パリの灯は遠く (Mr. Klein)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (78点)

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【あらすじ】 1942年、ナチス占領下のパリ。美術商のRobert Klein(Alain Delon)は、国外脱出するユダヤ人たちから美術品を安く買い叩いて儲けた金で、戦時中にも関わらず優雅な暮らしを送っていた。しかしある日、自分と同姓同名の男が存在する事を知り、れっきとしたフランス人であるはずの彼の生活が、思わぬ方向に進み始める。もう一人のMr. Kleinは、ユダヤ人だったのだ。(作品の詳細はこちら


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日本語のタイトルから、秋のパリを舞台にした悲恋物話を想像していた。が、冒頭から衝撃的なシーンが待ち受けていまして、ショック。全裸になった女性が、診察室で無造作に唇をめくられ、鼻に定規を突っ込まれて角度を図られている。身体の特徴からユダヤ人判定をする屈辱的な「身体検査」で、これぞ恐怖のファシズムだ。後半には大勢のユダヤ人たちやKleinが収容された、アウシュビッツの中継施設として改築が進められている競輪場の、非人間的・非日常的な光景。そして群集の波に呑み込まれるようにアウシュビッツ行きの収容列車へと押しやられ、気がついたらKleinは乗ってはいけない列車に乗っていたラストシーン。暗闇にパッと浮かび上がる彼の顔。ザワザワした嫌な感情が、ラストシーンで最高潮に達する。何とも後味の悪い作品だ。


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誤って配達された「ユダヤ通信」を、その場で処分すればよかったのに、Kleinはこの通信に拘った。そしてもう1人のMr.Kleinを捜し始めてしまう。初めは軽い好奇心と、身の潔白を証明するためだったに違いない。彼は確かに自分の近くにいるのに、なぜかいつもすれ違いに終わる。諦めてそこでよせばよかったのに、Mr.Klein捜しが頭にこびりついて離れない。抗いがたい力に引き摺られて、いつしか狂気じみた執着に変わって行く。追ってはいけないものを追いかけると、痛い目に遭うって分かっているのに。


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重苦しい空気に包まれ、ざわざわした気持ちを抱えながらも、この作品には謎解き感覚で楽しめる部分がある。自分と同姓同名の男を捜すという探偵ミステリー仕立てなので、この男は何者でどこで何をやっているのか?Kleinでなくても気になる。しかし肝心のMr. Kleinは、とうとう最後まで姿を見せない。それが却って強烈な存在感を放つのだ。ラストに向かってKleinがMr.Kleinに徐々に重なり合っていく。最後に2人がピタリと一致した時は、既に時遅し。スリリングで見事なラストシーンだった。だから、やめとけって言ったんだよ。


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by amore_spacey | 2018-10-14 00:06 | Alain Delon | Comments(2)
Commented by petapeta_adeliae at 2018-10-15 12:47
この映画の出来たころに丁度ヒットラー、スターリンの
興味をもって読みふけってました。
ユダヤ人のMr. Kleinは一度も姿を現さないのにその
存在感で恐怖心をあおる手法に、ヒッチコックのレベッカを
連想させられました。

ここのところ、オデッサ・ファイル、NHKドキュメントで
ヒトラー、ゲッペルス、昨日はゴールデン・ボーイと
ナチスにどっぷりです。

Commented by amore_spacey at 2018-10-18 00:59
☆ ソーニャさんへ。
じわじわと恐怖心を煽る描写が秀逸でした。ブラックでシュールと言いますか、阿刀田高のブラックショートのような雰囲気がありますね。偶然ですが私も大戦前後を舞台にした映画を、このところ随分観ていますよ。
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