マンチェスター・バイ・ザ・シー (Manchester by the Sea) 

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (73点)

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【あらすじ】 ボストン郊外で便利屋をしている孤独な男Lee(Casey Affleck)は、兄Joe(Kyle Chandler)の急死をきっかけに故郷Manchester by the Seaに戻ってくる。兄の死を悲しむ暇もなく、遺言で16歳になる甥のPatrick(Lucas Hedges)の後見人を引き受けた彼は、甥の面倒を見るため故郷の町に留まるうちに、自身が心を閉ざすことになった、過去の悲劇と向き合うことになる。(作品の詳細はこちら


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日本に里帰りしていました。毎回楽しみにしている機内上映は、観たい作品が字幕なしのドイツ語だけとかヒンドゥー語だけだったので(泣)、往復路で鑑賞したのは4本。ぼちぼちそのレビューを書いていきますが、その前に本作品のレビューです。

季節限定の…とか○○賞受賞という言葉に弱い私は、この作品がアカデミー賞の脚本賞と主演男優賞(Casey Affleck)に輝き、またBen Affleckの弟ということでCaseyがいきなり脚光を浴びたりして、あの時は何かと大騒ぎだったのを思い出し、少なからず期待していました。ところが主人公が背負った十字架の重みや悲しみに共感するよりも、全体に流れる気まずくて居心地の悪い空気に捕まってしまい、やるせなかった。登場人物の誰にも、感情移入ができませんでした。


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Leeが行く先々では、必ずと言ってよいほど気まずい空気が生まれる。オープニングの病院のシーンでは、明らかに気まずさを隠せない医者と、そんな彼に全く無頓着なLee。不機嫌なオーラを放出するこの2人の間で、居たたまれなくなった友人が、何とかこの場を取り繕おうとする。居酒屋で知り合った女性にも、そっけない塩対応だったし、Sandyのママと1対1で向き合っても、簡単な世間話すら出来ない。過去に何があったとしても、大人としての礼儀を欠くようなあの態度はない。

過去の悲劇が明らかになったあとも、Leeの態度は、無言の怒りや甘えの裏返しでしかなく、あまりにも子ども染みていて痛々しい。Albinoniの甘美なAdagioも、「はい、ここで泣いて下さいね」と言わんばかりで、あんな陳腐な使い方をして欲しくなかったなァ。


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主役だけでなく、作品に登場する大部分の人々が至極残念でした。そこにわずかでも、「そうだよね」「分かるよ」と共感できる余地があれば、もう少し作品に近づけたかも。唯一Leeの人間らしさが滲み出ていたのは、甥のPatrickの前で、「乗り越えられない。辛すぎるんだ… 」と声を絞り出すようにして胸の内を語るシーン。誰かに本音を語ることで自分を少しずつ解放し、忌まわしい過去から抜け出し、一歩踏み出すきっかけになったなら、Leeにとって何よりなのですが。


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by amore_spacey | 2018-09-01 18:04 | - Other film | Comments(0)
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