったとはいえ、寝癖がついたような藤竜也の頭は、情けなくて残念。それに引き換え中村吉衛門は、幾つになってもある種のオーラを放ち、時代劇を引き締めてくれる。さすがは歌舞伎役者の大御所でございますな。



by amore_spacey | 2016-06-06 00:16 | - Japanese film | Comments(0)
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