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Dear フランキー (Dear Frankie)

ネタばれあり!!! 
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【あらすじ】 スコットランドのグラスゴーにある小さな港町。Lizzie(Emily Mortimer)は9歳の息子Frankie(Jack McElhone)と母Nell(Mary Riggans)を連れ、暴力を繰り返す夫Daveyから逃れるため、引っ越しを繰り返していた。Frankieは父に対する記憶が全く無いまま母子家庭で育ったが、父親を想う息子にLizzieは、「彼は世界中を航海し続けている船乗り」と嘘をつき、父親に成りすまして息子と月2回の文通を続ける日々を送っていた。ところがある日、父親が乗船中という設定にしていた船が、本当にこの町へ寄港することになり、Frankieは大喜びするが、この緊急事態にLizzieは困り果ててしまう。(作品の詳細はこちら) 


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控え目で素朴な描写でありながら、1つ1つのシーンに込められた登場人物それぞれの思いに、心がざわめいてしまう。誰の目線で見るかによって見方が変わってくると思いますが、私は母親Lizzieに寄り添いながら、1日だけFrankie少年の父親になってくれるという謎の男(Gerard Butler)が登場してからは、もし私が彼だったら…という仮想の中の自分と彼を比べながら、観ていました。でもたぶん配慮に欠けていただろう自分に、うんざりしてしまった。

まさしく借り物の謎の男が、初めは人助け的な軽い気持ちで父親役を引き受けただろうに、少年と会って一緒に過ごす時間が長くなるにつれ、きちんと向き合おうとする誠意が、表情や所作など随所に見えてくるのです。少年と男のシーンはどれも見慣れた日常風景なのに、二人の関係が訳ありな為に、新鮮でドキドキしました。そして何とこの男は、「せめてもう一日Frankieと一緒に」と言い出すではないか。息子のために誠意を尽くしてくれる男の姿が、Lizzieの胸に響かない訳がありません。

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Frankie少年は9歳にして、すでに人生を達観しているかのようでした。小意地悪な同級生にも、ユーモアでさらりと返す頭の良さ。落ち着いた立ち居振る舞いが出来るのも、強い自己主張をしないのも、大人たちが悲しまないように傷つかないようにと、彼がうんと背伸びして大人にならざるを得なかったから。

要因の1つ1つが明らかになるたびに、胸がシクシク痛みました。そして息子のために本当の父の存在を隠し、理想の父親を手紙で演じ続ける母親。彼女の必死の思いは、Frankieにちゃんと届いています。一途で繊細な息子の心が、いつ、どこで、どんな形で踏み躙られるのか分からない、その不安や恐怖と言ったら計り知れません。Frankieを何とかして守ろうとする、Lizzieを初めとした大人たちの姿にも、心が揺れました。

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孫をそっと見守るNellばあちゃん。「ちょっと貸してごらん」と優しく言いながら、Nellにマニキュアを塗るLizzie。そこでNellが懐かしそうに、夫との思い出話を始める。何気ない母娘の日常のひとコマに、優しい空気が流れる。よそから来た事情のある家族を、当たり前の様に歓迎してくれたMarie(Sharon Small)の懐の深さも、この家族の大きな支えになっています。全てのことが明らかになった今、もう作り話や嘘は要らない。清々しい思いに心が満たされている。夕暮れの桟橋で母息子が二人並んで座っている姿は、とても静かで愛しく、幸せな気持ちになりました。


by amore_spacey | 2019-11-07 01:39 | - Other film | Comments(0)
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