環状線の猫のように (Come un gatto in tangenziale)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

ちょっとだけネタバレ!

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【あらすじ】 ローマ旧市街に瀟洒な住まいを構え、シンクタンクで働くインテリのGiovanni(Antonio Albanese)と、多様な人種が混在する郊外で調理スタッフとして働き、日々の生活に追われるMonica(Paola Cortellesi)。生活環境が全く異なり、知り合うことはなかったはずの2人だが、彼らの子どもたちが好意を寄せ合い、付き合い始めたことから、やむを得ず交流することになる。(作品の詳細はこちら


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富裕層のエリートと言ったら、Pierfrancesco FavinoやFabrizio Gifuniをキャスティングしたいが、パッと見は冴えないAntonio Albanese、でも彼が動き出すや否や、その演技力にぐいぐい引き込まれ、最初の違和感を簡単に吹っ飛ばしてくれる。今回彼と共演するのは、Monicaに扮するサバサバ系女優Paola Cortellesi。身体中タトゥーだらけで、野球のバットをぶん回して、Giovanniの高級車のフロントガラスを叩き割る、という衝撃的な登場に、Giovanniでなくとも恐怖とショックのあまり言葉が出てこない。階級の違いによる「お育ち」の違いは、疑う余地なし!なのであります。


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格差のある家族ならではのお決まりのエピソードが、あとからあとから出てくる。が、退屈しない。これがもしRomeoとJulietの時代だったら、大切な娘に変な虫がつかないよう、娘を高い塔に幽閉したり、修道院に送り込んだり、はたまた下賎な男の子一家に濡れ衣を着せて、彼を島流しにするかもしれない。21世紀のローマではさすがにそんなことはないけれど、「あそこの家とは格が違うから…」という理由で、徐々に疎遠にされたり、破談になったりすることはまぁあります。

が、この作品の良いところは、格差社会を前向きにとらえていること。高所得者層代表のGiovanniは、統計上の数値だけでは見えてこない低所得層の暮らしぶりを、身を持って実感し、また階層で人を判断していた自分の尊大さに気が付く。一方低所得者層代表のMonicaも、ただぼやいているだけでなく、現状改善に乗り出し、郊外にピッツェリアを開く。


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格差社会が生み出す摩擦や軋轢など、深刻に捉えると重苦しくなるが、この作品は全てをひっくるめて、笑い飛ばして楽しもうというスタンスで描かれている。なので主役の2人もそれに応えて、軽くなりすぎないよう絶妙の匙加減をしながら、からりとした笑いに変えて素敵なコメディに仕上がっている。ところでMonicaの異母姉妹(双子?)として登場する、2人のポーランド人女性が、最強無敵です。脇役なのに、存在感ありすぎ(爆) 因みにタイトルの「環状線の猫のように」は、交通量の多い環状線で猫は生きられない(短命)ことから、あまり長続きしないことを意味する。インテリのGiovanniとタトゥー女Monicaの関係は、細く長く続くのか?環状線の猫のようにすぐ終わってしまうのかしら?


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by amore_spacey | 2018-05-03 01:12 | - Italian film | Comments(0)
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