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日の名残り (The Remains of the Day)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (82点)

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【あらすじ】 1950年代のイギリス、Oxfordshire。アメリカ人の富豪Jack Lewis(Christopher Reeve)に仕える老執事James Stevens(Anthony Hopkins)は、人手不足に悩んでいた。そこでかつてこの屋敷の主(あるじ)だったDarlington卿(James Fox)の下で、共に働いた有能な女中頭Kenton(Emma Thompson)から手紙を受け取った彼は、彼女に職場復帰を促すため休暇を得て旅に出る。
 第一次世界大戦と第二次世界大戦の狭間で、淡い恋に揺れ動く執事の哀切を描く。カズオ・イシグロの同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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人生の黄昏時に差し掛かったStevensが回想するのは、Darlington卿に仕えた日々や老いた父親の面影、去り行く時代への懐旧の情や戦争による価値観の転換、そしてKentonとの淡い心の交流。「自分が人生を賭けて大事にしてきたものは、本当に意味があったのだろうか?」と、彼は自問する。

執事という仕事に誇りを持ち、天職と信じて疑わなかったStevensの仕事ぶりには、清々しさや神々しいまでの崇高さが漂う。これぞ英国の伝統と思わせる、毅然たる態度や気品ある佇まいに、男の色気やダンディズムを感じました。しかし彼には悔やみ切れない思いが、いつまでも心にわだかまっている。


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屋敷の雑事を取り仕切る上で、執事と女中頭は互いに信頼と緊張を併せ持ちながらも、日々の暮らしの中で好意以上のものが生まれるのは、ごく自然の成り行きでありましょう。しかしStevensは恋愛に関してはひどく奥手で、Kentonを口説くどころか、好意を示す術(すべ)すら知らず、最初の1歩が踏み出せない。とても切なく胸が苦しくなります。

安っぽい恋愛小説に、ささやかな心の慰めを得ていたStevens。それをKentonに見つかった時の狼狽ぶりと言ったら、ポルノ雑誌を隠れて見ていた男の子が、母親に見つかったような慌てぶり。仕事中のStevensとは全く別人の、人間味溢れるリアクションに、思わず頬が緩んでしまう。あのシーンのAnthony Hopkinsに、胸きゅんきゅん!萌えました。まさかLecter博士が、いじられキャラになるなんて…。わたし、Anthonyに惚れたかも。


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自問自答しながら、Stevensは自分が歩んできた道を真摯に受け止め、過去から身をそっと振りほどき、1人の執事として生きていくことを選ぶ。この潔さに、心が震えました。伝えられなかったKentonへの愛情は色褪せることなく、彼の胸の中で生き続ける。Dartington Hallが最も輝いていた時代に、人生のある部分をKentonと共有できた。それで十分ではないか。

惜しむらくは、別れのラストシーン。土砂降りの雨の中って、あれはないでしょう。手抜きのやっつけ仕事にもほどがある。それまで作品を包んでいた良い雰囲気が、台無しになってしまった。

 
by amore_spacey | 2018-05-06 01:27 | Other film | Comments(0)
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