雨の日は会えない、晴れた日は君を想う (Demolition)

私のお気に入り度 ★★★★☆ (80点)

e0059574_4193713.jpg
【あらすじ】 ウォール街のエリート銀行員として順調に出世し、美しい妻Julia(Heather Lind)と何不自由のない生活をしていたDavis(Jake Gyllenhaal)は、ある日突然、交通事故で妻を失ったのに、悲しい感情が湧かず涙さえ出ない。心を失ってしまったのかと戸惑う彼は、「車の修理も心の修理も同じ。隅々まで点検して、組み立て直すんだ」という義父(Chris Cooper)の言葉をきっかけに、身近なものを壊し始めた。(作品の詳細はこちら


e0059574_420556.jpg
じわじわ来る作品だ。妻の死と共に自分の感情も消えてしまった。一体自分に何が起こっているのか分からない。そんなDavisの心の状態を思うだけで、重力のない世界に放り込まれたような、とてつもなく不安な気持ちに包まれてしまう。ある時は爆弾のように爆発、またある時には凪(なぎ)のように静まり返る感情を、彼は持て余し制御しきれないでいる。一体何を探しているのか、何がしたいのか、真意がよく分からない。Davis本人も私たち視聴者も、誰にも分からない。


e0059574_4201722.jpg
e0059574_4202775.jpg
彼がクレームを送った自販機会社の顧客担当Karen(Naomi Watts)や彼女の息子のChris(Judah Lewis)もまた、思うようにいかない人生の中でもがいていた。この親子とDavisの間には、互いに引き合う見えない糸があって、3人3様のやり方で傷ついた心を互いに癒していく。特別なことなんぞしない。積極的に働きかけるようなこともしない。何でもない言葉をかけて、傍らでそっと見守るだけ。親子を演じたNaomi WattsやJudah少年(この子、タイプだわぁ)が、とっても良いんだなぁ。

果たしてDavisと妻の間に、こんな心の交流があったのだろうか?互いを思う気持ちはあったけれど、それをうまく言葉に出来ない、相手に伝えられないもどかしさが、付きまとっていたに違いない。親子や夫婦の関係って、ホントに微妙で難しいものです。


e0059574_4204054.jpg
どのエピソードもかなり抽象的ではあるけれど、はっきり明言しないもやもやした曖昧さが、却って視聴者の気持ちに漣(さざなみ)を起こしていったように思う。こうして小さく揺り動かされた感情が、幾重にも重なり合っていったその先に振り下ろされた、「愛はありました、でもおろそかにしていました」というDavisの言葉は、痛烈な一撃だった。何と言ったらいいのか、冷静で客観的で曖昧で他人事のようなのに、ビンゴ!胸の奥に堰き止められていた熱い塊が、うわっとほとばしり出た感じ。心が揺さぶられ、エンドロールの後もその余韻に浸っていました。

こんな長ったらしいタイトルつけて、スカスカの内容じゃないの?なんて意地悪なことをちらっと思ったんだけど、スルーしないでこの作品を観て本当によかった。おそろかにしていました、これ、頭の中で何度もリフレインしています。


 
[PR]
by amore_spacey | 2018-05-27 04:20 | - Other film | Comments(2)
Commented by canned_cat at 2018-05-31 15:50
こんにちは^^
この作品、邦題がなかなか素敵なので気になっていて、配信サイトのお気に入りリストに登録してあります。きっとそのうち観ると思います。
抽象的だけど視聴者の気持ちに漣を起こす……益々気になってきました。雰囲気のある作品という事でしょうか。
そこに愛があるなら、疎かにしないで生きていきたいものです。
Commented by amore_spacey at 2018-06-05 00:46
☆ canned_catさんへ。
長い長いタイトルをみて、「また動員数を増やすための、姑息な手段かァ」なんて、天邪鬼な私は思ってしまったのですが、作品を観てから、この邦題は良いところを突いているなと感心しました。前半はこの物語がどっちに向かっているのか分からず、ガラス越しに観ているような感覚だったのですが、後半からじわじわ来ました。また時間をおいて観なおしたい作品です。私はと言えば、まぁ、色んなことを疎かにして生きております(滝汗)
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< 白衣の女 (The Woman... 北と南 (North and ... >>