シェイプ・オブ・ウォーター (The Shape of Water)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く、発話障害のあるElisa(Sally Hawkins)は、同僚のZelda(Octavia Spencer)と共に秘密の実験を目撃した。そしてアマゾンで崇められていたという、半魚人の“彼”(Doug Jones)の特異な姿に心惹(ひ)かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところがその“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっていた。第74回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を、第90回アカデミー賞で作品賞・監督賞など4部門を受賞。(作品の詳細はこちら


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機内上映その1。冒頭から監督の独特な世界観に引き込まれ、物語の行方から一秒も目が離せなくなった。ごく平凡で地味な40代のElisaがどんどん綺麗になっていくし、グロテスクで不気味な半魚人も庇護したくなるほど愛しく思え、それどころか実は“彼”がマッチョでイケメンであることが判明するし、とりわけElisaと半人魚が言葉を介さないコミュニケーションの、徐々に距離を縮め心を通い合わせていく過程は、お見事でした。


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印象深いシーンはたくさんありますが、卵が大好きな私としては、朝ごはんの卵をゆでるシーンで、Elisaが沸騰した湯に卵を入れてゆでているのを見て、嬉しくなりました。なぜって、ほんの2~3年前まで水から卵をゆでていた(家庭科でそう習ったから)私は、沸騰した湯の中に入れる方法を聞き、「熱湯に卵を入れたら、爆発するんじゃないの?」と半信半疑で試してみたところ、トロトロ半熟から固ゆでまで、好みの固さに加減しやすい上に、殻がむきやすいことを知ってしまったから。目からウロコ的な大事件でした。あれ以来ゆで卵は沸騰した湯に投入するElisa式を守り続けているという訳なんです。卵が好きな“彼”のために、水槽の縁にゆで卵を幾つも並べるシーンも、好きだなぁ。グロテスクな半人魚の好物がゆで卵って、何気に可愛らしくて、キュンキュンしちゃう。

Elisa役のSally Hawkinsは、静かな中にも芯のある素晴らしい演技で、多くの人の心を揺り動かしたはず。超美人でなかった、それがまた良かったんでしょうね。薄幸なオーラをまとう地味な中年女性が、“彼”との出会いを機に美しく生まれ変わっていく様子は、少女漫画のようにロマンチックでした。孤独な“彼”に自身を重ねて心を寄せてしまうのも、無理からぬことでしょう。“彼”の前では母親のような包容力を見せたり、少女のような純粋な心を隠そうともしないElisa。そんな彼女と“彼”の心の交流に、私たちも癒されたのだと思う。


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脇役にも素晴らしい役者が勢揃いです。言葉を話せないElisaの代弁者として喋りまくるZeldaや、研究所から半人魚を連れ出すミッションに協力する隣人のGiles(Richard Jenkins)やHoffstetler博士(Michael Stuhlbarg)、冷戦下の新兵器開発の責務でどんどん狂気を帯びていくStrickland(Michael Shannon)。孤独と言いつつ、Elisaは色んな人々に囲まれて生きているんです。


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Elisaの手話をする時の流麗な手の動き、朝の浴槽で自慰をする彼女の40代らしい自然な裸体、映画館の上階にある質素ながらも骨董屋のように魅力的な彼女の部屋、目張りしたバスルームが水で満たされていく様子、当時の雑誌の理想のファミリー像のようなRichard Stricklandの家庭など、時代をあらわすインテリアや意表を突いた設定が目を楽しませてくれ、観終わったあとも水の中にいるような、不思議な浮遊感に浸っていました。


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by amore_spacey | 2018-09-09 00:05 | - Other film | Comments(4)
Commented by 松たけ子 at 2018-09-10 20:43 x
amoreさん、こんばんは!
この映画、私も大好きです(^^♪
私も素敵な半魚人と恋に落ちたいです。ピンクレディじゃないけど、近頃すこし地上の男に飽きたところよ♫
サリー・ホーキンスの怪演に近いチャーミングな演技、個性も素晴らしかったですよね。マイケル・シャノンはもう、フツーの役はできそうにない?おけつ丸だしで奥さんとベッドで励んでるシーンが怖くて笑えた。
卵、私も今度から沸騰したお湯にいれてゆでてみます(^^♪
Commented by amore_spacey at 2018-09-12 01:19
☆ 松たけ子さんへ。
ゆで卵を狙って、水面から半分だけ顔を覗かせた半魚人が、とってもキュートでした。口の周辺に特徴のあるサリー・ホーキンスが、どんどん綺麗になって解放されていく様子が、素晴らしかったですね。彼女の首の傷、あれはエラだったのかな?と。彼女も半魚人だったのかしら?

ぜひぜひ熱湯に入れる方法で、やってみて下さい。これ、私の食卓人生の中でも、衝撃的(ポジティブな意味で)な出来事でした。
Commented by bondgirl333 at 2018-09-12 20:45
こんばんは🌇
私も、この映画のとりこになりました。イライザの部屋がさり気なくて素敵。
私も、この映画をみて卵を熱湯でちょうりしました。確かに殻がむきやすかったです。
詳しく解説頂き、ありがとうございます^_^
Commented by amore_spacey at 2018-09-14 01:09
☆ bondgirl333さんへ。
いらっしゃいませ&初コメありがとうございます。
彼女のあの部屋には、色々と心躍るものがありそうで、ぜひ招待されたいですね。熱湯の中に卵を入れて茹でる方法を知って以来、水から茹でなくなりました。
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