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モーガン夫人の秘密 (The Aftermath)

ネタばれあり!

私のお気に入り度 ★★★★☆ (70点)

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【あらすじ】 1946年、終戦直後のドイツ。真冬のハンブルグに到着したRachael Morgan(Keira Knightley)は、壊滅した都市の復興に携わる夫の英国軍大佐Lewis(Jason Clarke)と再会した。新居へ向かうRachaelは、Lewisが予想外の決断をしたことを知る。新居である屋敷にはMorgan夫妻の他に、屋敷の元所有者であるドイツ人建築家Stephen Lubert(Alexander Skarsgård)と彼の娘Freda(Flora Thiemann)が同居するというのだ。Rhidian Brookの同名小説を映画化。(作品の詳細はこちら


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機内上映その3。ありがちな展開で先も読めてしまうが、戦後のドイツの様子を垣間見る機会を得られたのは良かった。戦争が終わったからと言って、すぐに敵味方が仲直りする訳ではなく、むしろ敗戦による心身の傷や屈辱によって、敵意はさらに増していく。これが当時の紛れもない現実だったと思います。

夫と久しぶりに再会出来るというのに、気持ちがざわざわして落ち着かないRachael。軍が徴発した屋敷に夫と滞在することになったが、元所有者のドイツ人父娘がこの屋敷を出て行くというに、夫ときたら何と!同居を申し出たと言うではありませんか。一人息子をドイツ軍のロンドン大空襲で喪ってからというもの、夫婦仲はすっかり冷え切っていた。表向きは英国軍大佐の妻としての務めを果たすが、Rachaelの孤独感や喪失感をうめることは出来ず、ドイツ人への憎悪は強まるばかり。なのに息子の仇であるドイツ人と暮らすなんて、アナタ、アタマ、オカシク、アリマセンカ?いったい、何を考えているんですか?かつての敵と一つ屋根の下で暮らすなんて、冗談でもありえない。ドイツ人なんて、顔も見たくない、声も聞きたくない。同じ空間で空気を吸うのさえ、汚らわしいわっっ。

ところがStephenの妻が、連合軍のハンブルク空襲に巻き込まれて亡くなったと知るや、Rachaelは彼に同情するようになる。その同情はいつしかStephenへの愛に変わり、2人は不倫関係に、と予想通りの展開となりました。男女の愛憎劇というのは、当事者にしか分からないものです。この作品で残念だったのは、クールな美男美女Keira KnightleyとAlexander Skarsgårdが演じたことで、原題の言わんとするところが薄れてしまったこと。甘い昼メロ感が半端なく、その意味では『モーガン夫人の秘密』の邦題は、当たらずしも遠からずなんですが。Rachael役を例えばEmily BluntやLena Headeyが、Stephen役をDaniel BrühlやMichael FassbenderやAlexander Fehlingが演じていたら、原題のもつ微妙なニュアンスを伝えられたかもしれません。私がキャスティング・ディレクターだったら、Emily Bluntやちょっと意表をついたSally HaukinsとDaniel Brühlにお願いしたいと思います。


 
by amore_spacey | 2019-09-06 00:28 | - Other film | Comments(0)
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