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やっぱり契約破棄していいですか!? (Dead in a Week: Or Your Money Back)

私のお気に入り度 ★★★☆☆ (70点)

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【あらすじ】 人生に絶望し9回も自殺を試して失敗した若い作家William(Aneurin Barnard)は、自殺請負い会社の年老いた殺し屋Lesrie(Tom Wilkinson)に出会った。一週間以内に痛みもなくすぐ死ねるという契約書にサインして、Williamは殺されるのを待っていると、彼が書いた本を読んだ出版社から連絡が入る。それから運命は突然、彼に微笑みはじめた。(作品の詳細はこちら


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イギリスらしいちょっとシニカルなコメディ映画。自殺請負い会社だなんて、星新一や阿刀田高のエッセイに出てきそうな設定ですが、結末はそれほどブラックでもシニカルでもなく、ささやかな幸せや平穏な日々を望む人々に、そっと寄り添う作品です。何をやってもダメな時期が続くと、人間って凹みますよね。出口のないトンネルにいるようで、その先には絶望しかない。William青年もそんな1人なのですが、自殺の神様からさえ見放されて、9回も自殺を試したのに死ぬことができなかった。その辺りの様子がコメディタッチで描かれているので、遥か昔はタブー視されて、大っぴらに口にできなかった自殺やリストカットなどが、ここでは「人に話さないけど、それって結構あるかも」的な市民権を得た?レベルになっていて(当の本人は深刻に思いつめているのですが)、第3者にとっては昔ほど重苦しい話題ではなくなっている。

しかし運命とは皮肉なもので、一旦死ぬと決めて殺し屋に依頼した途端、Williamの状況は良い方向へ展開し始めます。死ぬ(殺してもらう)気持ちは相変わらず固いものの、彼の都合で殺し屋に待ったをかける。しかもWilliamの本を出すといってきた出版社のエージェントが、とってもキュートな女の子で、本の出版と可愛い女の子と、彼は生きる目的を同時に2つも見つけてしまったのだ。

そうなると窮地に立たされるのが、殺し屋のLesrie。自殺請負い会社にはノルマがあって、彼はあまり成績が良くないため、早期退職を促されている。しかし殺し屋の面子にかけて、Lesrieは何としても職務を全うしたい。そんな彼の存在が会社には邪魔で、ボスに消されるハメになる。殺される立場になったLesrieじいさんの人生が、一体どうなってしまうのか、後半はそちらが俄然気になって来ます。奥さんは夫の仕事を知らないのか?彼女の無垢な一言一言が、ブラックジョークでクスッと笑える。老後は夫婦で世界クルーズするのが夢で、甲斐甲斐しく夫に仕える奥さんと、あくまでも仕事を続けたいLesrie。この2人が飼っているセキセイインコが、これまた可愛い。ちょっと非現実的であり得ない話だけれど、悩める青年や初老の殺し屋の姿に共感や親近感を抱きながら、人生って色々あるなぁと思いました。


by amore_spacey | 2019-03-29 02:03 | - Other film | Comments(0)
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